ありがとう。
ただ、それを君に伝えたくて。
※今回はワイルドアームズ要素を盛ってお送りいたします。
剣戟、武闘。赤い月に照らされた今、人類の命運を決めるのに相応しい舞台と転ずる。
聖剣が舞う、正拳が撃たれる。そして魔女は嗤う。
今宵は誰しもが人類最期の日となり得るステージだ。
「はぁっ!」
伸びて来る鞭を掴み取り、そのまま地へ踏み付ける事により武器を無力化させる。
「せりゃぁッ!」
無防備となったフィーネの懐に飛び込み、エックスは剣を振るう。しかしクリスによって破壊された筈の片側の鞭は修復され、それを巧みに操る事によって聖剣による攻撃は防がれてしまう。
「残念だったな」
「ええ、とても」
嘲笑うフィーネ、しかしそれに対しエックスも笑い返す。
「せいやーーーーッ!!」
瞬間、背後から襲い掛かる立花響。彼女の延髄蹴りが直撃した事によって敵は大きく吹き飛ばされる。
「っ、流石は爆発的なポテンシャルを秘めし適合症例」
「エックスちゃん、どうする?」
「正直言ってキツイですね」
どの攻撃もネフシュタンの鎧相手には大したダメージにならない。このままではカ・ディンギルの発射時間までに破壊は不可能だ。
「こうなったらアレを使うしかありません」
「アレ……?」
「ええ、大体1話くらいの時に不発で終わってしまったアレです」
「あー……アレって見切り発車じゃなかったんだね」
その言葉の後に「しかし」と付け加えるエックス。
「ハッキリ言うと連続した戦闘で"アレ"を使うのは私にとって死活問題です。これで失敗したら文字通り私達は絶体絶命の危機に陥りますが────」
「大丈夫」
立花響は応える。
「私達なら平気へっちゃら……エックスちゃんとなら絶対に大丈夫だよ」
「…………」
クラスメイトとして、友人として、共に背中を預ける戦友として。信じ切った彼女の返事を受けエックスは剣を抜く。
「時間稼ぎをお願いします、その隙にッ!」
「分かったッ!」
パワージャッキの反動を活かしフィーネとの距離を詰める響。
「1人で私に挑むか!」
「挑むともッ!」
拳と鎧が衝突し合う。それに伴い地が砕け、突風が巻き起こる。
融合症例同士の激突によって起こるそれを遠くから眺める翼とクリスの2人。
「クソッ!私等は役立たずの不用品って事かよッ!」
「……」
フィーネの策略により戦力に外されてしまった彼女達。己が無力さを悔しく噛み締める。
「こうなりゃ、ギア無しでも加勢しに…!」
「やめろ雪音!自ら死に行くような真似はよせッ」
「放せ!アイツ等を観戦してるだなんて私は
翼の制止を振り払おうとするクリス。そんな彼女に向けて翼はポツリと言葉を零した。
「…果たしてどちらが臆病者なのだろうな」
「何をッ!」
「こうしてる間もお前はフィーネと戦う事を考えている」
「無論だッ!奴を指し違えてでも私はッ!」
「勝てない相手に戦おうとする。無駄に命を賭ける事が"勇気"と言えるか?」
「…っ!」
図星だった。事実を突き付けられた雪音クリスは喉元まで出かけた言葉を呑み込む。
己の命と引き換えに何としてでもフィーネを倒す。それこそ自己犠牲の果てにあるものだが、今の彼女達では挑み掛かったとして自己犠牲に及ばず"無駄死に"となってしまうだろう。
「今の私達ではフィーネに勝てない……情け無い事だがな。今は信じるしか無い、あの2人の事を…」
防人である筈の風鳴翼は己が守られている現実に対し血が滲む程の力で拳を握り締める。
「ぐぅ!」
「脆弱だなッ!先までの勢いはどうした!」
立花響とフィーネの戦いはフィーネに利が有った。
同じ融合症例とは言えフィーネに宿るネフシュタンの鎧は再生能力を備える完全聖遺物。
今まで4人で戦って互角だったと言うのに響1人で相手をするのは荷が重いだろう。
「さぁどうする!カ・ディンギル発射までノロノロとやっている気かッ!」
「……!(駄目だ、相手の挑発に乗るな)」
フィーネの言葉に思わず反応しそうになる響だが己が理性でグッと堪える。
今自分のすべき事を理解している響はうかつに攻撃態勢へ移れない。エックスが彼女を倒す為の算段を整えるまで時間稼ぎをする。
と、なれば彼女のやる事は。
「…来いッ!(防御を基軸としてスタミナ維持しつつカウンターを狙う!)」
「成る程、思惑があると見た……ならば私はそれを尽く打ち砕いてやろう!」
己が力の過信故にフィーネは立花響と対峙する。本来ならば後方で待機するエックスや戦力外の翼、クリスを狙うのが効率が良いだろう。
しかし完全聖遺物への信頼や目の前の立花響達、人と言う種への過小評価等が重なる事によりそのような選択肢は消えている。
そんな事も自覚もせずにフィーネは己が衝動のまま立花響に嵐の如き攻撃を叩き込む。
「そら、そら!反撃してみせろッ!そうしなければ肉が削がれていくばかりだぞッ!」
「……ッ!」
全身に痛みが走る。少女の肌が抉られ、斬られ、傷が生まれる。
例えシンフォギアがバリアコーティングされているとは言えども元は対ノイズ用に想定された戦装束。
何十、何百、何千もの鞭による攻撃はいずれかは肉が裂け骨に達する事だろう。
しかし反撃はまだ行わない。まだその時では無いのだ。
「へいき…へっちゃら……!」
この程度の痛みは耐えられる。今が踏ん張り所だと己に言い聞かせる。
こんなもの……ライブの惨状から始まった地獄のような日々に比べれば────!
「平気…ッ!へっちゃらだぁああああッ!!」
雄叫びと共に向かって来た鞭を受け止める。その瞬間 刃が身体中のあちこち突き刺さり鮮血が飛び散るが、そのような些細な事を気にする彼女では無い。
「おおおおおおおッ!!」
直後、立花響の振り上げた片腕に変化が起こる。
ガシャガシャと音を立てながら装甲が変形・拡張して行き後方にブースターが、拳前方には威力増強用のナックルダスターが増設される。
「この土壇場でアームドギアの形状を……ッ!?何かあるとでも言うのか!?このガングニールとこの少女に秘められた私の知らない何かがッ!!」
「雷を握り潰すようにッ!」
片手に鞭を掴みつつ、パワージャッキとブースターの勢いを拳に乗せてアームドギアのパワーを一気に解き放つ。
「最速で!最短で!真っ直ぐにッ!一直線にぃぃぃいいいいッ!!」
「初々しさの残るアームドギアで我が想いを貫けるものかッ!」
【ASGARD】
何重にも貼られたバリアに響の拳が槍の如く、ただ真っ直ぐに放たれる。しかし眼前に具現したエネルギーの壁はそれでも破れる様子は無い。
「おおおおおおおおおおおおッ!!」
「無駄だと言うのが分からないかッ!」
「無駄なんかじゃないッ!!」
直後、何かが外れるような音が
「装甲
「何ッ!?」
なんと立花響は自らの武器であるアームドギアを外したのだ。ロケットエンジンが積み込まれたミサイルの如く自律的にフィーネの貼るバリアフィールドに今も尚立ち向かう。
「私のやる事は終わった……エックスちゃん!」
「空間捕捉、照準固定完了」
その一言と共に周囲が照らされた。
太陽の如き黄金の光を内包し、夜の時間帯である今が逆転し陽が昇ったと錯覚する程の弾けんばかりの熱量が聖剣から溢れる。
「その輝きは……ッ!?」
「貴様の敗因…それは己自身への過信。その傲慢さ故に滅ぶが良い」
突きの構えから放たれる一点に集中した必殺の剣。己がエネルギーの殆どを消費しする事で成立させたXのオリジナルの"荒業"その名も。
「邪悪を穿つ!これが私の……
【CALIBURN・RAY】
「光を収束させ指向性を持たせただとッ!?───さりとてッ!」
「だとしてもぉぉおおおおおおおッ!!」
立ち塞がるエネルギーの壁に突き刺さるレーザービーム。バリアと光線が激しく、熱烈にぶつかり合う事によって
「……ぐッ」
その最中、立ち眩みが起きた。視界が揺れて頭がボーッとし始める。
……不味い、流石にエネルギーを消耗が激しい。このままでは剣軸がブレてしまう。
そんな思いを胸にエックスはその場で崩れる────
「エックスちゃん!」
───前に立花響が彼女を支えた。
自ら砲台のように固定具としての役割を果たす事で、エックスが崩れる心配は無かった。
しかし崩れないからと言って、剣軸がブレてしまう問題点は未だに存在する。このままではバリアの一点突破は不可能だと断言出来る。
あと、何人か。
彼女達にもう何人かの助力が必要だ。
「ならば、その役目私達が務めさせてもらおうッ!」
ふと、エックスの剣を持つ手に2人分の手が添えられた。
その手はギアを解除させられてしまった風鳴翼、雪音クリスの助けによるものだった。
「ぐ、熱──ッ!お前、いっつもこんなモンを振り回してんのかよ!」
「な、何をしているのですか!生身のまま聖剣の熱量を浴びるなんて馬鹿なんですかッ!」
「うっせぇ!馬鹿はお前とそこで支えてる馬鹿の2人で十分だっての!」
「「馬鹿呼ばわり!?」」
「耳元で叫ぶな!私達が剣を支えるッ!お前はフィーネをブッ倒すのに集中してろ!」
3人分の助力を得たヒロインX。支えられた彼女の腕に力が入る。
真っ直ぐに伸びる光線がバリアの中心を叩く。
熱し、照らし、輝く聖剣。次第に増大していくその威力は遂に……。
"ピシリ"
フィーネのバリアに傷が付いた。
「
先史文明の巫女の表情が驚愕の色に染まる。
無理もない。迫り来る光輝に対し自らの脚が杭を打ち込まれたように動かないのだ。
そして気付く。カリバーン・レイによって作られた己の影法師。そこに一振りの小刀が突き刺さっていたのである。
【影縫い】
「いつの間にッ!?」
「この防人はタダではやられないと言う事だ!行けエックス!今この場で終止符を打てッ!」
「ぐ、ふざけるなぁああああああああああああッ!!」
「「「「貫けぇええええええええええッ!!」」」」
直後、藤色の障壁は割れ弾ける。
黄金の光は一直線に放たれ、伸びる。そして遂にネフシュタンの壁を破ったのである。そして……。
「が───ぁッ!?」
光がフィーネを胸部を、心臓を削り抉った。
そのまま音も無く先史文明の巫女は膝から崩れ落ちて行く。
その様子を目の当たりにした彼女達は勝利を獲ると同時にその場にへたり込んでしまう。
「終わった……のか?」
「……ああ、遂にやったんだ私等は」
人の重要器官である心臓を傷付けるのでは無く、心臓そのものを消し飛ばす。
そんなエックスのアイデアによって勝利を収めた装者達。
だが勝利に対する安堵以上に実感が湧かないのか、やや呆然とした様子でフィーネの亡骸を眺めている。
そんな彼女達だったが突如としてカ・ディンギル方向から発せられる轟音によって現実へと引き戻された。
「そうだった!カ・ディンギルを止めないとッ!」
「すぐに塔を破壊しなければ…!」
翼の発言にその場の皆が駆けようとする。
が、しかし。ただ1人エックスだけがバタリと倒れ込んでしまった。
「す、すみません……ちょっとこれ以上は無理に動くと死にそうです」
「……お前、シマらねぇな」
「ハハハ…大丈夫だよ。後は私に任せて」
そう呟きながら腕部のバンカーをセットする立花響。恐らく彼女の渾身の一撃によって荷電粒子砲を破壊する算段なのだろう。
それをヒロインXはバツが悪そうに答える。
「ぐ、仕方ありませんね。分かりました、最後の見せ場はヒビキに譲ってあげま────」
その刹那 脳裏に危険信号が発令される。
……否、正確に云えば自身への危険では無く目の前に居る立花響に対する危険信号だ。
ヒロインXには『直感』と言うスキルが備わっている。何故そのような力を持っているのか詳細は省くがそれは第六感、または一種の未来予知に近しい能力だ。
このまま何もしなければ、自身への損害は一切無しに終わる。
いや事実、このまま何もせずに見ているだけで良いのだろう。現状のエックスはある意味で生命活動の危機に陥っている。
無理をして動けば逆に死ぬ可能性だってある。
では何をするべきか?決まっている。
───違う。
……そうだ、最優先事項は自身以外の
───違う。
何も違わない、お前はただ脳髄に刻まれたコマンドオーダーに操られるただの人形だ。空っぽな傀儡如きが自ら意志を持つなど
───違うッ!!
脳内に響く言葉を振り払いヒロインXは駆け出す。
風鳴翼、雪音クリスが驚愕する最中、夢中で彼女は目の前に居た立花響を突き倒したのだった。
「ヒビキッ!!」
「うわっ!?エックスちゃん何を────」
ゴシャァッ
「───え?」
直後、エックスはあらぬ方向へと吹き飛ばされる。一瞬だけ視界の外に映った藤色の触手が気掛かりだったが、彼女はエックスに注意を向ける。
「っ! エックスちゃんッ!!」
吹き飛ばされた彼女に駆け寄る立花響。いきなりの事態に頭がやや追い付かないが響は側へと寄り添い起き上がらせる為に彼女の身体を持ち上げる。
「……あれ?」
違和感を覚えた。彼女を支えた瞬間、ヌメリとした熱い何かが手に触れた。視線を下に移すと、あるべき筈のモノが彼女には無かった。左肘から先が抉られたように無くなっていた。
遅れるように『ぼとり』とそれが落ちて来た瞬間、立花響は理解した。
「……あ、…ああ……っ!」
彼女の左腕があった場所からドクドクと血が流れているのだ。
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!」
自分の所為己を庇った事で彼女は片腕を斬り落とされた。
自分は不幸を招く。そしてその不幸はいつも、周りの人達へ降り掛かるのだ。
そうだ、いつもそうだ。
お前自分の所為で、親しい者達は傷付くのだ。
「やだ……やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだッ!」
両手で傷口を押さえようとするが押し寄せる波のように赤い水溜がその場で広がって行く。
「止まらない!血が…!血が溢れて止まらない!!」
「立花ッ!落ち着くんだ!」
「エックスちゃんがッ!エックスちゃんがああああッ!」
取り乱すのも無理もないだろう。立花響は高校1年生になったばかりの15歳だ。今までノイズによる被害によって人が死ぬ所を見た事はあるが……人の命の灯火が削られて行くのは見た事が無い。
「いい格好で地に這いつくばったなぁ、アーサー」
半ば錯乱状態の響を落ち着かせようとするクリスと翼。そんな彼女達の耳に聴き慣れた声が届く。
そこには、既に死んでいる身である筈のフィーネが血塗れた刃を備える鞭を手に立っていた。
「どうして……ッ!?」
「生きているかと言いたいようだな?既に宣していたぞ、人の種を超越したと」
抉れ、貫かれた胸部にデカデカと作られた穴。そこは既に"別の何か"で埋められた痕がくっきりと残っているのに気付く。
「それは…ネフシュタンかッ!」
「まさか、己の臓器を聖遺物に置き換える事で命を
「そのまさかだ」
翼の問いにフィーネは肯定の意を見せる。
「文字通り私は不死身の存在。私と
「……して」
「ん?」
「どうして……こんな事をすル…ッ!」
顔半分が黒い影に覆われる。胸のガングニールが奴を殺せと鼓動を打つ。激情が立花響を支配しつつあったのだ。
そんな響の言葉にフィーネはこう返す。
「怒っているのか?たかが人形相手に
「お、まええええええ───!」
……その瞬間、飛び出そうとする響の腕を目を覚ましたエックスが掴む。
「お前…は、私を……知っている…のか?」
「……っ、エックスちゃん!?」
「喋るなエックス!出血が酷くな……ッ!?」
響が意識を取り戻したエックスの声によって怒りから解放される。だが、その直後に翼が目を見開いた。
そうなるのも無理もない、何故なら視線の先にはヒロインXの腕の断面から
「っ!」
まさかと思った彼女は斬り落とされた左腕に顔を向ける。
その腕は…否、"ソレ"は有機物に非らず。その腕を模した物は"キチキチ"と人体から発せられる事は絶対に無い金属音を鳴らしながら
「人形……馬鹿な、エックスは……ッ!?」
「察しが良いな風鳴翼。そして今この場で特別に
「貴様は人では無い。かつてブリテン諸島を治め、円卓の騎士達を率いていた王『アーサー・ペンドラゴン』の記憶・人格・能力。そしてその姿さえも模して生まれた
「……え」
淡々と、フィーネは言った。当たり前のように彼女の過去を口にした。
「な、何を言って……!」
「貴様は錬金術師の総力を結集し、アカシックレコードから引き出されたペンドラゴンの情報因子を埋め込まれた銀の生体構造を有する人形。更に云えば、いずれ来たる災厄に対抗する為に製作された
違う、そうでは無い。自分が知りたいのは───!
「私は……人じゃ…ない……!?」
「それは薄々気付いていたんじゃないか?まぁ、そんな事はどうでも良いさ」
フィーネはエックスに冷ややかな視線を送りながら口を開く。
「人間"ごっこ"は楽しかったか?」
「───あ」
ストンと何かが落ちるような感覚を覚えた。見たく無かった事実を突きつけられた彼女は口をパクパクとさせ否定の言葉を必死に絞り出そうとしている。
「今まで人間のフリをしながらあの小僧を騙しながら暮らしていたのはさぞかし楽しかっただろうなぁ?」
「───ちがう」
「違う?全て事実だろう。なら貴様は伝えたのか?自分は人では無いと、少しでもあの小僧に伝えた事はあるのか?どうなんだ答えてみろ今すぐにッ!」
「黙れ…黙れ黙れ黙れ黙れぇぇええええええ!!私の事を何も知らない癖して…!私を知った風な口を聞くなァッ!」
駄々を捏ねるように、癇癪を起こすように彼女は叫ぶ。
「確かに貴様は知らん。だが
「え?」
思わぬ返答に声が漏れる。
「かつての騎士王。聖剣の呪いにより不老となり最期には忠義を尽くしていた部下達に裏切られていった哀れな"妹"の事を私は知っている」
「妹……何をちゃんちゃらおかしい事をッ!」
「そ、その通りですよ!その道理で行くと貴女はエックスちゃんのお姉さんと言う事に……!」
「リインカーネイション」
「「「「!?」」」」
その言葉を聞いた彼女達はハッとする。
眉唾物と思われた謎のヒロインXのルーツであるアーサー・ペンドラゴン。そしてフィーネに施された輪廻転生システム。
それ等が掛け合わさる事でとある推測が浮かび上がって来た。
「エックスちゃんはホムンクルス…だけどそのオリジナルが存在した」
「そのオリジナルは騎士王と名高いアーサー・ペンドラゴン」
「しかしして、そのアーサー王には姉が存在した。彼女は櫻井女史と同じくフィーネの血筋であると同時に覚醒していた…!」
「……私の記憶に残る彼女は魔女と名高いと同時にアーサー王の敵として存在した。その魔女の名は…ッ!」
「そう、我が名の1つ。『モルガン・ル・フェ』かつて白亜の城が健在していた頃の私自身だ」
【モルガン・ル・フェ】
ウーサー・ペンドラゴンの子であり、アーサー王の異母姉でもある魔術師。ケルト神話の女神モリガンと同一視される魔女とも呼ばれるソレがフィーネの一部として今、装者達の眼前に立ちはだかっているのだ。
「エックスとの因縁がそれと言う訳か……」
「亡霊のごった設定が此処で関わって来るのかよ!」
遽に信じ難い事実、しかしフィーネと言う超越した存在相手だからこそ納得の行く言葉。全ては現実なのだ。
「だからと言って!エックスちゃんをどうして…ッ!」
「気に入らぬからだ。アーサーと同じ現し身である貴様の姿が気に入らぬ」
淡々と告げる彼女にクリスは声を荒げた。
「それだけの理由か……!?それだけの理由でコイツを傷付けるってのか!? 安い!安さが爆発し過ぎているッ!」
「何を馬鹿な事を、人が争う火種は常に些細なモノから始まる。貴様も知っている通り戦場が戦場たらしめる理由は人と人とが啀み合う天命の元で生きているからだ……それと、いつまでも喋っていて良いのか?カ・ディンギルは既に発射目前だぞ」
4人は一層の輝きを増す塔に視線を移す。クリスが破損させた部位は既に修復済み。
その光景を前に焦燥の念が炎のように込み上げて来ると同時に、フィーネを相手に隙を与えてしまった。
「もうお前達の出番はこれ以上必要無い……絶えろ」
【NIRVANA GEDON】
強大なエネルギーの球体が着弾する。
その瞬間、足元の地面がバキバキと音を立てながら崩壊して行く───。
「地盤の崩壊に巻き込まれたか」
装者達が居た場所を見ながらフィーネはそう呟く。追い掛けてトドメを刺そうと思ったが考えを改める。もはや自分の勝利に揺るぎは無い、今更アイツ等に構うのも無意味と判断した為だ。
「あのエックスと名乗る人形、最初は結社からの刺客と思い焦りはしたが……どうやら過大な評価だったらしい」
ヒロインXと初めて会偶した時、頭に思い浮かんだのはかつての騎士王の姿。そして次に浮かんだのは百数年前に入手した"結社"の秘匿していた計画。
そして彼女の正体への確信に至ったのはクリスに誘拐の指示を出した後の事。人では到底発揮出来ない出力を悠々とやってのけたエックスが人類とは異なる存在と納得したのだ。
「まぁ、再びヤツが現れたなら痛ぶる玩具として楽しませて貰うとしよう」
踵を返し先史文明の巫女は…否、凡ゆる魂が混ざり変質してしまった"怨霊"は荷電粒子砲を見上げ、刻々と迫り来る月破壊までの時間を待ちわびるのだった。
▼▼▼
頭が痛い、身体が軋む。全ての血が抜かれたように体が水を欲している。
……私は、死んだのか?
「起きろ、エックスッ!」
「───っ!?」
聴き覚えのある声に私の意識は引き戻された。目を開くと、そこにはバイト君が私の顔を覗き込んでいる姿が映っていた。
「……あ、バイト……く…んむ」
口元にペットボトルを押し込まれた。どうやら、水を飲めと言う事らしい。喉が渇いて仕方なかった所なので丁度良かった。
「バイトさん。そっちの方は…」
「安藤さん、エックスの目が覚めた!」
「本当に!?皆呼んで来る!」
「エックス、調子の方はどうだ?」
「バイト…君…ごめんな……さい」
私はバイト君に嘘を吐いていた。ずっと彼を欺いて人間になっていたつもりでいた。
でも、私は───彼を巻き込んでしまった。
私が
「ごめん……なさい……」
「……エックス」
「エックス、生きているようで何よりだ」
声が聴こえた方向に視線を移すと、身体の至る箇所に包帯を巻いたコマンダーレッドこと司令の弦十郎が現れる。
「腕の方は大丈夫か?」
「うで……?」
左腕の方を見ると、斬り落とされた部分がタオルによってきつく縛られているのに今気付いた。どうやらバイト君が処置してくれたらしい。
「はい…問題は無いです」
「そうか…」
「エックスちゃん!」
すると遅れて、ヒビキやミク。他の装者や職員達までもが私の元に来てくれたのだ……っ、そう言えば!
「皆、怪我の方は?」
「大丈夫だよ、師匠が助けてくれたんだ」
「コマンダーレッドが?」
「うん、弦十郎さんが発勁使って天井を崩すと同時に櫻井フィーネさんの攻撃を相殺したんだって」
「……バイト君、言ってる意味が良く分かりません」
「うん。俺も自分で何を言ってるか分からなくなって来た」
流石はコマンダーレッド。相変わらず人間を辞めていますね。
………いや、人間でないのはこちらの方でしたね。
「エックス?どうしたの」
「……いや、その」
私が口を開こうとした瞬間、地鳴りが起こる。
これは……まさかっ!?
「カ・ディンギルへのエネルギー供給率93%ッ!発射段階に入ろうとしています!」
「そんな、このままじゃ……!」
「私が行きますッ!」
ヒビキがそう言い駆け出そうとする瞬間、ミクが止めた。
「駄目ッ!そんな状態で行ったら!」
「未来!?でも私が今、戦えるのは私だけで……!?」
直後、ヒビキがその場から崩れ落ちてしまう。そうか…ヒビキも私同様に連戦による影響で疲労困憊だったんですね。
「駄目だ…今、誰かが立ち向かわないと…!」
「くっ、なぁ!誰でも良い!ギアを直せるヤツは居ないのかよッ!この馬鹿を1人で行かせる訳にはいかねーんだ!」
「その気持ちは分かる。だが設備も不十分な状況でギアに強制的なロックが掛けられている今は打開策は……!」
周りの人達が空気が切羽詰まるのを感じる。けれども無駄だ。
もうどうしようも無い、私達の"負け"は決定している。そんな事実、分かり切っている筈なのにどうして……?
疑問に思う私だったが、そんな中で1人声を上げると同時に腰を上げる者がいた。
「俺が行こう」
「ジョニー佐々木さん!?」
「「「誰ッ!?」」」
えっ……いや、本当に誰ですかッ!?黒マスクにゴーグルとどう見ても不審者フェィスのキャラが仲間面してビックリなんですけどッ!
「え、知らないの?元米軍所属で特殊部隊にも所属経験のある職員の人だよ?」
「何そのアニメみたいな壮大な設定ッ!?」
「本当にそんな人存在したんだ……」
「二課職員って凄いですわねー…」
「ただ、持病の下痢で基本的にトイレに篭っているらしいけど」
「本当に大丈夫なんですかその人ッ!?」
二課所属の私よりもバイト君といつの間にか仲良くなってる事については放っておくとしましょう。ただ……!
「やめなさい、
「問題無い。ストッパは既に服用済みだ」
「ジョニー佐々木さん、そう言う意味じゃ無いですからね?下痢の方面での心配してませんからね?」
バイト君も思わずツッコミを入れる。誰も貴方の胃腸についての話はしてませんからね?
そう思っていると彼は口にする。
「まぁ、それに…今まで散々女の子達に守られて来た。それなら次は俺達が守る番だ」
「……!」
そう呟いた直後、後方で待機していた友里が口を開く。
「…それなら、私だって行かせて貰うわ」
「友里さん!?」
「大丈夫、これでも一通りの戦闘訓練は積んでいるのよ」
「それなら俺だって行くぞ!」
「いいや、お前だけじゃない俺だって…!」
「サポートしか出来ないだろうけど俺も力になります!」
拳銃を構える彼女を筆頭に他の職員達もやる気に満ち溢れて行く……何故?どうして?なんで……?
「やめ…なさい……!むざむざ死に行くような真似は……ッ!」
「いいや違うさエックス。俺達は死にに行かない、明日を生きる為に戦うんだ」
「明日の為に……?」
コマンダーレッドの言葉が私の虚の中で反響する。
私が今まで戦って来たのは何の為だ?お金欲しさの為か?それとも恩人のバイト君の為なのか……?
「……バイト君」
「どうしたのX」
「私は貴方に嘘を付いてました」
「そうなるね」
周りに居るクラスメイト達にも視線を向ける。
「私は今まで"人"のフリをして学生生活を送っていました」
「「「……」」」
「──私は、貴女達が羨ましかった」
私の中にあるのは有機金属によって作られた骨格と人造臓器。そしてアーサー・ペンドラゴンとしての記憶・人格。でも、その中には"私"と言う存在は含まれていない。
「私は自らをエックスと名乗る事で、自分の記憶を、人格を否定して来たつもりでした……けど、本当の名前すらも何も無いただの
私は所詮、アーサー王と言う存在が無ければただ何も無い人形。私は────!
「私は…!私である為には自ら最強の剣士であれと頭の中で響く声に従うしか無い私にはッ!貴女達が眩しくて仕方ない…ッ!」
分からない、私が何なのか、今まで何の為に戦って来たのかが分からない…ッ!教えてよ……誰でもいいから、私にどうすれば良いか教えてよ……!
「エックスちゃん……」
「エックス……」
「………あのさ、X」
バイト君が一歩ずつ私に近づいて来る。
あ、ああ……きっと私に失望しているに違いない。
「俺さ、Xに言わなきゃ行けない事があるんだ」
「…ッ」
「数年前、中学生辺りかな。両親が死んだんだよ」
彼は口を開く……聞いた事がある。考古学に精通していたバイト君の両親と共に聖遺物関連の調査に行った後、テロに巻き込まれて行方不明となったと。
「その時に俺の父さんや母さんだけじゃなく片脚や片目が無くなって挙句の果てにはその時の記憶もショックで失っているらしいんだよね俺。あ、何も無い所がXと似ているね。ハハ」
「………」
「…その時から俺の全てが空っぽになったんだ」
彼は言う。失うモノが多過ぎたバイト君は日々、怠惰に生きながらあの時に死ねなかった事を後悔しながら己を痛め付けるのが始まったと。
「生きる意味も無い、けど死ぬ覚悟も無い。自傷していればいつか死ぬ事が出来ると希望を無くした……けど、そんな俺の元に転機が訪れたんだ」
彼の視線が私に向けられる。
「"それ"は急に訪れてさ。慌ただしくて、図々しくて、最初は変な生命体が空から降って来たなぁと思ったよ………いや、何であの時の俺冷静だったの?もっと混乱するよね俺?」
「あの、"それ"ってもしかすると…?」
訪ねるミクにバイト君が面白そうに笑みを返すと、私に手を握り口に出した。
「なぁ、
───あ。
「例え人で無くても、君が来てくれたお陰で生きる希望が沸いたんだ。絶望の淵で蹲っていた俺を無理矢理引き上げてくれた星のような輝きを持つ君に……救われたんだ」
───違う、違うんですバイト君。
「俺に、
───生きる場所を与えてくれたのは君なんです。
バイト君こそ、私の希望に……なってくれて…! 私が君に救われたんです……ッ!
嗚呼、声に出したいのに。涙と嗚咽で口に出来ない。この胸の内にある想いを君に告げられない。
君に……いや、居場所を与えてくれた"君達"に感謝を。
バイト君、ミク、ヒビキ、3人共、皆、私に希望をくれて ありがとう。
▼▼▼
「……たった1人で来たかアーサー」
フィーネが振り向いた先。そこには聖剣を手にしたエックスが歩み寄ってくる姿が在った。先程までと異なる点を挙げるとするならば、斬り落とされた筈の腕が接合されていた事だ。
「その左腕……聖剣で灼き、溶接したか」
「…皆は置いて来ました。この戦いについて行けそうもないので……さぁ、決着をつけるぞ」
直後、聖剣による魔力放出によって距離を詰め至近距離からの攻撃を仕掛ける。
「無駄な足掻きだ。ならば月が破壊されるまでの暇潰しと行こうではないかッ!」
鞭を剣へと形状固定させて、聖剣との鍔迫り合いが始まる。お互いに一歩も引かない力と力の勝負。
直後フィーネの足払いがエックスの体勢を崩し、その隙を狙って串刺しにしようと彼女は目論む。
「セイバー忍法・3wave分身の術!」
瞬間、彼女の身体が増殖しフィーネの鞭を2人のエックスによって受け止められる。合計9体のエックスがその場に出現した事によって形成は一気に逆転する────
「コアから抽出されるエネルギーを己が姿に具現化させた質量を持つ分身か……さりとてッ!」
鞭を両手に嵐のように回転。分身達は嵐に巻き込まれ、茨の刃によって分身達はズタズタに引き裂かれて行く。
「エネルギー残量が僅かな状態で分身なぞ、烏合の衆に等しいッ!」
「エクスッ!カリb───」
背後から迫るヒロインX。しかし、地中から植物のように生えて来たネフシュタンの鞭によって動きが止められてしまった。
「そのような攻撃、私が見逃すと思ったか?」
「ぐ……!」
ギチギチと身体が鞭によって締め付けられるエックスにフィーネが歩み寄る。そして……。
「が、あッ」
「さぁ許しを請え。泣き叫べ、貴様を助けてくれるような仲間は居ないのか?」
蹴り、殴り、痛め付ける。暫くして、かつての王と同じ姿が苦しむその様を愉しむ彼女は気が済んだのかエックスの顎を指で添えると無理矢理に自分の眼前へと向ける。
「さぁ、時間だ……かつての王の最期と同じく、国が崩壊していく様を今ここで見届けるか?」
ニヤリと笑みを浮かべるフィーネ。ああ、コイツの苦しむ顔を見たい、絶望へ堕ちる瞬間を観たい。
早く、早くその顔を見せろと歪んだ笑みを浮かべるフィーネは次の言葉を聴いて……。
「哀れな……人ですね」
「───なんだと?」
面を食らった。
「貴女も、私も、とうの昔に死んだ人の因縁によって縛り付けられている……なんて、可哀想な人なんだ」
「ッ!?」
ヒロインXの口から出たのは怒りでも悲しみの言葉でも無い。先史文明期から幾度も輪廻転生を行う巫女を憐む言葉だった。
「『待っている』と言われたんだ」
「は?」
「笑顔を共に『待っている』ってッ!こんな、こんな私にだぞ!?兵器として生を受け、兵器として育てられる運命に在った私を、ただの"人"として見てくれたッ!」
「……だ、黙れ…ッ!」
黙らない。叫ぶ、エックスは高らかに云う。
「貴様は言われた事があるかッ!人として愛された事があるか終わりの名を持つ者ッ!!」
「……黙れ、黙れ黙れ黙れぇえええッ!貴様は何処へ行っても人形である事は変わらんッ!所詮、貴様はアーサー・ペンドラゴンの
直後、フィーネの手刀がヒロインXの腹を貫いた。勝利と少女の死を確信した彼女だったが違和感を覚える。
手応えが無い……!?
「ッ!?粒子が散って……まさかッ!」
「残念、私は
光となり消滅して行く分身体。ならば本体は?本物のヒロインXは一体何処に───!?
「そうかッ!本体はカ・ディンギルを狙いにッ!」
視線を移した先には、黄金と黒の剣による魔力放出によって空を駆ける彼女の姿が在った。
「だがもう遅い!カ・ディンギルは既に発射準備状態だッ!そのまま月が破壊されるのを眺めているが良いッ!」
光輝く塔より放たれる滅びの光。
それが月に向かって伸びて行く。今まさに星の命運を決める一撃が射たれた直後、それ以上の疾さで翔けるもう一つの光が空へ伸びた。
「コスモリアクター・オーバードライブッ!」
全身が蒼く、空に広がる銀河のように光輝く。そして星のような煌めきを見せるヒロインXは弓也に方向転換を行うと…荷電粒子砲に向かって急降下を行う。
そして、彼女は圧倒的な滅びの光に呑まれる────
「ぐ、ああああああああああああああああああああああああ゛あ゛あああああああああ゛あああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
───にも関わらず突き進む。塔から放たれたその光を聖剣で抉り貫く事で光を拡散。月への攻撃を逸らひているのだ。
「まさか、動力源であるデュランダルそのものを狙っていると言うのかッ!?月を穿つ熱線!その身を聖剣以上の極光で灼かれているのにも関わらず!何故、貴様は平気なのだッ!何を貴様を突き動かすッ!?」
「セイバー忍法…死ぬ程痛くても食いしばるの術ッ!」
痛覚、温覚、感覚全てに割いていたリソースをコスモリアクターに費やす。全ては最下層に在るエネルギー源を破壊する事だけを考えろ。
負けられない、負ける訳にはいかない。
私には帰るべき場所がある。仲間も居る。
私の帰りを待っている大切な人が居る…!
今までと同じ毎日をッ!ただの日常を取り戻す為に、私は…私達は戦っているッ!
これまで生きて来て、私はそれ以上に命を賭けられるモノを知らないッ!
「星光の剣よ…ッ!今こそ
黒の剣をブースター代わりに魔力を噴射させる。進め、進め、進めッ!私以外のセイバー要素となり得る聖剣なんぞ破壊してしまえッ!
「エックスゥーーーーーーッ!!!」
「!」
ふと声が聴こえて来た方向に目をやる。
そこには大切な彼が悲痛な叫びを上げて、私を眺めていたのだ。いや、彼だけじゃない。皆、私の大切な仲間達が私を見てくれている。
ハハ、尚更負けられないですね。
大丈夫ですよ皆。なんせ私はヒロインですからね。
バイト君、ミク、ヒビキ。ユミにクリヨ、シオリ。クリス、ツバサ。二課の皆さん……。
この事は皆には内緒だよ───。
おおっと、
そして我が生涯に一片の悔い無し。
ヨシ、行くぞ!ヒロインXの勇気が世界を救うと信じてッ!永らくお待たせしました!今、必殺の───ッ!!
「エックスカリバァァアアアアアアッ!」
さようなら。大切な、とても大切な、私の相棒。
そして、ありがとう。私をただの"人"として見てくれて。
ああ、でもこれで最期になるのか………。
嫌だなぁ、まだご飯食べて無いのに。お礼のプレゼントだって出来てないし。まだ"ありがとう"って言えてないのにお別れだなんて嫌だなぁ……。
嫌だよぉ…これで死ぬなんて嫌だよぉ…バイトく────
エネルギーの流転、迸出、奔流。目の前が白一色となり光に包まれる。
その光景と共に意識はプツリと、強制的に電源が落とされたが如く途絶えるのだった。
彼女の名は謎のヒロインX。
"X"それは未知と言う意味の名を冠した少女。
ここに1人の命が果てた事により、世界は救われた。
〜〜人名及び単語紹介〜〜
『フィーネ』
もはや此処に居るのは先史文明の巫女でも、天才的頭脳を持つ科学者でも無い。魔女の囁きによって怨讐に囚われた亡霊。古今東西、有りと凡ゆる偉人・英雄の魂が混ざり合う事によって その在り方さえも変質してしまった悪霊となり現代に蘇る。
『ロンバルディア』
かつて存在したとされている鋼の肉体と水銀の血が通った
『謎のヒロインX』
【プロジェクト・
竜の心臓、生体金属が仕込まれた肉体よって構成されており一見すると通常の人間と変わりない存在。
世界に訪れると予測された災厄に対抗可能な
しかし、その災厄ですら本当に実在するのか不明。計画進行の有意性が認められず実験個体達は破棄される。
Xはその実験個体達の中で盗んだドゥ・スタリオン号で逃げ延びた。
ちなみに、それの製作者(TSロリッ娘錬金術師)は「クソがぁ!また私の作品を盗まれたワケだッ!」とカエル人形をギュッと握り締めながらコメントしている。
……もしかしたら、他の個体達もヒロインXと同様に今も尚どこかで生き延びているのかもしれない。
と言う訳でシリアスに耐えられない人向けの余韻を壊すCMっぽいヤツ。
「そんな、Xが死ぬなんて!このままヒロイン候補を欠けた状態で物語は終わってしまうのか!?」
「慌てるな、ヒロインの穴は私が埋める!」
「奏さん!」
「安心しろ!俺達も一緒に戦う!」
「1人で行かせません」
「子供達ばかりに任せられないからな」
「安心して、しっかりサポートするわ」
「OTONAの皆さん!」
「俺達も居るぞ!」
「主要メンバーばかりに良い顔はさせないさ」
「小林さん!仰木さん!」
「皆にはいい格好させてられないからな!」
「ジョニー佐々木さん!」
「狼狽えるなッ!」
「先駆けて登場」
「デース!」
「えっ…ど、どちら様!?」
次回、「復活のG」