10年に1度。
奇跡の
それは…"狂"ッ!或いは…"凶"ッ‼︎
さぁ、ひと時の
季節は秋。紅葉が赤みがかりイチョウの葉は空へ攫われ冷たい風が人々の身体を引き締める。そんな冷えた身体を火照らすように空はピーカンな青空が広がり、心地良い光が降り注ぐ。
本日は待ちに待った秋桜祭開催日。装者達も楽しみで深夜までソワソワして堪らない程のイベントが始まるのである。
「いやぁ楽しみだね!私、今日と言う日の為に生きて来た気がするよ」
「えぇ、えぇ!もはやこれ以上に幸せの絶頂と言う表現が似合う日なんてあり得ませんね。立ち並ぶ屋台にイベント。香ばしい料理の数々に頬が落ちてしまうのではないかと思ってしまうレベルの料理の数々!」
「それだよソレッ! たい焼きにお好み焼きにたこ焼きの粉物ッ!そしてフルーツ飴、綿飴、チョコバナナのデザートの数々ッ! この時の為に貯め込んでおいたお給料を崩す時が来たよーッ!」
やいのやいのと盛り上がる2人から少し離れた所で見守る未来、翼、クリスの3人。
「ったく、あの馬鹿共がハシャギやがって……」
「まぁ雪音。今日くらいは大目に見てやろうじゃないか」
「んな事言われてもな先輩、私等はアイツ等を捕り逃しちまったんだ。少しは焦るもんだよ」
つい先日、二課の情報収集により武装組織フィーネが潜伏している廃病院を発見。深夜帯を狙い捕縛を試みる為に乗り込んだのであるが……見事に逃げられてしまったのである。
『出たァァーーーーッ!!??』(寝間着マリア)
『こッ、ここは三十六計逃げるに如かずデスッ!』(寝癖ハネッ毛切歌)
『えっ…⁉︎(切ちゃんが難しい言葉を正しく使ってる⁉︎)』(驚愕する調)
『何を言っているのですか。此処で装者達のギアをネフィリムに食わせれb『いいから黙って逃げるデスよこのキテレツマッドサイエンティストッ!』鳩尾に拳がぁッ!?』(腹パンされるウェル博士)
このように行方不明だったウェル博士と共に相手組織は姿を消してしまい、二課は依然としてその足取りを追っている状況下だ。
そんな二課保有のシンフォギア装者達+その他は学校生活の一環として開催される秋桜祭に足を運ぶ事となっている。
「クリス、いつまでもそんな事を考えていても仕方ないと思うよ?」
「……そう…言っても……」
「私としては
良い今をより良い明日にする為に。目の前で起きる楽しいひと時を今まで学校生活を送る事の出来なかったクリスに楽しんで欲しい。
そんな想いの詰まった未来の言葉を聴くとクリスはこそばゆい気持ちに駆られてしまう。
「そうなの……か?」
「そうだよクリス…あ、見て! 確かバイトさんがお好み焼きの出店を開いてるって言ってたよ」
「ん?出店か。どれどれ……」
未来の指差した方向。そちらに向けて装者達+エックスが視線を移した先には………。
「Arbeiter覚悟ォォッ!」
「やらせてなるものかァッ!」
大剣を手にして女性とお好み焼きのヘラで鍔迫り合いをしている東間媒人の姿が在った。
「「「「「どう言う状況ォッ!?」」」」」
▼ ▼ ▼
「いや何ですかこの展開はッ⁉︎ バイトさんって私と同じ非戦闘要員ですよね⁉︎ なんで装者顔負けのバトルを繰り広げているんですかッ!?」
「私が知る訳ないでしょうミク!」
なんかガギィン!って甲高い音鳴らしてるし!なんか風っぽいバリア貼ってるし!なんか目にも止まらない殺陣を展開してるし!
そんな事思っていたらバイト君がこちらに気付いて口を開いて来た。
「おお皆、聞いてくれるか?実はフラメンコさんがいきなり斬り掛かって来て困ってるんだよ」
「黙りなさいこの痴れ者ッ! 剣ちゃんファンクラブ会員の恥知らずッ! 外道ッ! 頭鬼舞辻無惨ッ!」
「酷くない???」
……ハッ⁉︎よくよく考えてみればコレはあのフラメンコのセイバー(暫定)を処理する絶好の機会なのでは?
よし、そうと決まれば早速銀河流星剣の鯖としましょう。season2突入して初の我が超奥義をご覧下さい!ミンナニハナイショダヨーーーッ!
「やめろ!」
「痛ッ⁉︎ 殴った…殴りましたねアーチャー!」
「アホか!こんな公衆の面前で堂々とやるヤツがあるか!」
「うぐぐ…言われてみれば確かに……そうですねアーチャーの言う通りですね。分かりました 今後は闇に紛れて月の無い夜に奇襲を掛ける事にします」
「おう、そうだそれで良いんd…おい待て。やっぱり分かってねぇだろお前」
そんな私の頭を殴って来たアーチャーはその場を収める為に2人の間に割り込む。
「とりあえずアンタ落ち着け。なんだ?
「どうして俺が粗相した前提になってるんです?(電話猫感)」
「そこのッ!外道はッ!剣ちゃんをッ!侮辱したのよッ!」
「……あぁ、成る程そう言う」
「えっ? 何がそう言うなのですかミク⁉︎」
どう言う事だかさっぱりワケワカメのスペース海藻!分かりやすい説明を要求します!具体的には30字前後で!
「この人、バイトさんと同じ翼さんのファンの人だよ。ドが付く程に筋金入りの」
「……成る程、つまりどう言う事か全く分かりません!」
「エックスちゃん!私も全然分かんない!」
「分からないのなら説明して差し上げましょう。この者は剣ちゃんの姿を応援していたにも関わらず何処ぞの馬の骨かも知らない世界に喧嘩を売った淫ピ属性髪色の歌姫に鞍替えしてうつつを抜かしている……はい
そう言いながら大剣を手にする彼女は風を纏いながらバイト君に向かって再び襲い掛かる。
「と、言うわけで───死ねぇ!Arbeiterッッ!」
「やらせるかッ!この屋台はタダでさえエンゲル係数ストップ高の家計を支えるのに必要不可欠な資源なんだよォォーッ!」
「「「「「切実な理由!?」」」」」
なんですかこの…この私が関与していないのに濃い空間は…ッ!もう…良いですよね!?もうこのままカリバーして場を収めて良いんですよね!?
「やめてエックス!これ以上場を混沌に沈めないでッ!」
「お前が出るともっとややこしい事になるんだよ!」
ええい放せェ!セイバーを抹殺させろぉぉぉおおおお!
「まぁ落ち着きましょう。臨時ですがこの場は警備員として私にお任せください」
ええいポッと出の人馬一体(8割馬)のライダーは黙ってください!馬刺しにしますよ!
………えっ、UMA?なんで此処にケンタウロス擬きが?と疑問に思っていると
「「あああ゛ああああ゛あああああッ!」」
「「「「「混沌を更なる混沌で伏せたッ!?」」」」」
突如として現れたUMAによる火炎放射。もはや馬としての機能が外見だけになりつつあるそれの攻撃を受け2人は地に伏す事となった。
バ、バイト君が上手に焼かれましたッ!?
と言うかなんでこんな所に自分を呂布と思い込んでいる頭のおかしいUMAのライダーが居るんですか⁉︎
「主人(バイト君)にお金が出るから警備員をやって欲しいと頼まれまして。私呂布ですからここでそろそろ一騎当千の活躍を見せた方が良いと思いましてブルルッ」
「その主人を思い切り焼いたけどな。この赤兎馬」
と言うか炎を吐けるってもはや馬じゃないですよね⁉︎ そもそもの話、こんなのが私有地の山で跋扈してたって…その山の生態系どうなっているんですかセイバー……って、あれ?どうしたんですか。そんなワナワナと身体を震わして?
「お、おお…!そこに居るのは風鳴号!風鳴号じゃないか⁉︎」
「呂布ですが」
「赤兎馬だよ」
アーチャーによる訂正の言葉に目もくれずUMAのライダーに近づく防人のセイバー略して防バー。一応言っておきますが危ないですよ?それ噛み付いて来ますから…ってあの、聞いてます?
「ハハハ何を馬鹿な事を、私とこの風鳴号は一心同体。言わば人馬一体の体現者ッ!主人に噛み付くような愛馬が何処に存在しようか?なぁ風鳴号────」
ガリッ‼︎(翼に噛み付く音)
「おあああああああああああああああッ!!!!」
「「「「噛まれたァァ⁉︎」」」」
ゴシャァ‼︎(蹄が翼に命中する音)
「ぬぐぅ⁉︎」
「「「「そして間髪を容れずに蹴られたァァ⁉︎」」」」
何という酷いコンボを⁉︎どれも顔面を的確に狙った敵意ある攻撃ッ!何をそこまでしてUMAのライダーを掻き立てるのですか⁉︎
「だってこの人、再会早々に私を
「何というぐぅの音も出ない正論!」
それとコミュニケーションと呂布を合体させて架空用語作らないでください。意味を読み取るのが面倒臭いので!
そんな事を考えていると大の字で地面を寝そべるアーティストがブツブツと何かを呟き始めた。
「かなでぇ…かなでぇぇ……」
「まずい!防バーがカナデシック
「何その新用語初耳なんだけどッ⁉︎」
「通称:カナデリウム欠乏性疾患。SAKIMORI一族の中で青髪の女性に稀に見られると言う症状でカナデリウムが規定値以下となった際に発症する幻の病気ッ!かつてスペース・カマクラの大仏がこれを患ったとされる逸話が有るトカ無いトカッ!」
「専門用語を専門用語で説明しないでッ!」
「やめろォ!それ以上ヘンテコリンな情報で頭をオーバーロードさせるんじゃねぇ!」
声を荒げるミクとアーチャーを他所にヒビキが屈みながら寝そべるセイバーに声を掛ける。
「大丈夫ですか翼さん⁉︎」
「立花…奏みたいに元気付けてくれ」
「なんだその無茶振り⁉︎」
「よく分かりませんが立花響やってみますッ!…へ、ヘッーイ翼!元気してるゥー?」
「奏はそんな事言わない!(迫真)」
ははーん、さては余裕ありますね防人のセイバー。それにしてもバイト君のお人好しには困りましたよ。
「こんな火を吹いて人に噛み付いて自分の事を呂布だと思い込んでいる摩訶不思議頭生命体を警備員にするとは…バイト君はどうかしていますよ」
「私としては剣からビーム撃ち放題で勝手に分裂して謎の電波を受信して自分の事をセイバーとほざいてる摩訶不思議生命体のエックスがとやかく言う資格は無いと思う」
「ミク!?」
いつから貴女は毒舌キャラへシフトアップしたのですか⁉︎と言う私の疑問を他所にミクは倒れたバイト君に肩を貸す。
「大丈夫ですかバイトさん、立てます?」
「う゛…小日向さん…か…え、なに?きよひーさんが大蛇に化けて襲って来たの?」
「いやなんですかその状況」
よろめきながらもなんとか地面に足をつけ1人立ったバイト君にヒビキとアーチャーが声を掛ける。
「バイトさん。なんで翼さんのファン辞めちゃったんですか?いやそもそもの話、マリアさんのCDをオススメした私が言える立場じゃないって事は分かってるんですけどね?」
「その通りだ。アイツは世界に宣戦布告した挙句ノイズを操ってんだぞ?それでも応援すんのかよ」
「嫌だなぁ2人共、マリアさんがそんな事をする訳ないでしょ?きっとアレだよほら。本当は政府に依頼された極秘エージェント的な立場で世界を守る為に仕方なく悪を演じているんだよ。うんそうに違いない」
「……そこまでの妄想になると気持ち悪いのレベルを通り越して悲哀の感情が芽生えてきますね」
「おい小日向さん。俺に何か言いたい事があるなら語り合おうじゃないか(半ギレ)」
ううむ、ここまで来ると重症の類ですね。このまま放置しておくとその内 スペース奥義存在しない記憶の捏造まで行く可能性があります。
と言うかこれ防人のセイバー勝てるんですか?あのマリなんとかさんってかなりのスペックでしたが戦闘以外に勝るものあるんですか?
「ハァ…ハァ…負けてないが!?(迫真)」
「もう嘘でも良いので好きだって言ってやってください。こちらとしてもこう言う形でセイバーが苦しむ顔を見るのは本意ではないので」
「いや……そう言われても、俺は風鳴さんよりマリアさんの方が好きだし」
「ガフッ」
あ、バイト君の言葉で防人のセイバーが吐血した。
「翼さぁぁぁぁん!?」
「Arbeiter…ッ!許さんッッ!」
「そして今度はこっちが復活した⁉︎」
ヒビキがセイバーに駆け寄った瞬間、変わるようにフラメンコのセイバーが起き上がりました。おのれ未だ健在していたとはッ!そうまでしてやりたいと言うならば良いでしょう!こちらも抜かねば無作法と言うものですし!
「グフゥ…ま、待て!待ってくれ!きっと媒人は一過性の錯乱的な気の迷い的な洗脳めいた感じのアレに違いないんだッ!何処のどなたかは存じ無いが彼を傷付けるのは勘弁してくれないだろうか?」
「ええい、離しなさい! 私はかつての同盟者である彼の裏切りをッ!剣ちゃんへの裏切りを許せないだけなのッ!……ん?」
「む?」
そんな言い合いの最中フラメンコのセイバーが固まり、無機質な表情がジッと防人のセイバーに注がれる。
数秒が経過した後、ワナワナとドレスを揺らし緑のメッシュの入った髪を揺らしながらセイバー(緑)は叫ぶ。
「つッッッ‼︎ つ、つつつ
「えっ?…あ、いや確かに私は剣の体現者として日頃から常在戦場を心掛けているが……」
「違うからな先輩。そう言う意味じゃないからな」
どこかズレたような解答をする彼女を他所にフラメンコのセイバーはコホンと一息置いたと思うと手を差し出した。
「剣ちゃ…風鳴翼ちゃん貴女の歌には中々の見所があります。まぁ私としてはとても感動して涙を流す程の機能は搭載されていませんが、結構、いや少し?まぁ私の中では及第点で街中でCDを見掛けたら購入しようかしらと思うくらいには良い感じに響いて来ますわ。しかしこの程度で気を許すとは思わない事ね、まぁそれはそれとして出会いを記念して握手はさせて貰います。合縁奇縁一期一会千載一遇のアミダのように人と人との邂逅は絡み合ったモノ、これで最期になるかもしれないので一応の記念として握手はさせて貰います(2回目)」
「防人のセイバーと話すと早口になりますね」
「やめなよ(クラウド感)」
「そ、そうか。私の握手で良ければ幾らでも」
「ア゛ッ
「建前と本音が逆転してんぞMs.フラメンコォ!」
なんと驚きました…!まさかオタクハート全開時のバイト君に似たり寄ったりの言動を行う存在が他にも居たのですね…うん、カタカタと身体の節々から変な音を鳴らしてますし……あれ?普通人間って関節部から機械音を鳴らすものでしたっけ?いやまぁ私自身純度100%人間では無いので詳しくは分かりませんが。
「フフフ、剣ちゃんと握手…フフ、フフフフ…マスターに良い土産話が出来ました……それではご機嫌よう…ヒャッホイ!!」
そうこうしてる内にその場から去って行くフラメンコのセイバー。何と言いますか…バイト君の知り合いは何故こうも変な人ばかりなのですか?
「バイトさん、あの人とどうやって知り合ったんですか?あんな公衆の面前で堂々と剣を振り回す不審人物なんてエックス以外居ないと思っていたんですけど」
「ん、俺と彼女との出会いを聞きたいかえ?少し長くなるが良いかえ?」
「あ、じゃあいいです」
「そんなー(´・ω・`)」
おーっと、これ以上の私以外のセイバーキャラの掘り下げはさせませんよ!……それと、さりげなく私をdisるのはやめてくれませんかミク?
「……あーあ、せっかくの
……何やら客に儲けとルビを振っていたような気がしますが、まぁいいでしょう。そう言えば此処は出店でしたね忘れてました。ちなみにメニューとしてはどのようなモノがあるのですか?
「お好み焼きを主軸でそれ以外は大抵作れる」
「大抵作れる?それは一体どう言う……」
「おーい、やってるかバイトー!」
そう言いかけていると私達から反対方向より変装をした
「さっきまで色々見て回って来てな。丁度良いや。全員分のクレープ作ってくれないか?」
「いや奏さん。ここお好み焼き屋ですよね?何でわざわざデザート要求してるんです?」
「えぇ、奏さんさぁ……ま、いいや。カルナさん奥の方から材料取って来て」
「承知した」
いや作るんですかバイト君!?
「なぁオイ、此処ってお好み焼き屋だよな?」
「お好み焼き屋だよ?ただそれ以外も作ってるだけだ……よっ、ほっと」
そう言いながら手際良く鉄板に生地を流し焼いていく……ええと、本当にお好み焼き屋なんですかこれ?
と言うかよく見るとバイト君と一緒に居るのって前にリディアンにカレー片手に突撃して来た色白のボクサーじゃないですか⁉︎世間って狭いですね!
「はいクレープ。一つ800円ね」
「たっっっか⁉︎ ぼったくりかよ!」
「此処お好み焼き屋だからね?割高になるのは当然の理だと思うんだけど。え、なに?もしかして払えないんですか奏さん」
「それじゃあさ"私の身体に免じて"安くしてくれないか?」
「「「「!!?!?!!?!?!??」」」」
「……?」
身体に免じて?ふむふむ、つまりは出店の手伝いをすると言う事でしょうか?
……って、どうしたのですか皆。そんな茹でた野良ユニヴァース・ロブスターの如く顔を赤くして?
「かっ、かかから…身体って!?」
「そそ、その…そう言うのはちょーっと早い気がします!早いと思います‼︎」
「いや何が早いのですか?(無知)」
「そ、その…ね?エックス……」
むぅ…なんですか。ミク、貴女までも顔が真っ赤に染まってますよ?……え、なに?私の身体に免じてとは意味は私の思っているようなモノじゃないですって?それはどう言う───
「ペッ、マリアさん並の美貌と包容力、清楚さを持って出直して来な小娘」
「ああん⁉︎そりゃどう言う意味だバイトお前コラァ!私だってそんくらいの美の三要素あらぁ!」
って、そんな事してる間にランサーとバイト君の間に火花がバチバチしているんですけど⁉︎と言うか小娘って、バイト君は彼女(奏)より年下ですよね⁉︎
……あれ?どうしたんですか。バイト君、こちらをジッと見て?
「いや注文は?しないの?」
「「「「「……」」」」」
そう言えばそうだった。先程までの混沌とした空間を見て此処が出店なのをすっかり忘れていました。しかし、うん。割高ですか…財布の中身的にはそこまでお金を出したくないんですよね…。
…どうやら周りの皆も同じ考えのようなので彼に向かってハッキリと口に出すとしましょうか。
せーの……!
「「「「「私の身体に免じて安くしてください」」」」」
「ハッ倒すぞ(半ギレ)」
結局お情けで安く済みました。なんだかんだでバイト君はお人好しなんだなと思いました(小並感)
【おまけ】
同人サークル『Princess×2』
「新刊だよ〜新刊だよ〜〜〜」
「出来立ての新刊は如何ですかー?無料で配布しておりますので手に取ってご覧になってくださーい」
リディアン音楽院校舎入口付近。そこで刑部と清姫の2人が紙の束を配っていた。
「あ、清姫さんに刑部さん!」
「此処に居たんですね」
「お、そこに居るのは響ちゃんに未来ちゃん!来てくれたんだ!」
「秋桜祭楽しんでいますか?良ければこちらをどうぞ」
遊びに来た響達に手渡すそれは薄い自作漫画。ペラペラと頁を捲る度に女子達は「おおっ」と声を上げる
「すごい!恋愛漫画だよ未来!」
「絵も上手だし展開も引き込まれていく……刑部さんって奇声を発する変人だと思ってましたけど実は凄いんですね!」
「えへへへ、いやぁそう言われると嬉しくなっちゃうn…え、待って未来ちゃん!私の事そんな風に思ってたの⁉︎」
「それにしてもこの男女良いよね!お節介焼きの男の人に少し無愛想な女の子が出会って徐々に仲を深め合う感じ!」
「そうそう、こっちもなんか心がドキドキしてくるよね」
少女4人集まりにぎにぎと楽しくも騒がしい光景が広がる。最中、ぽつりと響が言葉を漏らす。
「なんと言いますか、この男の人なんか親近感湧くんですよね〜。そう、まるでバイトさんのような───」
「……どうしたの響?」
途端に響の言葉が止まる。何事か?と問い掛けて来る未来に彼女は言葉を続ける。
「……えーとさ、未来。この登場人物…見覚えない?」
「見覚え?何を言っ………あ」
そう言われて未来は気付く。このキャラクター達に見覚えがある。何と言うかバから始まりイに続きトで終わる名前の人にそっくり…いや、キャラ設定がそのまま同じなのである。
「あの…刑部さん。このキャラって……」
「バイちゃんには良いインスピレーションを貰いました‼︎」
「「ナマモノォーーーーーッ!?」」
なんとまさかまさかのノンフィクション。あろう事か、このオタサーの姫は実在する人物を元に描き記した同人誌を無償配布しているのであった。
「私はやめましょうと言ったのですがおっきーがノリノリで……」
「えー、確かにそうだけどさ、きよひーも途中からノリ気だったじゃん」
「………何の事か分かりませ〜ん」
「都合の良い記憶消去してる………」
嘘は吐いてない。ただ一部の事実を口にしない詐欺手口に近い事をしているだけである。
「あの、ホントに大丈夫なんですかコレ。バイトさんにバレたら何をされるか……」
「へーきだって〜、あのバイちゃんだよ?別にバレたって大丈────
『そうかそうか君はそう言うヤツなんだな。でもまぁ俺は許そう、しかし
───やべ」
今考えてみたらフツーに怒る事に気付いた製作者。勢いと深夜のテンションによってその事が完全に頭から抜け落ちていたのである。
「で、でも!バイちゃんは出店で忙しいし!此処に来る確率なんてそう高い訳n「遊びに来たよー」と゛う゛し゛て゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ⁉︎」
「どうしましたそんな呂布が現れたような悲鳴を上げて。まぁ何を隠そうこの私が呂布なのですがヒヒン」
赤兎馬を連れて姿を露わにしたバイトに対し絶命寸前の声を上げる刑部。RTA勢もビックリ僅か2秒弱のフラグ回収である。
「なんか此処に?面白い漫画を配布してるって聞いて来たよ」
「出店は⁉︎」
「カルナさんに任せて来た」
「任せちゃダメでしょ‼︎ちゃんと持ち場にいなきゃダメでしょ‼︎」
「いや大丈夫だって……大丈夫だよね?」
何故か不安気に駆られるバイトだったが、気持ちを入れ替えるように刑部に向かって口を開く。
「そんな事よりもコピー本を無償配布と聞いて馳せ参じた次第。出店販売やってると易々と持ち場を離れる事が出来ないからね。今の内にソレを貰っておこうかなと思って……」
「カエレ‼︎」
「なんで?なんで俺に威嚇行動を取ってんのおっきーさん???」
「やだーーーッ!姫まだ死にたくないーーーーッ!こんな所に居られるか!姫は残りのコピー本を持って家に帰らせてもr「ほーん、コレがおっきーさんの描いた漫画かー」(一瞬で背後に回る)
「ギャーーッ‼︎そう言えばバイちゃんが人外じみた身体能力持ちだったの忘れてたーーーッ!」
縮地じみたスピードで刑部の背後を取ると同時に漫画も手に取るバイト。
ああ、終わった…私の人生オワッタ……叶うならばせめて、冬コミの新刊を終わらせたかった。そんな同人作家の鏡としての悲願を胸にする刑部を前に東間媒人は頁を進め読んで行く。
「…………ふむ」
(((無言が…怖い……)))
一言も発さずに読み進めるバイト。そんな彼に響、未来、清姫の三人は一種の恐怖を感じてしまう……そしていよいよ始まる裁定の刻。
「ふむ、成る程」
「はい」
「こう言うタイプの恋愛漫画かー…」
「はい」
「絵とかフツーに上手だし構図も完璧。流石だねおっきーさん」
「はい。と言う訳で ひと思いに殺ってください」
「何が??????」
「何がって…キャラに付いて何か物申したいんでしょ!姫分かってるんだからね!そうやって焦らして最終的には絶望の淵に叩き落としてからジワジワと嬲り殺すんでしょ!復讐ジャンル物みたいに!引くレベルのエグい復讐ジャンル物みたいにッ‼︎」
「えぇ……(ドン引き)」
バイト君は引いた。何を言ってるか分からないが刑部が謎の焦燥感に駆られ、物凄く喧しい事は理解出来た。
「……ん、まぁね?確かにキャラはちょっとなーと思ったよ」
「はい」
「こんな都合良く接してくれる男とか唐突に現れたヒロインとか…うん。リアルとごっちゃにしちゃ駄目なのは分かってるけどさ、どうにも受け付けなくて……」
「はい……はい?」
思っていたものと全く異なる解答が返ってきた事にやや唖然とする刑部。しかしそんな事を露知らずバイトは淡々と言葉を述べて行く。
「しかし何なの?この男キャラ、隻眼隻脚でお人好しって属性盛り過ぎなんだよ」
「バイちゃん⁉︎」
何と言う事だろう。まさかそのキャラのモデルが自分自身と気付かないまま、彼は更に過激な言葉を口にして行く。
「全く、こんな世話焼きの甲斐甲斐しい男なんて存在したら見てみたいね。こんな誰構わず初対面の相手に良くする男なんて十中八九下心丸出しのドスケベ魔人に違いないね!」
「「「バイトさん⁉︎(驚愕)」」」
「それに見てよこの男性キャラの設定!家にはイギリス出身の女子留学生がホームステイしてるって書いているのに他の女子にうつつを抜かしている!こう言うのに限ってヤリチンに違い無いんだよ!女を取っ替え引っ替えして肉棒を夜の戦闘に使い過ぎてボロボロに朽ちているに違いないね!かーーーーっ、卑しか男ばい‼︎」
「それ以上やめてバイちゃんんんんんんんんんんん‼︎ブーメランがッ!無自覚のブーメランが音も無く痛みも無く突き刺さってるからァァァァァァァァッ!!!!」
その後、赤兎馬によるキックによってヒートアップしていたバイトは撃沈。そのまま