機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 オリ主達の登場です。


第92話  戦闘痕

 サイド1宙域 ラー・カイラム ブリッジ

 キイチ・カシマ

 「MSの残骸が流れて来ているだと?」

 「あぁ、艦長。大きさから判断して、MSの可能性が高い。漂っている、部位を観測したが、既存の機体では無い。おそらくアクシズ製ではないかとアムロが言ってきてる。」

 現在、サイド1のコロニー、シャングリラへ臨検の為移動中だ。平和な時は、各地の連邦軍に教導隊としての仕事か、各コロニーに対する臨検が主任務と成る。

 何故臨検かと言えば、各コロニーに対し、連邦軍が補助金を渡しているからだ。この額は結構大きく、各コロニーの運営の健全化が可能と成る額だ。しかし、金を渡しても私腹を肥やされては堪らない。金は渡すから、その使用用途を確認させろって言うのが此方の言い分だ。

 初めは、スペースノイドからの反発が有るかと思ったが、コロニー運営が改善されるに従い、各コロニーから歓迎を受けることに成った。もちろん、運営者側ではなく、住民側からだ。不正が有るコロニーの場合、間違いなく住民や、運営側の下位の者が進んで協力してくれる。

 これには、我々も当初戸惑っていたが、よくよく考えれば、納得の行く話だ。自分達の生活環境が改善されるのだから。そして、臨検に立ち会うのは地球連邦軍きってのエース部隊。各コロニーの自治防衛軍では歯が立つ相手ではない。恫喝も、買収も受け付けない部隊なので、効果はテキメンだった。

 もちろん、この一連の体制を作ったのは英雄レビル大統領だ。退職後、その人気と人望により、選挙戦を圧倒的に勝利。そして打ち出したこの法案。

 当初は軍の専横を許す軍国主義だと反対意見も多かったが、蓋を開けてみれば、各コロニーの住民に絶大な支持を持って受け入れられることに成った。

 そして、この臨検が地球の各都市でも望まれることになり、我々の仕事が膨大な物になっていく。そこで、遂に我々の部隊の増隊が決定し、部隊名も改められた。

 第13独立戦隊改め、第13独立機動艦隊。通称ロンド・ベル。サイド1のロンデニオンに本部が設けられたおり、ロンデニオンの住民が、ロンデニオンに祝福をもたらす鐘の音として呼び始めたのが始まりだった。各地の自治政府の不正を正し、住民を護る者としてメディアにも引っ張りダコだ。

 メディア担当はもちろんあの男、英雄ユウ・カジマ大佐だ。甘いマスクに、いつまでもメディア慣れしない初な対応に、国民の人気はうなぎ登り。芸能事務所からは、芸能界入りを熱望されているが、本人は頑なに拒否している。

 っと、話が逸れたな。

 「キイチ、どう思う?」

 ブライト艦長(大佐)が話しかけてきた。

 「おかしい。コロニー防衛軍と戦闘が有ったのならば、此方に連絡や応援要請が有った筈だ。しかし、今回は無かった。アムロ、そのMSの特徴はどんな感じだ?」

 「え~と、ジオンのとんがり帽子をMSにした感じかな?映像を送りますね、師匠。」

 嫌な予感がする・・・。まさか、アクシズの奴等、あれに成功したのか?そして、送られて来た映像を見て確信した。量産型キュベレイ、おそらくはエルピー・プル専用機。奴等、自分が育てたニュータイプを殺したのか?

 「アムロの言っている事に間違い無さそうだ。だが、どこの勢力が戦闘行動を取ったのかは不明だ。おそらくは、アクシズの奴等の同士討ちであろうがな。探せば他にも有るかもしれん。ロンデニオンに連絡して付近を捜索してもらおう。俺達はこのまま何も気付かなかった振りをして、シャングリラに向かうべきだ。」

 「どうしてだ?我々も捜索した方が、効率は上がるだろう?」

 「いや、シャングリラ側に奴等の協力者が居ないとも限らん。俺達はスケジュールどおりに動くべきだ。アムロ、MSのコックピットブロックは有るか?」

 「いえ、見当たりませんね。おそらくは射出されたかと思います。」

 「もしかすると、パイロットは生きてどこかのコロニーにたどり着いてるのかもしれん。ここから一番近いコロニーはシャングリラだ。やはり、パイロットを確保するためにも、シャングリラに向かおう。」

 「そうだな。アムロ、戻ってくれ。アムロ達が戻り次第、本艦はシャングリラに向かう。艦首シャングリラに固定、メカニックマンは、MS隊が戻り次第、ハッチ閉鎖。MSが固定され次第、ブリッジに連絡を寄越せ。」

 「「「了解!」」」

 各員が慌ただしく動き出す。やっぱり優秀だな、ブライト艦長は。

 

 サイド1外縁宙域 エンドラ ブリッジ

 プルツー

 「良くやったプルツー。初の戦闘だが、サイコミュの反応は上々のようだな。」

 金髪で偉そうな坊っちゃんが私に話しかけてきた。飼い主面していい気なもんだ。私達が反抗でもすれば、さっきのように処分するつもりなのだろう。だから、私はわざとプルを逃がした。連邦軍も、ジオン共和国も人体実験や、クローン等許してはいない。だから訴えるのだ、アクシズではこのような実験が罷り通っているぞと。私はクローンの上に、精神も好戦的に調整されたようだが、洗脳は直ぐに解けた。もちろんプルもだ。そして私達は一芝居打った訳だ。後は賭けだ。プルには是非とも生きてロンデニオンにたどり着いて貰いたい。

 グレミー達は、おそらくバカだ。連邦軍は数が多いだけの軟弱者、共和国は数に怯えた腰抜け呼ばわり。自分達は兵の質を上げていると宣伝しているが、要はクローンと強化人間の増産だ。プルトゥエルブなんて、ニュータイプ能力は一定以上有るが、臆病者な上に、甘ったれだ。戦場に出れば、始めに死ぬだろう。そんな奴さえ、戦場に出そうとしている。一刻も早く、姉妹達を助け出さなければ。

 「グレミー、妹達は何処にいる?」

 「なんだ?そんなことを気にする必要は無いだろう?」

 「許せないのさ、存在がね。今までプルに遠慮していたが、もうナンバーワンは私だ。私の指揮下に入れて使い潰してやる。グレミーもその方が都合が良いんだろう?」

 「そうだな。サダラーンに合流後、全員を呼び戻すか。ニュータイプは最前線に居てナンボだろうからな。良いだろう、お前が姉妹達の指揮を執れ。」

 「物わかりが良くて助かるよ、グレミー。精々私の弾除けとして使わせて貰うさ。」

 「フフフフ、好きにしろ。」

 グレミーは、私の答えに満足したのだろう。精々利用させてもらうよ、お前をな。

 去り行くグレミーの背中を見つめ、暗い笑みを浮かべるプルツーであった。

 




 プルシリーズの参戦ですww。

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