機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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一方のデラーズ側です。


第81話  デラーズと、騎士。

 茨の園 最深部エリア

 エリク・ブランケ

 今、私はデラーズ閣下と最深部へと続く廊下を歩いている。

 「敵ながら優秀な指揮官だなレビルは。」

 「はっ!些か、手強すぎるかと。」

 「そうだな。だが見てみろ連邦政府を。相次いでアナハイムから金を受け取った議員が捕まっている。あの戦争から3年も経たずにこの様だよ。それを摘発するレビル達も見事では有ろうが、それも所詮はあの男が生きている間だけだ。今はレビル主導で共和国と融和政策が取れているが、それは奴が生きている間だけだ。奴が死ねば政府は必ずや腐り、スペースノイドから搾取を始める。そして、それを止める手を連邦軍は持たぬし、彼等も一様に腐って行くだろう。大きすぎる国家等人類には要らぬのだ。奴等を潰さねば、スペースノイドに未来はない。」

 「はっ!承知しております。」

 やはり、この人は正しい。いくら、レビルが正しく、耳障りの良い言葉を並べようとも、その後を信じられる要素など無いのだ。

 スペースノイドに真の自由を勝ち取るためには、やはり連邦政府は潰さねばならん。この義将の元で戦える幸運に身が震える想いだ。

 「そのためには、例の作戦を成功させなければ成らない。貴君等には、一番重要な戦いを任せる事になる。その為の力を託そう。」

 目の前の扉が開いた。中には巨大でいて、美しいMAが固定されていた。

 「こ、これはまさに、ジオンの精神が形に成ったような・・・。」

 「これはアクシズの同志から贈られた物だ。我々に期待しているスペースノイドはいるのだ。我々は孤独では無いよ。」

 「はっ!彼等の期待に身が引き締まる思いです。」

 「そうだな。このMAの名はノイエ・ジールと言う。彼等の期待は裏切られんなお互い。」

 「はっ!未来のスペースノイドの為、我等に期待してくれる真のスペースノイドの為、死力を尽くさせて頂きます!」

 「うむ、任せた。ついてはガーベラ・テトラだがな、パイロットは此方で選ばせて頂いた。良いか?」

 「はい、御随意に。」

 あの機体も良い機体では有ったが、ルナリアン共が作った機体だ。ジオンの精神は入っていない。

 それに比べて、ノイエ・ジール。素晴らしい機体だ。この機体が有れば必ずや水天の涙を成功させて見せる。見ていろよ連邦軍め!

 この身の内から沸き上がる使命感と闘争心に、体が燃え上がるような感覚を感じていた。

 

 同場所

 エギーユ・デラーズ

 フム、ブランケ少佐もこの機体を気に入ってくれたか。では、顔を合わせて貰おうかな。

 「ブランケ少佐、会わせたい人物がいる。良いかな?」

 「はっ。会わせたい人物ですか?どなたでしょう?」

 「君の後で、ガーベラ・テトラを任せる人物だよ。」

 「そう言えば、先程も仰っていましたね。あの機体を任せるに足る人物。興味が有ります。」

 「そうか。今はMSデッキにいる筈だ。付いてきてくれ。機体の癖等、申し送りが必要な事もあろう。」

 「はっ!」

 「その必要は有りませんよ、閣下。」

 「ムッ?」

 男が話しかけてきた。おう、ここに居たのか。てっきりMSデッキに居るものだとばかり思っていた。

 「あぁ、ここに居たのか。紹介しよう。彼が ニムバス・シュターゼン少佐、ガーベラ・テトラを引き継ぐ人物だ。」

 「ジオンの騎士・・・、ニムバス少佐!」

 「ん?知っているのかね?」

 「はっ!敵前逃亡をしようとした上官を射殺し、戦いには勝利したものの、その咎で極秘任務に回されたとしか。会うのは初めてで有ります。」

 「そうか。」

 「フム、紹介は要らなかったようだな。シュターゼン少佐は、アクシズからこの機体を運んでくれたのだ。シュターゼン少佐、紹介しよう。彼がエリク・ブランケ少佐だ。あの機体の前任者になる。」

 「そうですか、彼が。優秀なパイロットなのですね。」

 「そうだ。任務は別になるかもしれんが、協力してやってくれ。」

 「シュターゼン少佐、エリク・ブランケ少佐です。宜しくお願いします。私の事はエリクと。」

 「ニムバス・シュターゼン少佐だ。ニムバスで良い。」

 「ありがとうございます。所で、ニムバス少佐。一年戦争ではどちらに?途中から噂を聞かなくなったから、心配しておりました。」

 「私は、キャリフォルニア近辺の基地であの男に破れ、捕虜となっていたのだ。恥ずかしながらな。戦後、サイド3経由でアクシズに合流したのだよ。アクシズはジオン共和国の所有物だったからな。」

 「そんなことが・・・。いったい、どんな敵と戦ったんですか?」

 「エリク少佐も聞いたことが有るだろう?蒼鬼だよ。あの忌々しい黒の悪鬼の弟子だとのことだ。」

 「黒の悪鬼の?」

 「そうだ。黒の悪鬼の弟子共。連邦のエースと呼ばれる連中は必ず奴の手解きを受けている。」

 「そんなまさか!」

 「嘘ではないぞ、エリク少佐。大戦末期、私は連邦に捕らえられていた。そこでは有名な話らしい。カシマ道場と言うらしいな。エリク少佐、覚悟をしておくことだ。ノイエ・ジール、確かに良い機体だ。連邦の雑兵共であれば勝てるであろう。だがな、エース連中には良いカモだ。奴等は大型MAの対処法を把握している。ドズル閣下が良い例であった。その後もギレン閣下と立て続けに撃破されたが全て奴等のエース部隊によってだ。MAで戦うのであれば、懐に潜り込ませるな。必ず距離を持つんだ。肝に銘じておけ。」

 「情報ありがとうございます。しかし、ランバ・ラルだけではなく、貴方さえも撃破するとは。蒼鬼、侮れません。」

 「そうだな。だが奴は俺の獲物だ。あの機体であれば、奴に勝てる。」

 「頼んだぞ、ニムバス少佐。多くのジオン兵の血を吸った奴めにその命で罪を償わせてやって来れ。多くの将兵の供養にもなる。」

 「はっ!必ずや奴を血祭りにあげてご覧に入れます。」

 「うむ。」

 頼もしいな。高い志を持つ同志が合流してくれたものだ。やはり、我々はこの戦い勝利できる!

 若い力が我が軍を支えてくれている。我が軍が負けるわけが無い。例の艦も艤装が終わり、何時でも出港準備が出来ている。星の屑と水天の涙をジャブローに落として見せよう。そして、スペースノイドに真の自由を!

 勝利を確信するデラーズであった。

 




 デラーズさんの確信は実現するのだろうかww。

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