部屋に入ったアイズ達を待っていたのは、首のなくなった男の死体だった。下半身のみ衣服を纏った、鍛えられ筋張った褐色の肉体。無造作に投げ出された手足は男の苦悶を物語っているようだった。頭は踏み潰されたのか、首から上は弾けた果実のように成り果て生前の容貌は知るよしもない。
「見ないで、レフィーヤ」
有無を言わせない口調でアイズは、レフィーヤの視線を死体から
「ぐろ.....」
眉間を歪めながらティオナが呟くと、室内にいた2人の男性が振り返った。遺体の横で膝をつき、現場検証をしていた彼等の内の1人が、アイズ達を見やるなりその太い眉を吊り上げる。
「あぁん?おいてめえ等、ここは立ち入り禁止だぞ!見張りの奴等は何やってやがんだ!」
「やあ、ボールス。悪いけど、お邪魔させてもらっているよ」
怒るヒューマンの男に、フィンは話しかけた。
ボールス・エルダー
この『リヴィラの街』で買取所を営む上級冒険者だ。『俺のものは俺のもの、てめえのものも俺のもの』と言ってはばからない彼は、事実上の街のトップである。ならず者が寄せ集められたこの街において、トップに求められるのは他の者を黙らせる腕っ節であり、この街唯一のLv.3であるボールスが最も強かった。
「僕達もしばらく街の宿を利用するつもりなんだ。落ち着いて探索に集中するためにも、早期解決に協力したい。どうだろう、ボールス?」
「けっ、ものは言いようだなぁ、フィン。てめえ等といい【フレイヤ・ファミリア】といい、強ぇ奴等はそれだけで何でもできると威張り散らしやがる」
「アイツ自分のこと棚に上げてない?」とティオネが
「それで、どうなっているんだい?この冒険者の身元や、手にかけた相手のことは?」
「ああ.....くたばった野郎は、ローブの女をここに連れ込んできた
ボールスの他に部屋にいた獣人の青年、ヴェリーはその確認に頷く。宿屋の主人である彼は補足するように話を続ける。
「昨日の夜に、2人で来てよ。どっちも顔を隠して、宿を貸し切らせてくれって頼まれたんだ」
「たった2人で宿を貸し切り.....ああ、そういうことか」
「ああ、そういうことだ。うちの宿にはドアなんて気の利いたもんは無いからよ、喘げばそこら中にダダ漏れだ。やろうと思えば覗き放題だしな」
フィンは言わんとしていることをすぐに察し、話に耳を傾けていたレフィーヤも何かを悟ったのか、か〜っと真っ赤になる。
「まぁ、男の浮かれた声にムカついてよ.....くたばっちまえなんて思いながら部屋を貸したら、このザマだ。ぞっとしちまったよ」
軽い調子で語るヴェリーだったが、その顔には肝を冷やしたという感情の名残が残っていた。片手を首に回す彼は参ったように重いため息をつく。リヴェリアが
「そのローブの女の顔は見なかったのかい?」
「フードを目深に被ってたんだ、男と同じで顔は全然分からなかった......あー、でも、ローブの上からでもわかるくらい、めちゃくちゃいい体してたな。ああ、思わずむしゃぶりつきたくなるような女だったぜっ」
「おお、実は俺様も街中でチラッと見かけたんだが.....ありゃあーいい女だ。顔は見えなかったが、間違いねえ」
力説するヴェリーに続き、ボールスまでもが、件の女がいかに男好きする体付きをしていたかを熱弁する。鼻息が荒くなっている彼等に、ティオナを初めとした女性陣が冷たい視線を送った。
「.....でもさぁ、自分のお店なのに、部屋で何があったのかわからなかったの?あの入口の前のカウンターにずっと居たんでしょ?」
「勘弁してくれよ。あんないい女を連れ込んで部屋から声が聞こえてきたら、嫉妬でおかしくなっちまう。満室の札を店の前に置いて、俺はさっさと酒場に言っちまったよ」
飲まなければやってられないとばかりに飲み明かしたと言う彼の証言は、昨夜酒場にいた者達によって裏付けされている。ヴェリーが酒場に行った昨夜から今朝の間に男は殺され、そしてローブの女が姿をくらましたことは間違いないなさそうだ。床へ脱ぎ捨てられいる衣服と、半裸である男の格好から、死ぬ直前まで何を行おうとしていたのかは想像に難しくない。情事に至る寸前、その隙をつかれる形で殺害されたのだろう。くだらなそうに部屋の状況を眺めていたティオネは、ボールスに問いかける。
「その様子だと、ローブの女の目撃者も誰もいないみたいね?」
「まあな。今のところ何も手がかりはなしだ。とりあえず、今からこの野郎の身元を体に直接聞くところだがな。おい、『
ボールスの声にちょうどヒューマンの冒険者が駆け付けてきた。慌てて来た彼の手には真紅の液体が入った小瓶が抱えられてる。受け取ったボールスが無遠慮に仰向けの遺体をひっくり返すと、小瓶の栓をキュポンと引き抜く。赤い液体を背中に垂らすと、いつの間にいたのか、それを引き継ぐ形で獣人の少年が模様を描くように机の上で指を踊らせ始めた。
「『
「我々のステイタスを暴くためだけのアイテムだ。正確な手順を踏まなければ、それ単体だけでは神々の
レフィーヤの隣で、死体を
「あーいう技、どこで覚えて帰ってくるんだろうね.....」
「冒険者が金にがめつくて何でもする『物好き』なのは、今に始まったことじゃないでしょ」
呆れ顔のティオナ、半眼を作るティオネの視線の先、ボールス達は淀みなく【ステイタス】が隠れている背中に指を走らせていく。
「ボールス、できた」
「おう、でかした」
開錠を担当した小男が退く中、ロックをこじ開けられた【ステイタス】を見下ろすボールスは、しまった、というかのようにばしんと頭を叩く。
「いけねぇ、【
「それなら私が読める」
「私も」
頭を抱えるボールスに、リヴェリアとアイズが口を開いた。目を丸くした彼は、肩を上げて道を開ける。進み出た彼女達は【ステイタス】を俯瞰し、【
「名前はハシャーナ・ドルリア。所属は.....」
「.....【ガネーシャ・ファミリア】」
アイズがリヴェリアの言葉を引き継いだ瞬間、場が静まり返る。一瞬、室内から音が消え去った。そして次には、にわかに騒然となる。
「【ガネーシャ・ファミリア】!?」
「おい、間違いじゃないのかよ!」
瞬く間に上がる悲鳴のような声々に、アイズも、リヴェリアも遺体の【ステイタス】に視線を縫いつけたまま動かさない。張り詰めた眼差しを浮かべる彼女達に、フィンやティオナ達も目を見張った。わなわなと震えるボールスは、平静を欠いた声で、何より看過できない事柄を叫んだ。
「冗談じゃねえぞ、【
アイズ達の口からもたらされた、第2級冒険者の死。同時に導き出されるのは、ローブの女。ハシャーナを殺した犯人は少なくともLv.4以上の実力者という事実。第1級冒険者に相当する殺人鬼が、まだこの街に潜伏しているやもしれない可能性に、凍てつくような戦慄が走り抜けた。
収まらない声々が宿の壁に、青い水晶の柱に吸い込まれていく。その場にいる多くの冒険者が取り乱す中、騒然となっている『ヴェリーの宿』は混乱の一途を辿っていった。頭部を失った遺体が晒す【ステイタス】を、アイズ達はそれぞれの表情を浮かべながら見下ろしている。
「.....ほ、本当に、この人は力ずくで殺されてしまったんでしょうか?その、毒とか.....」
「アビリティ欄には『耐異常』もあるから、多分、違う.....」
「ハシャーナさん程の実力者なら、劇毒を盛られたとしても、さほど効き目はないだろうしね」
レフィーヤの疑問に、アイズとミナトが答える。ハシャーナの【ステイタス】には『耐異常』が刻まれており、しかも効果値をG評価まで伸ばしている。G評価であればほとんどの異常効果を無効にすると言っていい。例えその手に強い薬師が作った毒でも、彼の行動の自由を奪うには足りないであろう。
「ことに乗じることで油断させていたとはいえ、第2級冒険者の寝首をかける女、か.....」
「.....【イシュタル・ファミリア】の
フィンの言葉にティオナが考えを口にする。匂い立つような色香と
「だとしたらわかりやすくていいんだけどね、まぁ、疑ってくれと言っているようなものかな」
「そうよ、あからさま過ぎるじゃない」
ティオネがそう続け、さらにフィンが、
「それに、彼の【ファミリア】の団員達、彼女達のほとんどは
【イシュタル・ファミリア】の話題になってからただ1人苦笑いを浮かべ続ける金色の青年に視線を送りつつ、そう加えた。
「あの
「ははは.....」
フィンの言葉に納得したティオナが、どこか他人事のように同情の視線を送った。その直後だった。室内にいた取り巻きの1人が、半狂乱でアイズ達に指を向ける。
「そ、それらしいこと言ってるけどっ!!今ちょうど街にやって来たって顔して、本当はお前等の誰かがやったんじゃないか!?」
その発言を皮切りに、ボールス達は一斉に振り向いた。泣く子も黙る第1級冒険者達に疑惑の視線が向けられる。第2級であるハシャーナを実力で殺害できる有力な容疑者は、確かにこの場ではアイズ達を置いていないだろう。「え〜」とティオナは心外とばかりの表情を浮かべ、ティオネは反感のこもった眼差し、リヴェリアも片目を瞑り、レフィーヤは慌て始めた。ミナトは軽くため息を吐き、フィンは苦笑しながら頬で指をかく。アイズも困ったように、少々
「こいつらがやったとすると.....」
「ああ、まずフィンとミナトはありえねぇ.....」
アイズ達を囲む冒険者達の輪。緊張で喉を鳴らすボールスが、小柄な
「こいつはないな」
「ああ、ないな」
「うぎーっ!?」
両手を振り上げ暴れようとするティオナを羽交い締めするアイズ。ばたばたと部屋の一角が騒がしくなる中、冒険者達の疑いの目は、最後にティオネへと向けられた。
「.....その体を使えば、男なんていくらでもたらし込めるだろうなぁ?」
ボールスの言葉が響く中、冒険者達の舐めるような視線が、妹以上に露出の高い彼女の体にまとわりつく。
「.....あァ?」
そんな彼等に対し、ティオネは。目を見開き、とてつもない表情で、憤怒を爆発させた。
「私の
凄まじい罵詈雑言が続け様に炸裂する。鬼の如き形相を浮かべるティオネはがなり立て、踏み出した一歩で床を打ち砕いた。今にも飛びかかろうとする実姉を今度はティオナが抑える中、虎の尾を踏んだ冒険者達は例外なく、盛大に青ざめて内股になる。
「.....あー、ボールス。ご覧の通り、彼女達には異性を誘惑できる適性がない」
「お、おおぅ.....疑って悪かった。す、すまん」
股間に手を添えた情けない格好でこくこくと頷くボールス。自身も疲れきったように伏し目がちになるフィンだったが、気を取り直して、改めて室内を見回した。
「死因は頭部の破壊.....いや、どうやら最初に首の骨が折られているな」
「首を折って殺害した後、頭を潰したということか?」
「恐らくは」
ボールスに許可を取り遺体に触れたフィンに、リヴェリアが問いただす。彼女に原型が残る下顎と首を調べながらフィンは頷く。
「何か目的があったのか.....それとも」
死体から顔を上げたフィンは、室内の隅にあるバックパックを見やった。物色された跡のある
「ローブの女は、ハシャーナの特定の荷物を狙って近付いたのかもしれないね」
「おー、わかりやすくていいなぁ。それでハシャーナの野郎はまんまと色仕掛けに乗って、殺されちまったってわけだ」
「この荷物の状態を見るに.....焦っていたというより、相当
フィン、ボールス、リヴェリアと声が続く中、アイズも荷物のもとまで歩み覗き込む。引き裂かれているバックパックは中身をかき出され、周囲にはいくつかの道具も散乱していた。確かに乱暴にものに当たった感情が見え隠れしている。
「ンー?」
破損したドロップアイテムなどの荷物が多くを占める中、フィンが取り出したものは、1枚の血まみれの羊皮紙だった。見守っていたアイズの横から、ティオナ、レフィーヤが顔を出す。
「何それ?」
「
羊皮紙を開くと、大半の文字は飛び散った血に汚れ、ろくに読むことはかなわなかった。それでも真っ赤に染まっている紙から、いくつかの文字を拾い上げる。辛うじて読み取れる文字を抜粋し、フィンが独り言のように呟く。
「ハシャーナは依頼を受け、犯人に狙われる『何か』を30階層に取りに行っていた.....?」
周囲に染み渡るように、1度部屋に静寂が訪れる。膝を着いていたフィンは、羊皮紙を見るのを止めて立ち上がった。側にいるボールスの顔を見上げて尋ねる。
「ハシャーナが普段身に付けていた装備品に、覚えはあるかい?」
「んん〜〜っ、ヴェリー、何かわかるか?」
「確か、前は兜を被ってたな。ガネーシャと似たような感じの、顔が見にくいやつ。でも
ふむ、とヴェリーの言葉を聞き、顎に手を添えるフィン。彼の横でリヴェリアが口を開いた。
「ハシャーナは引き受けた依頼のために、素性を隠していたようだな。恐らくは【ファミリア】の者にも話さずに」
「.....ボールス、一度、街を封鎖してくれ。リヴェラに残っている冒険者達を出さないで欲しい」
「まだ犯人が何気ない顔で出歩いてるってか?俺様だったら、とっくにトンズラこいてるがなぁ」
「ハシャーナほどの人物が極秘に当たる依頼.....犯人が探していたものは、よほどの代物だった筈だ。もしまだ確保できていないとしたら、手ぶらでは帰れないだろう」
それに、とフィンは続けると、ぺろりと右手の親指を舐めた。
「きっとまだいると思うよ.....勘だけどね」
足元から見上げてくる碧眼に、ボールスは神妙な顔で了承した。彼は太い腕を振って部屋の者達に指示を飛ばす。ボールスの舎弟達が慌ただしく動き出す中、ティオナ、ティオネ、レフィーヤ、ミナト、そしてアイズはその様子を外から眺める。
「何だか凄いことになってきたね」
「うん.....」
「ここまできたら、ハシャーナの
「は、はいっ」
「無茶だけはしないようにね」
アイズはティオナ達に相槌を打ちながら、物言わなくなった遺体を見つめた。目を伏せ追悼の念を抱きながら、やがて顔を上げ、ティオナ達とともに自らも行動を始める。
「(
『あぁ...?』
「(少しの間、周囲の感知を頼めるかい?)」
『.....面倒くせえ』
「(人が1人亡くなっている、お願いだ)」
『ちっ...仕方ねーな』
人の感情、とりわけ殺気のような強い感情に敏感な九尾は、ある程度の悪意を感知することができる。今は殺人という非日常的な出来事によって、多くの者が不安などの負の感情を出していて感知しにくいが、用心に越したことはないだろう。
ボールスによって封鎖命令が下された『リヴィラの街』の中は、いつにないざわめきと動揺が伝播していた。
「集まるのが早かったね」
「呼びかけに応じねえ奴はら街のブラックリストに載せるとも脅したからな。そうなりゃどこの店でも即叩きだしだ。この街を今後も利用してえ奴等は、嫌々でも従うってもんよ」
「それに、1人でいるのは恐ろしい、か」
ああ、とフィンの呟きにボールスは頷く。彼等の視線の先で揺れ動いている人集りは、程度の違いはあれその顔には不安と恐怖を抱えていた。ボールスの命令とフィンの提案のもと、街にいる全ての冒険者達がこの中心広場に集まっていた。
「お前等以外の第1級が見つかりゃあ、わかりやすかったんだがな.....」
「最初から騒動を起こすつもりでいたんだろう。変装をしているか、あるいは公式のLv.を偽っているのか、安易に疑われない対策の一つや二つは取っている筈だよ」
「相手も馬鹿じゃねえか」
冒険者達を見回すフィンとボールス。ざっと数えても、集まった人数は500に届く。
「この人数を調べるの、大変そうだね.....」
「うん、でも....ここからもっと、数を絞れるから」
フィン達の側で集まった冒険者達に圧倒されていたティオナは、アイズの返答に「はえ?」と目を丸くさせる。
「ハシャーナさんを襲った人は、女性の筈だからね」
「あ、そっか!女の冒険者だけを調べればいいんだ!」
「それくらい気付きなさいよ、あんた.....」
「付け加えるなら、男の欲情をそそるような体の持ち主、という点だな」
ミナトの答えに合点がいったとばかり笑う妹に、ティオナは呆れ、その横からリヴェリアが補足する。「それなら楽勝じゃん!」とも続けるティオナに、レフィーヤは思わずといった感じで苦笑した。
「【ステイタス】を見せてもらうのが一番手っ取り早いが.....」
「我が物顔で調べれば、都市中の【ファミリア】から反感を買ってしまいますしね」
リヴェリアの言葉に、レフィーヤは相槌を打った。目の前で男女に分けられる冒険者達。現在18階層は『昼』。天井の水晶が地上のアイズ達を照らす中、準備は整った。
「まずは無難に、身体検査や荷物検査といったところかな」
「うひひっ、そういうことなら.....」
フィンの助言に嫌らしく笑うボールスは、顔を上げて女性冒険者達に叫んだ。
「よぉし、女どもぉ!?脱げーっ!!体の隅々まで調べてやるぜー!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおッ!!』
ボールスの要求を聞き、全男性冒険者達が熱烈な歓声を上げる。俄然やる気をだす浅ましい男達に、ふざけんなーッ!死ね!と女性冒険者達から
「馬鹿なことを言っているな。お前達、我々で検査するぞ」
「はーい」
「うん」
「こいつらの団結力って何なの?」
「わ、わかりましたっ」
雄叫びを上げる男達を放っておき、リヴェリアが検査を受け持つため歩み出る。声をかけられたアイズ達は彼女の後に従った。ぶーぶーと男性冒険者達が野次を垂れ流す中、アイズ達は横一列に並び、それぞれの女性冒険者に対応しようとする。
「それじゃあ、こちらに並ん、で.....」
自分の前に列を作るよう指示をしようとしたレフィーヤの声が、突然途切れる。彼女の視線の先、女性冒険者達はアイズ達を見向きもせず、ずらりとフィンとミナトの前に長蛇の列を作っていた。
『フィン、早く調べて!?』
『お願い!』
『体の隅々まで!!』
『ミナトさん、このまま宿に行きましょ!?』
『ちょっと!私が先よっ!!』
『なんならここでも!?』
「.....」
「え、えっと.....」
多くの
【
【黄色い閃光】ナミカゼ・ミナト
オラリオにおける女性冒険者人気の1、2を争う、第1級冒険者の2人である。
「あ、の、アバズレどもッ.....!?」
「ちょっとぉ、ティオネー!?」
「離しなさいっ!?団長が変態どもに狙われているのよ!?」
フィンに殺到する女性陣を見てブチ切れるティオネ。暴走しかける姉を必死に食い止めるティオナは「鏡見てから言いなよー!」と叫び散らす。
『フィンが押し倒されたぞー!』
『ミナトの服が脱げかけてないか!?』
『うがぁぁぁぁぁあああああああ!!』
男性冒険者達の悲鳴が響き渡り、怒り狂ったティオネが妹の拘束を振り解き、街の広場は大混乱に陥った。
「うん、と.....」
「あぁ、もう何が何だか.....」
目の前で広がる
「.....?」
ふと。アイズの瞳が、人混みの中からとある人物を捉える。中型のポーチを携えた
「アイズさん?」
動きを止めじっと彼女を見るアイズの視線に、レフィーヤも気付いた。騒がしい人立ちの中で1人浮いてる少女は、広場の中心地を見つめたまま震え、怯えている。彼女は後ずさりした後、集団の混乱を利用するように、素早く広場から逃げ出した。
「行こう」
「は、はい!」
その不審の身を放置する選択肢は無かった。声をかけるアイズにレフィーヤは頷き、急いで少女の後を追った。
『おい、何を馬鹿やってやがる』
「(少しは助けてくれてもいいんじゃないかな!?)」
未だ女性冒険者達に囲まれ熱烈なアプローチを現在進行形で受けているミナトに九尾が声をかける。冷たい物言いの九尾に珍しく少し怒りを覚えたミナトだったが、次の言葉で一気に現実へと引き戻された。
『あの
『(っ!?それなら今すぐ行かないと.....!?)』
アイズとレフィーヤが
「あ、あの、すみません!少し離して貰っても.....って、ズボンに手をかけないで下さいっ!?」
『一生そうしてろ.....』
彼の請声は虚しく、目の前の
さ、次回までには逃げれるかな、ミナトくぅん