未知との遭遇〜アルトリウムを添えて〜   作:ゴランド

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 増えるアルトリア顔。英国面に魅入られし調。殺意マシマシの風鳴翼と怯えるマリア。戦いは更なる苛烈さへ……!



23話 オルタナティブ

 

 翡翠の刃が振るわれる。赤い弾丸が飛ぶ。歌女の舞台はいつしか戦場へと代わり二人の装者が争いに身を投じる。

 

「デス、デスデスデスデスデェーース!」

「地面がトーフみてぇにサクサクと…ッ!」

 

 鎌を使った乱撃を前に雪音クリスは防戦を強いられていた。コチラの得意な戦法中・遠距離への広範囲殲滅。対してあちら側(イガリマ)は近距離の一撃一撃が必殺級でガングニール装者の立花響以上の殺傷能力。

 

「やろ…ッ!」

 

とにかく距離を詰められては戦い難い。そう考えながらクリスは大きく後方へ跳躍するとアームドギアをライフル型に変形させ近づけまいと発射待機状態へ移行する。

 

「甘いデスよ!」

「何っ⁉︎」

 

 しかしイガリマの装者である暁切歌は相手が距離を開ける事を予測していたのかアームドギアの持ち手部分を大きく伸ばし、ブオンと振るうと、クリスのライフル型アームドギアの銃口が抉り削られてしまう。

 

「終わりデース!」

 

この状態では満足に弾を撃ち出す事が出来ないと焦る彼女に切歌は魂すら刈り取る刃を手に距離を詰めて行った。

 

……瞬間、クリスの目に火が宿る。

 

「───舐めるなッッ!」

 

 雪音クリスは片足を軸に回る事で鎌を紙一重で躱す。更にライフルの銃身部分を両手で握り締め回転の勢いを乗せたまま切歌の側面へと叩き込んだのだ。

 

「コイツ、直接ライフルで殴りに…!?」

「相手のまさかと思うポジションが勝利へのシルクロード行きのチケットを入手出来るんだよッ!」

「な、何をちゃんちゃら意味不明な言葉を…ッ!」

 

 仕切り直すように距離を開け、対峙する二人。

 

「魂すら切り刻むこのザババ神の刃、受ければひとたまりもないデスよ!」

「言ってろ。イチイの弓は狩猟神ウルの打ち物ならぬ撃ち物!当たる前にお前の脳天に鉛玉をくれてやるッ!」

 

 彼女達の戦場は更なる熱を齎す……。

 

 

 

 

 

 

「偽善者ッ!」

「やめて話し合おうよッ!」

 

 続いては狂う月読調と無自覚に地雷(?)を踏み抜いた立花響との戦い。形成されたアームドギアの丸鋸を響は白刃取りの要領で真っ向から受け止める。

 

「お前は口先だけだッ!」

「私は戦いたくないッ!」

 

 調のツインテール部分の装甲が開き無数の丸鋸が飛ばされる…が、立花響はそれすらも己が徒手空拳で全て弾き砕く。

 

「い、痛みを知らない癖してッ!」

「調ちゃんと分り合いたいのッ!」

 

 ヨーヨー形状に変形させた特大丸鋸を撃ち出す…が、受け止められた挙句にグシャリと馬鹿力によるプレスでスクラップと化す。

 

「はぁ…はぁ…ぎ、偽善s「だとしてもッッ!」

 

 苦し紛れに形成し振るった超巨大ノコギリが真正面からのパンチにわって破られる。そんな一方的な光景に調は思わず叫んでしまう。

 

「くそう!コイツ強過ぎる!」

 

 悉くを打ち砕かれるアームドギアと技の数々。なんだこのやべーヤツはコッチが幾ら攻撃しても力技のゴリ押しで破るってどんな膂力してんの?どんな筋肉してんの?え、なに?ゴリラなのコイツ?

 

「えっと…調ちゃん大丈夫?お茶飲む?」

「黙れこのクリティカルバスターゴリラ!」

「酷い⁉︎ 泣きたくなるんだけど!」

 

 泣きたいのはコッチだボケと言う調の心の声が響く。と言うか半分泣いているシュルシャガナ装者。

と言っても相手は融合症例による常にトンデモ適合率を維持をしているのに対しコチラはlinkerを使わなければマトモに戦えない。単純に言ってしまうと相性が最悪なのである。

 

 

 

 

 

「む、むむっ!」

「どうしたエックス」

 

 場面は更に変わる。

何か不思議な感覚に見舞われたエックス。そんな戦闘の最中、彼女の身を案じた翼が声を掛ける。

 

「何やら新しいキャラの反応をレーダーサイト的直感がアルトリウム反応を補足しています…!」

「そうか、いつもの発作だな!」

「おーっと、私について何か言いたい事があるなら聞こうじゃないか防人のセイバー!」

「残念だったな、今の私はアヴェンジャーだ」

「セイバーじゃないなのならばヨシ!…まぁ、それは置いておいてと」

 

 

 

「オラ!さっさと出てこい女狐オラァ!」

「いつまでマントの中に閉じこもってる気ですかオラァ!」

 

 そう言いながら翼とXは目の前にある()()()()()()()()()()()()()()()に向けて罵声を浴びせながら蹴りを入れる。その光景は完全にアーティストとヒロインがやってはいけないモノだった。

 

「あら?貴女達の攻撃でこの外套を貫けると思っているのかしら。我が意志は簡単に打ち砕ける程、マイルドじゃないのよッ!(いやぁああああッ!助けてセレナァーーーーッ!頭のおかしい剣士(セイバー)達が襲ってくるのおおおおッ!)」

 

 そんな事を言いながらドーム状のマントに閉じ籠るマリアは内心ガクガクと怯えていた。

これが二課なのか…⁉︎ルナアタックの英雄と呼ばれし者達の本性がこんな世紀末のモヒカン達もビビって逃げ出すレベルの野蛮さに彼女は戦慄する。とにかく言えるのは一つ。

 

 たすけて(本心)

 

 

 

 

 

……そんな絶体絶命の状況下、マリアの元に声が届く。

 

 

『───マリア、聴こえますか?』

「マムッ⁉︎」

『そちらに追加の戦力を送りました。戦況を覆しなさい』

「それって……!」

 

 マリアの耳に備え付けられた小型インカムに連絡が入ったその直後、会場に設置されたメインステージ上空より何かが降下して来る。

 

「アレは…!?」

 

 その存在にいち早く気付いたのはヒロインXだ。

……いや、もしかしたら前々からこの時が来る事は知っていたのかもしれない。それは逃れる事の出来ない定めにして運命。

 

「───目標、捕捉」

 

彼女達が繰り広げる決戦の舞台。血を血で洗い流す戦場。

そこに……"王"が降り立った。

 

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

「新たな反応を検知しました!場所は装者達が交戦中のQueen's of Music(クイーンズオブミュージック)会場ッ!」

「波形パターン照合します…え⁉︎この反応…って!?」

 

二課仮設本部にて、ライブ会場内に新たに出現した敵性反応にオペレーターである藤尭、友里は驚きを隠せない様子を見せる。

ソレと類似した波形を示す聖遺物がモニターに表示され、その場にいた職員達並びに司令官である風鳴弦十郎もまた驚愕を露わにした。

 

EXCALIBUR

 

「エクスカリバーだとぉ⁉︎」

 

 

選定の剣とされる聖剣エクスカリバー。

かつて白亜の王が手にした二振りの剣がこの地に顕現。イレギュラーな事態が戦場に新たなる火種を呼び起こす事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アレは…っ⁉︎」

 

 場面は戻りQueen's of Music会場にて。新たに現れたその人物。

黒のロングパーカーを纏い赤色に輝く剣を携えた少女に響達は警戒を行う。何故、二課の装者達が新たに現れたF.I.S.側の者だと感じ取れたのか?理由は至極単純。

 

「──捕捉完了。直ちに排除します」

 

 溢れんばかりの強い敵意、それをぶつけて来るからだ。

 

「させるかぁッ!」

 

 切歌との戦いを切り上げ、アームドギアをガトリング形態へ変形させたクリス。そのまま砲身を回転させ無数の弾丸を新たな敵に向けて一気に解き放つ……

 

「……!?」

 

 刹那、クリスの手からアームドギアが落ちる。

 

「か───っ、あっ!?」

 

 途端に苦しそうな表示を浮かべ、その場で悶え苦しむ。

息ができない、首が締め付けられる。見えない何かによって気道を無理矢理縛られているような感覚にクリスは身をよじらせる。

 

「クリスちゃ───ぐ、あ…!?」

 

 響もまた同様に見えない何かによって首を締め付けられる。

そこから離れた距離に居る謎の少女は何かを呟きながら両手を上へ上げると、クリスと響がそれに連なる形で宙へと浮かび始める。

 

念動腕(オルタ・チョーク)

 

「「がっ!?」」

「立花ッ、雪音ッ!二人に何をしたッ!」

 

 地面へと叩きつけられる二人を目の当たりにした翼は怒りを露わにアームドギアを構え黒の少女に向かって走り出す。

 

 

パチ…

 

 

(…音?)

 

 ふと何かが弾けるような音を耳にした。周りには何も見当たらない為、自身の思い過ごしか?と考えた次の瞬間 更なる雑音が鳴り響く。

 

パチ、パチチチ…!

 

「こ、これは…⁉︎」

 

 風鳴翼が目にしたモノ。それは極小の赤い粒子が空中を漂いながら弾け光る光景。空間に音を轟かせながらソレは火花を強く散らし赤の雷撃として翼に向かって襲い掛かった。

 

「ぐああああああああああああああッ!?」

魔力雷掌(オルト・ライトニング)

 

 全身に電流が迸る。突如として現れた黒の少女に指一つ触れられず、その場で膝を付く翼。そんな彼女の首元に赤い光剣が突き付けられた。

 

「歌女如きが…頭が高い、這え」

「っ!」

 

 生殺与奪の主導権を握られた彼女はゴクリと生唾を飲み込む。今までの相手とは違う非情かつ冷酷な視線に指先一つマトモに動かせない。

もし下手に動けば首を斬り落とされてしまう事だろう。

 

「さて…と。残りのアレは────?」

 

 辺りを見渡す少女は後方に居るマリア・カデンツァヴナ・イヴに向かって言葉を投げ掛ける。

 

「残りは何処です?」

「残り……ッ!?」

 

 そうだ、見当たらない。あの異様に目立ち嫌にテンションの高い頭のおかしいセイバーと名乗るナマモノの姿が無い。一体何処に消えて……

 

「おおッと!敵を前に気を抜くとは!取り敢えず月に代わって天誅ッ!」

「!」

 

 突如として風の結界により姿をかくしていたヒロインXが奇襲を掛ける。それに反応して黒の少女もまた剣を振り払う。

 

「って、力強…!」

「終わりです」

 

 打ち合いの結果は黒の少女が勝った。そのまま無防備な胴体に向かって光剣は吸い込まれて行く…と思ったその時、Xの姿がブレた。

 

「…! これは」

「セイバー忍法…セイバー分身のジツ!」

 

 黒の少女の周囲には囲む形で多数のXが出現する。そんな摩訶不思議な光景を前にF.I.S.の装者等が驚く中、黒いパーカーを羽織る少女は赤い耀刃を構えた。

 

「セイバーニンポ、奥義必殺……ッ 最終的に戦いは数だよ!(セイバー・リンチ)!」

 

 わああああっ!と餌に向かって群がる鳥達のように剣を携えるエックス達。

それに対し赤い剣を手にした少女は力一杯に地面を叩きつけ、その際に生じた衝撃波で分身達を一掃する。

 

剣を交えたのは一瞬に過ぎない。が、しかし彼女等にとってその時間は相手の実力を測るのには充分すぎるモノだった。

 

「貴女が扱うそのパワー…!」

「貴女が使うその技術……!」

 

 各々は互いの剣の切先を相手に向けると、心の中で思う言葉を口に出して叫ぶ。

 

「「さてはバーサーカーか‼︎/アサシンですね‼︎」」

 

「「「………」」」

「「「………」」」

 

 装者達は茫然とする。刃を交えた二人が揃いも揃って同じような何処かズレているような言い回しに会場内の彼女達の頭の中は疑問符だらけとなる。

 

「……いやいや、何処をどう見たらアサシンなんですか。私はセイバーですよ?」

「はぁ…全く、変な事をほざきやがりますね。私がバーサーカーなんて心外です。完全完璧にして無欠万全のセイバーである私をそのように呼ぶとは……」

「なにおう!サイコキネシスとか電撃とか!キャスタークラス的な攻撃をするセイバーが何処に居ると言うのですかッ!」

「それはこちらの台詞です。セイバーと言うにはあまりにも卑怯過ぎる戦い方。ソレを持ってしてセイバーと名乗ると言うのならば貴女はセイバークラスを侮辱している事になりますよ」

「黙りなさい私は正真正銘かつ生粋な天然セイバーですッ!」

「何を戯言を、それなら私は元祖にして本家の大元セイバーです」

 

 

 

「……な、何だあのXをコピーした感じでし切れてない感じのは…?」

「い、いやそんな事よりも…!あの少女の顔をよく見ろッ!」

 

 呆れ顔のクリスに向かってそう言葉を送る翼。彼女の言う通り、黒いフードから覗かせる顔を注目すると響はハッと気付いた。

 

「どう言う事……⁉︎どうしてエックスちゃんと()()()()()()()()()⁉︎」

 

 三人は更なる驚愕を受ける事となった。

突然現れた少女。黒いフードを深く被っていた事によりその貌を捉える事が出来なかった…が、蓋を開けてみればどう言う事だろうか?

 

瞳、髪、肌の色こそ彼女と違うものの、姿形はその場に居るエックスと大差が無い。何故あそこまで似ているのか?これではまるで生き別れた肉親のような………そう考えた瞬間、彼女達の脳裏に"フィーネ"の言葉が浮かび上がった。

 

「まさか…フィーネが言っていたプロジェクトA個体の内の1人か!?」

 

 プロジェクトAとはかつて敵対したフィーネが口にしたヒロインXの出生のルーツ。アカシックレコードより白亜の王に関する情報因子を埋め込まれた銀の生体構造を有する人造生体。

 

そのような生を受けた者が此処にもう一人、存在する。

 

「アーサー王の人格や能力を込めたホムンクルス…ッ!」

「エックスちゃんと同じ…!」

 

 

「それと同時に────フィーネの末裔の1人」

「「「「ッ!?」」」」

 

 マリアが呟いた一言によって響達に衝撃が走る。

先史文明の巫女であるフィーネはリインカーネイションを用いた子孫への輪廻転生を幾度も繰り返し現世に凡ゆる影響を与えて来た。

 

それと同時に気付く。目の前に居るXと似た少女、彼女の容姿がフィーネと同様の金色の瞳、髪をしている事に。

 

「おい、まさか…っ、そんな!?」

「…本当に…了子…さん……⁉︎」

「まさか、武装組織フィーネと言うのは…ッ!」

 

「今更気が付いたのかしら?」

 

 三人の呟きに答えるかのようにマリア、切歌、調は黒い外套を纏うエックスの側に寄り添う。

 

「我々の名が先史文明期の巫女の名を騙るだけの集団かと思ったのかしら?」

「と、言う事は…本当にッ⁉︎」

「───貴女は」

 

 ヒロインXが何かを言い掛けた瞬間、遮るようにマリア・カデンツァヴナ・イヴは槍を掲げ叫ぶ。

 

「我々は武装組織フィーネッ!現世に蘇った終わりの名を持つ者を信奉し集った我々は世界に王道を敷くッ!」

 

「そんな…了子さん……!」

「そんな事を…本気で言っているのかッ!」

「何故だフィーネッ!お前は立花と分かり合えたのでは無いのかッ!」

「…モルガン……いや私のパチモン!貴女は本当にフィーネか否かッ!それを今ここでハッキリさせて貰おう!さぁ!」

 

 

 

 

 

「え、違いますけど?」

「「「「えっ」」」」

「「「えっ」」」

 

 黒いフードを被った少女が発した言葉により、その場の全員が唖然とする。それに続いてエックスに似た少女も己の発言に「あっ」と呟いた。

 

「……ちょっと失礼。ゴニョゴニョ…」

「…あー、はい…はい……成程。そう言えばいいんですね」

 

 隣に居たマリアが黒の少女の耳元で何かを囁き始めた後、己のマントを翻しながら黒の少女は剣を掲げる。

 

「私こそ正真正銘の今世代のフィーネッ!この星に君臨せし先史文明の巫女なる者(なり)!」

「そんな!?あの子が…了子さんだなんて…ッ」

「ッ、然もありなん…いつかまた相見える日がこのような形で来ようとは…ッ!」

「戦いとは常に非情……おのれ、過去と言うものがここまでしつこいモノだとは…ッ!」

 

「オイ、お前等オイ。あの流れで本気で信じてるのか?オイ」

 

 クリスは真に受ける三人に対しそう告げると、響は「それじゃ…」と呟く。

 

「本人に直接聞けばいいんじゃないかな?…と、言うわけでそこら辺どうなんですかッ!」

「あぁ、私は──「そ、そりゃモチロン、フィーネ本人に決まってるじゃないデスかッッ!」え、あの」

 

 響の質問に答えようとした少女の言葉を遮る形で切歌が割り込む。そんな苦し紛れの言葉に二課側の装者達はと言うと。

 

「や、やっぱりあの子はフィーネさん本人なんだ…!」

「構えろ立花ッ!もはや我々とフィーネは雌雄を決したッ!」

「けどッ!」

「クソァ!この馬鹿正直共ッ!もう少し疑うって選択肢は視野に無いのかッ!」

 

 仲間の真っ直ぐなまでの正直さ。眩しい程に純粋なソレは時として身を焦がす事もある。頼むから一人くらいは相手の言う事を疑うくらいはしてくれ…そう願うクリスに応えるかの如くXが行動を起こす。

 

「成る程。言い分は理解しました…まぁそれはそれとして死ねェ!私の偽者ォォ!」

「お前に関しては極端過ぎなんだよォォォッ!」

 

 違う、確かに疑ってくれと願ったが過程を色々とすっ飛ばしては意味が無いんだよ。そんな切実な願いを露知らずエックスが聖剣を手に敵陣へ突っ込んで行くと、それに応えるように相手もまた赤く輝く剣を手にする。

 

「下がってください。アレは私が仕留めます」

「一体何を!」

 

 次の瞬間、聖剣と聖剣。蒼と赤の閃光が迸る。二人の王が衝突せし戦場は特異な空間としての佇いを醸し出していた。

 

「おのれコンパチ派生キャラ!元祖であるこの私に挨拶も無しとは不敬!不敬ですよッ!」

「ふん、所詮今の時代青はオワコン。互換性の高い私にサッサとその席を譲って永遠にアヴァロンに隠居すると良いですこの色物」

「黙れッ!クールキャラが許されるのはサブキャラ!サブキャラは大人しく負けヒロインとしてのレッテルを貼られているが良いッ!そのまま理想を抱いて溺死しろ私の別側面(オルタナティブ)‼︎」

「何を世迷い言を、今時メインヒロインはサブヒロインに人気を掠め取られる運命。精々貴女は引き立て役として一生を過ごせば良いのだッ!」

 

 しかしソレは言葉の一つ一つによって砕かれシリアスな雰囲気が蹂躙されてしまう事を除けばの話である。そんな状況を目の当たりにするマリア一行は彼女等の戦いに圧倒される。

 

「な、なんて高次元な戦いなのッ⁉︎」

「ぐぬぬ手を出せないなんてトテモもどかしいデス…」

「……高次元?」

 

 確かに戦闘自体は高次元だが言い争いに関しては低次元なのでは?そう思った調だったが口にする事はなかった。今更口出しして意味が無いと理解しているからなのだ。彼女は時折バーサーカーになるが基本的に空気が読める子なのだ。

 

「あれがペンドラゴンの力同士のぶつかり合いか…ッ!」

「く…、なんつーアホらしい闘いだッ!オイ、誰かバイトのヤツを呼んで来い!この状況止められるのはアイツくらいしか居ねーぞ!」

「バイトさんなら今、死体(奏さん)の処理に忙しいから無理みたいだよ」

「いやアイツはアイツで何をしてるんだよッ!?」

 

 電話を片手にする響にクリスは声を荒げた。頼みの綱になりそうだった助っ人はいつのまにか裏稼業的ムーブをかましている事に空を仰いだのである。が、そんな彼女を他所にエックス達の戦いの天秤が傾いた。

 

「っ!」

「その程度ですか?」

 

 剣と剣の打ち合い。それぞれが手にするロングブレードの拮抗は僅かにXが劣勢に追い込まれつつあったのである。

 

「何故…⁉︎ 私と貴女は同じ存在。ここまでの差があるなんて…!」

「同じ存在とは、たかだか量産品如きの貴女が特注の私に勝てると思いで?」

「何をッ!」

「そもそもの話貴女は勘違いをしている。私と貴女。同じアーサー王の力を継いでは居ますが製造過程が全く異なります」

 

 謎のヒロインX。彼女はアーサー王の記憶、人格、能力を持ったホムンクルスとして生を受けた……が忘れてはいけない。彼女はそのホムンクルス群内の一体。量産された一個体に過ぎないのである。

 

対して黒い外套を纏う番外個体の少女。彼女もまたペンドラゴンの情報因子が埋め込まれた個体だがエックス並びに他の個体群とは根本的異なる存在だ。

彼女の存在意義とは異例事態の対処そして他のセイバー型ホムンクルスの殲滅。

故に王の因子をより強く、濃く継いだ対・対剣士(セイバー)用決戦人型兵装。現時点で限りなくアーサー・ペンドラゴンに近い個体。

型式番号O(オリジン) - A(アーサー)

 

「覚えておいてください。私は貴女達(ペンドラゴン)の同位体にして別側面。そして限りなくオリジナルに近しいセイバーであると…。言うなれば『謎のヒロインX・オルタナティブ』と言った所でしょうか」

「く、何と覚え難い名前かッ!そんなヘンテコな名前でセイバーと名乗るとは言語道断ッ!そんな頭のおかしいマイネームを堂々と人前で名乗れたな…恥を知れッ!」

 

((((((それはひょっとしてギャグで言っているのか⁉︎))))))

 

 己自身に特大ブーメランが突き刺さっているのと周囲から放たれる冷ややかな眼差しに気付く事なく彼女は言葉を続ける。

 

「もういい!もう沢山だッ!この場でお前を亡き者とさせて貰う!」

「良いでしょう。今この場でどちらがより優れた個体か決めるとしましょう」

 

 互いがそう呟いた直後、剣に光/闇が宿る。それは彼女達に内包された神造兵装であるエクスカリバーが起動した証。

次の一撃がこの会場に溢れんばかりの力と力による奔流を生み出す事だろう。

 

「「エクス──!」」

 

 己が獲物を振り上げ全てを穿つ極光と全てを呑む常闇が放たれようとしたその瞬間。

巨大なノイズが現れた。

 

「「ッ!?」」

 

 驚愕の表情を浮かべながら放たれた白と黒のエネルギーは真っ直ぐノイズに向かって伸びる。双方向より攻撃を受けたノイズはぶくぶくと膨れ上がり、臨界点まで達した後に弾け飛んだ。

 

「これって増殖分裂型⁉︎」

「こんなの聞いてない」

 

 ぼたぼたとばら撒かれるノイズの残骸。しかし炭化される筈の骸は先程の巨大なノイズ同様、隆起して行きながら人型に近い形状へ変化して行く。

 

『マリア、ここは撤退しなさい』

「マム!? けど…」

『問題ありません"ネフィリム"は先程の二つの聖剣によって無事起動しました…貴女の目的を履き違えないように』

「……この場は退かせてもらうわ」

 

「っ、逃すか!」

 

 Xは離脱を試みる武装組織フィーネのメンバー達に対し、収束させた風の弾丸を4人に対して放つ…が、それを剣を払う事で掻き消されてしまう。

 

「何故、貴女は……」

「…?」

 

 オルタナティブがXに視線をやりながら何かを呟くが、ノイズが撒き散らす不協和音によって掻き消される。新たな脅威(武装組織)は夜空に溶けていくようにその姿を消してしまった。

 

 

 





【おまけ】余韻を壊すCM的ネタ。
 〜その頃の393とバイト君〜

これ(奏さん)どうしますかバイトさん?そろそろ死体を運搬するの精神的にキツいんですけど」
「……いっその事、防腐目的にそこらの川に放り込む?」
「それ凍死しませんか?」
「もう死んでるけどね」
「ならばヨシ!」

「よくねぇわッ!」
「「うわぁ復活したぁ⁉︎」」

武装組織フィーネが逃げている最中、奏は自分の身体の破棄を阻止していた。


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