機動戦士ガンダム 白と黒のエース<完結>   作:水冷山賊1250F

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 遂に特攻野郎が出会います。


第95話  ジョブとジュドー

 ラー・カイラム シミュレータールーム

 アムロ・レイ

 とりあえず、ダブルレイの操縦方法を一通り教え、地獄のシミュレーター訓練初心者編をさせてみた。この子はおもしろい。宇宙空間戦闘をさせてみれば、初めは2~3機墜としてやられるだろうと思った。すると、敵の5機編隊のジェガンを相手に勝ってしまった。

 相手にデブリを投げつけたり、ウェイブライダーで突撃して敵を撹乱して、衝突寸前に変型してそのままキックしたり。はっきり言ってメチャクチャだ。でも、使えるものは何でも使う姿勢は、師匠に通ずるものがある。しかも、あの突撃思考。おもしろい!カシマ流のビームサーベル格闘術を少し教えた後、ダブルレイ同士で戦ってみた。

 面白すぎる!プチモビでデブリ拾いをしていたそうだが、戦いのセンスが抜群だ。こんな子を天才と言うんだろうな。少し休憩した後、地獄のシミュレーター訓練中級者編をさせてみた。5機編隊のジェガン3小隊。小隊員のデータはリュウさんと、ジョブさんと、ハヤトだ。まぁ、データだから、本人ほど強くない。普通は3機小隊でやるシミュレーションらしいが、この時俺はそれを知らなかった。師匠も俺も一緒に一人でしていたし、それが普通だと思ってた。初めの数回はボコボコにやられていたが、数回アドバイスをして、訓練の最後辺りは危なげ無く勝てるように成っていた。

 初日にしてはまあまあかなと思い、ここで今日の訓練は終了。明日は体術と体力錬成を午前中に行い、午後からはまたシミュレーション訓練かな?そうだ、ジョブさんも呼んでみよう。

 スポンジのように、教えた技術を吸い込んでいくジュドーを鍛えるのが楽しくなってきた。師匠もこんな気持ちだったのかな?

 

 

 訓練二日目 シミュレータールーム

 ジョブ・ジョン

 「いやぁ、人に物を教えるのって中々楽しいんですね。こっちも負けてられないなと思いますよww。」

 何を言ってるの?昨日シミュレーターでダブルレイに初めて乗せた素人の動きではない。昨日様子を見に行ったハヤトが、良い顔をして無言で帰って来た意味が分かった。素人に何をさせているんだ!

 「おい!君、大丈夫かっ!」

 シミュレーターから降りてきた少年に話しかける。

 「えっ?少しふらふらしますけど、なんとも有りませんよ?」

 あ、分かった。こいつは多分、アムロと同類だ。所謂戦場の理不尽、化け物、味方にとっては天使で、敵にとっては悪魔や死神と言われるあれだ。

 「じゃあ、ウォーミングアップは終ったから、昨日の中級編から始めようか、ジュドー君。」

 「オッス、おなしゃす!」

 張り切ってシミュレーターに入るジュドー君。ん?中級って小隊でやるよね?

 「準備は良いかい?」

 「準備良しです!」

 「始めるよ~。」

 15機のジェガンが少年のダブルレイに襲いかかる。無茶な?と思ってたら、ジェガン隊に突っ込んで行き、大暴れしては距離を取っている。上手い。もう乗りこなしてやがる!

 「凄いでしょ?午前中の体術や、剣術も飲み込みが早いんですよ。こんな子初めて見たな~♪」

 俺は見たことが有る。お・ま・え・だ・よ!お前だけ初めからオヤブンに付きっきりで鍛えられていた。オヤブンの考えが分かった。オヤブンはこの子の才能に初めから気付いてたんだな。だから、少々アムロが無茶な訓練をさせても、付いていけると踏んだんだ。本当にアムロの為の初めての生徒って所だな。あ、終った。危なげ無く単機で中級編をクリアしやがった。

 あ~、アムロ俺に何をさせるつもりだろう?嫌な予感しかしない。

 「ジョブさん、ジョブさんの機体で彼とシミュレーションしてくれませんか?戦い方が似てるんで、良い勉強に成ると思うんですよ。」

 「いやいや、アムロ。あの子は天才だ。俺の癖を付ける訳にはいかん。君が鍛えて行く内に、彼は彼自身の適正に有った成長をする筈だ。ここは君に任せるよ。邪魔したな。」

 「ま、待って。1回で良いですから~。」

 「早くしましょうよ、アムロさ~ん。」

 「ジュドー、ちょっと待ってくれ~。お願いしますよ、ジョブさん!」

 「もう、仕方がないな~。1回だけだぞ?」

 渋々シミュレーターに入った。頼むぜガンダムmark-V改。お前の力を見せてやれ!

 

 シールドを前方に向けたままダブルレイに向かう。ジュドー君はウェイブライダー状態で接近してきた。ビームライフルで牽制するが、最小限の動きでかわされる。俺でも出来ないよ、そんなこと。もう本当、天才って嫌んなるね。反撃をしてきたけど、その射角じゃあ当たってあげない。少し回り込んだ形で接近を試みるが、進路を修正して此方の正面を取ろうとする。それは流石に悪手だよ。こうも近付けば、避けられまい!8連装マイクロミサイルポッドを2セットプレゼントだ!

 慌ててMSに変型し、ミサイルの対処を始めたが、その隙は逃がさん!ブースト全開で左腕の3連チェーンガンをばら蒔きながら、頭からぶつける!頭部のビームホーンがダブルレイのシールドで受け止められた。まだだ!右腕に固定された可動式2連ビームサーベルを右フック気味に腕を振り、出現させる。ちぃっ!左足を取ったが、上手く逃げられた。すかさず距離を詰める!この距離、今度こそ!残り2セットのマイクロミサイルポッドも持っていけ!両腰部のクラスターミサイルもプレゼントだ!マイクロミサイルがダブルレイに近付く所でこちらからマイクロミサイルの一つを狙撃。不意の爆発で此方から目線を切ったな。今度こそ喰らえ!スタッグビートルクラッシャー!

 決まったと思ったら、俺もコックピットをビームサーベルで突き刺されていた。相討ちかよ、あんなに頑張ったのに、もう天才って嫌だ。オヤブンが見てなくて良かった。

 胸を撫で下ろしたジョブであったが、キイチはしっかり別室で見ていた。ジョブの苦難は続くばかりである。

 

 同場所

 ジュドー・アーシタ

 流石はロンド・ベル、色んな機体が有るんだな。なんかジョブさんって言ったっけ、どっか戦い方が俺と似てるな。最後の最後に気を抜いたのか、花を持たせてくれたのか、相討ちに持ち込めたけど、それまでは良いところが無かったな。

 「どうだった、ジュドー?」

 「はい、最後まで良いところが無かったです。最後の最後に花を持たせて貰えましたけど。」

 「それが分かっていれば良い。君の動きは直線的過ぎるんだ。だから、その先を読まれやすいんだ。ジョブさんは、君の推定進路上にミサイルを置くだけで、君の動きを制した形だな。後、真っ正面から攻めすぎだ。敵の背後や、側面から攻めるんだ。」

 「分かった。」

 「それを頭にいれた上で、今日は上級者シミュレーションだ。今日中にクリアするぞ。」

 「応!」

 成る程、ただ戦うんじゃ無くて、頭を使って相手に良いところを出させずに戦うのか。学校でもう少し勉強しとくんだったな。まぁこんな事教えてはくれなかったろうけど。昨日より強くなっているのが分かる今の方が精に合ってる気がする。よおおぉし、一丁やぁってやるぜ!今の方が性に合っている気がする

 この後、上級編(パイロットデータがキイチ、アムロ、ユウ、マサキ、ユーグ)を昨日よりも早くクリアした。明日の午前中に実機での訓練後、キイチ隊長に合格を貰えるよう気合いを入れ直すアムロとジュドーであった。それを端から見ていたジョブとハヤトは、ホワイトベース時代をひっそりと思い出していたそうな。

 




 各隊員、MSが変わってます。

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