未知との遭遇〜アルトリウムを添えて〜   作:ゴランド

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何故続けてしまったのか……その説明をする前に今の銀河の状況を理解する必要がある。
少し長くなるぞ(すぐに終わるとは言ってない)


2話 頭のおかしい奴等VS下乳のバーサーカー

「もうこれはめちゃ許せませんよ!」

「あっ、はい」

 

 最近、立花さんとXのドタキャンが増えた。その所為か小日向さんはご立腹だ。

特に今回は物凄い形相でキレている、話を聞くと楽しみにしていた流れ星より急な仕事(バイト?)を優先された事に怒っているんだそうな。

 

「やっぱり響は私なんかよりポッと出の女の子がいいんですね……黒髪より金髪碧瞳がいいんですね……」

「大丈夫だって。ほら、黒髪だって需要あるから…」

 

 すかさずフォローを入れるが小日向さんは「いいえ!」と声高らかに叫ぶ。あ、ごめん。ちょっと静かにしてもらえない?ちょうど今、人が居ないタイミングだからって声を荒げるのは近所に迷惑だから。

 

「もう、これは帰って来たらお仕置きと称して押し倒した後に唇を塞ぐしかないですね」

「小日向さん。それ犯罪だからね?」

「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」

「もう俺にバレてるんだよなぁ……」

 

 頼むからやめて(懇願)

これ以上知り合いの高校上がりたての女の子が無様な真似を晒すのを見たくないんだ……!

 

「駄目ですか?」

「駄目です(鋼鉄の意思)」

「…エックスはお譲りしますので協力して貰えませんか?」

「サラッと犯罪の片棒を担がせようとするのはやめて」

 

 

 

 その日の夜、俺は公園に立ち寄っていた。理由としては公園を突っ切る事が家への近道になるからだ。そもそもXの食べる量がハンパじゃないので食材補充の為にあちこちのスーパーに足を運び買い出しをした結果、こんな時間になってまで帰る事となっている。

 

生活費の大半がXの食費に消えてしまうのでとにかく節約。買い出しなんかは凡ゆるスーパーや八百屋、商店街に立ち寄る事で最低限の出費になるように抑えている。

 

はぁぁ…クソデカ溜息) なんであの時拾っちゃったかなぁ。X自身も野宿でも大丈夫とは言ってたけど……

 

『ううっ…えぐっ…、何が2人組作ってだ……!悪魔の言葉め……ッ!』

『くそおおおおおお!何が数学ですか!どうせ大人になったら使う必要のない勉強なんてやる価値ないでしょうに!』

 

 夕飯の時にいつも聞く愚痴からして家から追い出したら野垂れ死んでそうだから放っておけないんだよね。

……そう言えば流れ星を見たいって言ってたなぁ。

 

「……まぁ、帰りついでに星を撮影してもいいか────

 

ドゴォ!!

 

「ファッ!?何、何の音⁉︎」

 

 凄まじい音と振動が公園内に響く。何事かと思い俺は煌びやかな星空の下、好奇心が勝ったのかとにかく走る。しばらく駆けていると音と振動が次第に近づいて来るのが分かる。

そして暗闇の中、発生源らしき場所に向けて目を凝らすと……

 

 

「おのれ白タイツのバーサーカー!私達に乱暴する気なんでしょうR-18小説のように!R-18小説のようにッ!」

「誰がそんな事するか!」 

 

「えっ、ええ⁉︎そ、そう言うのはちょっと、外とかでやるのはいけない事だと思いますけど!?」

「やる訳ねーだろこの馬鹿!私を何だと思ってんだ!」

 

「騙されてはいけませんよミス立花!ケルト系タイツ纏ってる癖して下乳晒している人物はどう考えても頭バーサーカーの変態です。そんな相手がネバついた白濁液で貴方を拘束してる時点で"さーて、どう辱めてやろうかフィーヒヒヒ"と考えてるに違いありません!」

「何ィ⁉︎ 狂戦士め、ネフシュタンの鎧とソロモンの杖を使って立花にナニをするつもりだッ!」

 

「だぁぁああああ!ここには馬鹿しかいねぇのかよッ!この馬鹿!バーカ、ばーーーかッッ!!」

 

「」(唖然)

 

 白い粘液塗れになったXと立花さん、白タイツの女性と対峙するきわどい格好をしたどこか既視感のある女性が居た。

 

「クソッ、テメェはノイズと相手をして……あっ」

「む、一体どちらを見て……あっ」

 

 すると白タイツの人と青いきわどい人が俺の存在に気付く。

……あー、うん。これは……うん(死んだ目)

 

すぅー…はぁー………ヨシ!

 

誰か助けてええええええ!変態と変態が変態的な格好して変態プレイしてるうううううううううう!!

 

「「誤解だッ!」」

 

この後無茶苦茶、家まで走った。そしてXと立花さんがやっぱりそう言うバイトをしていた事実に涙で枕を濡らした。

 

 

 

 

 

 

 私の名前は立花響15歳。リディアン学院に通う普通の高校生だった私はある日を境に装者と言うシンフォギアを纏える特別な存在となりノイズと戦う事になった。

 

……でも、そのせいで未来との約束を破る羽目になったり、疲れで学校の授業に集中できないし、挙句の果てには行き付けのバイトさんからは如何わしいバイトしてると勘違いされる始末。私呪われてるのかなぁ……。

そう考えながらチラリと横を見る。

 

『いいかエックス、地下鉄内はただでさえ場所が狭い。カリバーは使うなよ!』

「了解です…あ、ノイズだ。カリバーーーー!!」

『エックスゥゥウウウウ!』

 

……うん、何も言うまい。

エックスちゃんが地下鉄駅でビームぶっぱしてるのに何故かノイズにしか被害が出てない事に関して私は深く考えないようにした。二課でもエックスちゃんの存在自体が謎多きUMAみたいな扱いで了子さんも頭抱えていたからなぁ……。

 

と言うか大丈夫エックスちゃん?ものすごくイライラしてるように見えるんだけど大丈夫?

 

「何を言ってるんですか!今回私達は流れ星を見終わった後、そのまま美味しい食事でパーリナイする予定だったのにノイズ共によって全てキャンセル。こりゃ殺意も沸きます!その殺意で茶を沸かす事も出来るもんですよ!」

「とりあえず落ち着いてエックスちゃん」

 

 いや、気持ちは分からんでもないよ?…そりゃ私だってバイトさんが作るご飯を片手に未来やエックスちゃんと一緒に流れ星見たかったけど……。

エックスちゃんが優先的に怒ってくれるおかげなのか私自身あまりストレスが無いと言うか何というか……。

 

『話の途中だがノイズの増援だ!』

「はぁぁあああ!キレそう!いや現在進行形でキレているんですがッ!おのれノイズ!強制残業出勤させるとはおのれノイズ許すまじィ!」

 

『よし分かった!分かったからエックスは絶対にカリバー使うなよ!本当にマジで!』

「了解!カリバァァアアーーーーッッ!!」

『エックスゥゥウウウウ!!』

 

 藤尭さんの慟哭(2回目)が響く。もう誰もエックスちゃんを止められそうにない。私がビームの暴力に巻き込まれないように少し離れた位置で見守っていると通信機から司令官の声が届く。

 

『すまない2人共、疲れている所悪いが地上にノイズの集団が現れた!響君は大至急地上の方へ急行してくれ!』

「分かりました!あ、でもエックスちゃん1人で大丈夫なんでしょうか?」

 

 目の前には地下鉄駅内に溢れんばかりのノイズ群。流石のエックスちゃんもこの数相手は骨が折れるかもしれない、足手纏いになるかもだけど私も協力出来れば…と考えるとエックスちゃんはグッとサムズアップを見せてくる。

 

「お気遣いありがたいですがご心配なく。目には目を、歯に歯を、物量には物量をです!セイバー忍法奥義、セイバー分身のジツ!」

 

 そう叫ぶと印らしきモノを組んだエックスちゃんの姿がブレて───あれ?

 

「セイバーが1人…」

「「セイバーが2人……」」

「「「セイバーが3人…奥義、セイバーファイナル分身ッ!」」」

 

……んん?なんだろう幻覚かな。

エックスちゃんが十数人いるように見えるけど…?

 

「これぞ我が秘奥義セイバーファイナル分身の術!」「本来は味方である場合は使えない糞設定のセイバー忍法ですが諸々の理由で扱えるように!」「しかしそれと引き換えに使った後のエネルギー効率が極端に悪くなると言う仕様が……」「要するにお腹が空きます!」「うわーんバイト君の手料理食べたーい!」

 

『緒川、これ分身か?』

『ハハハ、イイですか司令?普通分身はそれぞれ自我を持ったように動く訳ではないですからね?つまりは単純にエックスさんが増えてるだけです』

『だろうな、エックスの生体反応が急激に倍増したのを確認した。どうなってるんだコレ(真顔)』

 

 何それ怖い。いやいや分身じゃないならエックスちゃんどう言った原理で増えてるの⁉︎

 

「ミス立花、ここは私達に任せて地上に行ってください」「なーに、この程度の数蹴散らしてやりますよ」「別に倒してしまっても構わんのだろう」「さっさと倒してパインサラダを食べましょう!」「ステーキも付けましょう!」「おいフラグ立てるのやめろ、それと食べるのは私ですから」「は?食べる役割は私でしょう常識的に考えて」「は?刺されたいのですか?そのサラダとステーキは私のものだ」「はぁ…バイト君の手料理食べたい……」

 

「どうしよう。任せるのが物凄く不安になって来た……」

 

 

 

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 

 

「来るのが遅──「天誅ゥーッ!」ぐぁぁあああッッ!?

 

「何事ォ!?」

 

 立花響が地上に出るとそこには殺人映像(スナッフフィルム)が広がっていた。突如として現れた謎の少女のエントリー、からのこんばんは死ね!と間髪入れずの上空から現れた風鳴翼による落下刺突。

 

立花響がSAKIMORIのヤバさを身をもって知った瞬間であった。

 

「……何ッ⁉︎ノイズではないのか!」

「人とノイズを判別出来ない段階で攻撃を仕掛けたんですか⁉︎」

「いやだって、司令からはノイズが現れたと聞いたのでな……とりあえずやってみればいいかと思って」

 

 いや、違う それSAKIMORIじゃない、これTUZIGIRIだ……。そんな考えが頭に過ぎる立花響だったが風鳴翼の側に何かが蠢いている事に気付く。

その正体は先程いきなり倒された筈の少女だった。

 

「こ、この人気者がぁ…!調子に乗りやがってェ……ッ!」

 

「うわぁぁあああ⁉︎ゾンビ⁉︎」

「私はまだ死んでもいねぇよ!いや、死ぬかと思ったけど!」

 

「ッ⁉︎その鎧、まさか……!」

『ネフシュタンだとぉ!?』

 

「へぇ、この鎧の出自を知ってるんだ」

「二年前、私の不始末で奪われた物を忘れるものか!」

 

 時を経て今ここにネフシュタンの鎧とガングニールが巡り合わさる。この残酷な状況を、心地良く感じてしまう。

 

「やめてください翼さん!相手は人です同じ人間です!」

「「戦場で何を馬鹿な事を!」」

 

 2人は止まらない。いや、止まる筈が無い。己が信念に従い剣を交える戦姫達の姿に立花は戸惑うばかりだ。

 

「翼さん!」

「お前の相手はこれだ!」

 

 二年前に奪われし完全聖遺物であるネフシュタンの鎧を纏う少女は右手に納めたデバイスを起動させると、ノイズが出現する。

 

「このノイズ、操られて───!?」

「ノイズを……まさか⁉︎「よそ見してんな!」ッ!」

 

 視界の外から払われた藤色に輝く鞭を翼は己が剣で受け止めるが、見た目以上のパワーに吹き飛ばされてしまう。

 

「おのれ、不意打ちとは卑劣な真似を……!」

「のっけから串刺して来やがったテメェが言えた義理じゃねぇだろうが!」

 

 ごもっともである。そんな卑劣(?)少女の鞭による攻撃を躱し続け、翼と相手との距離は次第に開けていく。

 

「距離が遠のいた……ならば!」

「オイオイ、この間合いから攻撃するつもりか?そんな見え見えの攻撃が当たる訳────」

 

「奥義、防人ビーム!

 

瞬間、アームドギアから一条の閃光が放たれた。

 

 

「……は?」

「え?」

 

その光景に思わず唖然とする謎の少女と立花響だが、風鳴翼は止まらない。

 

「防人ビーム!防人ビーム!防人ビーーームッ!」

「待て、待て待て待──ぐぇっ!」

 

防人ビームという謎の技を連発。ネフシュタンを纏う少女は必死に避けるが絶え間無く連発される光線を簡単に躱し続けられる訳も無く最後には直撃してしまう。

 

「え、あの翼さん⁉︎ビーム!?剣からビームが出てるんですけど!?」

「何を言うか立花、防人たるものビームを出すのは至極当然の(ことわり)であろう」

 

「クソッ!なんだよコイツ、頭おかしいんじゃねぇのか!」

「ごめん、私もそれには同意かも……」

 

「立花!?」

 

 味方である筈の立花からの援護射撃(バックファイア)に翼は思わず声を上げてしまう。

 

「それは聞き捨てならないぞ立花!そして襲撃者相手に頭おかしいと言われるのは意に沿わないな!……そうでしょ、奏」

 

…………。

 

………………。

 

……………………。

 

「うん!そうよね、そう思うわよね奏!」

「「何が!?」」

 

 虚無の空間に向かって笑顔をむけ会話をする風鳴翼。そんな異常な光景に2人はゾッとする。と言うか誰でもゾッとするだろう。

 

「よ、よく分かねぇが墜ちろよ吹っ飛べ!」

 

NIRVANA GEDON

 

 ネフシュタンの鎧から発せられる球状の特大エネルギーが風鳴翼を襲う。アームドギアを大剣状に展開し防御を行うが、完全聖遺物は伊達では無い。

その圧倒的なパワーの渦に飲み込まれ翼は再び吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐ───ああッ!!」

 

「翼さん!?」

「テメェはそこで捕まってな!」

 

 そのまま新たな数体のノイズを召喚。ノイズから放たれる拘束用の粘液によって立花響は捕まってしまった。

 

「あう……っ身体が…!」

「ぐっ、なんたる不覚……」

「へっ、のぼせ上がるなよ主人公気取りが。ハナから目的はお前じゃ無くて立花響(コイツ)なんだよ」

「わ、私!?」

 

 襲撃者の少女は翼の頭を踏み付け、溜まった鬱憤を晴らすように勝ち誇った笑みを浮かべる。

 

「ザマァねぇなアーティスト風情が、お前は独り寂しくハミングでも口遊んでいる方がお似合いだぜ?」

「ぐ…うう……ッ!」

 

 立ち上がろうとする翼だが、特大のエネルギーをマトモに喰らった事により未だ体を起こせずにいた。

それを銀髪の少女は鼻で笑うと完全聖遺物の一つであるソロモンの杖を手に響の元へ歩み寄って行く。

 

「さーて、アンタは私と一緒に来て貰おうk「後ろがガラ空きだよカリバァァアアアアッ!!」ぐぁぁああああああああ!?

「ぎゃーーーッ!?」

 

 突如として背後からグッサリと剣で突き刺される襲撃者。そんな殺人映像(スナッフフィルム)第二弾を見せられた立花の前に見覚えのある友人の姿が現れた。

 

「間に合ったようだな……謎のヒロインXただ今参上しました!」

「いや、言う程間に合ってないと思うよエックスちゃん!」

 

「ぐぅうう…!クソッタレ、色物枠はお呼びじゃないんだよ!」

「誰が色物ですかこの白タイツ怪人!」

「んだとぉ!……まぁ、いいさ。たかが1人増えた所でネフシュタンの鎧とソロモンの杖。2つの完全聖遺物を持った私に敵う筈が───

 

「ヒロインX参上その2!」「ヒロインX見参!」「呼ばれて飛び出ました謎のヒロインXです!」「ドーモ=ヒロインXデス」「セイバーと聞いて!え?言ってない?そんなー」

 

───って、増えてるぅううう!?」

 

 襲撃者は目の前の光景に驚愕した。おおよそ10人程の謎のヒロインXが自分の前に出現した。一瞬、幻覚かと思ったが違う。

それはもう高速移動や目の錯覚で片付けられるような事象では無く本当に増殖してると言う有り得ない現実。

 

そんな事実を目の当たりにしたネフシュタンの鎧を纏う少女は口元をパクパクさせ混乱している。

 

「おま…お前ッ!なんで複数人いやがるんだよ!?子沢山⁉︎いや、クローンか何かなのかッ!?」

「馬鹿め、セイバーが増えないなんて道理は存在しない!」

「そもそも人が増える道理も存在しねぇよ!」

「シャラップ!話の続きは病院のベッドで聞かせて貰いましょうか!セイバーファイナル分身陣形術式『包囲殲滅陣(数の暴力)』!」

 

「「「「「おおおおおおおおッ!!」」」」」

 

 雄叫びを上げながらヒロインXの集団は一気に移動。襲撃者を中心に円形に配置された。

 

「囲まれただとッ!?」

「「「「「ククク、これより貴様はどれが本体か知らぬまま一方的な暴力を味わう事となるのだ」」」」」

「さぁ、どれが本物か当てられるモノなら当ててみろ!」

 

「クソッたれ、ぶっ飛べ!トンチキが!」

 

 当たる筈の無い我武者羅の攻撃が謎のヒロインXの1体に直撃し「ぐへっ⁉︎」と悲鳴を上げながら倒れる。それを見てニヤリとX達は笑みを浮かべた。

 

「「「「馬鹿め、そいつは本体だ!」」」」

 

「………」

「………」

「………」

「「「「………」」」」

 

 

 

「「「「ぐわあああああああッ!!」」」」

「馬鹿じゃねぇのかコイツ等⁉︎」

 

 そのまま攻撃されたXの分身達がキラキラと光を放つ演出を披露しながら消滅していった。

 

「ぐううう……、エネルギー切れで力が出ません…」

「何だよコイツ…まぁいい。お前も捕まってろ」

 

 相手がソロモンの杖を操作するとノイズによって吐き出された粘性の糸でXは響と同じように拘束されてしまった。

 

「おのれ白タイツのバーサーカー!このままどうするつもりだ!やっぱりアレですか!私達に乱暴する気なんでしょうR-18小説のように!R-18小説のようにッ!」

「誰がそんな事するか!」

 

「えっ、ええ⁉︎そ、そう言うのはちょっと、外とかでヤるのはいけない事だと思いますけど!?」

「なわけねーだろこの馬鹿!そもそもやらないって言ってるだろうが!」

 

「騙されてはいけませんよミス立花!ケルト系タイツ纏ってる癖して下乳晒している人物はどう考えても頭バーサーカーの変態です。そんな相手がネバついた白濁液を貴方を拘束してる時点で"さーて、どう辱めてやろうかフィーヒヒヒ"と考えてるに違いありません!」

「何ィ⁉︎ おのれ狂戦士め、ネフシュタンの鎧とノイズを使って立花にナニするつもりだッ!」

 

「だぁぁああああ!ここには馬鹿しかいねぇのかよッ!この馬鹿!バーカ、ばーーーかッッ!!」

 

 ぜぇぜぇと襲撃者が息を整えていると、倒れていた翼が息を吹き返したように立ち上がる。

このまま響が連れ去られないようにする為だろう再びアームドギアの刀を構える。

 

「クソッ、テメェはノイズと相手をして……あっ」

「む、一体どちらを見て……あっ」

 

 突如として腑抜けた声が漏れた2人。何事か?と響とXが釣られるように視線を同じ場所に向けると、そこには暗くて姿こそハッキリ見えないものの、一般人らしき人影が確かにそこに在った。

 

そして、その人影は何やら深呼吸らしき動作を見せた後ハッキリその場で声を荒げた。

 

誰か助けてええええええ!変態と変態が変態的な格好して変態プレイしてるうううううううううう!!

 

「「誤解だッ!」」

 

 しかし弁明する隙すら与えない程の圧倒的なスピードを誇る逃げ足により、人影の姿は一瞬で消え去ってしまう。

 

「速っ!?クソ、まぁいいサッサと融合症例を……っ!」

 

 動けない。まるで金縛りにあったかのように身体が動かない。またあの色物枠による変な技か⁉︎と思ったが背後を見てそれは違うと確信した。

一本の小刀が己の影に突き刺さっていたのだ。この技を使えるのはこの場で1人しかいない。

 

「もう、何も失わせはしない…そう決めたのだッ!」

 

「まさか…使うのかッ!"絶唱"を!?」

 

──絶唱

 

それは歌唱によるエネルギー増幅、及び放出により相手へ特大ダメージを与えるシンフォギア装者の切り札でもあり諸刃の刃とも言える技。

 

あまりに強すぎるエネルギーによって使用者自身へのバックファイアが凄まじいソレは己を爆弾に変えるのと同義だ。

……それを風鳴翼は行おうとしている。

 

(駄目だ…アレを使ったら…!)

 

 立花響はそれを使った者の末路を知っている。アレを使った者がどうなるのかを己の目で見た事がある。

 

(止めなきゃ……!)

 

 だからこそ少女は手に力を込める。そして立花響と言う人間はあの時贈られた言葉を思い浮かべた。

 

 

『生きるのを諦めるな』

 

 

「(そうだ、私はまだ諦めない。目の前で死に逝く命が消えて行くのを黙って見る事なんてできないッ!)アームドギアは展開できない……だとしてもッッ!!」

 

 胸の内からドクンと何かが溢れ出るような感覚が彼女の中で轟くと、隣で同じように捕まっているヒロインXに語り掛けた。

 

「エックスちゃん!私を吹き飛ばして!」

「いきなり何を───「早く!」……仕方ありませんね!ですが勘違いしないで頂きたい!これは防人のセイバーを助ける訳じゃないですからね!」

 

「荒れ狂え暴風よ…ッ!セイバー流錬金術奥義、風王鉄槌!」

 

STRIKE・AIR

 

 直後、凄まじい風圧が立花響の背中へと襲いかかる。尋常ではない衝撃は響を前へ押し出すのに十分な威力だった。

 

(エックスちゃんの技を推進力に変えて拘束を抜け出すッ!)

 

 力を込めると脚部に搭載されたパワージャッキが起動。地面を踏み割るように立花響は更に加速する。目標は勿論、絶唱開始僅かの風鳴翼だ。

 

「今こそ、汚名を返上する時──「駄目だ翼さああああああああああああああああん!!」えっ、立花何をし…ぐぉおっ!?

 

 直後、ロケット弾の如く立花響が翼に突進をかました。身体中から湧き上がるとてつもないパワーに突き動かされ、ノイズの拘束を物ともせず己を弾丸のようなスピードで突っ込む事により風鳴翼の絶唱を阻止したのである。

 

……そして

 

「た、大量のノイズが…ぐばぁっ!?

 

 運の悪い事に風王鉄槌による攻撃の余波と響を拘束したままのノイズ群が引き摺られる形で襲撃者を巻き込んだ。

 

「はぁ…ッ、はぁ…ッ!大丈夫ですか翼さんッ!」

「い、いや大丈夫…じゃない……。腰が…モロに腰に来た……!」

 

『翼さんのバイタル低下中!』

『そっちで何があった!』

 

「そんな⁉︎翼さんがこんな目に遭うなんて……どうしてこうなるまで放って置いたんですか!どうしてこんな事に……ッ!」

「いや…多分それ、と言うか確実に立花が原因だと思うんだが(瀕死一歩手前)」

 

 尚、立花響から繰り出される技の一つ一つが絶唱並のパワーである事は言うまでも無い。そして、その突進を喰らった翼は屍の如き状態。つまりはそう言う事である。

 

「た、立花…何故このような事を…?」

「…私には戦う理由や覚悟なんて大層なものは無いかもしれません。だけどッ!私は戦えるッ!これ以上何も失わせない為にッ!」

 

 少女は立ち上がる、あらゆるものを取り合いつかみ取るその手を握り締めて。

 

「……そうか、お前は…」

「いい加減に気づきましたか!この頑固な防人め!硬いのはその胸部装甲だけにしてもらおうか!」

「おい、エックス。言ってはいい事と悪い事があるぞ(半ギレ)」

 

 ドスの効いた声を発する翼だが「だけど…」と付け加える。

 

「貴方も私を助けてくたのは事実、ありがとう」

 

「は、はぁーーー?な、何の事だか全然分からないんですけどーーー!勘違いして貰っちゃ困りますが貴方を倒すのはこの私謎のヒロインXなので!決して助けたとは思わない事ですねッ!」

「……あぁ、そう言う事にしておこう」

 

 血相を変え、声を荒げるヒロインXに対し翼は穏やかに対応する。

立花響とヒロインXの行動によって何か思う所があったのだろう。先程までの防人たる性格とは打って変わって丸くなったような印象となった。

 

 

「テメェ等、仲良しこよしのごっこ遊びをしやがって……!ここは戦場だぞッ!ふざけてんのかッ!」

 

 そこにノイズ達の残骸に埋もれていた少女が復活。その姿を表した。

 

「あ、下乳のバーサーカー!先程ノイズ達に巻き込まれた下乳のバーサーカーではないですか!まさか自力で復活を⁉︎」

「誰が下乳のバーサーカーだ!この程度の攻撃、完全聖遺物ネフシュタンの鎧には効かねぇんだよ!」

 

「その割に足が生まれたての小鹿のように震えてますが本当に大丈夫ですか?」

「うっせぇ!どいつもコイツも私を馬鹿にしやがって!もういい、テメェ等全員纏めて八つ裂きにしてやる!」

 

 再び少女が完全聖遺物のエネルギーを溜めて大技を放とうとする。響とXはそれに対し身構えるが驚愕の表情を浮かべる。

それもそのはず、彼女達の間をすり抜けて瀕死間近の風鳴翼が一気に接近し相手にしがみ付き、動きを封じたのである。

 

「翼さん!?」

「コイツの動きを封じている間に大技で決めるんだ!」

「で、でも……!」

 

「何考えてんだお前!頭がちゃんちゃら可笑しくなったか⁉︎」

「悔しい事に私の攻撃ではネフシュタンの鎧の再生能力に及ばない、だが、お前達の攻撃ならばコイツを倒せる筈だ!」

 

「ミス立花、彼女の思いを無駄にしてはいけません!やりますよ!」

「そんな、そんな事って……私、やっと翼さんと仲良くなれると思ったのに……!私、できません!!」

 

「立花……(感銘) 構うものかッ!私は死なない!やれーーーーッ!」

「そこまで言うなら分かりました!全力全開で行かせてもらいます」

 

「「「えっ」」」

 

 瞬間、ヒロインXの持つ西洋剣が光を放ち一条のビームとなり真っ直ぐ伸びる。

 

「……えっ、いや少しは遠慮したりしな───

「エックス…カリバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 光の奔流に呑み込まれる直前、風鳴翼はフッと後輩に後を託すように清々しい笑顔を見せ、心の中でとある事を呟いた。

 

──少しは先輩に対して躊躇ったりして欲しかったなぁ。

 

その日、眩い極光が夜を照らした。

 

 




この後SAKIMORIパイセンは入院した。あと下乳のバーサーカーは満身創痍で逃げた。

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