未知との遭遇〜アルトリウムを添えて〜   作:ゴランド

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 感想欄がクリスちゃんに関してばっかりで驚いた(小並感)

Q.クリスちゃん好きかい?
A.うん、大好きSA☆




7話 現在逃亡中クリスちゃんヒロイン力上昇中

 

 響が私に隠していた事を打ち明けてから数日。私と響の間には確かな溝を感じていた。彼女は1人で抱え込みやすい性格だ。何も話してくれないのではなく、その性格故に敢えて話すまいとしている。

 

それはあのコンサートの事件以来になって著明となり一時期は私とはわざと距離を置いた事もある。()()()だって、バイトさんが助けに入らなければ今頃はどうなっていたか分からない。

 

私は改めて無力だと痛感させられる。私には何が出来るの?私には見てる事しか出来ないの?

 

 

 

……そんな私にバイトさんから電話が掛かって来た。

急ぎの用件らしく内容をあまり聞かずにふらわーへ駆け込んだのだけど……。

 

 

「ごめんね。知り合いの下着を拝借して来たんだけど…サイズの方はどうかな?」

「あー、いや。ただ少しブラのサイズがちとキツいぐらいだ」

「そう…それなら良かった(もげればいいのに)

「……んん?なんか、言ったk「なんでもないよ(食い気味)」

 

 それは拾った女の子の世話だった。

……うん、どう言う事なのかなぁ?バイトさんってもしかして私に犯罪の片棒を担がせようとしてるのかな?それに今の今まで相談に乗って貰った手前、断れないし……それにしても、お胸が大きいなぁ(溢れ出る殺意)

 

「服の方はだけど……こっちの体操着とこっちのクソダサシャツ。あなたはどっちが良いと思う?」

「………ダサい方で」

「なんでッ⁉︎どうしてッ!こっちの体操着の方が格段に良いのにッ⁉︎」

 

 彼女…雪音クリスは私の親友の体操着よりもバイトさんの用意したシャツを選んだ。解せぬ一体何処がそのクソダサシャツに劣るのだろうか⁉︎ 着心地、触り心地、匂い。全てに於いて私はコチラが俄然良いというのにッ!!

 

すると後方の数cm開かれた扉から部屋の外で待機するバイトさんの声が響く。

 

「小日向さん、ちなみに聞くけどさ。その体操着"ひびき"って書かれてるんだけど……何処で手に入れたの?」

「黙秘します」

「おい、小日向さんおい」

 

 しつこく聞いてくるバイトさんに対し私は顔を背ける……しばらくして、赤地でBusterと書かれた特大サイズのシャツを羽織ったクリスは口を開く。

 

「着たけど……なんだよこの…デカデカと書かれたBusterってのは、あんまり人前で着るもんじゃねぇぞ」

「そう?うちの生徒会長が制作したシャツでいい素材で作られてるから着心地は良いと思うんだけど」

「着心地"は"な。デザイン面で駄目と言ってるんだよ私は」

 

 うん、私もそう思う。と言うかよくそんなもの持ってましたね。私だったら絶対に買いませんよ?着替え終わったのを察知したのかバイトさんは扉を開けて入って来る。

 

「と言ってもなぁ…これは生徒会長が『見てくれ!私が開発した画期的なシャツのデザイン。これでリディアンと共同予定の秋桜祭で着ると言うのはどうかな!』……こんな感じで試作品を渡されたんだよ。他にも幾つか種類あるけど小日向さん欲しい?」

「いらないです(即答)」

 

 ショボンとした顔で俯くバイトさん。いや、しょうがないですって。そんな服を着るなん余程の変わり者位じゃないと着ないと思いますよ……あれ?今リディアンと共同予定って?

 

「まぁ、色々あったのは分かったけど取り敢えずはその空っぽのお腹を満たさないとね」

 

 すると部屋の扉を開けてふらわーのおばちゃんがおにぎりが並んだお皿を持って入って来る。あっ、すみませんありがとうございます。

 

「いいのよ、それにしてもいきなり女の子を拾って来るなんてねぇ…」

「おばちゃん。誤解だからね?俺、そんな誘拐とかしてないから。逆にされた側だからね俺?」

 

 あぁ、そう言えばなんか変なのに連れ去られたんだっけ。結局何だったのかなアレ?そう考えていると訝しむ表情でバイトさんが口を開く。

 

「恐らくだけど、あれは妖怪白タイツだよ」

「何ですかその妖怪白タイツって……」

「妖怪白タイツは下胸以外を白タイツで包んだ変態の妖怪。肩から伸びる触手で夜な夜な子供達を拐うヤバい奴だよ。Xから聞いたから間違いない(確信)」

 

 そ、そうなんだ⁉︎ バイトさん、凄いのに狙われましたね……って、あれ?どうしたのクリス。顔面が蒼白だけど…大丈夫?おにぎり食べる?

 

「へっ?あ、いやいやいや!何がだ?え、お、おにぎりか!食べる!もちろん食べるぜ!でもそんなに悪いヤツじゃないと思うけどなぁ〜〜!妖怪白タイツって」

 

「はぁ?何言ってるの。あの変態コスチュームで善人はないでしょ」

「あ、私もそう思います。完全に悪役口調でしたからね、悪人側ですよねアレ。おばちゃんも気を付けてくださいね」

「確かに、そう考えたら何か防犯用のグッズを買った方がいいかもね」

「うん、俺も防犯用のを何か買う事にするよ……そうそう、雪音さんも気を付けてね」

 

「………お、おう」

 

 クリスは複雑そう表情を浮かべながらおにぎりを頬張る……あと、口にするのは悪いと思うけど食べ方が汚かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……コードネーム謎のヒロインX。だがそれはあくまで表舞台を活動するのに私が付けた仮の名前。ある時はリディアン音楽院の1年生。ある時はバイト君宅の居候。ある時は特異災害対策機動部二課に所属するエージェント。しかししてその実態は……え?どうでも良いから話を進めろだって?あ、はい分かりました。

 

「……ごめんね急に呼び出しちゃって」

「いえ、構いませんよ。それに美味しいクッキーも頂いてしまったのでむぐむぐ」

 

 しかし…むぐむぐ、珍しくミス立花の表情は暗いですね。平気へっちゃら、オッス私ワクワクすっぞを信条とする彼女にしては様子が違って調子が狂います。

一体何が貴方をそんなに苦しめているのでしょうか?

 

「ねぇ…エックスちゃんは……私が化け物だって思う?」

「むぐむぐ……ゴクン はい、そう思います」

「えっ、思うの⁉︎」

 

「そりゃあ、強さも忍耐力も成長力も全てにおいてかなりのものですからね。……まぁ、私よりは劣りますが!」

 

 ランサー如きがセイバークラスに勝てると付け上がるな、と付け加えなかったのは我ながら空気を読んでいたと思います。

 

「しかし、たかがその程度でくよくよ悩むとは貴方らしくないですよ」

「そう…かな?」

「それとも……私が知らない所で何か一悶着ありましたか?例えば過去とかに」

 

「はは、流石はエックスちゃんだね…バレちゃったかー」

「バイト君はよく、相手の過去は詮索しない方が良いと言ってますが……成る程、こう言う。どうしますか?辛いならば過去については話さなくて良いのですが」

「…うぅ、何かあの人と言いエックスちゃんと言い 妙に察しが良いなぁ……うん。ついでだから話すね?実は───」

 

 

 ミス立花は表情には出していませんが絞り出すようにポツリと呟き始めました。数年前に起きたライブの惨劇。それから不幸が連鎖するように始まる虐め、父親の蒸発。更に過激となって行く現代の魔女裁判とも言えるノイズ被害の生存者に対する世間の仕打ちに私はクッキーに伸ばしていた筈の手を止めて聞き入っていた。

 

 なんとも惨い話だ……いや、これこそが人の本性なのかもしれない。

私は脳裏にチラつく王の姿に目を逸らし、眼前の彼女へ意識を集中させる。

 

「───まぁ、こんな感じ…なのかな。今は未来が居るし、エックスちゃんも居るから此処まで来れたと思うんだけど…私って、人間なのかな?」

 

 気付けば彼女の目から水滴が流れて落ちていた。無理矢理笑って誤魔化そうとしているが、心の奥底から悲しい気持ちで溢れているのだと察する事が出来る。

………ミス、立花…貴方と言う人は……、

 

「誰かと繋ぎ合う筈の手は相手を傷つけ、誰かを救う為のこの力(シンフォギア)は誰かを巻き込む……私は……私は…人と分かり合う事なんて出来ない化け物なんd「くどい!!」いたッ⁉︎殴った⁉︎今、殴ったよね⁉︎なんでぇ!」

 

 頬にグーパンを叩き込んでやりました。やはりセイバーはランサー特攻、効果ばつぐんと言う事がハッキリと分かります。いえ、今はそんな事どうでも良いんですよ!そんな事はッ!

 

何なんですかさっきから!色々と負のスパイラルに陥って居る相手を見ていると折角のクッキーが不味くなるじゃないですかッ!

 

「と言うか、一々回りくどいんですよ貴方はッ!不幸自慢ですか!不幸自慢話をしたくて私を呼んだのですか貴方はッッ!」

「い、いやそんな事は…」

 

「シャラップ!第一、貴方が化け物ならニンジャ(緒川さん)は人間台風ですし、コマンダーレッド(弦十郎)は天災ですよ!えっ?防人のセイバー?ノーコメントでッ!つまりはその程度で自分が強くなったつもりですかッ!!」

「え、えっと……「表に出ろ」へ?」

 

「表に出ろと言ったッッ!その性根を叩き直してやります!」

「なんで!?と言うか此処って既に表だよ⁉︎外だよ!?」

 

 ええい、黙れ!ランサー系ヒロイン!幸運E特有の幸薄ムーブしていれば人気になれると思ったら大間違いですよ、所詮セイバーの踏み台に過ぎぬ貴方にクラス相性の厳しさを教えてあげましょう!

 

「さぁ、構えなさい!そんな実力で化け物を自称するなんておこがましい。その性根を叩き直してあげましょう、今、此処でッ!」

「ま、待ってよ⁉︎なんでそんな事に───」

 

「ちょぉーーーっと!待ったァーーーーッッ!その話少し乗らせてもらうよッ!」

 

 むっ、何奴!姿を現しなさいッ!

 

「この勝負!私が預からせてもらうッッ!……いやー、この台詞一度言ってみたかったのよねぇー。まさにこの状況、アニメで例えるなら主人公VSライバルキャラの因縁の対決よね!」

 

「あ、貴女は…!全く出番が無い事で定評のあるアニソン同好会(設立予定)の3人娘の内の1人ッ!板場弓美ッ!板場弓美じゃあないですか!」

「おっと、それ以上言ったら戦争だよッ!」

 

「ビッキーとエックスの勝負と聞いて」

「私達も居ますわ」

「2人まで‼︎どうして此処に⁉︎」

 

 板場弓美とは他にもう2人。続けて登場する形で寺島詩織と安藤創世がそこに現れる。しかし何故、貴方達が此処に……?

その疑問は板場の言葉によってすぐに解消される事となる。

 

「出番が欲しいッ!だからこうやって馳せ参じたのよッ!」

「出番って何が⁉︎」

 

 成る程〜〜〜、そう来たかァ〜〜〜〜〜ッ!確かに出番は大事ですね。登場回数が減らされて行くと徐々に「あれ?こんなキャラクター居たっけ?」と忘れ去られてしまいますから。

 

「大した説得力ですね」

「なんでエックスちゃんは納得してるの⁉︎」

 

「とりあえず私は来たッ!見たッ!そして話は(殆ど聞き取れなかったけど)理解したッ!ここは1つアニメらしく腕相撲で勝負と行こうじゃない!」

「「何故そこで腕相撲ッ!?」」

 

 唐突な提案に私とミス立花は声を上げる。なんで敢えての腕相撲なのでしょうか!そこはチャンバラとか大食い勝負とかにすべきでは?全部、私の得意分野のように見えますが気のせいでしょう。

 

「やっちゃえビッキー!」

「立花さん負けないでー!」

「えぇ⁉︎急にそんな事言われても……」

 

 寺島と安藤の言葉に戸惑うミス立花……そうなるのも仕方の無い事です。それに私もあまり気乗りしませんからね。

自ら激昂して言ったのも何ですが、こんなくだらない事はやめましょう。

 

「エックスのいい所見たいなー!」

「貴方の力を見せる時ですよー!」

 

 ふふん、そうやって煽てても無駄ですよ2人共。最高最前最大最強のセイバーである私にそのような声援は意味がありません。まぁ、別にもっと褒めても良いんですよ?

ですがそのような事をされても私が簡単に乗る筈が……

 

「ヘイヘイ、エックスびびってるー!」

「立花さんに負けるのが怖いんですかぁ?(煽り)」

 

「やってやろうじゃ無いですかッ!腕を出しなさいランサーッ!」

「エックスちゃん⁉︎」

 

 誰が負けるのが怖いだって!?上等ですよ!そろそろ私とミス立花、どちらが上なのかハッキリさせようと思っていた所でしたからね!さぁ覚悟して貰いますよ!

 

「お、やる気出したね。それじゃ2人共構えて……レディーーーーファイッ!」

 

 謎のヒロインXのパワーが未来を切り開くと信じてッ!

 

「うおおおおおおおおおッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝者(winner)ッ!立花響ッ!」

 

があああああああああ腕ッ!腕ッ!腕がぁあああああああ!!!

 

「ちょっと大丈夫!?腕が思い切りあらぬ方向に捻じ曲がったけど⁉︎」

「まるで粘土をこねるようにグニャリと……凄いですわね人体」

 

「だ、大丈夫⁉︎エックスちゃん!」

へ へへ…、ま、まぁ?実力の半分しか出して…ぐすっ、ないですから…こっ、この程度で勝ったと思わない事ですね……ひぐっ、いたい…

 

(((可哀想に…泣いてる……)))

 

「……え、ええいッ!なんですか?さっきから化け物、化け物と!いいですか!例え化け物だとしてもそれが何か不都合な事でもあるんですか貴方はッ!(キレ気味)」

 

 もう頭来ましたッ!腕をこんなのにしてふざけているんですかッッ!

 

「化け物なら手を取り合えない?化け物だから分かり合えない?馬鹿ですか!もし、そうだとしたら私達は友達じゃありませんよーっだ!」

「……え?」

 

 第一、今更そんなのを気にする私達だと思いますかッ!防人のセイバーも小日向も、コマンダーレッドもニンジャも二課の職員達もそんなの気にするとお思いで?

まさか、そんなので離れるような私だと思ってるのですか!私とミス立花の間で出来た絆がそう簡単に………いや、私何言ってるんですか?

 

なんか、ガラでもない青臭い恥ずかしい台詞で途端に恥ずかしくなって来たのですが……うん、ここはアレですね!バイト君に任せるとしましょう!

 

「それにです。バイト君だって言ってました。例え彼女がどうなってもずっと友達で居てあげて…と言われてますし!」

「……」

 

 いやぁ、困った時のバイト君ですね。こう言う時に彼の言葉を使っておけば大概何とかなるので……ハッ⁉︎まさかあの時のバイト君の言葉はこれを察知していたと言うのですか⁉︎

 

まさかバイト君は予知能力的なフォース的なサムシングを扱えるのでしょうか………これはシーズン2か3辺りで肩を並べて共闘する伏線に違いありませんねコレは!

 

「エックスちゃん……、響でいいよ」

「うん?」

「もう、ずっとミス立花とか格好付けなくても普通に響って言って良いんだよ?ほらほら響ちゃーん って!」

 

 お、おおう。随分と早く立ち直りましたねミス立花。と言うか途端に慣れ慣れしくなった!ええい、離れなさい!温度差が激しくてユニヴァースグッピーも死にますよ!

 

「全く…、貴方は深く考え過ぎなんですよ」

「いやー、面目無い。……それで思ったんだけど私って頭悪いじゃん?」

「そうですね(即答)」

「即答された!酷いッ!……と、まぁ私、思った訳なんですよ」

「……とりあえず何を思ったか聞いておきましょうか」

 

 ふふんと胸を張る彼女の口が開かれる。

 

「もう…ね、頭良い人に難しい事を任せようって。まぁ、とどのつまり深く考えるのはやめましたッ!!」

「……ず、随分と開き直りましたね」

 

 コレ、ダメな方向へ加速してませんよね?大丈夫ですか、これ以上彼女の知力下がったりしません?

 

「んもう、何言ってるの。エックスちゃんだって私くらい頭悪いじゃーん」

「そそそそ、そんな事ありませんよッ!ヒビキよりは頭は良いと自覚してますからッ!」

「ちょっと、それ酷くない⁉︎……あれ?今、ヒビキって!」

 

 隣で何かを言って来るヒビキを他所に私は手元にあるクッキーを頬張る。

 

 例え貴方が壁を作ろうとしても、誰かを突き放そうとしてもそれに手を伸ばしてくれる相手は必ず存在する。分かり合うのに、己が何者かであると言うのはそんなに大事なのでしょうか?自分が化け物である事がいけない事なのでしょうか?

何よりも()()()()()()()も貴方と分かり合えたのですからね。

 

 

 

 

そんな私達の元にノイズの出現を知らせる連絡が届く。

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 

 

「……ハッ!?何処かで響がエックスとの好感度が高まった気がする!」

「急に何言い出すの小日向さん」

「おい」

 

 ノイズ発生のアナウンスが聞こえたのでシェルターへ避難しようとした矢先に雪音さんがノイズが出没してる方向へ走ってしまうので追いかける俺達。その途中、謎の電波を小日向さんは受信したらしい。まぁ、いつもの事なんだけど。

 

「私思ったんですけど……もしかして本格的にエックスが響のパートナー的立ち位置なら収まりつつあるんじゃないんでしょうか。本当ならそこは私が収まるべき枠だと思うんですが!」

「本気で何を言い出してるの小日向さん」

「おい!無視するなッ!!と言うかお前等何で着いて来ているんだよ!」

 

 そりゃ…、いきなり雪音さんが走り出したからだと思うんだけど。1人勝手に皆とは反対方向に走り出して……えっ、もしかして方向音痴なの?

 

「私に構うなって言ってるんだよッ!これも全部私が引き起こしたんだッ!こんな事にお前等を巻き込む訳にはいかないんだよッ!」

「クリス……」

 

 激昂する彼女に気を取られていた所為か、俺達は気付くのが遅れてしまった。既にノイズに囲まれていたのだ。

 

「ノイズッ!?」

「くそッ、こんな時に…!Killter Ichaiv…ゴホッ、ゴホッ!(しまったッ!ノイズが撒き散らす砂埃でむせて──!)」

 

 2人にノイズが迫って……って、危なッ!!

 

「えっ⁉︎」

「お、おい⁉︎」

 

「三十六計逃げるに如かずッ!」

 

 雪音さんと小日向さんを脇に抱えて逃げるッ!この程度の数問題無いぞオラァ!弦十郎さんとの特訓と言う名前の地獄で習得した擬似的な空中歩行でノイズ包囲網を突破ァ!

 

「お前本当に人間か⁉︎」

「いや、多分だけど半分人間辞めてる気がする!だからって俺が生物学上人間である事は確かだから(震え声)」

 

 着地して……うおっ、危なッ⁉︎またノイズが襲って来た!何でしつこく狙って来るかなぁ!

 

『─────!』

 

「待てッ!後ろから来てる!」

「えっ」

 

 瞬間、ガラ空きとなっている俺の背中を槍となったノイズが穿ち炭素へ変える────事は無かった。残念それは身代わりだ。

 

「えっ?……えっ⁉︎」

「今貫かれて……!」

「いやぁ、風魔君に面白半分で習った空蝉(身代わりの術)が役に立つとは思わなかった……上着は犠牲になったけど」

(コイツ本当に人間かよ……って、あれ?もしかしてこいつを拐おうとした私、返り討ちにされていた可能性が……いやいや、無い無い。絶対無いな完全聖遺物に素手で勝てる人間なんて居る訳ねぇよなハハハ」

 

 うーん、途中から変な事言い出してるけど疲れてるのかな雪音さん。ゴミ箱漁っていた位だしこの騒動を乗り越えたら美味しい食事でも作ってあげt「バイトさん!」へ?

 

瞬間、俺はその場で崩れ落ち2人を投げ出してしまう。

 

「痛ッ、おい急に何をして……!?お前、脚がッ⁉︎」

 

「え?脚?脚がどうかし────あっ」

 

 雪音さんの言葉を聞き、下の方へ視線を向ける。するとそこには俺の片脚が炭素となり、ボロボロと崩れて行く光景が広がっていた。

 

え、あ、嘘?……お、俺の脚いいいいいいいいいい!!?俺の片脚がボロボロに朽ちたぁあああああああああああ!!

 

「バイトさんッ!」

「っ!……小日向さん雪音さん。俺の事は良いから早く行くんだ!」

「で、でも……!」

 

 立とうにも片脚が無い所為でバランスを崩し、起き上がるのが難しい。そして後方には迫り来るノイズ。

……あ、もうこれ間に合わないな(諦め)

 

せめて、小日向さんだけでも助かるようにノイズ達を道連れに……出来れば良かったんだけど、道連れにする方法すら分からないんだよなクソが。

……って、ちょっと小日向さん⁉︎

 

「一緒に逃げるんですッ!私達皆で!」

「いや、俺を担いで逃げようとしても巻き込まれるだけだ!雪音さんと一緒に逃げ──「私がこうしたいから、こうするだけですッ!」

 

「……"あの時"そう言ったのはバイトさん自身ですよ!」

 

 あぁ、もう。こんな時に……!格好付けている場合じゃないんだぞッ!

 

小日向さんの肩を借りて懸命に前へ進むがジワジワとノイズ達が迫る。万事休す、もはやこれまでか…と思った瞬間、クリスさんが俺達の前に出て歌を口にした。

 

Killter Ichaival tron

 

 

 刹那の光と放たれる衝撃波によって濁った色をしたノイズは鮮明に映し出される。そして、光が収まった頃には雪音さんの姿は先程までと異なっていた。

 

「テメェ等、纏めて地獄行きだッッ!!」

 

「あれは…ッ⁉︎」

「響と同じ……!」

 

 歌と共に生まれた赤の装甲。Xから話だけを聞いたけど、まさか…あれが、シンフォギアなのかッ!?けどギアは二課が保有していると聞いたが雪音さんは弦十郎さん達と接点が無い筈なのにどうして……?

 

しかし、そのような疑問を吹き飛ばす程の銃声と声量がこの場に響き轟く。絶望の縁に立たされた者を鼓舞するような心の奥底を燃え上がらせる彼女の歌。

 

「死ねッ!死ねェッ!死んで償えッ!」

 

 優しく感じる。そんな歌の筈なのに歌っている雪音さん本人は酷く怒りに満ちた表情であり

 

「やっさいもっさいだぁあああああああああッッ!!」

 

酷く、悲しそうな顔をしていた。

 

「ハハハ、ハハハハハハハハハ!!消えろよ!全て、全部、何もかも消えちまえよッ!ハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

 様々な感情が入り乱れグシャグシャになって行く雪音さん。周囲に存在していたノイズを塵にするとその場で膝を付くとポタポタと地面に目から溢れる水滴が落ちていく。

 

「はぁ…はぁ…チクショオッ!こんな事の為に私は…私はぁあああああッ!!」

「クリス!後ろ!」

「なっ!」

 

 小日向さんが叫ぶ。その理由は雪音さんの背後に大量のノイズが迫っていたのである。咄嗟に手に取ったボウガンで撃ち抜くが、圧倒的な物量に彼女は押し潰される直前だ。

 

その時、聞き覚えのある声が上がった。

 

「伏せろアーチャーッ!」

「っ!」

 

「デシジョン・ストラァァアイクッッ!!」

 

DECISION・STRIKE

 

 雪音さん そして俺達も一緒にその場で屈んだ直後、光の刃によってノイズの軍団は両断される。炭素となり風を受け、崩れるノイズだったモノ達。その向こう側から黄金の剣を引っ提げて歩いて来るのは……。

 

「どうも、謎のヒロインXです。どうやら助けが要るようですね」

「お前ッ!?」

 

 俺の良く知るジャージを肩に掛けサイバーチックなコスチュームを纏うXだった。そして更に…

 

「はぁーーーーッ、うぉりゃぁぁああああッ!!」

 

 脚部のパワージャッキから放たれる勢いを利用した突進…いや、超パワーによる弾丸の如きただの加速でノイズ達を蹴散らす立花さんの姿が………え、なにあれ(真顔)

 

「未来!無事だった?」

「響!どうして此処が分かったの⁉︎」

「クリスちゃんの歌が聴こえて来たんだ!それで此処にいる事が分かったんだよ!」

 

 立花さんがそう小日向さんに告げ、後ろにいる雪音さんと向き合う。怯えた様子の彼女の前へ歩み寄ると手を差し伸ばす。

 

「良かった、クリスちゃんも無事だったんだね!」

「な、何だよお前…どうして…どうして私なんかを助けて⁉︎」

「どうしたもこうしたも無い!私がそうしたいからだッ!」

「はぁ⁉︎」

 

 俺の知らぬ間に話が進んでいく……すみません、ちょっと女子の人数的にも比率が釣り合い取れてないので俺帰っていいですかね?え、駄目?あ、そう……。

 

 

「私ね、クリスちゃんに言われてから色々考えてみた。だけど私には答えを出す事が出来なかった……だからこう言わせて貰うね。"だとしても"私はクリスちゃんと分かり合いたいって」

「……何だそりゃ、お前本当に馬鹿だな……でも、そりゃますます無理な話だよ」

 

そう言う雪音さんの口から続けて言葉が放たれる。

 

「私なんかが分かり合う資格なんて無いんだ。お前に化け物と言ったが、化け物は私の方だったんだよ……私の所為であの2人が巻き込まれて…更にはアイツの片脚を失わせた……アイツは、アイツは私の友達になってくれた奴だ!一度は拒否したけど、本当は嬉しかったッ!それなのに私は怖くて拒否して……私は……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、見事に炭になっちゃいましたねこれ」

「歩けますか?肩貸しますよ」

「ありがとう……あー、最悪だ。これ給付金出るっけ?バイク購入したばかりだったから財布が薄いんだけど」

「やはり私の給料から出しましょうか?……あ、そう言えばこちらも少ないんでした忘れてください」

 

 本当にどうしようか片脚無いと働くのも一苦労だし…と言うかおばちゃんの性格上働かせてくれないんだろうなぁ……。

 

「……おい」

「はい?」

「いや、はい?じゃねぇよ。何でそんな反応薄いんだよッ!片脚が消されたんだぞッ、もっと喚いたりしないのかよッ!」

 

…あー、確かに。普通はそうなんだけど……ね?でもさ雪音さんノイズに触れたら通常は片脚どころか全身まで炭素化するものなんだよ。

 

「いや、だからどうしたんだよ」

「クリスちゃん……その、ね?バイトさんの脚なんだけど……」

 

 ズボンの裾をまくって…よいしょっと。

 

「俺の脚さ()()()()()()()()

「……は?」

 

「いやー、数年前テロ的な何かで両親と片目片脚、あとついでにその時の記憶を無くなっちゃってね。ハハハ、まぁ最近お金もごっそり無くなったんだけどネ!」

「サラッと言ってますが過去が重ィ!」

「バイトさん…そう言う所ですよ」

「私達が初めて会った時もブラックジョークで気分をどん底に突き落としたの忘れてませんからね」

 

 女子達に言いたい放題言われてる……ツライです…。ドのMではないから精神的に凄まじいダメージがクリーンヒットしたんですけど。

 

「……」

「ね、ねぇクリス、大丈夫?顔真っ赤になってるけど」

「しっ、彼女をそっとしておいてあげてください。壮大な勘違いで泣いたり劇的な台詞を言った事に羞恥を感じてるんですよ彼女はッ!無論私は最高のセイバーなので空気を読んで黙っていますがね!」

 

 X、ごめん。多分、いや確実に雪音さんにダメージを与えてるのって君自身だから。傷に塩と唐辛子を塗りたくっているから。

 

「ねぇ、ねぇクリスちゃん!バイトさんと友達になるならー、私達とも友達って事になるよねっ!(キラキラダブルピース)」

「……う」

「う?」

「〜〜〜〜〜〜ッ!うるせぇ、この馬鹿ァ!」

 

 その日、雪音さんの渾身の右ストレートが立花さんの顔面を捉えた。

錐揉み回転しながら飛んでいく様はとても凄いなと思った(小並感)

あと、その場面でのなぎこさん直伝のキラキラダブルピースは流石にウザいと思われるので今後は控えた方がイイと思う。

 





〜〜おまけ〜〜

「お前達無事かッ!」

「師匠!」
「コマンダーレッド!」
「二課の司令官さん!」

「弦十郎さんの呼び名を統一した方が見事バラバラな件について」




うーん、やっぱクリスちゃんはヒロインとしての格が違うな!

……えっ、ヒロインXはどうしたかだって?奴は置いてきた。ヒロイン枠争奪戦には付いて来れそうにないからな……。

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