機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
ベルファスト基地 サラブレットブリッジ
キルスティン・ロンバート
うちのMS隊は仲が良くて結構だな。これだけのエース部隊を運用する艦を任される事に成るとは。今は亡き息子達と同じような年齢の彼等が戦場の主役と成っている。少し悲しくも有るが、頼もしくも有る。これは私のセンチメンタルなのだろうな。
「基地司令に連絡。状況終了。此から、例の移送を護衛する。」
「了解。今から伝えます。」
それにしても、凄いな彼は。エースを悉く倒している。先程の映像と音声等、レビル将軍達に提出すれば、大歓喜間違い無しだ。本人は嫌がるだろうが、宣伝に使われること間違い無しだ。如何に奴等が非人道的な組織で有るかの証明となる。それに、本人は意識していないだろうが、まさに魅せる戦いだった。我が軍の士気が上がること受け合いだな。
「艦長、基地司令から通信です。メインモニターに映します。」
「頼む。」
何か有ったのか?メインモニターを見ると上機嫌な基地司令が映っていた。
「ロンバート艦長、あなた方の協力に感謝する。此方は、数機やられたようだが、被害は最小限に抑えられた。惜しむらくは、数日間しかうちのMS部隊が教導されなかった事だな。しかし、当初予定に無かった事だからな。仕方無いか。」
「えぇ、彼等もオーバーワーク気味です。休めるときに休ませないと。」
「うむ、確かにな。エース部隊の数が少ないのが原因では有るが、彼等程のレベルのパイロットを揃えるのもな。増隊は時間が掛かるだろうな。」
「えぇ、分かっております。幸い、隊の発足から殉職者が出ていないが、この先は分かりません。」
「そうだな。私の方からも、第13独立戦隊選抜試験の実施を打診しよう。」
「ありがとうございます。少しでも彼等の消耗を抑えなければ。」
「そうだな。それに、エースが増えるのは我々にとっても頼もしいことだ。今回はそれを痛感させられたよ。そこで相談なんだがな、先程の戦闘映像のコピーをくれんかね?通信音声付きで。」
「そ、それは、私の一存では何とも。」
「そこを何とか頼むよ。基地所属のMS隊の中には、彼等のファンは多いんだ。それに、隊の士気の向上と、選抜試験のモチベーションアップに繋がる。」
「分かりました。至急コーウェン中将に確認を取ります。暫くお待ちください。」
「すまんね。恩に着るよ。」
通信が切れる。
「すまんがコーウェン中将に繋いでくれんか。」
「了解しました。お疲れ様です。」
「まったくだ。」
頭が痛い。彼も人気者だな、思わず苦笑が出てしまった。中将とは直ぐに繋がり、アッサリ許可が降りた。どうせ、今日の内にノーカットでメディアに流すから関係無いそうだ。映像を見た中将は、豪快に笑って、お蔭でこの戦いの勝利が見えたと言っていた。
カジマ少佐には同情を禁じ得ない。ヒューズ大尉の言っていたように、そのような星の元に産まれたと諦めて貰うしかないな此れは。
その日の内にこの戦いの音声付きノーカット映像が、地球圏全てに流れた。結果、ジオン公国軍残党に対する世間の批判が高まる事になる。勿論レビル将軍がメディアのインタビューに答え、我々の敵はスペースノイドでは無く、虐殺を是とする狂信者であると明言した。これにより、スペースノイドが連邦軍に対し、協力的に成ることになる。
ジオン共和国のガルマ・ザビ首相とキャスバル・レム・ダイクン議長は連名で、ジオン公国軍残党に対し、反逆者であることを宣告。ジオン共和国軍特殊部隊の派兵を決定。後日、地球連邦軍とジオン共和国軍初の特殊部隊による協同作戦が発表される事になる。
計らずとも彼は、アイドルの道を歩き続ける運命に有るようだ。
茨の園 執務室
エギーユ・デラーズ
なんだ此れは。全てのメディアで大々的に放送されている。サンギーヌ大尉達の戦闘映像がだ。大尉のアクト・ザクを含む12機のMSが、たった4機のMSに瞬く間に無力化されてしまった。
しかも、アクト・ザクは連邦の蒼鬼に一騎討ちで殺られている。またしても蒼鬼!忌々しい!奴はスペースノイドに何の恨みが有るのだ!サンギーヌ大尉達が若い女性を殺した?連邦軍の施設で働いてる者達ではないか!殺して何の問題があるのだ?此れは戦争なのだぞ!殺されたく無ければ、軍の施設で働かなければ良い!軟弱な連邦の言いそうな事だ。
しかしメディアはその事に少しも触れない。やはり、メディアは連邦軍に買収されているか。流石は連邦、やり方が汚ない。やはりあの腐った組織は潰さねばならない!
「デラーズ中将、エリク・ブランケ少佐から通信が入りました。モニターに映します!」
「うむ、頼む。」
モニターに敬礼をしているブランケ少佐が映る。此方も返礼し、直ぐに手を下ろした。
「どうした少佐。問題が発生したのか?」
「申し訳ありません。作戦には失敗、4機のドム・トローペンと、ザメル1機及び奪取に向かった優秀なパイロットを失ってしまいました。」
「そうか。勝負の勝敗は時の運。作戦の失敗は惜しいが、本番はそこでは無い。戻って来るのだ。今は何処にいる?」
「はっ!アラビア半島のアデン宇宙港の襲撃に成功。現在HLVで成層圏を抜けた所です。只今からそちらに合流します。」
「よくやった。待っているぞ。」
「いえ、それよりも中将、お伝えしたい事が。」
「なんだ?サンギーヌ大尉達の事なら、今連邦軍が頻りに宣伝しているぞ。どうやら失敗したらしい。」
「いえ、その事については、こちらでも把握しています。ですが、その事に関係が有ります。私達の作戦は白い死神と黒の悪鬼がいました。余りにも不自然です。情報が漏れている可能性が有ります。」
「フム、その可能性は有るか。だが、茨の園の場所は漏れていない。不自然だな。」
「それは私も思いました。しかし、警戒するに越したことはないと愚考します!」
「そうだな。周囲の警戒及びセキュリティのレベルを上げよう。よく進言してくれた。無事の到着を祈る。」
「はっ!」
彼等の結束が有れば、我等は戦える!若い命がスペースノイドの為、その命を燃やしているのだ!きっと、真のスペースノイドは分かってくれる筈だ!漆黒の宇宙を眺め、我等の大義に生きる覚悟を再度確かめたのだった。
本作では(も?)デラーズのおじさんは、狂ったテロリストの親玉です。