FGOのクリスマスイベントにてブラックプレゼントガチャを回し終えて満足。
と言うわけでプレゼント代わりの最新話をどうぞ。
血気盛んに燃え上がる勢いで人の波が押し寄せて行く、此処は歌女が立つ舞台。風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴのコラボステージが開催される特設会場だ。
そんな会場の前に4人の少女達が立っていた。
「遂に来た!来たわ!風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴのコラボステージッ!」
そう叫ぶのは新設されたリディアン音楽院一年生でありアニメをこよなく愛する女子生徒の板場弓美。その隣に立つのはそんな彼女と仲の良い安藤創世と寺島詩織そして小日向未来である。
「今回の秋桜祭の参考と思って来ましたが……」
「壮大過ぎて参考にならないねこりゃ」
「まぁ流石に比べちゃうと見劣りはしちゃうよね」
ドッと押し寄せる観客の波を前にしながら彼女等はキョロキョロと辺りを見渡していた。
「…で、そろそろ時間なんじゃないの?」
「それらしい姿は見えませんが……」
「集合場所は此処で合ってる筈なんだけどなぁ…」
そんな事を呟きながらスマホを起動させようとバックの中に手入れる…その瞬間、未来達に声を掛ける者が現れた。
「なぁ、そこの嬢ちゃん達。ちょいとばかし聞きたい事があるんだが良いかい?」
「あぁ、はい。一体何の用───ッ!?」
少女達は絶句した。彼女等の眼前に存在する人物、それは金髪のオールバックに黒を基調とした服にジャラジャラとこれでもかと付けられた金色の装飾。そしてそれを後押しするかのように装着した黒のサングラス。
近年稀に見る
「こッッッッ、これはまさかッッッ!?アニメ的演出で毎度お馴染みのナンパイベントッッッ!?」
「「「ナンパ!?」」」
「へ?」
板場弓美達は焦る。我々は女子高生だ、青春真っ只中の乙女だ。しかしリディアン音楽院は女子生徒しか居ない上に知り合いの男性なんて父を含めて片手の指で数える程の人数しかいない彼女達はパニックに陥る。
「ど、どうしよう!? 今を駆けるうら若きリアルJKの私等だけど男性への対処なんて分からないよッ!?」
「い、いや…何を言っt」
「お、落ち着いてユミ!こう言う時はほら、身近な男性を頭に思い浮かべれば問題無いって雑誌に書いてあったよ!」
「み、身近な男性と言われても父親かバイトさんくらいしか居ませんよそれ!」
「そ、それならバイトさんを頭に……あっ、駄目だ。この人頭に思い浮かべても恋愛関係については一切期待出来ない人だったッ!」
「くぅ、バイトさんめ…!エックスに関しての説明書を作るなら、こう言う時の対策マニュアルを作ってよね…ッ!」
後半から好き勝手言いたい放題されるバイト。そんな彼女達に「えーと」と呟きながら金髪の不良ファッションの男は言葉を発する。
「悪いけどよ…ちょいとばかし勘違いしてねぇか?」
「「「「えっ」」」」
金髪の男性がそう言った直後、その場に見覚えのある人物がやって来る。
「……何してんのさキミ等」
「「「「バイトさんッ!」」」」
そう、彼こそ此処で待ち合わせの約束をしていた東間媒人ことバイト君その人である。そんな彼に続く形で新たに三人の人物がその場に現れる。
「金時殿、やはりここは僕が行った方が良かったのでは…?」
「お、おう…確かにそうかもな…」
「いやぁ、面白いくらいに警戒されていたよねぇ。なーんか書き下ろしでいいネタにできそうな予感」
「ええ、ホント。街中で急に知らない人に話しかけられたおっきーにソックリでしたね」
「それ!掘り返さなくて!いいからッ!」
上から順に風魔、金時、清姫、刑部。バイトのクラスメイトであり友人でもある彼等が揃った所で媒人は溜息を吐きながら小日向達に向けて言葉を投げ掛ける。
「で、さ?ホント何やってたの皆して…」
『いや、男の人に話しかけられたから…』
「恋愛関係クソ雑魚かッ!いや、まぁ金時君も金時君でさ。人と話す時くらいはサングラス外そうよ…その外観だと完全に不良だからね?」
「う…そ、そりゃワーカーの言葉に一理あるけどよ…やっぱ、こう…女性と話す時って、緊張するジャン?」
((((意外にも
特異災害対策機動部二課の司令官。風鳴弦十郎とも引けを取らないその体格とのギャップに戸惑いを感じつつも、板場弓美は申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「そ、その。さっきは変な事言ってすみません…」
「ん?おぉ、気にする事はねぇさ。数週間後もすればオイラ達ァ同じ釜で飯食う仲間も同然。無理に敬語なんか使う必要はねぇよ」
「お、気前良いねぇ。流石はトッキー!」
「と、トッキー?」
「金時だからトッキー。良いでしょ?」
安藤による愛称付けに困惑する金時。隙を見せた瞬間に懐に入り込まれるボクサー顔負けのフットワークの軽さを見せ付ける彼女を他所に刑部は不満そうな表情を露わにする。
「むぅ、姫的には"おっきー"と被ってる感じでなんか嫌ですー。ネーム改変を要求しますー」
「こっちの人は無視して構いません。私の名前は清姫と申します」
「あ、はい。私は寺島詩織と言います。バイトさんから伺っておりますわ」
「私の!扱いが!雑!!いや、それはさて置いて。この子…私には分かるッ!かなりの
「ひ、姫パワー…?」
「気にしなくて良いですよ寺島さん。
そんな談笑を繰り広げる少年少女達。その一方でバイトは小日向未来に疑問を投げ掛けていた。
「一応聞くけど、今回の目的しっかり覚えてる?」
「勿論ですよ。今回の秋桜祭のコンテストの参考としての視察ですよね」
「覚えてるならよろしい。俺達は数週間後に始まる文化祭に向けて各々の高校からの代表!……の
新設されたリディアンと東間媒人の通う高校。それ等が共同運営を行う事となった秋桜祭。そんな文化祭に於いて最も重大なビッグイベントである歌手のコンテストに向けて彼等はこのスペシャルライブステージの視察及び会議を行う事となっている。
そんな最中「あのー」と寺島が挙手した。
「あのー、翼さんはスケジュール的に難しいって事で分かりますけど。そちらの代表者については…?」
『あー……』
するとバイト達が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた後に呟き始める。
「いやぁ、本来はうちの生徒会長も来る予定だったんだけどね。色々と込み入った事情で来れなくて…」
「込み入った事情ですか?」
「海」
「は?」
バイトは小日向達が「何言ってんだコイツ」と言う表情を浮かべているのにも関わらず言葉を続ける。
「あの生徒会長何をトチ狂ったのか『寒い時期になると海では実に美味しい幸が取れるらしいじゃないか。と言う訳でこれから私は一潜りして来るよ』と海に赴いたまま行方不明に…」
『何してるのそっちの生徒会長ッ!?』
「生徒会長だからな…」
「生徒会長ですから…」
「あの人だからなぁ…」
「流石は行動力の化身…」
「まぁ、でも保護者的な存在が捜索しに行ったから明日辺りには戻って来てると思うけどね」
一方その頃。
「はははは、見てくれカイニス!ナマコだ!ナマコが沢山居るぞ!」
「キリシュタリアお前!服のまま冬の海に飛び込もうとするんじゃねぇぇええええええええッ!」
閑話休題。会場前に集う少年少女達だったが、彼女等を呼びかける声がそこに響く。
「おーーーい、こっちだこっちーーー!」
呼び掛ける声の方向へ視線を向けると、そこには朱色の髪を後方に纏め上げ伊達眼鏡を掛けた女性が立って居た。
「……あれッ!?ま、まさかあのお方ははははははは!?」
そう、彼女の名は天羽奏。簡潔に言うと話題沸騰の有名アーティストである。
「ほっ、ほほほほほほほほ本物のつぅばっ!?つばばっ、ツヴァイウィング!?」
「おっ、お前等バイトの友人か!私、天羽奏な。今回のステージにはコンディション不完全だから見送りになってなぁ…あーあ、出たかったなぁ」
「ばっ、ばばばばば!バイちゃん!?ホントのホントーーーに天羽奏サンと知り合いだったのッ!?」
「そうだよ。前から言ってたじゃん」
「そんなの戯言にしか聞こえないからねッ!?」
「戯言とはなんだ戯言とは(半ギレ)」
「まぁ、僕の場合はマネージャーの人とは前々から知り合いだったので知っては居ましたが……」
「小太郎君!?」
「アッハハハハ!バイトに負けず愉快な奴等だなぁ」
目の前で広がる光景に思わず笑みが浮かぶ天羽奏。そんな彼女の背後からもう1人、青髪の女性がマントを羽織ってやって来る。
「どうしたの奏?そんな笑って」
「お、翼」
「ォアーーーーーーーーーーッッ!(汚い高音)」
※↑刑部です
翼と言われれば誰しもが知るであろうアーティスト。ツヴァイウィングのもう片翼にして今宵の主役と言っても過言では無い人。それこそが風鳴翼本人である。
「もうマヂ無理ィ…」
「おっきーが倒れたッ!」
「翼さんのオーラに身を灼かれたんだ!」
そんな超が付く有名人を前に断末魔を上げた刑部は日光を浴びた吸血鬼の如く、真っ白な灰へと化す。
「ふふふ、いやはや困ったモノだな。常在戦場を心得る私がこうも影響してしまうとは。かーっ、辛いわー。有名アーティストで辛いわーっ」
(チョーシ乗ってるなぁこの人)
常在戦場の概念が崩れている上に天狗鼻と化した風鳴翼。最近の彼女はありとあらゆる業界に引っ張りダコ。芸能界と言う名の鉄火場に身を立たされても尚、側には復活したリアル奏とここ数年に渡り常に己を支えてくれたエア奏。
奏が2人…あれ?これ無敵じゃね?ダブル奏ならもう何も怖いもの無くね?
そんなこんなで気分の絶好調の頂を歩んでいる風鳴翼は自身の熱狂的ファンであるバイトに声を掛ける。
「いやー、楽しみだろう?私の歌女の姿を心待ちにしていたんだろう?そうなのだろう?」
「いや、別に?」
!?
突如として世界が凍てついたように停止した感覚が訪れる。たった今、バイトの口からは出されない筈の言葉が発せられた気がする。
「……そっ、そう言えば!歌姫マリアさんとの共演をするとの事ですがどう思いますか翼さんッ!」
刹那、有能なNINJAムーブで話題を転換させる風魔小太郎。そのチャンスを掴みとる為に、この冷めた空気を何とかする為に皆は話題を盛り上げようとする。
「あ、ああ。私としても世界のアーティストと共に歌い紡ぐ事を嬉しく思う」
「おお、流石は翼さん!これは負けてられないですね!」
「確かにな。彼女とは仲良くなれそうな気がするが今宵の主役を譲るつもりは無い。全身全霊!真っ向で受け止めよう!」
「だからと言って風鳴さんがマリアさんに敵う道理にはならないだろうけど」
!?
再び世界が静止する。これで二度目の東間媒人による問題発言。しかもいつもは翼さん呼びなのに何故か苗字で呼んでいる始末。
そんな止まった時を壊すかのように、ゴールデンボーイこと金時は彼に向けて言葉を投げ掛ける。
「ちょ…ちょいといいかい?ワーカー。お前さんの最近のトレンドは───」
「マリア・カデンツァヴナ・イヴ(即答)。やっぱり時代はピンクだよねー、青はオワコンだよオワコン」
「ああああああああああああッ」
風鳴翼発狂。あまりのショックによりその場から崩れ落ちて行った。
「お、おい!どうしたんだ急にッ!?どこか頭でも打ったのか!?」
「バ、バイトさんしっかり!貴方は風鳴翼ガチ勢だった筈ですッ!正気に戻ってくださいッ!」
そんな状況を黙って見ている筈も無く、天羽奏と小日向未来が左右からバイトを揺さぶり始めた。きっと色々と弄っていれば戻るだろうと言った根拠の無い自信を胸に秘める2人。
しかし悲しいかな。東間媒人は「あばばばばばば」と左右から来る重力に翻弄されるだけで終わり元の翼さんLOVEの性格に戻る言葉無かった。
「やっぱりおかしいですッ!…まさか病気ッ!?」
「まさかアニメ的なヤツでありがちな…偽物とすり替わってるパターンとかッ!」
「なんだと、おのれ
「俺をなんだと思ってるんだ(半ギレ) 端から義足の方で踵落としブチ込むぞ?」
青筋を立てながらそう言うが無闇矢鱈に手を出さない部分を見るとどうやら本物で間違い無いようだ。
それもその筈、人間誰しも相手に対して急に暴力で訴えるようなシステムが組み込まれている訳では無い。人と人とは通じ合えるのだから、傷付ける必要は無いのだ。
「このバーローッッ!!」
「痛ッ!?」
前言撤回此処に1人無闇矢鱈に相手を傷付ける人が居た。その者の名前は天羽奏。彼女は己の拳をバイトの顔面へ振り抜いた後、ガッと胸倉を掴み掛かる。
「お前はこれから先ずっと翼一筋だった筈だろッ!なのに、こんな鞍替えして良いと思ってんのか!?
「え……そんな事言われても好きなモノを好きになる事は人の自由ですよね?自分の好きを相手に強要するのって良く無い事だと思うんですけど」
「…あ、うん。確かにそうだけど……」
((((((((逆に説かれた…ッ!?))))))))
まさかの正論によるカウンターに奏はぐうの音も出ない様子を見せる。そんな事をしている間にヨロヨロと立ち直りかけた翼はバイトに向かって言葉を切り出した。
「ま、待て!待ってくれ!そ、それでも…わ…私に何か言う事があるんじゃないのか…ッ!」
「んー、言う事、言う事……あぁ!」
「マリアさんの足引っ張るのはやめてくださいね?」
『バイトォォーーーーッ!?』
口から飛び出た辛辣な言葉にその場の全員は騒然とする。その直後、翼の心にグサリとしたものが突き刺さり再び地へと倒れていった。
「グフッ」
「翼さんが倒れたぞ!」
「バイトさんの心無い発言にショックを受けたんだ!」
「つ、剣たるこの私が今此処で折れるワケには……」
「うっさいぞ自称TURUGIの色物系アーティスト。一変焼き直しして貰ってから出直して来い」
「おああああああああああ」
『
▼▼▼
「あーーん…これよッ!これだわッッ!」
燃料供給ヨシ!
F.I.S.所属の私がこの芸能界に足を踏み入れた理由は月の落下阻止からの人類救済。決してケータリング目的でアーティストをやっている訳では無い……うん、そうよね?目的と手段入れ替わってないわよね?
まぁとにかく。武装組織フィーネの一員としての運命を定められた私は今から楽屋にお邪魔して、その筋では有名なSAKIMORIとNINJAに顔合わせをする所。敵とは言え挨拶はしないと失礼だから仕方ないわよね。
それに今の私はケータリングの力で高飛車となった(気がする)歌姫マリア。そんな人達に私は決して負けはしないわッ!
「邪魔するわよ」
そう言って楽屋に入ると少し驚いた様子の風鳴翼とそのマネージャーの緒川慎次。フフ、いいわ。今の私輝いているわ!このまま攻め込むわよッ!
「今日はよろしく。精々私の足を引っ張らないで頂戴ね」
「一度幕が上がればそこは戦場。未熟な私を助けてくれるとありがたい」
そう言って手を差し伸べて来る翼に私も手を出して…あっ、待って ごめん無理。美味しい物食べてその気になっていたけど緊張でお腹が痛くなって来た。
「続きはステージで。楽しみにしているわよ」
精神的な限界に到達しつつある私は表情筋を固定させたまま、その場を後にして───
「あ、少々待って欲しい。共に歌う前に一言伝えたい事が」
え、私に伝えたい事?…な、何よこの剣。意外と礼儀がなっているじゃない。それに挙動の一つ一つがしっかりしているし悪い子じゃないのかも?……それ以前に私の方が悪人なのだけれどね。
おっと、演技を忘れないように…と。
「あら、私に?まぁ良いわ。私に一体何を伝えt
「お前を殺す(殺意)」
「!?」
え、殺───え?えっ?…え!?
「引き留めて悪かった。もう大丈夫だ」
「そ、そう?それじゃ……」
そのまま楽屋の扉を閉める私。先程の光景に廊下で茫然としているとトタタタ…と駆けて来る2人分の足音が響いて来た。
「マリア応援に来たデスよ!」
「はいこれ。差し入れの紅茶」
「あぁ…ありがとう切歌。調」
「いやぁ、それにしても凄い数の観客デスよ…えっちゃんも来れば良かったのデスが…」
「切ちゃん、えっちゃんは真の主役。そう簡単に外には出れない」
「うむむ、分かってはいるのデスが……」
そう目の前で呟く2人。ふふ、やっぱり可愛らしいわね。なんかSAKIMORIに変な事を告げられたけど恐れる事は無いわ…!
「さぁ、2人共準備して頂戴ッ!世界最後のステージの幕が上がるわッ!」
「遂に…!」
「合点承知デース!あんな自称防人アーティストなんかコテンパンに叩きのめしてやるのデース!」
「ごめん。それ無理。ぜったいむり」
「「マリア!?」」
私、作戦が始まる前から心が折れそう…助けてセレナッ!
『姉さん…私、出番が欲しい…(幻聴?)』
「はっ、セレナの声!?まさか私に力をくれようとしているの…!?」
「突然ですが悲しい知らせです」
「またマリアがセレナの幻覚を見てるデース」
『そうだよ姉さん。でもあまり人様の迷惑になるような事は控えt「ええ分かってるわセレナ!例え世界を敵に回そうが私は悪を貫くッ!行くわよ2人共───ついて来れるかしら?」えっ』
「無論デース!(疲れてるんデスね…)」
「いつでも準備万端(可哀想に…)」
『やっぱり聞こえてないのかぁ…(たぶん幻聴)』
…なお、この数時間後。
「遂に本性を表したかこの女狐ェーーーーーッ!」
「助けてセレナーーーーーーッ!」
再びSAKIMORIの恐怖を味わい心が折られそうになるのは言うまでも無い。
この世界のマリアさんは