機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 久々登場レビルさんです。


第80話  責任

 地球連邦軍本部 ジャブロー レビル将軍執務室

 ヨハン・イブラヒム・レビル

 いやあ、連邦政府の中に結構入り込んでたね。何がって?アナハイムの息のかかった政治屋さんですよ。ジムの製造の一部を委託していたが、開発させろだの、民間委託させろだの煩いから可笑しいとは思ってたんだよね。なんでアナハイムだけに、有利になるように動かなきゃならんの?他にMS製造が可能な企業有るでしょ?ヤシマ重工なんて、F90に必要な素材開発するしさ。

 だから、技術の発展を名目にいろんな企業に発注してます。そして、新しく発見された技術はサフリィで実証実験する体制も整えた。

 それなのにアナハイムはフルバーニアンのユニバーサルブーストポットの技術しか公開しない。完全に舐めてるよね?こっちにもガンダムの技術を提供しろだと?市場を独占する気満々ですな。軍事機密だから当然拒否だ。最先端技術なんて怖くて、アイツ等には渡せん。既に此方はムーバブルフレームに手を出しているんだ。お前らはモノコック構造のMSでも作ってなさいってンだ。まぁ、どこかで情報は漏れるかもなと覚悟していたが、逆に奴等の大チョンボで、奴等の技術が此方に入ってきた。

 これはボーナスステージ突入か?ワシのワクワクが止まりませんよ。既にZも完成させてるし。まぁ、バイオセンサーとは言わないが、簡易的なサイコミュも載せている。このサイコミュはビットを使用せずに、機体操縦の補助を目的として使用されるため、小型化が可能だったんだが、いや、これバイオセンサーとどう違うの?フラナガン機関の人間をサフリィのサイコミュ関係の部署に預けてるが、そっち方面は正直分からない。まぁ、人体実験や、非合法な実験は厳しく監視しているからやってはいない筈だ。どうせ実験するんなら楽しんで参加できるようにすれば良いのに。もうちょっと考えて、ストレスの無い方法はないの?まぁワシは知らんけど。

 兵器関係ばかりじゃ無く、強化人間の回復といった方面の医療技術はまだまだ発展していない。発作を抑える薬は開発されたが、肝心の記憶が全然回復しない。マサキ君達はあのままで良い筈がない。将来マッドサイエンティストの犠牲になる子供が居ないとは限らないんだ。なんとかならないかな?テムさんもこっち方面はさっぱりだし。テムさん万能説は無かったか。

 おっと、話が横に逸れた。兎に角アナハイムだ。ワシの目が黒い内は絶対独占企業なんかにさせてやらん!息のかかった議員も情報部を使って取り締まる!

 しかし、奴等も手強い。一番黒かった、2号機の開発にサインをしたイーサン・ライヤー大佐が自宅寝室で死んでいた。恐らく暗殺だろう。いったい何を考えてサインをしたのか問い質そうとした矢先の出来事だった。このジャブローの中で暗殺とは畏れ入る。どこの暗殺者を雇ったかは知らないが、連邦への宣戦布告と見た。やってやろうじゃないか、連邦の本気を舐めるなよ、メラニー・ヒュー・カーバイン?絶対に貴様等は俺がブタ箱に送ってやる!

 「レビル将軍、第13独立戦隊主力が、ジオン共和国の討伐艦隊と合流しました。」

 「ん?そうか。いよいよだな。これで少しは地球圏が静かに成れば良いのだが。」

 「そうですね。しかし、依然としてメラニー・ヒュー・カーバインの関与は証明できていません。情報部も必死に探しているのですが。」

 「敵ながら、手強いな。彼等には無理をせず地道に証拠を集めるよう伝えてくれ。ここで奴に勘付かれたら捜査は難航する。」

 「了解しました。彼等に伝えます。」

 この眼鏡君も優秀なんだけどワシの所にも美人秘書官が欲しいな。ギレンや、コーウェン君の所にはちゃんと居たのに、なんでワシの所には来ないんじゃろ?ワシもしかして女性士官に人気無い?そんなこと無いよね?

 関係の無い事で急に不安になるレビルだった。

 

 

 アナハイムエレクトロニクス フォンブラウン工場

 メラニー・ヒュー・カーバイン

 「君のお蔭で、我が社の優秀な人材がサフリィに流れてしまったのだが、どう責任を取ってくれるのかね?」

 モニターの前の老人が喚き散らしている。あ~あ~、そんなに喚いて血圧上げちゃって。

 「何を仰るのやら。その証拠は有るんですか?私が何かをしたと仰るのなら、その証拠を持ってきて頂かないと。」

 「しらばっくれる積もりかね、君の所のオサリバン君が動いているのは此方でも掴んでいるんだぞ!」

 「あぁ、オサリバン君にも困ったものです。些か愛社精神が強すぎる。でも宜しいんですか?」

 「何がかね?」

 「オサリバン君を連邦に売ったとして、果たして我が社は生き残れるのでしょうか?恐らく、MSの開発どころか、製造すらも許されなく成るでしょう。その証拠に、我が社の息のかかった議員が何人も逮捕されている。連邦政府は明らかに我が社を敵視している証拠です。この状況で彼を売ったとして、我が社が生き残れる可能性は0に等しい。あなた方に本当に愛社精神が有るのなら、彼を守る以外に無いんですよ。」

 「貴様!初めからそのつもりで!」

 「あなた方のやり方では甘いんですよ、CEO。この局面を打破するには、連邦軍のレビル将軍を失脚させるしか無いんです!そして、各企業に振り分けられたMSの製造を、入札制度を用いて一手に我が社で握らなければ!それに、我が社が各勢力に小競り合いをさせて、ガス抜きをさせないと、またあの悲惨な戦争が起こりかねません!人類の為にも、我が社がMS技術を独占しなければ!」

 「戦争を演出するだと!?大それたことを。狂ってるのか貴様!やはりお前は我が社に必要無い。お前は解任だ!」

 「フフフフフ、まだ解って無いようですね?私を切っても、もうアナハイムに先が無いと言うことに。やはり、あなたは最高責任者に相応しく無い。」

 「何を!?うっ・・・。」

 胸を掻き毟り、苦悶の表情となり声も出せないようだ。

 「最期になりますが、今までお疲れ様でした。此れからは私がアナハイムを率いて見せますのでご安心してください。では、よい旅を。」

 フム、返事も出来ぬか。やはり、例の男は役に立つ。見ていろよレビル。此れからの世界を導くのは、軍や政府ではない。金を持っている我々だよ。経済力と言うものを嫌と言うほど見せてやる。連邦政府の全ての議員に実弾を送り付けてくれる!貴様はそのまま軍に残れるのかな?

 「ヒェッヒェッヒェッヒェ。」

 おっと、声が出てしまった。我々の戦いはこれからだよレビル君。

 

 




 黒幕さんのCEO就任決定です。

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