未知との遭遇〜アルトリウムを添えて〜   作:ゴランド

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今年のFGO水着イベント楽しみですね。水着えっちゃん期待してます。



3話 もう司令1人でいいんじゃないかな…

「お好み焼き差し入れに来ましたよー……」

「お、すまないな。感謝するよ」

 

 この人は弦十郎さん。俺の亡くなった両親との知り合いでアクション映画を貸してくれたり、運動(と言う名の地獄)を半ば強制付き合わせてくれる近所のおじさん的なポジションである。

 

そんな弦十郎さんにどうして俺がお好み焼きを渡しているのかと言うと……。

 

「よーし、響君休憩と行くか!」

「ハイ!師匠ッ!」

 

 いつの間にか立花さんが弦十郎さんと師弟関係になっていたからである。

事の発端はつい先日、立花さんがいきなりふらわーに来るや否や

 

『私、強くなりたいんですッ!』

 

 と言って来た。その時店に来ていた板場さん達三人組は『は?』と腑抜けた声漏らし、小日向さんは頭を抑え呆れた様子を見せていた。

とりあえず、知り合いである弦十郎さんの事を教えたら何と彼女も面識があったらしくトントン拍子で体術(映画を少々)を習う事となったのである。

 

ちなみに小日向さんだけど

 

「弦十郎さんって大丈夫なんですか?師弟関係がその内イケナイ関係に変化したりしません?」

「大丈夫、弦十郎さんの恋人って映画だから(失礼)」

「ならばよし」

 

 と、俺の高度な説得によって最悪の事態は免れた。頭の中がピンクになって来てる感じがするけど元からアレだから大丈夫でしょ(投げやり)

 

それにしても、どうして急に強くなりたいなんて言い出したんだろうか。もしかすると夜中に見た光景と何か関係が……いや、気の所為だ。きっとアレは幻覚とか夢の類だ。

だから、決して白濁液塗れになっているXと立花さんは居なかったし、白タイツの人と相対していたトップアーティスト似の人なんて居なかったんだ。

アレは決して風鳴翼さんじゃないんだ、絶対に(鋼鉄の意思)

 

「よし、響君!飯を食い終わった所で少し遊んでみるか!」

「遊びですか?」

「おう、ここに積み重なった瓦があるだろ。これを……」

 

 幾多も重なった瓦の上に手を置く弦十郎さん。そのまま地に向かって手を下ろすとバキバキと音を立てながら積まれた瓦を全て押し潰した。

 

「こんな感じだ、やってみろ響君ッ!」

「はいッ!師匠ッ!」

「馬鹿じゃないの!?いや、本当に馬鹿じゃないの!?」

 

 いや、あんた…いや、それ、オーガのヤツじゃん!擂台でやったヤツじゃんかッ!

 

「女の子に何てモノやらせようとしてるんですか!」

「やってみなきゃ分からんだろう!」

 

 そんな事リアルで出来るのはアンタぐらいしか居ないよ!弦十郎さん、普通は瓦って言うのは煎餅みたいに割れるモノじゃ無いですからね?

あと瓦割りは叩き割るモノであって押し割るモノじゃねぇから!

 

「立花さん、無理するのはやめt」

おおおおおおおおおおッ!!

 

バキバキバキィッ!!

 

「」

 

 直後、女の子とは思えない雄叫びを腹の底から出した立花さんは40枚程の瓦を一気に押し割った。

 

「やりました!やりましたよ師匠!」

「流石だ響君、こちらもそろそろギアを上げて行くとするかッ!」

「はい、分かりましたッ!」

 

…………。

 

「とぉーう!謎のヒロインX、始末書をパパッと終わらせて参上しました!……おや、バイト君じゃないですか。どうしたのですか、そんな世界の終わりのような顔をして」

「……X、例え立花さんがどんな事になっても友達で居てあげて(懇願)」

「えっ、あ、はい?」

 

 そのままお好み焼きをXに渡すと俺は家に向かって帰って行った。うん、おばちゃんには悪いけど今日と明日は休ませてもらおう。

色々あって疲れた俺はベッドに倒れ込むのであった。

 

……しかしこの時の俺はしらなった。まさか翌日あんな事が起こるなんて……!

 

 

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 特異災害対策機動部二課。それは対ノイズ用兵器であるシンフォギアを保有する政府機関であり世界に先駆けてノイズへの打開策を研究して来た経緯を持つ。

そんな二課は現在、第1号聖遺物『天ノ羽々斬』の装者である風鳴翼。第3号聖遺物『ガングニール』をその身に宿した装者の立花響。そして外部協力者であると同時に誰もが匙を投げる謎多き…と言うか謎しか無いヒロインXを戦力として保有している。

 

……しかし、彼等の後ろ盾となる存在であると同時に良き理解者であった広木防衛大臣が何者かに殺害された事により事態は思わぬ方向へ進展する。

 

 

「ところで話は変わるのですがプロフェッサー、私が車を運転してもよろしいでしょうか!」

「駄目よ(即答)」

「エックスちゃん運転できるの?と言うか免許は⁉︎」

「フッフッフッ、いい事を聞いてくれましたね。見よ!この光輝くギャラクシー免許をッ!」

「え、何その頭の悪いネーミングの免許、知らないんだけど」

 

 シンフォギア装者である立花響と謎のヒロインXは櫻井了子が運転する車両に乗り永田町最深部に存在する特別電算室。通称 記憶の遺跡を目指していた。

彼女達の目的はノイズを裏で操っているであろう敵の標的物、特異災害対策機動部が管理している第5号聖遺物である『デュランダル』を護送する事だ。

 

 そのデュランダルが収められたケースを大事そうに抱える響に向けてヒロインXはデカデカと免許証をらしきモノを掲げている。

 

「ゲェーッ!アレは騎乗スキルEXの者にだけ与えられると言われている伝説のギャラクシー免許証!」(黒服A)

「知ってるのか雷電!」(黒服B)

 

 それを見た別車両の職員はギャラクシー免許に何故かリアクションを見せていた。と言うか、何故知ってるし。

 

「そのとぉーり!これさえ在れば無断駐車免除、パーキングでの飲食は無料となり、燃料料金も割引になるのです!」

「すごいやエックスちゃん!」

「えっ、何それ私知らないんだけど。なんで黒服達は私も知り得ない事知ってるの?」

 

 困惑の意を見せる了子を差し置いてエックスはグイッと詰め寄り口を開く。

 

「さぁ、どうですか!これなら私に運転させて文句はないでしょう!」

「だから駄目だって。エックスちゃんにハンドル握らせたら車が横転するかもしれないでしょ?」

「失敬な、最終的に車両が爆散するくらいで事故なんか起こしませんよ」

「分かったから大人しく座って……待って?爆散ってどう言う…」

 

 直後、市街地へと続く海上橋の一部が崩落。不幸な事に車両の一つがそのまま海へボッシュートとなった。

 

「うわあああ゛ああああ゛ッッ!?」

「小林ぃぃぃいいいいいいいッ!!」

 

「あわわわわ…!2人共、職員の人がッ!」

「なに、大丈夫です。水落ちは基本的に生存フラグなので心配する必要はありません」

「あっ、それなら良かった」

「エックスちゃんって、結構ドライよね。まぁ、それはそれとして敵の襲撃…!私のドラテク舐めないでよねッ!」

 

 加速する櫻井了子が操る車両に喰らい付く形で他の車も加速する。

しかし下水道から押し寄せるノイズによって次々と車両は破壊されていき、残ったのはエックス達の乗る車両のみとなった。

 

「ッ!不味いわね。このままじゃ護送は無理そうよ」

《クソッ、敵の襲撃がここまでの規模とは…!》

 

 司令官である弦十郎との通信、舌打ちを行う彼女は苛つきを見せながらも─────笑みを浮かべた。

 

(クク、そうだ。このままデュランダルの護送を諦めるしかなかろうよ)

 

 櫻井了子……いや、()()()()()()()()その存在は己の思惑通りに運ばれる事態に内心ほくそ笑んでいた。

彼女は目的遂行の為、ノイズ達をけしかけようと合図を行い────

 

「もう見てられませんッ!ちょっと失礼」

「──きゃっ⁉︎ちょ、ちょっと⁉︎いきなり座席とシートベルトを操作するのはやめt「シャラップ!もう埒が明きません!このまま突破します!」

 

が、しかしそんな空気を知らないヒロインXは無理矢理ハンドルを奪うとトップギアからオーバートップへギアを変更しアクセルを目一杯踏みつける。

 

「駆け…抜けるッ!」

「「アバーーーーーッ!?」」

 

 瞬間、了子と響に凄まじい重力が襲いかかるがそんな事をいざ知らずエックスはハンドルを捌く。ノイズを巧みに避け、躱し、車が通れそうに無い通路を無理矢理ねじ込むように進ませる。

 

「エックスちゃんエックスちゃんエックスちゃんーーーーッ!?大丈夫なの!?」

「なぁに、私のギャラクシー免許を信じてください!……まぁ、偽装したモノですが

「ちょっとぉ⁉︎最後何て言ったの!?」

 

 響の言葉を無視しながら追い付いて来るノイズ達とカーチェイスを繰り広げる。

 

「了子さんの車、まるで人が変わったみたいに速くなってるぞ!」

「ブレーキング完璧だッ!立ち直りも上手い!」

 

 ギアを使わずノイズと渡り合う光景に二課の(訓練を積んだ)黒服職員達は驚愕の表情を露わにしながらも感心の意を示す……が、しかし彼女達を乗せる車の前方には急激な曲がり道。

 

通常ならば減速してカーブを行う必要があるが、後方にはノイズの群が迫って来ている。少しでも減速しようものならあっという間に炭へ変えられてしまうだろう。

そんな状況に対してエックスが取った行動は……。

 

「更に加速した⁉︎このままじゃ谷底へ真っ逆様だそ!」

「オーバースピード!ブレーキがイカれたかーーッ!?」

 

 直後、更なる加速を見せる桃色の車体は慣性に従いながらドリフト、続けて立て直しからのアクセル全開によりノイズとの距離を更に引き延ばす事に成功した。

 

「ガードレールスレスレで曲がりやがったッ!」

「すげぇノイズを抜いたぞッ!!」

 

 ギャルギャルとタイヤを鳴らしながら変態ドリフトを行うエックスの元に弦十郎から連絡が届く。

 

『エックス、そのまま近くの薬品工場へ急行してくれ!』

「正気ですかコマンダーレッドッ!仮に事故が起これば私達の運命はdead or must dieですよ⁉︎』

『だからこそ、ノイズが有人で動くのならば爆発被害が出ないようにする筈だ。その隙を突き反撃に出る!』

「全く…ちなみに勝算はあるのでしょうか」

『思い付きで数字を語れるものかよッ!』

「確かにその通りですね!2人共、全力で飛ばしますよッ!」

「いや、全速力じゃなくてもいいから少しスピードを緩めええええええええええ゛え゛ええ゛っ゛っ!」

 

 何か通じ合うところがあったのか2人がそのようなやり取りを行うと緊急回旋。エンジン音と櫻井了子の絶叫を携え工場地帯へ到着する。

 

「到着ッ、やはりノイズ達は警戒している模様。一刻も早く蹴散らしますよ!」

「ま、待って…目が、目が回って……」

 

 頭を抑え気分を崩す響にエックスはバツが悪そうにする。しかし体調を崩した彼女はその場で両手を前に突き出すと「ハッ!」と叫ぶ。すると響は先程と比べて清々しい表情を見せる。

 

「───ふぅ、師匠に教わった氣功で酔いは治った」

「ううむ、最近ミス立花の成長度合いが凄まじく思えてきました…大丈夫?その内シンフォギア纏ってない方が強い事になりません?」

 

 さり気無く凄い技を習得している響だったが、とある事に気づく。

 

「あれ?そう言えば了子さんは…?」

「あぁ、彼女ならば」

 

 

「頭痛がする…は、吐き気もだ…くっ、ぐぅ…!なんて事だ。この私が気分が悪いだと……⁉︎この私が、あのエックスに三半規管を破壊されて……立つ事が…立つ事ができないだと⁉︎」

 

「と、まぁこのようにブツクサ呟けるくらい元気なので大丈夫です」

「全く元気に見えないんだけど!」

 

 車の陰でダウンしていた。脳が揺さぶられ、全方向から襲いかかる凄まじい重力によって瀕死状態に陥った櫻井了子の元に響が駆け寄る。

 

その時、上の方から聴き覚えのある声が響いて来た。

 

 

「やっとお出ましかよ、頭のおかしい色物枠がッ!」

「貴様こそ性懲りも無く来たな下乳のバーサーカーッ!!」

「その呼び方やめろッ!」

 

 そこに居たのは先日、響きを狙って襲撃して来た銀髪の少女であった。ネフシュタンの鎧を纏うその少女は不愉快になりながらも鞭を手に降りて来る。

 

「まぁいい、さっさとデュランダルを渡しな。そうすりゃ見逃してやってもいいぜ?」

「……そこはプロフェッサーを人質にすればデュランダルをササッと手に入れる流れでは?私ならそうしますけど」

「えっ、あ、そうか。……って、違う!私はお前を完膚無きまでに叩きのめす!その為に此処へわざわざ出向いてやったんだ!さぁ、お前のギアを纏いなッ!」

「むぅ、何やら引っかかるモノがありますが……いいでしょう!そこまで言うならたまにはセイバーらしく堂々戦います!いえ、常にセイバーですが!」

 

 構えるヒロインXを前に銀髪の少女は前日の夜、己の上司に当たる存在"フィーネ"との会話を思い出していた。

 

『いいかしらクリス。あなたはあの謎のヒロインX……もとい頭のおかしいUMA擬きと戦うのよ』

『それは一向に構わないけど……なぁ、フィーネ。結局アイツって何者なんだ?』

『分からん(即答) だから一つでも多くの情報が必要よ。ヤツの手札を出来る限り引き出せ、いいな?アイツ何やらかすか分からないから。ホントマジで』

『あ、うん』

 

 

(前回、コイツには苦汁を飲まされた。あのアーティスト風情みてぇに病院送りにしてやるよ…!)

 

 

「さて……それでは起動せよ!これが私のファ、ファ…えーと、ファウスト……なんだっけ?まぁいいや。行くぞ"エクスカリバー"!」

 

 何も無い空間に手を添えたと同時に出現する聖剣と謎空間。黒を基にしたインナーの上から光の粒子が集まり、アームカバー、ショートパンツ、マフラー型のプロテクターが形成。

最後に常に羽織っていたジャージをマントのように肩に掛け、戦闘形態へと移行を完了させた。

 

(こいつ、聖詠無しでギアを纏いやがった……ッ!)

 

 戦闘スタイルに変身したエックスを見た銀髪の少女は苦虫を噛み潰したような表情を見せる。

 

「ミス立花、周囲のノイズは任せました!セイバーッッ!!」

「馬鹿が!馬鹿正直に真正面から来るかよッ!」

 

 大振りの聖剣を鞭で受け止める。その隙を狙いヒロインXの足元を狙い転ばせ、ガラ空きとなった身体に必殺の一撃を叩き込む。

……が、しかし。

 

「はあッ!」

「なにッ!?」

 

 ヒロインXはバランスを崩した状態にも関わらず、攻撃を行って来た。思わぬ攻撃だが持ち前のネフシュタンの鎧の防御力によって大したダメージにはならなかった。

しかし、それを気にしない様子でエックスは再び攻撃を行う。

 

総合火力に於いては圧倒的なまでに完全聖遺物のネフシュタンの鎧が勝るだろう。それに加えて、聖遺物を纏う"雪音クリス"の実力を相まって相当な強さを誇る。

 

「逃さんッ!」

「くっ、この……!」

 

 しかし、それを大きく上回る程の瞬間火力とスピードによるヒロインXの猛攻が相手を追い詰める。

自身と相手との間合いをショートレンジに保ち続けるユニヴァース戦法"ずっと私のターン"によってエックスは己が得意とする防御を棄てた手数と攻撃力のゴリ押しによって上手く立ち回っているのだ。

 

防戦一方となっている雪音クリスに対しエックスは告げる。

 

「貴様が扱うその鞭……()()()()()では無いな」

「っ!」

 

「私と常に一定の距離を開けようとする戦法。そして接近戦と比べ中・遠距離を重点に置いた足並み…看破したぞバーサーカー!本来の貴様は……アーチャー(セイバーの敵)だなッ!」

「なッ!?(コイツ…当てやがったッ!?くそッ、フィーネが警戒するのも肯ける!)」

「しかし、それなら好都合ッ!今ここで貴様を倒すッ!!」

 

 ロケット噴射のように一気に距離を詰め、剣を振りかぶるエックス。

…が、しかし。

 

「そんな攻撃!いつまでも通用すると思うな───」

「なにッ!?」

 

 直後、雪音クリスは避けると同時に鞭で聖剣を絡め取り空中へ放り投げる。獲物を失った相手に対し少女は容赦無く肉を削ぎ落とす武器を振り払った。

 

「ッ!させるか、荒れ狂え暴風ッ!」

「!?」

 

 瞬間、凄まじい突風と共にエックスは上空に打ち上げられ宙を舞う聖剣を再び手にすると下方に向かって振り下ろす。

 

「押し通すッッ!!」

「だからと言ってぇぇええッ!!」

 

 エクスカリバーとネフシュタンの盾。矛と盾がぶつかり合う直前、その間に何者が割って入る。

 

「やめてよ2人共ッ!」

 

「ミス立花!?」

「融合症例ッ⁉︎何を…!」

 

 その者こそ、立花響。これ以上2人の戦いを見ていられなかった彼女は剣と鞭を無理矢理掴み、抑えていた。

 

「私達は同じ人間!話せばきっと分かり合えるよ!だから…」

「またそれか!戦場で話し合いだと!そんな呑気な事を言っt「隙ありィ!」なっ⁉︎」

 

 響によって気が逸れたクリスの隙を狙って聖剣を振るうヒロインX。

しかしそれを見越してか、一瞬でエックスの前に立つと聖剣を白刃取り、そのままバキン!と刃をヘシ折ってしまう。

 

「駄目だよエックスちゃん……ぬ゛ん゛ッ!」

「私のカリバーが!?ってぐおおおおおお!?」

 

 腹部に正拳突きを喰らい、絶叫と共に吹っ飛ばされるエックス。そして立花響はすぐ側に居る雪音クリスに向かって歩み寄る。

 

「あなた名前は?」

「クソッ、なんなんだよお前ェッ!」

 

 パープルに煌く刃を兼ね備えた鞭が響に向かって伸びる。が、しかしそれを易々と掴まれ思い切り引っ張られる。

そうなると必然的に攻撃した本人が相手に引き寄せられる事となるので……

 

「お前じゃ無いッ!立花響、16歳だッ!」

「ちょっ、待て───ぐぼあッ!?」

 

 こうなる。思い切り腹パンを食らった彼女はその場で悶える事となった。そんな瀕死2人を前に立花響は口を開く。

 

「私達はノイズと違って話す事も出来る!暴力で相手を制するのは間違ってるよ!」

 

「うごごごご……い、いや1番暴力で相手を制した貴方が言えた台詞じゃ──」

「しっ!馬鹿!あのタイプは余計な事言うと更に酷い目見るヤツだ、取り敢えず黙っておけ!」

 

 立花響の前で敵、味方の関根を越え協力する2人。ふと、ヒロインXはとある事が頭に浮かぶ。

 

「と言うかミス立花。ノイズはどうしたんですか?」

「あぁ、ノイズなら全部片付けましたッ!」

 

「えっ」

「……何ッ!?」

 

 咄嗟に周囲を見渡すとノイズの残骸であろう炭が辺り一面に積もり重なっていた。

 

(そんな馬鹿な…っ!出来立てホヤホヤのトーシロが全部ヤったって言うのかよ⁉︎)

 

 完全聖遺物を纏う彼女がショックを受けるのは無理もないだろう。1年も満たない、つい最近までただの女子高生だった彼女のその強さ。少し鍛えた程度でアッサリと抜かれた。

 

シンフォギアシステム以上の力を持つ完全聖遺物のネフシュタンの鎧とソロモンの杖を同時に扱う自分よりも圧倒的な実力。

 

「えっと、私は───「……ねぇぞ」え?」

 

 

「ふざけんじゃねぇぞッ!お前みたいな奴に……!とやかく説教される筋合いはねぇんだよッ!」

 

 その場から飛び退きつつ鞭を真っ直ぐ伸ばす。響とエックスは回避行動を取るが、ニヤリと雪音クリスは微笑う。

何故ならば、目的は彼女達の後方に在るものだったからだ。

 

「獲った、獲ったぞ!三つ目の完全聖遺物(デュランダル)ッ!これさえアレば……これさえアレば……ッ!テメェ等をまとめてブチのめせるッ!」

「ふざけるなッ!バーサーカーからセイバーへの鞍替えなんて許せるかァ!」

「ハッ、剣を持ってないお前が何をどう出来r「剣ならもう一本あるよ!」何ッ!?」

 

 ヒロインXが手をかざすと、先程折れてしまった剣とは打って変わって黒く悍しい剣が現れる。それを両手で持つと刺突の体勢に入る。

 

「死ね、セイバーッ!」

「なんのッ!!」

 

ガギィン!

 

 黒剣と聖遺物が納められたケースが激突する。そして、その衝撃なのかガシャッ!と音を立てながら中身であるデュランダルが空中に飛び出した。

 

「うぇっ⁉︎何だこりゃ!」

「技術班が一定以上の攻撃がケースに加わった時の事を考えて中身を保護する機能を取り付けていると聞きましたが、成る程こう言う」

 

「ちょっと!?デュランダルを無碍に扱うのやめなさいッ!いや本当にやめろ!!」

 

 その光景に唖然とする2人とキレて口調がやや乱暴となる櫻井了子。そんな黒髭危機一髪の如く飛び出したデュランダルはそのまま予測される落下地点へ落ちて行く。

 

「え?あ、おっと────」

 

 そして偶然か、必然か。その落下する場所に居た立花響はソレを掴んでしまった。

 

「あ────あああ゛ああ゛あ゛あ゛!!

 

「な、何が起こってるんですかッ⁉︎急にミス立花が苦しんだと思ったら、()()()()()()()()()()()ッ!?」

「……馬鹿な、まさか…!起動寸前となったデュランダルが、アイツと接触した事で目を覚ましたのか⁉︎」

 

 デュランダルが起動状態となる場は既に整っていた。響がノイズ達と戦う際に奏でる歌によって高まったフォニックゲインにより起動寸前となっていた不滅不朽の刃。

完全聖遺物であるそれと、人の身に溶け込んだガングニールが接触した事が後押しとなったのだろう。

 

今ここに第五聖遺物「サクリストD」は起動した。

……いや、起動してしまった。

 

不滅不朽の剣であるデュランダルの特性は無尽蔵に精製されるエネルギー。それを攻撃に転用すれば────人を簡単に殺す兵器の完成だ。

 

 

あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛!

 

「……あ」

 

 雪音クリスは目の前の光の奔流に圧倒される。いや、意識が塗り潰される。彼女には恐怖も悲哀も激情も無かった。

 

(……はは、そうか。そりゃそうだ。私が勝てない訳だ……人が、"バケモノ"を相手に敵うはずないもんな…)

 

 ただ、彼女は悟ったのだ。目の前の光景、立花響と言う人の形をした怪物を相手に最初から勝ち目など無かった事に。

 

(これが、この力が私が望んでたモノ……私は、こんな力で世界を平和にしようとしたの……か)

 

 己の増長した傲慢さを戒めるが如く罰を受け入れるように雪音クリスはゆっくりと目を瞑り極光の刃に対し、身を委ねた……。

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ、うううっ!あ、ああああっ!」

「……え?」

 

 いつまで経っても襲いかかって来ない光の刃と突如として聞こえてきた声に反応したクリスが目を開けると、そこには黒い剣でデュランダルのエネルギーを受け止める謎のヒロインXの姿があった。

 

「だぁああああああ!許すまじ!許せませんよ立花コンチクショーッ!ランサークラスからセイバークラスへシフトチェンジしたに飽き足らず宝具でビームを出すとは許せませんよコレはァ!」

「お、お前…!何やって……ッ!」

 

 強大で極太で絶大な光量。それをたった1人と、たった一振りの剣のみで抑え込んでいる。しかし、クリスはそんな目を疑う光景よりも敵である筈の己を助けたと言う事に驚愕の意を示した。

 

「勘違いしないでください……ッ!ここの工場が爆発したらプロフェッサーや黒服の職員達が巻き込まれてしまうので!決してあなたを助けた訳ではないので悪しからず!」

「っ、ふざけんな!そんな事してお前が得する訳じゃねぇってのに…!」

 

 

「何とでも言いなさい、私は───()()()()()()()()()こうやって生きて行くのですから」

 

 一瞬、たった一瞬だけ謎のヒロインXの雰囲気が変わった。清楚な澄んだ青空のような声色。

 

「……さぁ来るが良い"立花響"。不滅不朽の剣と我が聖剣、どちらが強いか決めよう!」

 

 黒の剣を握る手に力を込めるとエックスは腹の底から声を引き出し身体の内側に存在するエネルギーを燃焼させる。

 

「うおおおおおおおおッ!謎のヒロインXの力が勝利すると信じてッ!」

「ぐお゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ゛!」

 

 そんなエックスを脅威と認識したのか、響はより一層の力を込めデュランダルのエネルギーを増加させた。それに対して聖剣の持ち主である彼女は……

 

「あ、すみません嘘です剣を離してくださいミス立花ッ!そうでないと私は貴方をセイバー認定して抹殺する事になりますよ!なのでマジでやめて下さいプリーズ!」

 

 大層見事でカッコ悪い台詞を吐いた。

 

「あなたも見てないで何とかしてください下乳のバーサーカーッ!いや、ホントマジで何とかしてくださいッ!これ耐えるの凄い大変なんですからね!?コスモリアクター全開でやっとギリギリなんですから!」

「え?いやいやいや、無理言うな!私が何をどうすればイイって言うんだよ!」

「そこら辺はほら!ネフシュタンの鎧持ち前の防御力と再生能力で盾になればいいでしょ!」

「無茶言うな!あんなの食らったら再生する前に物理的に灰になるわ!」

 

 ジリジリとエネルギーの熱がエックスのアホ毛を焦がす。もはやデュランダルによってここ一帯が焦土に化すのは時間の問題であろう。

 

もはやここまでか……そう諦めかけた瞬間、後ろから声が響いた。

 

 

「それならば……此処は俺に任せて貰おうかッ!」

 

「……え?」

「うん?えっ、いや、何してるんですかコマンダーレッド⁉︎」

 

 彼女達の後ろには何と、特異災害対策機動部二課の司令官『風鳴弦十郎』本人が立っていた。

 

「周りからの静止を振り払って子供の危機に駆け付けて来たのさッ!」

 

「いや何で生身のヤツが出て来てるんだよ⁉︎アホなのかお前等の組織って⁉︎」

「その通りです!今来られても大変───あ、やべ」

 

 

ドォォォオオオオン!!

 

 

 圧倒的なエネルギー質量。それによって工場地帯の薬品に引火、そのまま爆発して周囲に被害が出る───事はなかった。

 

 

「馬鹿な……生きてる⁉︎」

「……ここがあの世と言う訳でもありませんね」

 

「大丈夫かしらエックスちゃん!」

「むっ!あなたはプロフェッサー!グロッキーになっていた筈のプロフェッサー櫻井了子ではありませんか!今まで何処に?」

 

「いや、普通に離れた位置から見ていたのだけれど……一体、何が起きたの?」

 

 駆け付ける櫻井了子は周囲に被害が一切出ていない事に訝しむ。先程、一体何が起きたのか?その答えはすぐに出された。

 

「お前達、無事のようだな!」

「コマンダーレッド!無事だったのですねッ!一体、何が起きて……」

 

「ああ、さっきのエネルギーは()()()()()()()()

「成る程、それなら……うん?ちょっと待って弦十郎君。何て言ったの?」

 

 先程の風鳴弦十郎の言葉に引っかかるモノを感じた櫻井了子が尋ねた瞬間、煙の向こう側からデュランダルを携えた立花響が襲い掛かって来た。

 

「ガァァァァアアアア!!」

「ッ!しまった、まだミス立花がッ!」

 

「ふんっ!」

 

 響によって振るわれたデュランダル。それを弦十郎は片手で受け止めた。そこから何度も何度も黄金の剣を叩きつけるように暴走する響に対し弦十郎は拳で応戦し始めた。

 

「うおおおおおッ!」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛!」

 

「おい、なんだアレ」

「見て分かりませんか?人類最強候補の一方的な試合ですよ」

「生物学上に於いて女性は男性の上位完全体と言われてるけど……うん、間違ってると思う……」

 

 そんな光景を諦めたように見届ける3人。

……しばらくして

 

「ふんッ!」

「ぐぅ゛ッ゛!?」

 

「でぇええええええええい!」

 

 響の顎に軽い打撃、そしてデュランダルを無理矢理奪った後、遠くに向かって蹴り飛ばす事によって決着がつく。(この間、僅か数十秒)

 

そして二課内では困った時は司令に任せると言う暗黙のルールが確立しつつあった……。

 

 

 

 

 

 

 

「さて困った事になったなこりゃ…」

「えぇ、被害は出ませんでしたデュランダルは不慮の起動を起こし我々に牙を剥きました。やはり破壊すべきなのでは?」

「……おい、こりゃどう言う事だ」

 

「ん、どうした。何か不満でもあるか?」

「不満だとッ!ふざけるな!何で私を捕まえようとしない!」

 

 雪音クリスは激怒した。敵を前にして一切手を出して来ない大人に対し馬鹿にされていると感じたからだ。

しかし、それを宥めるように弦十郎は呟く。

 

「エックス直々の頼みだ。大人が子供の願いを無碍にするのは格好悪くて仕方ないからな」

「敵である私を見逃すってのかッ!」

「そうなる。こりゃ始末書モンだな……」

 

 頭をポリポリと掻き、積まれた用紙の山のイメージに思わず溜息を吐く。

 

「ハッ!お高く止まりやがって!悪人である私様を見逃すとは大人ってのは大層偉いもんだなぁ!」

「……いや、悪人と言われても。貴方って敵ではありますが普通に良い人ですよね?」

「なっッ⁉︎」

 

 エックスの言葉に雪音クリスは面食らう。自分でも悪い事をしていると言う自覚はある。それなのに、今自分は良い人間だと褒められたのだ。

そこへ更に畳み掛けるように司令官も呟く。

 

「確かに、襲撃した際に車両内の職員達は全員無事だった。これはソロモンの杖を使う君が極力、人命を奪わないように指示していたからじゃないのか?」

「ふむ、悪者ぶってますけど……根っから人柄の良さが滲み出てますよ貴方」

「〜〜〜〜〜〜っ!!」

 

 真っ赤になった。白銀のネフシュタンの鎧と銀色の美しい髪によってみるみる内に茹で蛸の如く顔全体が真っ赤に染まって行く。そして……

 

「…こ、…ここ……っ!」

「「こ?」」

 

これで勝ったと思うなよぉおおッ!次は絶対に負かしてやるからなぁ!

 

 そのまま捨て台詞を吐きながら何処かへ飛んで行ってしまった。

 

「全く、何ですかアレ。一体いつの時代の悪役の台詞ですか」

「そうだな。いや、それにしても……エックスとあの娘だが意外と気が合いそうだな。色々と似ている部分もあるし」

「はーーーッ?私は泣く子も黙る人気No.1でオンリーワンのヒロインXですよ⁉︎任務に私情を挟まないクールな性格で人気と名高い私の何処が下乳バーサーカーと同じだって言うんですかッ!」

 

「悪役ぶってるけど根が真面目な所じゃない?とりあえずデュランダルの護送は失敗と言う事で今まで通り二課で管理する事になったわ」

 

 そんな2人の元に駆け付け事後報告を行う櫻井了子。その知らせを受け意識を失っている響を連れ本部へ戻ろうとするが……ふと、了子は呟く。

 

「ところで……デュランダル何処行ったの?」

 

「「あっ」」

 

 

 

 

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

「今日は買い物に付き合って貰ってありがとうございますバイト殿」

「別にいいよこれくらい。俺も丁度休みを貰ってたし」

 

 いやぁ、今日はいい天気だなー。クラスメイトの風魔君や坂田君と一緒にカラオケ行ったりバイク見たり、アンティークショップに行ったりと意外と充実した1日を送った気がする。

 

「いやぁ、しかしだワーカーよぉ。今回はとんでもねぇ、いやゴールデンな掘り出しモノだったな!」

「うん、まさか完全版"オーバーナイトブレイザー"ベルトを見つけるとは思ってもいなかったよッ!」

「えぇ、えぇ!販売停止から数年、音沙汰無しのまさかソレが入荷して来たとは…思ってもいませんでしたしね…!」

 

 オーバーナイトブレイザーッ!それは特撮ドラマ『ワイルドアームズ 』シリーズ第二弾に登場する主人公が変身した姿であるナイトブレイザーが更なる力を求めて、強化された姿であるッ!

 

その人気により成り切り用ベルト発売から数週間であっという間に売り切れたのである。しかしそのベルトが今、俺の手元にあるッ!

 

「で……だ、その…よォ。ワーカーの家でいいか?俺ン家は大将が……な?」

「僕もよろしいでしょうか?屋敷の者達にアレコレ言われるのが少々厄介で……」

 

 そういえば2人って結構イイ所住んでるんだっけか。まぁ、いいや単に俺の家で遊ぶのと変わりは無いんだし。

 

「別にいいってそれくらい。だけどその代わり…」

「分かってるって!最初に遊ぶのはワーカーからだ。三人で金出し合った時に決めたから今更約束破るつもりはねーよ」

「えぇ、その通りです……なので、その…お恥ずかしながら早くバイト殿の家に行きたいのですが……」

 

「もちろん!俺も待ちきれないからね!あ、そうだ。実はアニメに詳しい板場さんって言う人が居てさ……」

 

 この後、家に到着した俺達だったが、何処からともなく飛来して来た黄金の剣よってベルトがピンポイントで破壊されるのは言うまでも無い……。

 




 この後、ゴミ捨て場に放棄された『クソ剣』と言うラベルを貼られたデュランダルは特異災害対策機動部の職員達によって回収されました。

クリスちゃんはもう一押しで仲間になりそうな雰囲気……。
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