機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結> 作:水冷山賊1250F
月軌道宙域 ブランリヴァルブリッジ
ヤクモ・ココノエ
「サイド6方面から、船籍不明艦が4隻月方面に向かってます。共和国の船籍ではありませんが、明らかにジオンの艦船です。此方からの呼び掛けに応答しません。」
ブリッジに緊張が走る。
「MS隊発進準備。此方から呼び掛けろ。呼び掛けに応じない場合はやむを得ん。あの艦隊に攻撃を仕掛ける。」
「了解です!」
所属不明の艦隊にオペレーターが再度呼び掛ける。
「ザンジバルのドレン大尉に繋げ。」
「了解!」
ザンジバルとの通信が繋がる。
「ドレン艦長。サイド6方面から4隻のジオン製の艦が月に向かっている。共和国では、この時期に月に向かう予定は有ったかね?」
「いえ、無い筈です。あれは臭いですね。たとえ呼び掛けに応じたとしても、おかしいです。先制攻撃を具申します。」
そうだな。船籍のはっきりしていない艦隊など危険極まりない。
「了解した。これより1分後に攻撃を開始する。」
「了解です。」
通信が切れた。直ぐ様ブリッジに指示を出す。
「ミノフスキー粒子戦闘濃度散布!主砲及び両舷メガ粒子砲開け!目標船籍不明艦隊。以降奴等をボギー艦隊と呼称する。ザンジバルをボギー1、ムサイ級を向かって左から順にボギー2から4とする。この件をドレン艦長に伝えよ。本艦はボギー1を攻撃目標とする。主砲及びメガ粒子砲を一斉射後、ミサイル一斉発射。続いてMS隊を発進させる!」
「「「了解!」」」
さあ、戦いの時間だ。私もそう長くは指揮を執れないだろう。若い彼等が一つでも多くの事を学んでくれたら良いんだがな。
オペレーターの秒読みが進む中、そんなことを考えていた。
同宙域 ザンジバルブリッジ
バロウズ艦長
「木馬の同型艦、戦闘体制に移りました!」
チッ、やり過ごせなかったか。
「艦首回頭、目標は木馬モドキ!ミノフスキー粒子戦闘濃度散布!主砲及びメガ粒子砲は狙いが付き次第に撃て!MS隊は順次発進。ノイエ・ジールは、敵MSが出揃い次第に強襲を掛けるように伝えろ!マスドライバー占拠の前のデモンストレーションだ。奴等を派手に打ちのめせ!」
4年前に俺達を殺さなかった事を後悔させてやる!あの時の屈辱は忘れん!あの時の木馬では無いようだが、お仲間にはかわりない。確りと奴等の詰めの甘さを思い知って貰うとしよう。
主砲が攻撃を開始した。
「回頭中に撃つバカがいるか!しっかり狙って撃つように伝えろ!」
全く、砲撃手は何を考えている!?
「敵艦、主砲及びメガ粒子砲を発射!来ます!」
「面舵!かわせぇぇ!」
動き出して直ぐに激しい震動が起こる。
「左舷主翼にメガ粒子砲直撃!戦闘に支障は有りません!」
「よし、此方も反撃だ!MS隊の発進状況はどうか!?」
「本艦積載のMS隊は全機発進完了。僚艦から発進したMS隊と合流し、敵艦隊に向かう予定です!ミサイル来ます!」
「打ち落とせ!敵のMS隊はどうなっている?」
「ガンダムタイプが3機です!内1機が突出しています!」
「鴨だな。MS隊に放って置くように伝えろ!エリク少佐、聞こえるか?」
「こちらエリク、感度は良好だ。」
「お誂え向きのガンダム共だ。蹴散らしてやってくれ!」
「了解!エリク・ブランケ、ノイエ・ジール出る!」
デブリ運搬に偽装されていたノイエ・ジールが姿を現す。あちらにも木馬に引かれているデカブツが有るが、此方の方が先に使わせて貰う!
「敵MAらしき大型の機体、動き出しました。敵MS隊、此方のMS隊では無く、ノイエ・ジールの方に転進!」
フフフフフ、ばかめ!これでこの勝負貰ったな。
同宙域 ガルバルディβ
ケン・ビーダーシュタット
こんなMAが動くのか?と言うかMA?中にガンダムが入っているが、これを作った奴等はどういう神経をしているのだろう?
「各機、このデンドロビウムを中心にフォーメーションを取る!無理だとは思うが、全力で追いかけるぞ!」
「「了解!」」
「こちら、デンドロビウム、ユーグ・クーロだ。MS隊に一撃入れた後は、ボギー艦隊に攻撃を仕掛ける。ガルバルディ隊は、打ち漏らしのMSを仕留めてくれ。」
「了解しました。」
「では、先に行かせて貰う!」
デンドロビウムのスラスターに火が入り、とんでもないスピードで敵MS隊に突っ込んでいく。途中コンテナを二つ射出したと思ったら、夥しい数のミサイルがコンテナから射出された。
なんだあれ?あんなもの部隊の真ん中で食らったら一溜まりもない。12機のリック・ドムⅡと足無し(ドラッツェ)のMSは、ほぼ全機壊滅状態であった。無傷のMSが無い。生き残ったのは僅か2機だけだった。
「抵抗は止めろ!武装を解除しコックピットハッチを開け!」
素直に指示に従うMS隊。パイロットは呆然としている。
「なあ隊長。俺達、ここに来た意味あんの?」
「言うな、ジェイク。ガースキー、こいつらを母艦に連れて行ってくれ。おかしな行動を取るようなら撃っても構わん。ジェイク、付いてこい。マツナガ少佐を追いかけて、デカブツ退治の援護に向かう。」
「「了解!」」
まあ、無駄だろうがな。
デンドロビウムは遥か先のボギー艦隊と交戦を開始した。瞬く間にボギー1が巨大な火の玉に変わる。圧倒的だな。あれは、あれで正解なのか。
敵MAは?連邦のMS隊の方を見ると、2機のガンダムと白いガルバルディβに食らい付かれてやがる。あぁあぁ、無理だな。案の定至近距離からミサイルを食らってもうボロボロだ。推力も落ちたのだろう。もう1機のガンダムがMAに取り付き、ビームサーベルで機体の中央付近を突き刺す。突撃型のガンダムも後からビームサーベルを突き刺した。そのまま、突き刺した穴に左手のチェーンガンを突き刺し掃射。凄いコンビネーションだが、それってオーバーキルじゃなかろうか?マツナガ少佐がドン引きしているのが分かる。
若いパイロットの断末魔が聞こえた。無念だろうが、狂った理想にのせられたお前が悪い。ジュニアハイスクールのガキじゃ無いんだ。自分の尻は自分で拭かなけりゃあな。それが大人ってもんだ。
「隊長、俺達の「言うな、ジェイク。ガースキーと合流するぞ。」了解。」
「マツナガ少佐、敵MSパイロット2名を確保。現在母艦に収容するため連行しています。」
「了解だ。しかし、連邦軍のエースは凄まじいな。有る意味マトモじゃない。まあ、あれが全てとは思わないがな。」
そりゃあそうだろう。あんな修羅や獣ばかりじゃ無い筈だ。と言うかこのチームがおかしい。白狼と呼ばれた少佐がドン引きするレベルって、どんだけだよ!
遅れ馳せながら、やっとボギー2から停戦信号が上がった。本当に判断が遅い。自分達の尻に火が着かなければ、戦いを止めないのか。若いパイロット達に最前線を任せて、自分達は後ろで悠々と観戦できるとでも思っていたのだろうか?全くもって御目出度い。
ギレン派の奴等のやることは、3年前から変わらないな。人の家族を人質に取って無理矢理戦わせたり、ろくな事しやしない。今回の首魁はその親玉だと聞いた。一年戦争で受けた仕打ちは忘れていない。張り切ってこの戦いに挑んだが、蓋を開ければこの始末だ。
これでザビ家、とりわけギレンの信俸者達はおとなしく成るだろう。一抹の虚しさを覚え、マツナガ少佐とジェイクと共にガースキーと合流するのだった。
同宙域 ガンダム7号機
マット・ヒーリィ
共和国軍のガルバルディ隊が何もすることがなく終わってしまった。心なしか、肩を落としたように見えるのは気のせいでは無いだろう。分かる。その気持ち、痛い程に分かるぞ!やっとオフェンスチームに入りガンダム7号機を受け取ったのに活躍の場が無かった。
なんであの二人はMAに対してあんなに躊躇無く突撃出来るのだろうか?命が幾つ有っても足りないぞ、あんな戦い方。
「不思議だろう?あんな戦い方で生きて帰ってくるんだぜ?それも毎回。」
「エイガー中尉、あれはMA相手の時だけじゃないのか?」
「だいたいあんな感じだ。まあ、奴等は大型のMAが相手だといつも大喜びで食い付くけどな。」
「ユーグ隊長は何も言わないのか?」
「言わないな。逆に、俺にアイツ等の技術を盗めだと。」
「そんな無茶な・・・。」
諌めるべき隊長が、あの機体で誰よりも先に突っ込んで行っている・・・!?ここってそういう部隊?
「そう思うよな!?おかしいのは俺じゃ無いよな!?いやぁ、マトモなパイロットにやっと会えた気分だ。前々からあんたの操縦は手堅くて、俺と話が合いそうだと思ってたんだよ!あんた此れからオフェンスチームに入るんだよな?お互いに頑張ろうぜ!」
「あぁ、此方こそよろしく頼む。」
苦労したんだろうな、エイガー中尉。俺もあの人達に染められるんだろうか?一抹の不安を感じずにはいられなかった。
合体攻撃、ランページ・ビーストの爆誕回でしたww。
ユーグとエリクのMA運用法の差が出たと思います。個人的見解ですが、MAはMS相手は最小限で通り魔的に攻撃を仕掛け、後はそのスピードを緩めること無く、戦艦や母艦攻撃に入るのがベストだと思います。逆にMSはMAに取り付けるかどうかが鍵かなとww。