機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 デラーズ艦隊の本隊と交戦開始です。


第88話  襲われる者達

 ホワイトベース MSデッキ

 キイチ・カシマ

 実は、ホワイトベース内に見たくない装備が有る。潜水士が水中バイクと呼ぶ、アクティビティに使う緩い奴じゃない方に似た奴だ。MSサイズで、MSが掴む為のハンドルと足を乗せるような足場がある。見た目はロケットかミサイルのような奴だ。これが2台有る。

 開発者はもちろんレイ中佐。アムロのダブルレイに追従出来るように、試験的にホワイトベースに載せられた。その名も、ライドブースター。そのまんまの名前だ。機体にしても、名前にしても手抜きが過ぎる。どんだけ親バカだよ。まあ、確かにこの状況では、使わざるをえない。アムロに付いていくのはもちろん、俺とジョブとジョニー・ライデン中佐だ。

 現在、フルアーマーガンダムにプロペラントタンクを増設中だ。俺とジョブは、遠い目をしてライドブースターを見上げていた。

 「隊長、これ本当に使うんですか?」

 「気持ちは分かるが諦めろ。もう1回こいつのシミュレーションしとくか?」

 「結構です。」

 「なあに男二人で黄昏てるんだい!?」

 「アニーか。いや、こいつを使うと思うとな。」

 「隊長さんらしく無いねぇ?ジョブもジョブだよ。あんたあれだけ頑張ってたんだ。やれないことは無い筈さ。もうちょっと自信持ちな!」

 「ア、アニー?見てたのかい?」

 「そりゃあ気付くさ。あたい達はいつもこの辺で作業してるんだからね。ここんとこ、あんまり寝てないんだろ?この作戦が終われば暫くは平和になる筈だよ。そうしたらぐっすり寝れるようになるさ。眠れなかったら、あたしが子守唄でも聞かせてあげるよ。」

 「ほ、本当かい!?」

 「あ?あぁ、だから頑張んな。」

 「よっしゃぁあ!やる気出てきたあぁあ!隊長!この作戦、頑張りましょう!デラーズフリートなんて、さっさと片付けてしまいましょう!」

 「あ、あぁ、そうだな。ここは一丁気合いを入れて頑張るか。」

 「はいっ!!」

 「ハハハ、、、その意気だよ。」

 「任せてくれ!」

 ジョブ、鼻息が荒いぞ。あ~、アニーも発破をかけすぎたな。こりゃあ、ジョブが本気を出して口説きに来るぞ?まあ、二人とも若いんだ。こんなにストレートに愛情表現を受けた事が無いのか、アニーの顔色も赤い。まあ、ここはジョブの為にも頑張りますかね。

 あと、デラーズめ、今から行ってやるからな。俺にこれを使わせた報いも受けさせてやる!

 「第一陣のパイロットは所定のMSに搭乗してください。発進15分前です。」

 艦内にアナウンスが流れた。

 「どうやら作業が終わったようだな。よし、ジョブ行くぞ!」

 「がってん!!」

 床を蹴ってそれぞれのMSに向かう。

 「二人とも頑張るんだよ~!」

 俺とジョブは、アニーに親指を立てて応えた。

 

 

 「ライドブースターとのデータリンクを確認。ライドブースターのアクセル正常。燃料ゲージは満タン。前方ビームシールドシステム正常。システム、オールグリーン。」

 手早く、最終チェックを終わらせた。

 「システム、オールグリーン。隊長行けます。」

 「了解した。アムロの方はどうだ?」

 「此方もOKです。いつでも行けます。」

 「ライデン中佐、こちらは、準備完了です。そちらはどうですか?」

 「こちらもOKだ。噂に名高いユニコーン隊と共に戦うんだ。その力見せて貰うぞ。」

 「了解です。こちらも紅い稲妻の実力、期待してます。」

 「おう、任せろ。」

 「艦長、第一陣、準備完了だ。」

 「了解した。」

 「アムロ、ジョブ。今から俺達4機だけでテロリストの艦隊を足留めする。奴等も必死だろうが、こちらも守らなければならない物がある。奴等の好き勝手にさせるわけにはいかんし、奴等にこれ以上世界を乱させる訳にはいかない。だが無理はするな。全員生きて帰るんだ。良いな?俺達の交戦規程は唯一つ。」

 「「生き残れ!」」

 「そうだ!もうこれ以上奴等に何も奪わせるな。お前達の命もだ!」

 「「了解!」」

 「よし、全機発進!ガンダム零式、ライドブースターで出る!」

 ライドブースターのアクセルを回し左舷カタパルトデッキから飛び出す。ダブルレイも同時に右舷デッキから飛び出す。次にジョブのガンダムmarkⅡフルバーニアンだ。その後ろからライデン中佐のフルアーマーガンダムだ。Y字フォーメーションをとり、突き進んで行く。

 気分は上々、テンションマックス。連邦軍のビックリドッキリ兵器ショーの開幕だ!

 

 

 

 地球衛星軌道近海 グワジンブリッジ

 エギーユ・デラーズ

 もうそろそろ、私の悲願が成就される。あの宙域で連邦軍の旗艦、アナンケを発見したときは運命を感じたものだ。これに核を満載にして奴等の頭上に落とす。痛快極まりない。

 これで、スペースノイドとアースノイドの関係は冷え込むだろう。連邦軍も見境が無くなり、全てのスペースノイドが戦争を意識する筈だ。そうなれば、共和国の腰抜け共も、連邦との戦争に重い腰を上げざるを得まい。私はギレン閣下の元に召されるだろうが、スペースノイドの真の自由を勝ち取る為ならば、この命も安いものだ。

 「閣下、後方からMSと思われる物体が接近中です!」

 「落ち着け、報告は正確にやれ。」

 「申し訳有りません。MS大の物体が本艦隊に接近中です。数は4。しかし通常の3倍以上の速さです。接触推定時間は、あと5分です!」

 「念のため、MS隊を射出。大型のミサイルだと思うが、当たってやるわけにはいかん。奴等を迎え撃て。」

 「了解!」

 フム、此方の動きに気付かれたか。だがミサイルごときでは、我々は止められんよ。

 「攻撃してきた艦の位置は確認できるか?」

 「未だ発見できていません。」

 「分かった。引き続き警戒を続けろ。」

 「了解!」

 果たして偶々撃ったミサイルなのか?拭い去れぬ違和感にミサイルが来る方を睨んだ。次々に射出されるMS隊。MS大のミサイルだとしたら核か?あの綺麗事しか言わぬレビルの手下共に、核を撃つガッツが有るとは思えんが?

 「閣下、MS隊が配置に付きました。迎撃行動を始めます。」

 「うむ、撃ち落として見せてくれ。」

 「はっ!迎撃開始!」

 リック・ドムⅡや、高機動ゲルググから一斉に射線が伸びる。これだけの弾幕だ、落とせぬ事は無いだろう。

 「4機のアンノウン、回避行動を取っています!明らかに意思の無いミサイルでは有りません!敵の新型機動兵器です!」

 「落ち着け。いくら連邦の新型であろうが、たかだか4機だけでこの艦隊は墜とせんよ。落ち着いて、迎撃を続けたまえ。」

 「了解。」

 指示を出したとたん、敵からも火線が飛び、グワジンが激しく揺れた。

 「被害は!?」

 「グワジン、居住ブロックに被弾!損害軽微!戦闘継続可能です。」

 「リック・ドムⅡ、1機大破!」

 「アナンケエンジンブロックに被弾!推力の8割を喪失!自力航行不能です!」

 「なにぃっ!」

 思わず叫んでしまった。奴等め、どうやら本当に此方の狙いが分かっているらしいな。流石はレビルだ。良い駒を持っている。

 「全艦艦首回頭!奴等を速やかに殲滅する!その後アナンケは牽引しながら修理だ!時間との勝負だぞ、急げ!」

 ここまで来たのだ。あと一歩なのだ。こんな所では終われない!貴様等はここで死んで貰うぞ!

 闘志を燃やし、虚空を睨み付けた。 

 

 




 次回、デラーズ編最後の戦闘になると思います。

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