未知との遭遇〜アルトリウムを添えて〜   作:ゴランド

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 読者の皆さん、明けましておめでとうございます。グランド☆カーニバル面白かったし、新年早々のイベントが復刻版セイバーウォーズⅡだし、村正とオリオン(超人)は当たるしで今年は良い年になりそうです。
と、言うわけで作者からのお年玉代わりの最新話をどうぞ。

…あっ、念の為にキャラ崩壊注意です。



22話 復讐の天羽々斬

 時刻は陽が地平線の彼方へ沈んだ頃『特異災害ノイズ』人類の敵がライブ会場内にて観客達を逃すまいと"不自然に"出現したのである。

 

「私達はノイズを操る力を持ってして この星の全ての国家に要求するッ!……そして」

 

 それは唐突に終わりを告げ、始まりを鳴らした。マリア・カデンツァヴナ・イヴが発した世界に向けての宣戦布告。己がノイズを操る術を持つと豪語しただけでなく、その歌を全世界に向けて奏でた。

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl…!」

 

 それは黒く、強く、麗しく。何者をも貫き退ける絶対絶当、勝利を齎す絶槍……ガングニール。歌姫は装者へ姿を変えると星上に存在する全ての人間に向けメッセージを贈る。

 

「私は、私達は『フィーネ』!終わりの名を持つ者だッ!」

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

「あ、ありのまま起こった事を話すわ…ッ!私達はライブを観に来てたと思ったら、ヒーローショー的なのを観に来ていたッ!何を言ってるか分からないと思うけど私も何が起きているか分からないッ!」

「落ち着くんだおっきーさん」

 

 半ば錯乱状態のおっきーを鎮めるが、会場内で巻き起こる混乱は落ち着く気配は無かった。

 

「デンジャー…、こりゃヤベェことになっちまった…」

「一体全体何がどうなってるのよこれ〜〜〜ッ!何で会場に"ノイズ"が出現してるの〜〜〜〜ッ!」

 

 VIP席の金時君に板場さんも目の前の事態に驚きを隠せない。けど、それはコチラも同じ事だ。

 

「バイトさん…アレって…!」

「…確証は無い、けどあの形状は立花さんと奏さんが纏うギアと同じ…ガングニールッ!」

 

 解せない。何故ここに来て新たなガングニールが登場してくるんだ!?事情を深く知る俺と小日向さんでもこんな事を予想出来ただろうか?と言うかマリアさんが装者って想像出来る訳無いだろッ!

 

「…そうかッ!そう言う事なのねッ!」

「「板場さん!?」」

 

 えっ、何が分かったの板場さん。君ってそんな深くシンフォギアシステムについて知ってる訳じゃないよね?

 

「いいえ分かるわッ!アニメなら此処から第2(セカンド)シーズンに突入する場面ッ!アイツ(立花響)と同じ力!きっと何処ぞの組織がそっくりそのままコピー的な流用で作り上げたに違いないわッ!」

「な、成る程ッッ!言ってる意味はよく分かりませんが浪漫を感じますッッ!」

「でしょ?」

 

「…どうしましょう。この方々が何を言ってるのかサッパリ分からない清姫です……バイトさん、説明お願いします」

「政府的なコンプライアンスに関わるのでダメです」

「ホント何が起きてるんですかッ!?」

 

 うーん、とりあえずVIP席に居る皆(小日向さん以外)は役に立たないなこれ!

 

「…とにかくアレは櫻井フィーネさんが横流しにした技術からシンフォギアシステムを作り上げた第三のガングニール…いや、正確にはもう一つのガングニールと言った方が正しいのかもしれない」

「奏さんのとは別の純正のガングニール……」

「立花さん達の纏っているものとは色々と違う部分があるね…マント羽織ってるし」

「確かに響は相手を傷付けたくないって言う深層心理に影響して素手らしいですし…でもなんでマント羽織ってるんでしょう?」

 

 それは俺にも分からん。でもまぁ今の所分かるのはあの歌姫マリアさんは相当な手だれだと言う事だ。

 

「加えて美しさと華麗さ、格好良さ共にマリアさんが上と見た。マント羽織ってるし」

「いやいや、響の方が上ですよバイトさん」

「いやいやいや、マリアさんが一番に決まってるよなぁ小日向さん」

 

「は?(半ギレ)」

「あ?(半ギレ)」

 

 ははは面白い 表に出ろ。マリアさんの良さを骨の髄にまで教え込んでやる。

 

「ちょっとぉぉぉ!身内争いしてる場合じゃないでしょ!」

「はーい、姫的に板場ちゃんに賛成でーーーす!こんな所に居られるかッ!姫はお家に帰ってゴロゴロさせて貰うわッッ!」

「いけません刑部殿ッ!それは"死亡フラグ"と言うモノです!」

 

 そんな事を口走りながら風魔君の制止を振り切りVIP席室内から出て行こうとする彼女。しかし

 

「うわぁっ!? な、何この大人数はッ!?」

 

 扉を開けた瞬間、視界に飛び込んで来たのは会場内で荒れ狂う人の波。ノイズ発生により混乱した人々が外へと逃げようとしているのだろう、凄まじい熱気が起きている。

 

「落ち着け!こっちに並ぶんだッ!」

「か、奏さん!」

 

 そんな人混みの中で天羽奏は1人、混乱する人々に対して率先して避難誘導を行なっている。数年前に起きたコンサートの悲劇。あれと同じ事なんてさせるものか!

そのような意思を込め彼女は今出来る事を行うのだ。

 

「お前等、ここは痛ッ!?私に任s痛ぁ!?早く避難しtだだだだだ!?」

「奏さん!?」

 

 そんな彼女だったが思ったより苦戦してる。頼りになる筈の古参装者は次第に人の波に呑まれ……

 

「ちょ、助け…あ゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛──……」

『奏さぁぁぁん!?』

 

姿が見えなくなってしまった。

数分が経過する頃には何故かマリアさんが人質を解放し、人混みも先程のものと比べて嘘のように少なくなっていく。

 

「………」

 

 そして、目の前には人混みによって押し除けられ踏み台にされボロ雑巾のようになった奏さんの姿が……信じられるか?こう見えてこの人、日本の有名アーティストなんだぜ?

 

……い、いやそんな事よりもッ!

 

「奏さん!しっかりしてください奏さんッ!」

「はぁ…っ、はぁ…っ!な、なんて声出してやがる…バイトォ…」

「だって…!」

「私は…ツヴァイウィング天羽奏だぞ!こんくれぇなんて事はねぇ…ッ!」

 

 強がる奏さんだが、その弱々しい様子から残り僅かの命だと理解するのには十分だった……そんな彼女に小日向さんは目に涙を浮かべ沈黙を破る。

 

「そんな、私達なんかの為に……」

「いいから行くぞ…翼達が待っているんだ…ッ!」

 

 彼女は前へと進む。例え何があろうとも止まる事を知らない。その先に進む限り道が切り拓かれるのなら、前へ前へと足を動かすのみだ。

自分達に居場所は必要無い。ただ進むだけで良いんだ……!

 

「だからよ、止まるんじゃねぇぞ……」

 

倒れ力尽きる少女、そこには確かな希望の華が咲き誇っていた─────

 

 

 

 

 

 

 

『はい。と言う訳で私死んだわ』

「 はい じゃないが」

 

しかし、いつも通りの光景だったので特に悲しむ事は無かった。

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

 突如として現れた武装組織フィーネ。国土割譲の要求。24時間以内にその要求を呑まなければ各国の首都にノイズを嗾けると言うものだ。

しかしマリア・カデンツァヴナ・イヴ。彼女の人質の解放に装者の1人である風鳴翼は疑問を抱かずにいられなかった。

 

「会場のオーディエンス諸君を解放する。ノイズには手出しをさせない、速やかにお引き取り願おうか」

「……何のつもりだ」

「人質と言うのは私の流儀に反するのよ、それでも私と戦わないと言うのならばそれは自分の保身の為」

 

 不適な笑みを浮かべながらマリアは"天羽々斬"の適合者に向け言い放つ。

 

「所詮貴方はその程度の覚悟しか出来て無いアーティスト気取り──「本性を表したな女狐ェーーーーーッ!」えっ?…えええええええええええええええっ!?」

 

 しかしその一言が風鳴翼の逆鱗に触れたッッ!

言いたい放題言って来るマリア・カデンツァヴナ・イヴ。そんな相手にファンが攫われた屈辱にSAKIMORIの血を煮詰めた跳ね馬が疼き昂らせ彼女を突き動かしたのである。

 

杖を刀の如く振るって来た翼に対しマリアは内心ビビりながら口を開く。

 

「ふ、ふん!中々やるじゃないの!けどそんなチャンバラ杖で私に敵うとでm」

 

パキン(杖が真っ二つになる音)

 

「えっ……えっ?(二度見)」

 

 ガングニールを纏うマリアは己の手の内にある杖(だったモノ)と相手が持つ杖らしきものを見比べる。よくよく見ると風鳴翼が持っている杖は鈍い銀色に輝き鋭利なフォルムをしており、それはまるで刀のような……と言うか思い切り刀だった。

 

「こんな事もあろうかと、マイクに刃を仕込んでおいたのだ」

「何を想定してこんな事もあろうかとッ!?」

 

 楽屋の挨拶にて告げられた最後の一言(お前を殺す宣言)。あれは冗談抜きの言葉だったの!?と今になってSAKIMORIに対する恐怖がぶり返して来た。

 

「くっ、良いのかしら風鳴翼ッ!オーディエンスの前でこんな醜態を晒して!(震え声)」

「風鳴翼……否、今の私は風鳴翼に非らずッ!」

諧謔(かいぎゃく)をッ!それならば貴様は何だと言うのッ!貴方の名は何だと言うのッ!(震え声)」

 

 その問いに応えるかの如く何処から出したのか、手に取った仮面を己が顔に被せる翼。そして彼女は己の名前を堂々と叫ぶ。

 

「我が名は怒りによって目覚めし復讐の『防人アイランド仮面』ッ!」

「防人アイランド仮面って何!?」

 

 そんな呆気に囚われるマリアを他所に「イヤーッ!」と翼は刀を手に攻撃を行う。

 

「待ちに待って望んだ合法的に殺れる千載一遇にも等しいこの機会ッ!これを逃す程、今の私は華奢では無いッ!!」

「ちょっ、待って!? いやホント待って!?」

 

 あちらのペースに呑まれ素が出てしまっている歌姫。そんな彼女は使い物にならなくなった獲物を捨てると外套を盾のように扱い振われた刃を防ぐ。

 

「ふん、たかが仕込み刃ッ!ギアを纏ってない貴女が私に勝t「防人ビーーーーーームッ!!」えっ」

 

 刹那、剣から放たれた青白い光線が黒いガングニールを纏う女性の頬を掠める。ギギギギと首を動かし後方で焦げた痕跡を見て"マジモンのビーム"だと理解させられた。

 

「ビ、ビーム!?剣からビーム出した!?え、なに?どう言う事ッ!?霊長類ってビーム出せる種族だったりするのッ!?」

「知らぬのならば冥土の土産に教えてやろう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「風鳴家は代々、ビームを撃てる一族だッ!」

そうなのッ!?

 

 今発覚した衝撃の事実に驚きを隠せないマリア・カデンツァヴナ・イヴ。真に警戒すべきはその筋で有名とされていたSAKIMORIではなく、そのSAKIMORIの中でも特異的な存在であるKAZANARI一族だったのだッ!

 

「行くぞッ!防人ビームッ!防人レーザーッ!防人ブラストッ!愛と怒りと悲しみの防人フィンガービームソーーーーーードッ!!」

「何故そこで愛と怒りと悲しみッ!?」

 

 ヴゥン!バギュゥン!ズバババンッ!と現実からかけ離れたSF的なSEを鳴らしながら激闘を繰り広げるアーティスト達。

そんな最中、マリアは己が心の内で弱音を吐きまくっていた。

 

「くっ、その程度で…!(無理ッ!無理よマム!こんな猪突猛進なやばい奴を相手にするなんて無理よマムッッ!)」

 

 

 

 

『もうやめよう?姉さん』

「ッ!? この声はセレナッ!」

 

 そんな彼女の頭の中にかつて在りし妹の声が響く。

 

『こんな事は姉さんだって望んで無い……もうやめよう姉さんッ!』

「セレナ………」

 

 優しき少女の声。誰も傷つけたく無いと言う彼女の願いをマリア・カデンツァヴナ・イヴは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうよねセレナッ!私頑張るわッ!」

『姉さんッ!?』

 

 なんとポジティブシンキングで折れかけた心を元に戻したッ!ちなみに元から妹(?)の声は聞こえてないので実際はただの思い込みだったりする。

そんなプラシーボ効果でパワーアップしたマリアは怒涛のビームを放って来る翼に反撃を行った。

 

「食らいなさい!これが悪を貫く私の必殺の一撃ッ! 激震のマリアキック!!」

『姉さんのネーミングセンスがッ!』

 

 酷い名前から繰り出される歌姫マリアによる蹴り。しかし彼女達は失念していた。シンフォギアを纏う事で身体能力は大幅に上昇、その状態で人を蹴ればどうなるか?

 

「ぐぁああああああああああ!?」

『「あっ」』

 

 こうなる。激震のマリアキックにより大きく吹き飛ばされた翼。その先にはノイズ達が存在。中継されているモニターにも宙で舞う翼が報道。

このままではお茶の間に置いてある液晶テレビにデカデカと『しばらくお待ち下さい』の文字が出されてしまう事だろう。

 

……その瞬間、世界中で中継されていた筈のモニターが全て途絶えた。

 

「ッ!? モニターが……まさかッ!」

「決別の時だ、歌姫である私と─── Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

 聖詠が響き光に包まれる。己が獲物である太刀(アームドギア)を手に目の前に現れたのはシンフォギアを纏い般若の面を被った風鳴翼だった。

 

悪魔(デーモン)ッ!?」

「否、言った筈だ。私は怒りと復讐によって新たに生まれ変わった存在……『防人アイランド仮面アヴェンジャー』だとッ!」

「いつの間にかアヴェンジャーが追加されているッ!?」

「まぁそう言う訳だ。地獄に堕ちろォォ!」

 

 仮面までもが変化する程に復讐の炎を燃やす翼。それが具現化したように二振りの剣を繋げ回転。ノイズを巻き込みながら紅蓮を纏うSAKIMORIはフィーネを名乗る者に向かって突き進む。

 

風輪火斬

 

「フンッ、そんな見え見えの攻撃で私に当てようとでも…ッ!?」

 

 そんなマリアだったが突如として身体が動かなくなる。まるで針金でガチガチに縛られたが如く指先一つ動かせない状況に彼女は困惑する。

 

「う、うごかな…い…ッ!? 一体、なにが……ッ!?」

『へっ、フィーネを名乗って好き勝手とはな。そこまでにして貰うぞ』

 

 マリアに襲い掛かった金縛りの正体、それは天羽奏(幽体)によるものだった。幽体で生身の人間に干渉する事によって影響を与える事が可能。ちなみに会場内の廊下の方でノックダウンした身体はバイト達に任せてるのでいつのまにか処理されている事は無い。

 

『さぁ、やっちまえ翼ぁーーーーーッ!』

「死ねぇッ!そしてあの世で私に詫び続けろマリア・カデンツァヴナ・イヴゥゥゥウウッ!」

 

 最早どちらが正義か悪か分からなくなって来た状況。幽体で羽交い締めを行う奏が「やれぇぇえ!」とある意味での魔貫光殺砲的場面を再現していると…

 

『駄目ぇッ!』

『な、何ッ!?』

 

「っ! 金縛りが解けたッ!? 今よ離脱ッ!」

「小癪なぁ!」

 

 奏(幽霊)の横からセレナ(幽霊)が割り込む事により拘束が解け、焔の剣が放たれる直前に回避。マリアは窮地に一生を得たのである。

 

『…驚いたよ。まさか私と同じ亡霊で装者とはなッ!』

『貴方が誰かは分かりません……けどッ!マリア姉さんは私が守るッ!』

 

 事態は更なる進展へ向かう。一対一のアーティスト対決から二対二のアーティスト&幽霊による混合バトルが開始された。

 

「同じタイプの幻想亡人(スタンド)か…面白いッ!」

「スタ…え、なにそれ?」

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!』

『マリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリマリッ!』

 

『オラァ!』

『マリア姉さんッ!(掛け声)』

 

 絶槍と蒼刃が交わる。撃槍と白閃が重なる。人と人、霊と霊、装者と装者。あらゆる意思がぶつかり合う此処は戦場(いくさば)

 

「たかだか仮面を被ったくらいでッ!」

「そのたかだかを舐めないで貰おうッ!防人拡散ビーーームッ!」

 

 シャワーのように降り注ぐ光線。マントを傘のように見立て攻撃を防ぐ事でその場を凌ぐ……しかし、その隙を逃す程 今の防人は優しくはなかった。

 

「ようやく捕らえたぞッ!」

「がっ…しまった!?」

 

 なんとマリアの背後に忍び寄りチョークスリーパーを仕掛ける風鳴翼。これが防人の姿か……?

 

「侮ったなッ!もはやこれ以上の蛮行は見過ごす事は出来ない。それに加えて………私の身近なファンを寝取るなど…万死に値するッ!」

「いや何の話ッ!?」

 

 加えて身に覚えのない話をされるマリア。もう色々と不憫である……そんな時だ。

 

「ぐ、う…あっ!?」

「えっ、何!?何なの!?チョークスリーパー掛けた状態で呻き声出してどうしたの!?これも何かの作戦!?」

「首が……ッ!?」

『姉さんは私が守るッ!』

 

 翼に起きる異変。それは幽体であるセレナ・カデンツァヴナ・イヴが引き起こしたものであった。このまま姉妹のコンビネーション?によって形成は逆転する……かのように思えた瞬間、そのセレナの様子が一変する。

 

『かっ……⁉︎ま、まさかッ!』

『翼に手を出させるかよッ!』

 

 何と天羽奏もチョークスリーパーの列に参戦。相方である翼の為に身体を張る彼女は例え相手が自身より小さな少女だろうと容赦しない。

……だが、そんな奏さえも表情が苦痛に歪む。

 

『ッ!? く、首が絞められて⁉︎一体誰が…ッ!?』

 

 背後を振り返る奏。そんな彼女の後ろには金色の瞳をした全体的になんか青っぽい装飾の男性が存在していた。

 

『悪いがコレ以上させるつもりは無い』

『いや誰だァァァァッ!?どさくさに紛れて知らない青髪の男が混ざってるんだけど誰だお前!?』

『許してくれ、フィーネ…クッ!』

『いや、クッじゃねーよ。つーか謝るなら私に謝れッ!』

 

 突如として現れた謎の青髪の男性。誰だこの人?

本気と書いてマジでとルビ振るくらいに見覚えの無い人物に対して困惑する奏だったが、そこにセレナが助け舟?を出した。

 

『この人は私のスタンドのエンキさん!何故か記憶を無くしてるらしくて良くお話相手になってくれるの!そうでしょ?エンキさん』

『すまないフィーネ…!』

『おい、本当に通じてるのかコレ!?と言うかスタンドのスタンドって余計ワケ分からなくなって来たぞッ!』

 

 バイト君が見たら卒倒しそうな程にカオスな光景。そんな面白可笑しいチョークスリーパーによる長蛇…長蛇?うん。多分長蛇の列が並んでいる最中、音が響く。

 

ギャ ギャリ ギャリ ギャリ ギャリ!!

 

「む、なんだこの音は?」

「コレは……まさかッ!?」

 

 音が響く方向、そこに視線を向けると翼達と同様にシンフォギアを纏う新たな装者2人。桃色の特大車輪を走らせ地面に碧色の巨鎌を擦り付け削りながらコチラに迫り来る光景が広がっていたのである。

 

「"待"ってたデスよォ‼︎この"瞬間(とき)"をよォデス‼︎」

「切ちゃん、鎌を地面にガリガリさせるのは危ないよ」

 

「増援だとッ!?」

「フ、私1人かと思ったかしら? 残念だったわねッ!武装組織フィーネは私1人ではn───」

 

ゴシャァッ!!

 

「「ぐふぅッ!?」」

 

 直後2人纏めて轢かれた。もう一度言おう。

翼とマリア両方一辺に纏めて巨大な車輪に轢かれたのである。

 

そんな味方からの攻撃を受けたマリアだったがヨロヨロと自身のアームドギアである槍を杖のように使いながら立ち上がる。

 

「…ぶ、武装組織フィーネは私1人では無いのよ……ッ!見たかしら?これが私達の…チームワークよッ!」

「チームワーク…だと…ッ!?」

 

 風鳴翼は衝撃を受ける。己が身を犠牲にしてでもダメージを与えるその様は防人を体現している。防人ってる、実に防人ってるぞマリア・カデンツァヴナ・イヴ!

そんな新たな敵の増援である暁切歌と月読調を前に風鳴翼は地面を這い蹲る事となった。

 

「形成逆転とはこの事デスッ!」

「……チームワーク?」

 

 自分の知ってるチームワークとなんか違うと思った月読調。しかし今更茶々入れるのはどうかと思ったので黙ってる事にした。

……そんな武装組織フィーネの戦闘メンバーが揃い、風鳴翼への逆襲が始まろうとした時。

輝く星空、その中で一層に煌めきを放つ光が流れた。アレはなんだ?星か?墜落中の飛行機か?いや……ッ!

 

「謎のヒロインXだッ! 新年早々奥義にて行かせて貰うッ! エ…ク…ス…ッ!」

 

「上だとッ! まさか落下中に攻撃を仕掛けるつもりッ!?」

「フ、侮ったなフィーネを名乗るアーティスト気取り。貴様等に仲間が居るのと同じように私にも心強い頼れる仲間達が存在すr」

 

「カリバァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

 刹那、特大の極光が会場に向かって降り注ぐ。まるで地盤すらも撃ち抜かんばかりに放たれた星光の剣は……

 

あああああああああああああああああああああああああああああああッッ!?

 

 見事に会場内に居た()()に命中した。そう、味方である翼を含めた全員である。

敵ごと味方の背中を纏めて撃ち抜いた惨状となったステージ。そこに降り立ったX(エックス)はそれを確認すると

 

「……ヨシ!」

 

 何故か誇らし気な顔をしていた。

 

「……こ、こいつ…ッ!味方ごと攻撃して来やがったデスよッ!?」

「い、いえ…違うわ! 恐らくコレは味方が耐えられると判断しての範囲殲滅攻撃ッ!」

 

 マリアは自分達と会場内のノイズを一掃する為に敢えてエクスカリバーによる攻撃を行った…否ッ!行わせたのだと考える。それに応えるかのように翼は己が獲物を杖のように扱い、ヨロヨロと立ち上がる。

 

「フ、そう言う事だ。我々のチームワークを舐めないで貰おうか。そうだろう?エックス」

「…その通りですとも(チッ 生きてやがりましたか)」

「んん? なんか含みのある言い方だが…まぁ、気にする事では無いな」

 

「あれが…二課のチームワーク……ッ!?」

「これは、トンデモな奴等が相手になってしまったデェス」

「……チーム…ワーク…???」

 

 チームワークとは?そう疑問に思った月読調だが何も言わなかった。彼女は空気の読める子なのだ。

その最中、上空からバラバラと腹の底を震わせるような重低音が響いて来る。その正体は二課が保有する専用のヘリコプターだ。

 

「二番手行きますッ! う、おりゃぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああッ!」

 

 そう叫びながら出て来たのはガングニールのギア所有者にして融合症例の立花響。彼女はヘリから飛び出すとそのまま鉄火場に向かって降りて行った。

 

 

 

……ヘリから垂らされたロープを伝いながら。

 

「「「声に反して降り方が丁寧ッ!?」」」

「いやぁ足を挫くのが怖くて……」

 

 今の今まで高い所からの着地は危険だと学んだのか、何時(いつ)になく慎重な様子を見せる立花響。そんな懸垂下降を見せる響だったが、その場に居た風鳴翼を見て「あっ」と口を開く。

 

「あっ!防人アイランド仮面さんじゃないですか!お久しぶりです、また会えて光栄ですよ!その般若っぽい仮面ってもしかしてイメチェンですか?」

「……えっ?いや、あの…そこのヘリから降りて来た貴女? その仮面を装着してるのは────」

 

 マリアの言葉を遮るように仮面を付けた翼は響に向かって告げる。

 

「否、今の私は怒りと復讐により更なる飛躍を得た。名を防人アイランド仮面アヴェンジャー…ッ!」

「か、かぁーーーーっくぃイーーーーッ‼︎ アヴェンジャーって意味はよく分かりませんけど物凄くイカしてますねッ!」

「フフ、ハイカラだろ?」

 

「───えっ、あ……え?いやッ、それで納得するのッ!?」

 

 その様子を見ていた歌姫は驚愕する。これがルナアタックの英雄の姿か……?え、マジ?こいつ等がフィーネ退けたってマジで?

そんな疑問が頭の中で埋め尽くされる中、又もや新たな者の声が上から聞こえて来る。

 

「ったく、この馬鹿は! 少しばかりは真面目に鉄火場を降りる事出来ねぇのか!」

 

 その声の主はイチイバルのシンフォギア装者である雪音クリス。彼女は赤いギアを纏い、ヘリコプターからそのまま地面に向かって飛び降りて来た。

 

「そんな心意気でコイツ等を相手取れると思っt」

 

グギィ!!!

 

「─────ッ!??!?」

 

 瞬間、足首から鳴り響いた鈍い音と共にクリスはその場で蹲る事となる。

 

「雪音が涙目で悶絶してる…ッ」

「しかも声を押し殺しながら……」

「だからヒール付けた状態で着地するなとアレほど言ったんですよ」

 

 そんな彼女に群れる二課の装者達+青ジャージのならず者。クリスは今後から高い所からの飛び降りは控えようと心に決めた。

そんな彼女の決意を他所に敵側の装者から笑声が聴こえて来る。その笑い声の主は緑色のギアを纏う暁切歌だ。

 

「アッハハハハ!そっちの装者はホント馬鹿デスねぇ!これが"孫にも胡椒"って奴デスねッ!」

「…あ?それを言うなら"馬子にも衣装"だろうが。つーか読み方以前に使い時も間違ってんだよこの馬鹿」

「ぐ、ぐぬぬぬ!馬鹿と言った方が馬鹿なんデスよーーッ!この馬鹿ッ!馬鹿馬鹿バーーカ!」

「あ?何だとこの馬鹿。やるってんならやってやってやるぞこの馬鹿ッ!」

 

 馬鹿のゲシュタルト崩壊。小学生低学年レベルの罵倒を繰り広げる中で、各々の仲間が彼女等を落ち着かせに行く。

 

「クリスちゃん落ち着いてッ!」

「そうだよ切ちゃんも」

「けど、アイツが…!」

「その通りデスよ…ッ!」

「分かってるよ切ちゃん。相手は敵でこっちはやる事をやるべきだって……でも」

 

 調はポツリ、ポツリと呟き始める。

 

「話せば分かってくれるかもしれない。偽善者が多いこの世界でも…あの人(バイトさん)のように理解してくれるかもしれないから」

「調…!?」

 

 切歌は調が口にした言葉に驚愕を露わにする。前までの自分ならば相手の言葉を聞き入れずに一蹴していて筈だ。しかし、こんな自分達にも理解を示してくれて人が居る。

そのお陰もあってなのか、己自身に訪れた心境の変化に戸惑いを覚えつつも調は相手と"話し合う"と言うか選択肢を得たのである。

 

「私の名前は月読調で14歳。好きなものはお茶…貴女は?」

「えっ?あ、あっと…わ、私の名前は立花響 15歳ッ!もうすぐ誕生日の9月生まれで趣味は人助けで好きなものはご飯&ご飯ッ!」

 

「「………」」

 

 戦場で何を馬鹿な事をッ!?と言える雰囲気では無かった。

雪音クリスと暁切歌はどちらも表面上はトゲトゲしているものの内面は気遣いの出来る優しい心の持ち主。目の前で広がる和解の雰囲気をブチ壊せる程の胆力は持ち合わせてないのである。

 

「ちなみにお茶の中では一番紅茶が好き」

「へ〜〜、そうなんだ。確かに未来がオススメしていたなぁ」

「…貴女も飲むの?」

「うん…と、言っても偶にだけどね。未来…あー私の親友に勧められて飲んでいるんだよ」

「そう…なんだ!」(顔を輝かせる)

 

 

 

「まぁ実は私自身、紅茶ってそこまで好みじゃないんだよねー」

「……は?」(顔が翳る)

 

 立花響が呟いた一言。その言葉を耳にした月読調の瞳から光が失われた。そんな事を露知らずガングニールの装者は言葉を続けて行く。

 

「いやね?確かに美味しい思うよ?うん、美味しいと思う。けどな〜〜ご飯に合わないんだよな〜〜〜〜ッ、どっちか言うと麦茶とか緑茶の方が私は好みかな〜〜〜〜〜ッ!」

「………」

「……えっと、調ちゃん?どうしたのそんな怖い顔して」

「…しゃ」

「へ?」

 

 様子のおかしい調。そんな謎の黒オーラを醸し出す彼女に隣に居た暁切歌は声を掛ける。

 

「ど、どうしたんデスか?しら…「偽善者ッ!お前のような奴はいつも口先ばかりッ!!」デェス⁉︎」

 

 丸鋸を引っ提げて狂犬の如く立花響に向かって飛びかかる月読調。何が気に障ったのか理解出来てない響はそんなB級スプラッタ装備のシンフォギア装者から全速力で逃げ出す。

 

「待って!?話し合おうよッ!?」

「黙れッ!そして死ねッ!」

「殺意が直球過ぎるんだけどこの子⁉︎」

 

「どうしたと言うの調⁉︎」

「え、ええーい!こうなれば調の特攻にあやかり私も助太刀させてもらうデs「させるかよッ!」

 

 その直後、弾丸の雨霰がマリアと切歌に襲い掛かる。アームドギアで銃弾を防ぐ2人。飛んで来た方に目をやると赤いギアを纏う雪音クリスがコチラに狙いを定めていたのである。

 

「こっちを無視する気か?30分間銃弾貰い放題コースは終わるまでやめられねぇぞ」

「ぐっ…分断させる気デスか!」

「狼狽えるなッ!私達は武装組織フィーネ‼︎ 世界を敵に回した我々がこの程度の相手に屈したりはしないッ!」

 

 己を鼓舞するように声を上げながら黒い外套を翻すマリア…が、しかし

 

「そうかそうか。それならば……」

「私達の相手になって貰おうじゃありませんか」

ヒ゜ェッ

 

 そんな彼女に(殺意に目覚めた)セイバーとセイバー(を自称する者)の魔の手が迫る。果たしてガングニールの少女(20歳)は己の悪を貫く事が出来るのだろうか……?

 

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

「……フォニックゲイン53%…漸く半分と言った所ですか」

「計画は順調…しかし少々コチラが押されているように見えますね」

 

 とある一室にて、モニター越しから装者達が入り乱れる光景を眺める車椅子に座る初老の女性と白衣を来た男性。

 

「あちら側の戦力が想定以上の出力を発揮しています。いくら訓練を受けたマリア達とは言え少し厳しいでしょうね」

「ほう?と、言いますと…遂に"アレ"のお披露目と言う事ですか」

 

 そう呟くと「ククク…」と白衣の男性は愉快そうに声を上げ始めた。

 

「素晴らしい…ッ!やはりそう来なくては面白くないッ! いつの時代も人々は英雄を求めるモノ…そして英雄に無くては欠かせないのは、闘争ッ! 英雄と英雄のぶつかり合いこそがッ! 新たな伝説を生むッッ!」

「御託は結構ですドクター。彼女の準備は出来てますか?」

「勿論。いつでも万全の体制は整えてありますとも」

 

 その男の言葉に初老の女性が頷いた直後、ズズズ…と部屋全体が揺れる。

 

「あちらも薄々は()()()()()()()()()()()() その証拠に早く暴れたくてウズウズしているようですからね」

「ハッチの開放を確認。個体[O-X]を投入します」

 

 同じ存在は惹かれ、比較し、高め合い、削り、その果てに…殺し合う。それはこの星に生きるモノ達が必ず持ち合わせる本能にして業。

 

だがそれは造られた命でさえも同じ事。かつて在りし王達の邂逅は近い──……

 

 

 





【おまけ】
諸事情により没となったネタ。

きりしら+バイト君inライブ会場


「げっ、誰か来るデスよ!?」
「大丈夫。いざとなったらコレ(ギア)を使って……!」

 F.I.S.の一員である切歌と調。誰にも見つからないように注意していた2人だったが、何者かの足音に気付き焦燥感を募らせる。
……が、しかし。その者の顔を見るとそんな思いは遥か彼方の何処かへと飛んでいってしまう。

「……あれ?君達ってあの時の」
「「あっ、お好み焼き屋の従業員の人!」」
「バイトです…って、こんな所で何をしてるの?早く避難しないと……」

 足音の正体はまさかまさかの知り合い。一般人(当社比)である彼ならば狼狽える事は無い。適当にあしらおうと切歌は考える。

「いやー、ははは。調が急にトイレと言い出してデスね……」
「トイレって…反対方向だけど?」
「んっぐ…そ、それが迷ってしまって…デスね」
「あー、それなら俺が送って行くよ」
「えっ?……だ、大丈夫デスよ!場所さえ教えてくれればすぐに向かうので!」
「いや、此処ってかなり入り組んでるから口で説明するの無理。途中まで俺が送って行くよ」
「ん、んんんんんんんッ!」

 切歌、苦戦ッッ!どのように言い訳を述べても悉く正論のブローを喰らわされてしまう。

「こ、ここで済ますから問題無いのデスよッ!」
「問題あるからッ!?女の子が此処で済ますって問題大在りまからッ!?」

 加えて変な事を口走ってしまったお陰でエラい事となった。このままではマリアの元へ辿り着く事が出来ない。
一体どうすれば……?と、考えていると後ろに居た月読調が小さな声で呟いた。

「切ちゃん、此処は任せて」ヒソヒソ
「…調?」

 バイトに聞こえない声量で告げた後、調は彼に向かって口を開く。

「もう…手遅れなんです」
「手遅れって何────ッ!?」

 バイトは彼女の眼を見て察知してしまった。此処で済ます、懸命な来るなアピール、人の少ない場所で見通しの悪い場所、あっ(察し)

「…そうか、そう言う事だったのか…ッ!」
「え?」
「はい。切ちゃんは…もう……ッ!」
「え、え?」

 調とバイトの会話から置いてけぼりにされる切歌。そんな彼女の前に東間媒人は立ち、謝罪の言葉を述べ始める。

「……すまない、俺に出来る事はこれくらいだけだ」
「え?え?」

 そう言ってズボンのポケットから取り出したチリ紙をそっと地面に置く。

「あ、あの……どうしてポケットティッシュを置くのデスか?なんで鼻を摘みながら後退して行くのデスかッ!?」

「……君達の事は決して忘れない。また会ったら美味しいお好み焼きを提供するよ」
「……はい、また。会える時が来れば…」
「??? ……はッ!?(全て察した切ちゃん)」

 トイレ、チリ紙、哀れな者を見るような目に加えて妙に優しそうな態度を取られるこの状況。切歌はやっと己がどんな扱いとされているのか理解した……が、時は既に遅し。

「それじゃぁ、またッ! 此処では何も見なかったし何も聞かなかった。俺は此処に来なかった。じゃ、そう言う事で」(バックステップ)
「違うデス!違うデスよッ!?これは誤解なんデスよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおッ!!」





年末年始は楽しめましたか?それでは皆さん、良い2021年を……。



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