機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 エリクを逃がしてしまったユニコーン隊に戻ります。


第73話  空振りとデスマーチ

 キリマンジャロ基地

 キイチ・カシマ

 畜生!キリマンジャロじゃなく、アデン宇宙港かよ!てっきり、アフリカに行くと思ってたが、裏をかかれた。そう言えば水天の涙では、そこから宇宙に上がったっけ。反省だな。

 「艦長、俺達も宇宙に上がろう。奴等を野放しには出来ん。」

 「あぁ、まんまとしてやられたが、堂々と連邦軍の施設を襲撃する凶暴さは危険だ。コーウェン中将に連絡を入れる。」

 ブライトがホワイトベースの通信士に、コーウェン中将との交信を要請する。アデン宇宙港は、どんな被害を受けたのだろう?知識が有る分、口惜しい。警戒は促していたが、間に合わなかったか。

 「中将、ホワイトベース艦長のブライト・ノアです。」

 「ブライト艦長か。どうした?」

 「はっ!トリントンを襲撃し、アナハイム製のガンダム試作2号機を強奪しようとしていた者達を、宇宙に逃がしてしまいました。奴等はアフリカのジオン公国軍残党と合流せず、中東のアデン宇宙港を襲撃。まんまと宇宙に逃げられてしまいました。付きましては、我が隊に追撃の許可を頂きたく連絡した次第です。」

 「そうか。だが、最悪の事態は避けられた。そこでだ。この映像を見てくれ。」

 中将が、体をモニターから外した所、背後のモニターが映った。

 「此れは数時間前、ベルファスト基地にジオン公国軍の残党が襲撃をかけた際の映像だ。」

 「ベルファスト基地!?」

 「あぁ、最初に言っておくが、基地は無事だ。2機の守備隊所属のジムがやられたがね。ブルードラグーン隊がいたお蔭で、襲撃者達の無力化に成功した。まずは見てくれ。」

 モニターには、青く塗装されたアレックスが映っている。アクト・ザクと戦っているようだ。え?会話?こいつオープン回線で話ながらユウのアレックスと戦ってるのか!?度胸有るなぁ。俺でも油断出来ないのに。

 あっ。コイツ基地外だ。典型的な自分に酔ってる奴だ。恥ずかしく無いのだろうか?もしかしてコイツ、マレット・サンギーヌ?あっ、死んだ。やっぱりな。

 こんな基地外でも、好いてくれる女子がいるのは驚きだがな。まぁ、イケメンかどうか今となっては分からんが。もう、原子に帰ってるだろうしな。

 そんなバカな事を考えてしまった。だがこれで、奴等の悪逆非道さが証明されたな。同時にユウの知名度もアップだ。史実では、余り表に出なかったのにな。ご愁傷さまだ。

 「この映像は、今日中に各メディアに流すことになっている。また、ジオン共和国政府には既に提供済みだ。ガルマ・ザビ首相及びキャスバル・レム・ダイクン両名の連名で、共和国軍の派遣も既に決まっている。メディアがこの映像を流し次第、彼方と合同で発表する事になっている。」

 あ、これはあの禿げ死んだな。シーマの姐さんでは無く、むさ苦しい男共のビームライフルで蜂の巣間違い無しだ。

 「と言うことは、我々も?」

 「そうだ。ジャブローから打ち上げられる手筈となっている。何も心配せずに良い。ジャブローに来てくれ。連絡が遅れて悪かったな。先程までこの件で、会議を開いていてな。」

 「了解です。直ちにジャブローに帰還します。」

 「うむ。」

 通信が切れた。よし、落とし前を取り立てに行くか!

 「全員聞いたな!ホワイトベースは直ちにジャブローへ向かう!基地司令に連絡しろ。」

 「了解!」

 ブライトが張り切り出した。俺も負けてはいられないな。

 「艦長、俺はMS隊の方に行く。次の舞台は宇宙だ。宇宙空間に対応したシミュレーション訓練を仕込みに行く。」

 「頼む。・・・お手柔らかにな。」

 「了解。」

 ブライトが苦笑しながら応えた。待ってろよ、エリク・ブランケ。俺の取り立ては激しいぞ。

 

 キリマンジャロ上空アルビオンブリッジ

 ニナ・パープルトン

 サフリィのレイ中佐から通信が入った。今度から上司に成る人。細身で神経質そうな感じがする。まさに技術者って感じの人ね。

 「あの2号機をですか?」

 「あぁ、そうだ。核武装は必要ないが、ベースとしては面白い。新兵にダルマにされたままだろ?レビル将軍には確認を取った。快くOKを貰ったよ。」

 「そ、そうですか。では、ジャブローで降ろす手続きをします。あのぅ、いったいどのように手を入れるおつもりで?」

 私の設計したガンダムだ。下手な改造は止めて貰いたい。

 「あぁ、一撃離脱の強襲機だ。コンセプトとしては、今の奴と似てるだろう?パイロットの目星も付けて有る。こういう機体に乗せたら右に出る者は居ないだろうな。その道のスペシャリストだよ。今はファントムスウィープ隊に居るがね。今度の作戦に間に合わせたい。そちらでも予備の部品は有るのだろう?今から修理作業にかかれば間に合うはずだ。ジャブローで会おう。それではな。」

 興奮している新しいボスは、一方的に通信を切った。今から?ジャブローに着くまでにどれくらい掛かる?

 「艦長、あのぉ、ジャブローまではどれくらい掛かります?」

 先程の通信を聞いていたのだろう。可哀想な者を見る目で答えてくれた。

 「そうだな、8時間程ではないかな?」

 「ありがとうございます!それでは失礼します!」

 後8時間で、形にしなければ!!モーラに頭を下げて突貫で組み立ててギリギリ!??せめて、手足だけでも付けた状態にしなければ!!

 私は人目も憚らず、艦内を走り抜けた。

 結果ギリギリセーフであった。

 その後モーラ達に休んで貰い、私は徹夜でレイ中佐の改造に付き合うことに成った。私のガンダムが・・・あんな姿にされてしまった。

 

 頭部アンテナの間にビームダガーを固定して装備。背部に武装用パージ可能なウェポンラックを装備。ウェポンラックから、フレキシブルアームで展開可能な18連装マイクロ・ミサイル・ポッドを2基装備。GP01と同規格のビームライフル。右前腕に固定式のビームサーベル。左前腕に剥き出しの5連装チェーンガン。胸部中央に試作型ビームシールドを装備及び排熱用インテークの増設。両腰部にビームサーベル。

 この機体は私のガンダムじゃない。でも、込み上げるこの感情は何?頬を熱い何かが伝った。恐らく疲れているんだわ。今はただ眠ろう。なんとか自分のベッドに気絶するように倒れこむ。意識は直ぐに無くなった。

 

 ただ一つ。新しいボスは、恐ろしくタフであったとだけ記しておこう。

 




 熱い機体に魔改造です。両肩のFTBのお蔭で機動力及び突進力アップ。決めろ!ファイナルアルティメットジョーカー!

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