未知との遭遇〜アルトリウムを添えて〜   作:ゴランド

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 出ない…出ないの……何度も10連ガチャ回してもX師匠出ないの…教えてくれ五飛。俺はあと何回ガチャを回せばいい?一体いくらフリクエをクリアして石を集めれば良いんだ…?
課金はやだ…課金は嫌だ……!



24話 祭りを控えて

 

 武装組織フィーネの宣戦布告。そして新たに現れた装者達とXに瓜二つな少女。Qeens of Musicの会場にて開かれた祭典。その日を境に二課は慌ただしい様子を見せていた。密かに聖遺物を米国政府研究機関であるF.I.S.から強奪された聖遺物。ドクター・ウェルの失踪と同時に現在行方不明のソロモンの杖。

 

連鎖的に起きたこの事件は偶発的なモノではなく何かしらの関連性があると考えられる。

ルナアタック事件から数ヶ月が経過した今、世界に訪れる新たな危機の前兆。それを知らせる鐘の音が確かに響いていた。

 

襲撃者である武装組織フィーネと矛を交えた装者達。

そんな彼女等だったが、現在リディアン音楽院にて近日開催の秋桜祭の準備の手伝いを行っていた…!

 

「はい こっちこっちー、そうそう。そこで下ろしてー」

「該当数個分のリース持って来ましたー!」

「看板の端っこ持ってホラ早く!」

 

 ルナアタックの影響及び校舎の新設によってリディアン音楽院は例年度の生徒数と比べ大幅に減少しているものの、学園生活を送る少女達の顔には綺羅綺羅としたモノがそこに在った。

 

「荷物はこっちで良いかしら?」

「ありがとう翼さん。この書類こっちへ運んで貰えますか?」

「ええ、問題無いわ」

 

 そんな生徒達に混ざり風鳴翼もまた学園祭に向けて運営準備を行っていた。アーティスト及び装者としてのハードワークをものともしないガッツを活かし翼は学園内を奔走していたのである。

 

そんな最中、曲がり角から艶やかな銀髪が目立つ雪音クリスが飛び出して来た。

 

「雪音?どうしたそんなに急いで……」

「っと、先輩か!悪い匿ってくれ!今、あいつらに追われて…!」

「追われて……まさか武装組織フィーネが校舎内に⁉︎ おのれマリア・カデンツァヴナ・イヴめ、此度は確実に息の根を止めさせてもらうッ!」

 

 何処から出したのかジャギンと日本刀を取り出した翼にクリスは驚愕の表情を露わにする。

 

「いやちげーよ!だからそんな物騒なポン刀は早くしまえ…って、何で学校に刀持ち出してるんだよッッ!?」

「いや、刀は淑女の嗜みだと聞いたのだが…」

「誰に聞いたんだよそんなアホな概念ッ!銃刀法違反にモロ引っかかっている嗜みなんて聞いたことねーぞッ!」

「あぁ、立花のクラスメイトの…そう。板場一年生から聞かせて貰った」

「それはアニメ(二次元)だから許される嗜みなんだよ三次元とごっちゃにするかッ!」

「……何を今更。雪音こそ国内で銃を使っているじゃないか」

「クソッ!正論だから何も言い返せねぇぞクソがァッ!」

 

 その床を踏み抜かん勢いでストンピングを行う彼女。そんな彼女の元に装者である響とエックス、小日向がやって来る。

 

「何を公共の場で喚いているんですか。まるでガチャを引いたら全て麻婆豆腐だったようなリアクションをしてましたよ」

「いやエックス、どんな例えなのそれ」

「クリスちゃんどうしたの?さっきから追われていたみたいだけど……」

 

 響の言葉を聞いて我に帰ったクリス。するとばつが悪そうな顔を浮かべ頭を掻くと言葉をポツリと絞り出す。

 

「あー……なんつーかな。カラオケ大会に出てくれと何度もせがまれて…そんで、逃げて来て…」

「カラオケって…出れば良いんじゃないかな? クリスは歌が上手だってバイトさん言ってたよ」

「あのやろ、余計な事を…」

 

 内心で口の軽いお節介焼きのドルオタめ…と毒を吐くと同時に呆れの感情を吐露する。

歌が嫌いだ。誰かを傷付ける己の歌が嫌いだ。両親の夢に反し、フィーネの元で歌を奏でた自分が此処に居て良いのだろうか?

 

目を背けていた過去に未だ囚われ、自責の念に悩まされるクリスは口を尖らせる。

 

「つーか こんな事してて良いのか? 鉄火場に身を置く私等がこんな腑抜けた場に居て……」

「居て良いんだよ気にすんなって!」

 

 その瞬間、背後から出現した何者かの手がむにゅりとクリスの胸を鷲掴みにする。

 

「わひゃぁっ⁉︎だ、誰だッ!」

「そんなに驚くなって。私だよ私」

 

 情け無い声を上げながら振り返った先。そこには朱色の髪をポニーテールのように束ね眼鏡を掛けた天羽奏(変装状態)が居たのである。

 

「奏先輩!?」

面白そうな事(秋桜祭の準備)をしてるってんで助太刀に来たぜ…っと、随分と隙だらけだったからな。いやぁ役得役得」

 

 セクハラ発言にますますムスッとした顔を見せるクリス。

 

「…二課での仕事はいいんすか?」

「弦十郎の旦那達がな。こう言うのは俺達に任せてお前達は英気を養えって言ってたんだ。翼みたくそんな怖い顔しちゃ可愛い顔が台無しだぞー?」

「か、可愛いって言うなッ!」

「ふふ奏の言う通りだ。確かに雪音は可愛い顔をしt…待った、怖い顔ってどう言う事?」

 

 そんな翼を他所に「ふむふむ」と何か納得したような仕草を見せるX。

 

「成る程…英気を養う。即ち栄養補給ですね分かりますともッ!と言うわけで蕎麦の出前を頼むとしましょう私お腹空きました!」

「いや何でだよ。なんでこのタイミングで出前頼むんだよ!」

「待ってエックスちゃん!私はご飯物が良いと思うなッ!」

「そう言うお前は便乗するな!この馬鹿ッ!」

 

 電話機を手にキャーキャー騒ぐ2人に声を荒げるクリスだが、突如として彼女の頭にポンと奏の手が置かれる。

 

「そう、それ。それで良いんだよお前は」

「は、はぁ?」

「顰めっ面は似合わないんだよ。いつまでもそんな顔してちゃ幸せが逃げるからな…ま、先輩としてのアドバイスとして受け取っておきなよ」

「………」

 

 我ながら情け無いと思う。自分と周りを隔てる壁は既に取り払われた。目の前に居る馬鹿2人と頼もしい先輩方、そしてお節介焼きの友人達。

 

そんな皆が居るこの場所は彼女にとって眩しくて、照れ臭くて、心が暖かくなって来るのだ。

 

「…何やってんだろうな私は」

 

 ふと呟く。確かにクリスはフィーネの元で凡ゆる悪事に加担して来たのは変えられない事実だろう。しかしそれと同時に今自分が居る此処が装者としての、新たな人生を歩み始めた雪音クリスの居場所である事も揺るがない事実なのだ。

 

悩む必要も周りに壁を作る必要も無い。もっと素直に生きるべきだ……。

 

(まぁ、そんな単純に生きられたら苦労はしないんだろうけどな)

 

「もりそば6人前お願いします。代金は特異災害機動部二課で………え、いやイタズラ電話じゃないです本当なんでs…あ!切られたッ!」

「それじゃ、やっぱりご飯にしようよご飯。カレーとかさ!」

「カレーですか…悪くないですね!それじゃ10人前頼むとしますか!無論、二課の経費でッ!」

「さすがエックスちゃーん!やるぅ!」

 

「…なぁ先輩。私はあの馬鹿共の生き方が羨ましいよ」

「よせ雪音!お前がアレに染まる必要はないんだッ!」

「翼の言う通りだ。顰めっ面は似合わないとは言ったけどキャラ崩壊させてまでアホキャラになる事は無いんだぞだからやめとけ、な?な?」

「何を勘違いしてんだこの先輩達はッ!」

 

 

 

「そうそう。クリスまで馬鹿になったら私の精神的負担が増えちゃうでしょ?」

「おお、そうだな…うん」

「バイトさんの(ギャグ的な)立場が危うい今、防波堤となっているのは私とクリスなんだから」

「おお…?良く分かんねぇけどそうだな」

 

「ちょっとー!さっきから私達に対して変な言い掛かりはよしてよね!」

「同感です!そこまで私達を馬鹿と言うのならばそれなりの証拠を提示させてもらいましょうか」

 

 未来の言葉に不満を持った響とXは抗議の意を唱える。そんな2人に未来は向き直ると口を開く。

 

「期末」

「「……へ?」」

「学祭明けの期末試験。進捗はどうなの?」

 

 向日葵の如き眩しい笑顔。しかし声のトーンは異様なまでに低い。

そこから更に畳み掛けるように単語の羅列を口にして行く。

 

「学祭明け テスト期間 勉強不足」

「あ、あっ、あっ……」

「赤点 補習 下から指で数えられる順位」

「あ、アッアッアッ…」

 

 次々と並べられる言葉に響とエックスの顔色が青色を通り越して白色へと変化していく…そして。

 

「ゴポァッ」

「ヒビキがやられたッ!」

 

 その場でバタリと倒れ込む立花響。実の所ここ最近の彼女は現実逃避をしていた。秋桜祭の後に待ち受ける地の獄の門と言っても過言では無い期末試験。

ここ最近バタバタしていた上に学園祭を楽しみしていた為、勉学を疎かにしていたツケが今なって回って来たのである。

 

「ひーびき」

「はい」

「これから精一杯勉強しようね♪」

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛ 勉強じだぐな゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ッ゛!

 

 立花響は絶望に伏した状態で絶唱()を奏でた。

 

「青春謳歌したいッ! 男気のある学園生活送りたいッ! 夢にまで見た男有りの学園祭を心ゆくまで満喫したいいぃぃぃぃぃぃぃッ!」

「その為の試験勉強だよ?」

「嫌だーーーーーッ!二課の情報操作で点数上げればいいジャン!私達装者だよ⁉︎世界救った英雄だよ⁉︎それくらい別にいいでしょ!」

「それ犯罪だからな!フツーに犯罪だからなッ!」

 

 政府の職権乱用を視野に入れる響。彼女の正義の味方からかけ離れた台詞にクリスが声を上げる。

 

「エックスちゃん私達仲間だよね?仲間なら私と一緒に師匠に何とか頼み込もう!主に試験免除的なヤツをッ!」

「あ、すみません 私にはバイト君と言う心強い助っ人が居るので無問題です。なので秋桜祭後に控えてる試験に関しては未来の私自身に託しました!数週間後のヒロインXが高得点を取ると信じてッ!」

「いや、お前等現在進行形で勉強頑張れよッ!」

 

 嫌だァァァァァァ!と叫ぶ2人を前に奏はハハハと笑みを浮かべる。

 

「まぁなんだ、素直に諦めて勉強頑張るしかないな!なーに大丈夫。お前等ならやれるって。それでも駄目そうなら先輩である翼が力を貸してくれるさ」

「か、奏⁉︎…まぁ、別に力を貸す事に関してはやぶさかでは無いけど…」

「あ、そう言うなら私に勉強教えてくださいよ奏先輩。最近、任務続きで少し追い付けてない感じだから不安なんすよね」

「…………」

 

 

 

 

 

 

「さーてと。ちょっと急用が出来たから失礼する」

「あ、逃げた!?」

「逃げるな卑怯者‼︎逃げるなァ!」

「は、はぁ⁉︎にに逃げてねぇし!もう卒業した身だから勉強する必要性が無いだけだしーッ!はい論破!私大勝利で証明完了QED!!!」

「言い訳早口になってますよこのランサー」

 

 目が物凄い勢いで泳ぐ天羽奏。それもその筈中学生から装者及びアーティストとしての活動に専念していた為、学力に関しては「あっ(察し)」と言うレベルなのである。

 

「……ったく、騒がしい場所だな此処は」

 

 目の前で繰り広げられるチャランポランな滑稽劇。仲良しこよしの茶番狂言。太陽のように輝く皆に照らされた彼女の唇は自分でも知らない内に吊り上がっていた。

 

「落ち着け2人共。人類の守護者たる装者が容易に激情を露わにするのは関心しないぞ」

「あ、マリア・カデンツァヴナ・イヴ」

あの歌姫は何処だーーーーーッ!

 

(…そうだ、私は此処に居て良いんだ。似合わない場所だって考えてたが、馬鹿な事をやるってのも そう悪くないのかもな)

 

 そのような事を頭の中で浮かべながらクリスは目を瞑る。

 

(…パパ、ママ。こんな奴等だけど意外と私は騒がしいのが嫌いじゃ無いみたいd……)

「落ち着け翼ァーーーッ!」(アームロック)

奏え゛え゛え゛え゛え゛ッ゛‼︎(断末魔)」

「駄目です奏さん!」

「それ以上いけない!翼さんの腕もそれ以上いかない!」

 

(……ま、まぁこんな騒がしい居場所も私にとって安息の地に違いな───)

 

 

 そんなクリスの独白を遮るように彼女等の元に人影が現れる。

 

動くなッ!俺はこの通りカレーを持っているッ!有り金を寸分違わずにいただこうッッ!

『何事ォーーーーーッ!?』

 

 突如として現れたのはカレー片手にそう叫ぶ色白の男性。どう考えても不審者にしか見えない言動をした人物の登場に装者達は困惑を隠せない。

 

カルナァーーーーーーーーーーーーーッ!!

『誰ェーーーーーーッ!?』

 

 そんな彼女達に追い討ちを掛けるが如く新たに現れる褐色黒髪の男。

そんな逸脱した状況に雪音クリスはフ、と笑みを浮かべると…。

 

 

「──私の安住の地は存在しないのかッッ!?」

 

 

 思い切りのシャウトを吐き出した。眩し過ぎる居場所は時として身を焦す危険性もあると雪音クリスは理解したのであった。

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

────かつて1人の少女が()た。

 

彼女は己の生を捧げ国の為に贄として選定の剣を手に取った。その未来にて何が起こるか理解した上で脚を進めた。

迷い、葛藤、憐憫、憤怒、忿懣。それらを全てを持ち合わせながら堕ちる事なく王で在続けた。

人を殺し、蹂躙し、民を導き………

 

大鴉の化身にしてワイルドハントを率いし嵐の王。

アカシックレコードより怒りの体現者であるアーサー・ペンドラゴンとしての側面を引き出された"私"は計画凍結によって封印措置を受けていた個体だ。

そんな私が現世に甦った……しかし、既に他の個体は私の前から去っていた。要は独りぼっちと言う事だ。

何とも皮肉な事だろうか。ホムンクルスの個体数を減らす為に作られた私。そのホムンクルス達が居なければは私と言う存在は意味を成さない。

 

此処に居る私は存在する意義も無いただの人形。

……だと言うのに何故私は封印から目覚めたのだろうか?

 

 

 

「見つけると良いさ 君の存在意義を。その間授けようじゃないか 君が此処に在るべき意味を────」

 

 

 

 その声に導かれるように私は諸々の事情でF.I.S.と行動を共にした……そして出会った。私と同じであり異なる形で造られた存在と。

理解が及ばなかった。どうしてアレは動いていられる?どうしてアレは自由意志を持つ?どうしてアレは王である己を否定した?

 

ヒロインXと名乗るアレは異例(イレギュラー)だ。定められた私の倒すべき敵。

…だけど、アレを倒してしまった後はどうすれば良い?

私が私である為には異常個体を抹殺しなければならない。

けど、そうなれば私の生きる意味は無くなってしまう。

 

生きる為に無へと堕ちる───己の内に巡る矛盾(バグ)が毒となって私を苦しめる。

 

痛い。苦しい。寒い。

身体が石のように硬く、冷たくなっていく……。

嫌だ。もう独りは嫌だ。カムランの戦い(王の最期)と同じように独りにされるのは嫌だ。

唇は動かない。意識が融雪のように霞んでいく……。

 

誰でも良いから…私に生きても良い…

そんな使命を─────。

そんな意義を─────。

そんな理由を─────。

 

 

「────大丈夫?」

 

 

 そんな時。黒く塗り潰された空に一筋の光が届いた。

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

「……今更ながらあの2人を一緒に行かせて良かったのだろうか?」

 

 最近掛け持ちで働き始めたカレー専門店『カリー・ド・マルシェ』でのアルバイトを終えた俺は悔やむ。

同じアルバイト店員であるインド兄弟は各々の能力は優れているけど2人1組のセットにするとブレーキの外れたダンプカー並みの出力を発揮するんだよなぁ…。

 

まぁでも曲がりなりにも俺と同じ学校の生徒。そんな大惨事を起こす筈無いだろう(フラグ)

 

「あー、冷え込んで来たなぁ…これは家で買ったばかりのコンビニのあんまんとお汁粉缶で優勝しろと言う天命だな。間違いない」

 

かーっ、エックス(大喰らい)の居ない合間で食べる温かい甘味はさぞかし格別だろうなぁ!…でも帰ったら帰ったで赤兎馬の世話もあるから言う程格別じゃ無いな。

 

「まぁいいや、秋桜祭も開催間近なんだし。明日も頑張るぞ───い?」

 

 ふと横に目をやる。そこには薄い金色の髪からピョンと飛び出たアホ毛。そして学生服を見に纏ったガッツリ見覚えのある人物が………うん。これエックスじゃん。なんで此処にエックス居るの?え、もしかしてさっきの言葉聞かれてた?

 

……………。

 

「い、いや違うんすよエックスさんこれは決して俺一人がこっそり食べようとしていたものじゃないんですホントなんですハイだから街中でのカリバーは勘弁してくださいいやマジで………ん?」

 

 あれ?よく見たらこの娘…エックスじゃなく無い?いやエックスとは瓜二つの容姿してるけど色白だし眼鏡掛けてるし。そもそも学生服自体リディアン指定のものじゃないし。

 

って事はTDN(ただの)そっくりさん?

いや、マジで心臓止まるかと思ったわ!と言うかなんでこんな寒い季節、冷え込む時間帯でベンチの上で寝息立ててるのこの娘?

 

「え、もしかしてまた家庭環境の闇案件…⁉︎」

 

 やめろよなぁーーッ!もう雪音さんやあの二人(きりしら)みたいな過去と言う名前の地雷を踏みに行くのは勘弁なんだよッ!悪いけど俺はこのまま家に帰らせてもら………ッ!?

 

い、今なんか背後から視線を感じたような…?

とりあえず後ろを見て…と。

 

「……うおッ!?」

「ZZZZZZZZ…」

 

 え、なにこれ…⁉︎あのエックス似の女の子。目をガン開きにした状態で寝息立ててるんだけどッ!?怖っ!Xに似てる娘の目 怖ッ!?

 

これもしかして起きてらっしゃる?実は俺が声を掛けるの待ってるの⁉︎だとしたら益々怖いんだけど!?こんな寒い時期、寿命を縮めてまでも俺に声を掛けられる理由なんてあるの!?

 

ZZZZZZZ

「……だ、だとしても!」

 

ごめんよ見知らぬX似の女の子。俺は今すぐに帰ってあんまんとお汁粉で優勝していんだ。このままじゃ外気に晒されて寒すぎてサムギョプサルになりそうなんだ(激寒ギャグ)。

 

「それじゃ俺はこれd「ZZZZZZZZZZ!!!」ああああああああッ!分かった!分かったよ!声を掛ければ良いんだろ!分かったよやってやるよッ!……おーい、そんな所寝てて大丈夫?」

 

 ペチペチと頬を叩いてるとその女の子は鈍重に身体を起こし始めた。辺りを見渡しこちらをジッと見つめて来た後、彼女は口を開く。

 

「……い」

「ん?」

「……さ、む い…ちべ…たイ」

 

 うん、そりゃそうだろうね。こんな寒い中で寝てりゃそうなるよ。ここがロシアじゃなくて良かったな。ロシアだったら既に凍死してたからね君。はいあったかいものどうぞ。

 

「……あ、た…たかい…?」

「ほら一気にゴクッと」

「……?」

 

 ええい、缶の開け方くらい分かるだろ!ちょっと貸して。

この缶の蓋(正式名称はステイオンタブ)をカチャッとやって…ほら開いた。ほら飲みねぇ小豆を飲みねぇ。

 

「…あ…たたかい……あ、まい……」

 

 そりゃ(おしるこだから)そうよ。んじゃ俺、このまま帰るから。

東間媒人はクールに去るぜ……。

 

………いや、あの ちょっと?服の端を掴まないでくれる?離してくれません?…って、力強ッ!?この娘どんな馬鹿力してんの⁉︎

 

「……っと」

「はい?」

「もっと、あまいの…」

 

…ハァ(クソデカ溜息) 俺はこの日を後悔する事だろうなぁ……。

そう考えながら袋からあんまんを取り出す。

 

「ほら、これで良いk…ってちょっと?無理矢理強奪するのやめてくれる?」

「はむ…むぐ……あまい…温かい…」

 

 ァァ…(絶望) 俺の優勝予定のあんまんとお汁粉だったものが知らない娘の胃袋へ納められていく……。クソァ!Xに似てるからって調子に乗りやがって…ッ!

でも手を出そうとしたら後で天罰下りそうなのでやめておこう。

 

んじゃ俺帰るから……って、あのさ。本当にもう甘味無いからね?だから早く俺の服を掴んでいるその手を離してくれない?

 

「甘いもの…もっと…欲しいです」

「(甘味はもう)ないです」

「…そこでジャンプしてください」

「カツアゲ!?良く初対面の相手にそこまで出来るね君ィ⁉︎」

「まぁ、これでも王なもので」

「は? 何言ってんの君?」

 

 はー、容姿だけじゃなくおかしな言動までXそっくりとはたまげたなぁ……。うん!これ以上関わるのはやめよう!(確信)

 

もしもこの娘がX同様の胃袋(ブラックホール)を持っていたら家計は火の車どころか地獄車。そうなれば弦十郎さんが定期的に送って来てるお金にも手を出さなきゃいけなくなる。

クソ…ッ!弦十郎さんの仕送りは光熱費と家賃以外では絶対に手を騙さないと誓ってるんだッ!これ以上のエンゲル係数上昇をさせてなるものかッ!

 

オラァ!(掴まれたコートを脱ぎ捨てる)そしてそのままオラァ!(女の子にコートを押し付ける)

 

「…これは?」

「寒いだろうからそれ上げる。あー、残念だけど返品不可避だから。それじゃ俺このまま帰るかr「待ってください」グェ」

 

 え、なに!?数メートル離れているのにも関わらず、見えない何かで首根っこ掴まれてるんだけど⁉︎どうなってるのコレ⁉︎そんな事を考えている俺を他所に彼女は言葉を漏らす。

 

「また…会えませんか?」

「…さぁどうだろうね。また会いたいと思えば会えるかもしれないよ」

 

 ははーん、さてはたかる気だな君? 勘弁して(切実)

 

この後、無事に解放された俺。

あんまんとお汁粉缶を犠牲に得た自由とても素晴らしく、とても虚しかった。

 

 

 





【おまけ1】新たなセイバー?

「ねぇエックス。アンタが偶に持ってる剣貸してくんない?」
「いきなり私のアイデンティティを奪おうとするとは何のつもりですかッ!」

 エクスカリバーの貸し出しを頼んで来た板場にXは声を荒げる。そこに寺島がフォローを入れた。

「実は秋桜祭でコスプレをする事になりまして良い感じの光る武器が必要でして…」
「それでさ、エックスが偶に持ってる剣って発光するからソレで良いかなーと思って」

 安藤の愛想笑いと共に告げられた言葉にXは不満の声を漏らす。

「むぅ…まぁ良いですけど、そんな軽いノリで使える程このエクスカリバーは簡単なモノじゃありませんからね」
「お、ありがと。そんじゃえーと…あ、あれ?コレどうやったら光るの?」

エックスから貰った剣を弄る板場。しかし彼女の手に収められた聖剣は一向に光る気配を感じさせない。

「フフフ、残念でしたコレはセイバー適性を持つ者が持つ事で初めてピカッと輝く機能なのですよ…まぁ私の場合は不具合の所為か光らないのでアルトリウムを流し込んで無理矢理輝かせてますが」

 遠回しの自分がセイバーでは無い発言を他所に続いて寺島が剣を手にする…が、しかし同様に輝く素振りを見せない。

「私でも駄目ですか…」
「それじゃ次は私がやってみるよ」
「ハハハ無理しなくても良いんですよ?レギュラーとは程遠い一般ピーポー系キャラの貴女達では到底、最優クラスのセイバー適性を持つ事は不可能に近いのですかr───」

ピコーン(安藤が持った瞬間、聖剣が輝く)

「─────えっ」
「おぉ!凄い!ホントに光るもんなんだ…!」
「ひゃー、凄いわよコレ!まるでアニメのワンシーンじゃないのコレ!」
「綺麗ですね…安藤さんは本当に選ばれた者って感じがしますよ」
「い、いや…やめてよ二人共……ちょっと恥ずかしいじゃんか」

「お…おのれセイバァァァァァァッ!

セイバーに対する殺意が更に増したヒロインXだったと言う。

〈※シンフォギアXD内のイベント『竜姫咆哮メックヴァラヌス』にて安藤創世は剣を武器にしてます〉


【おまけ2】新刊のネタ

 刑部は窮地に立たされていた……。
夏コミは色々あったもののなんとか締切に間に合わせる事に成功。新刊から解放された彼女を待っていたのはリディアン音楽院との共同学園祭。滅多に無い他校との共同作業にテンションが底上げされた彼女は何をトチ狂ったのか、学園祭に訪れた人達に無償で同人誌を配布すると言う暴挙に出たのである。

「はい此処に馬鹿を通り越した馬鹿が居ますね」
「ハハハ助けてきよひー♡」
「い や で す ♡」
そ゛こ゛を゛な゛ん゛と゛か゛あ゛あ゛あ゛!!

 すかさず清姫は哀れな者を見るような眼を向ける。

「やめてよーーーーッ!なんでそんな別の生き物を見るような眼で私を見てるのォ!?きよひー責任取ってよッ!きよひーが次は学パロやろうって言葉から釣られちゃってこんな事になったんだからきよひーも一緒に頑張ってよねッ!」
「………」
「何か喋ってよッ!?」

 因果応報、自業自得。何を言っても無駄なのだろうと悟っている清姫は額に青筋を立てながら目の前のナマモノを見据える。
そもそもの話刑部が変なテンションでコピー本書きまーす!とクラスに宣言してしまったのが悪い。私はただ巻き込まれただけなんだぞクソが。

しかし清姫はそれを声に出さない。淑女たるもの汚い言葉違いは禁句に近いのである。

「もうそう言う泣き言は良いのでインスピレーション得てサッサと描いてください」
「簡単に言わないでよォ!そう易々と天啓が降りたら苦労しな…」

 その刹那、二人の視界にとある光景が入って来た。

「また…会えませんか?」
「…さぁどうだろうね。また会いたいと思えば会えるかもしれないよ」

「「………」」

 ボーイミーツガールのワンシーン。それを目の当たりにした二人だったが刑部はポツリと言葉を漏らしその沈黙を破る。

「無愛想なヒロイン…お節介焼きの少年と出逢いを果たす……」
「…おっきー?」
「少年と言う太陽に照らされ、周りと隔てていた壁は雪解け水のように…恋は春風と共にやって来る…ッ!」

 ブツブツと呟く彼女はクワッと目を見開き叫んだ。

「閃いたァッ!!」

 この後 怒涛の勢いで刑部はコピー本を描き切った。対して、清姫はコイツ相変わらず面倒臭くてチョロいなと思った。




秋桜祭の準備、クリスちゃんの独白、バイト君えっちゃんと遭遇す…の三本立てでお送り致しました。
おかしいなぁ…ヒロインよりもヒロインらしいキャラが二人もいるんだけど……?

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