黄色い閃光inダンジョン   作:いちごぎゅーにゃー

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今から一歩でも、胸を張れる自分で在れ

よろよろと復活したロキとミナト、椿、ヘファイストス、フィン。両派閥の主神と団長同士、薄暗い工房の中で『遠征』について会議を始めていた。

 

「結局、ファイたんの子は何人貸してもらえるん?」

「そうね。戦える子を選ぶわけだし.....椿は勿論だとして、ざっと20人くらいかしら」

 

いつ何が起こるか予想できないダンジョンを攻略するのだ。武具の整備が主な依頼だとしても、『深層』のモンスター達から最低限身を守れる実力があることが望ましい。

 

「それを聞けて安心したけど、椿、君も来てくれるのかい?」

「ああ。手前も『深層』の素材が欲しいのだ。できることなら自分の手で調達したい」

 

【ヘファイストス・ファミリア】はあくまで鍛治派閥であり、冒険者業を生業としている派閥ではない。いくら椿が実力者だとしても、モンスターの質と量が跳ね上がる『深層』に自派閥だけで挑むのは、あまりに危険過ぎる賭けと言える。【ロキ・ファミリア】の『遠征』に自ら同行を名乗り出たのも、まだ見ぬ『未知』への探究心からだった。ダンジョン『深層』に興味津々の椿は、屈託の無い笑みを浮かべながら告げてくる。

 

「『不壊属性(デュランダル)』の武器の方は?」

「抜かりない。注文通り、お主等(第1級)の分の得物をそれぞれ用意してやったわ」

「そりゃ心強い。サンキューな、椿」

「ミナトのは私が用意したわ。椿にばかり任せては専属鍛冶師の名が泣くもの」

「わざわざすみません」

「ひゅー。ファイたん(鍛冶神)のお手製なんて贅沢もんやなー」

 

ダンジョン50階層より下層で遭遇した芋虫型の新種。全てを問答無用で溶かし尽くす腐食液を撒き散らす厄介な敵に対応するため、フィン達は不壊属性(デュランダル)が付与された武器も【ヘファイストス・ファミリア】に依頼していた。リヴェリアを除く第1級冒険者の人数分を『最上級鍛冶神(ハイ・スミス)』である椿自信が用意した。ミナトの分だけは、彼の専属鍛冶師であるヘファイストスが手によりをかけて造ってくれたらしく、胸を張って「どう?」と威張っている。

 

「それよりもロキ」

「なんや?」

 

おもむろに椿がうんざりした顔で切り出す。

 

狼人(ウェアウルフ)の小僧を叱っておけ。あやつの無茶振りに答えた銀靴(フロスヴィルト)を粉々にしおってっ、直すのにも苦労したわ!」

 

数振りの特殊武装(スペリオルズ)作製という大仕事。そこに、「遠征までに直せ」と直接椿の元まで尋ねてきたベートにお冠のようだった。

 

その後は、『遠征』当日の大まかな予定、集合場所と時間、その他必要事項を確認し、その場は解散となった。

 

期日は3日後。【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】は着々と準備を進め始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【猛者】が中層に、っすか?」

「ええ。さっき冒険者達が話しているのを聞いただけだから、嘘かもしれないけど.....」

 

『遠征』二日前、その夕方。ギルド本部において、2人の冒険者が『遠征』の手続きをしながら言葉を交わしていた。

 

【ロキ・ファミリア】男性構成員、ラウル・ノールド。アナキティ・オータム、同僚達には『アキ』の愛称で親しまれる猫人(キャット・ピープル)の女性団員である。2人はここ数日『中層』でモンスターを狩っていると噂のオッタル。ライバル派閥の【フレイヤ・ファミリア】の首領について話をしているところであった。

 

「一体、何してるんすか.....」

「今更【猛者】が中層で探索なんてしないだろうし.....」

「どうかした?」

「あ、ミナトさん」

 

2人が頭を悩ませていると、派閥首脳陣の一人であるミナトがやって来た。若くして大幹部に抜擢された彼に、ラウルとアキの周囲にいた冒険者達から尊敬の視線が集まる。

 

「実は、」

 

アキはミナトに簡潔に話した。

 

「オッタルが『中層』に、ね」

「『遠征』もあるし、どうする?」

 

このまま無視しても、二日後に予定されている『遠征』に支障がでるんじゃない?と彼女は続ける。少し考える素振りを見せたミナトは。【ロキ・ファミリア】の大一番のため真剣に考える2人に向けて、柔らかい笑みを浮かべて答えた。

 

「うん、気にしなくていいと思うよ」

「いいんすか?」

「彼が単身で俺達に仕掛けてくるとは思わないし。何より彼自身、争いごとはあまり好まないしね」

 

それにギルドも支持する未開拓領域への進出を拒めば、それ相応のリスクも生じてくる。と、片目を瞑り、ウインクをしながら補足するミナト。周囲から嬌声が上がる中、天然女殺しに呆れる表情を浮かべたアキは、目を細くしながら彼をじっ、と見つめた。隣では一人ミナトの説明に納得しているラウル。今、オッタルにかまけてる暇はない。そう結論付けた3人は、『遠征』についての内容へと話を変える。

 

「ミナトさん、そっちの方は.....」

「ああ。後はギルド本部に申請をするだけ。予定通り『遠征』は二日後に決行だよ」

 

不壊属性(デュランダル)』等の武装を含め、『遠征』の準備は整ったと言うミナトは、アキ達を連れてロビーの窓口カウンターを目指す。

 

「ラウル達のコンディションはどうなんだい?」

「え、えっと....はははっ」

「ぼちぼち、かなぁ......?」

 

隣を歩くラウル、アキにミナトは問いかける。アイズのランクアップに触発された団員達は。近頃、『遠征』前にも関わらず鍛錬に励んでいるのだ。苦笑いをするラウルに、明後日の方向を向きながら口笛を吹くアキ。そんな2人の様子を見てミナトも苦笑を浮かべる。

 

「みんな、頑張ってるんだね.....」

 

昨夜、ガレスに付き合わされて彼の愚痴を聞かさせる羽目になったことを思い出す。聞けばベートに夜な夜な毎晩、人目のつかない場所で訓練の相手をさせられているらしく、他の団員達の前では鍛錬をしている素振りを見せないベートにうんざりしているらしい。一度承諾してしまった以上、断ることもできず、結果的にファミリアのためになる、とガレスは自分に言い聞かせて彼に付き合っていると言っていた。

 

「?」

 

ラウルに不思議そうに見られながら、昨日のことを思い出し空を仰ぐミナトは、どこか儚い雰囲気を醸し出していた。そうこうしている内に受付嬢の待つ窓口に辿り着く一行。

 

「【ロキ・ファミリア】です。先の仮報告通り、『遠征』決行は二日後の旨を申請しに来ました」

「はい、かしこましました」

 

ミナトが提出する羊皮紙を、彼の担当であるエイナが受け取る。職務上かつ公的な場であるため、やや固い口調になる両者。椅子から立ち上がった彼女は姿勢を正し、組んだ両手を腹部に当て、深々と一礼する。

 

「帰還をお待ちしております。どうかお気を付けて」

「はい。ありがとうございます」

「.....頑張ってね、ミナト君」

「ああ、行ってくるよ」

 

最後はギルド職員としてでは無く、彼の友人として、一人の女性として、エイナは想い人の背中を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なーにが『行ってくるよ』、だ。カッコつけちゃって〜」

「.....」

「ほれほれ〜」

 

うりうり、と肩をつついてくるアキが絶妙にうざい。ラウルはともかく、ほぼ同期の仲間でも今みたいにミナトをからかってくるのはアキくらいかもしれない。猫人(キャット・ピープル)である彼女は、まるで気分と同調するように猫耳と尻尾を動かしつつ、綺麗な漆黒色の瞳を曲げながら向けてくる。椿とヘファイストスではないが、彼女とロキもどこか似てるのかもしれない。今の彼女を見ていると、普段アイズ達にセクハラをしかけるロキの姿が重なって見える。

 

「ちょ、ちょっと.....アキっ」

 

一つしか年は変わらないが、冒険者としても、一人の男としてもミナトを尊敬しているラウルは、同期(アキ)の言動に冷や汗をかきながら彼女を止めようとする。

 

「はぁ.....」

 

たとえ【ロキ・ファミリア】内では二軍だとしても、第2級(Lv.4)のアキとラウルはオラリオではかなりの知名度を誇る。そこに第1級(Lv.6)のミナトが加われば当然周囲の視線を集めることになり。今も楽しそうに微笑むアキと、彼女を止めようとするラウルはちょっとした見世物になってしまっていた。『遠征』前に肩の力が入っていない、悪く言えば緊張感の薄い彼女達を見やり、ミナトは人知れず小さくため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝負の日がやって来る。

 

『遠征』当日。昨晩までに【ステイタス】更新や装備の調整など、各々がやれることを全てやり尽くした【ロキ・ファミリア】の団員達はたくましい顔つきをしている。アマゾネスの姉妹は自身の得物の感覚を確め、山吹色の少女は同胞(エルフ)の魔法剣士に付き合ってもらった特訓の成果を確かめるように魔杖を握りしめ、狼人(ウェアウルフ)の青年は同じ団員達に不器用な発破をかけ、首脳陣の3人それぞれの覚悟を再確認している。

 

そして。

 

金髪の青年もまた、自室で瞑想をしながら意識を深めているところであった。

 

「59階層、そこに行けば何かが必ず掴める筈.....」

 

赤髪の調教師(テイマー)、緑色の宝玉、女体型のモンスターとその手足達。

 

「風向きが間違いなく変わっている」

 

目を閉じ、静かに呟く。

 

()()()()()()()()()()()、そして.....」

 

閉じていた瞳がゆっくりと開かれる。

 

()()()のこの俺へと繋がれてきたものを、途切らせてはいけない」

 

『火の意志を継ぐ者』として、【ロキ・ファミリア】を守る。同行する【ヘファイストス・ファミリア】の団員達も必ずこの手で守ってみせる。『火の意志』とは何か、『忍』とはどのように在る者を指すのか。

 

「俺が守るんだ.....」

 

かつて立てた誓い。誇り高き『正義』を掲げていた者達に誓った願い。今は亡き、偉大なる先人達に託された想い。

 

「『()()()()()』は、この俺なんだから」

 

部屋に備え付けられている窓から中央広場(セントラルパーク)へ目を向ける。次から次へと集まっていく『遠征』の構成員達を見やり、ミナトはその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

澄んだ青空から陽光が冒険者達を照りつける。フィンの指示のもと、中央広場(セントラルパーク)に集合する団員達。装備品と物資を積んだ大型カーゴを何台も伴い、ダンジョンの入口から少し離れた場所で待機している。泣く子も黙る最強の道化師(トリックスター)が刻まれた団旗に羨望と畏怖を集めながら、アイズ達は出発の号令を待っている。

 

「久しいな、【剣姫】!」

「.....椿さん」

 

壮健であったか?と尋ねてくる最上級鍛冶師(マスター・スミス)の椿に、アイズは彼女の名前をよびながら軽く会釈をした。極東風の和装に身を包み、腰に大太刀を差す椿は、気さくな態度でアイズに話しかけるのであった。からからと笑う姿に苦笑を浮かべていると、彼女は視界に入った狼人(ウェアウルフ)の青年の元へと歩み寄って行く。

 

「いたなベート・ローガ。今回はそれ(銀靴)を壊すでないぞ?」

「たりめぇだ。そんなほいほい壊すかよ、って、おい、こっちに来るんじゃねぇ!?」

 

ベートの足元に目を向けながら告げる椿。ニヤニヤと笑いながら間合いをどんどん詰めてくる彼女に、狼人(ウェアウルフ)の青年は暑苦しいと言葉を荒らげながら彼女を振り払った。

 

一方アイズは、見送りに来た【ヘルメス・ファミリア】のルルネから、餞別代わりの携帯食と、かつて彼女に依頼を持ちかけてきた()()()()()()()()からの依頼品だという青水晶を受け取り、彼女から激励の言葉を送られると。ルルネは「それじゃあな」と言って帰っていった。

 

「準備は万端かい、アイズ?」

 

犬人(シアンスローブ)の少女が去っていったすぐ後、ミナトがアイズの隣から声をかけた。

 

「.....うん」

「頼りにしているよ」

「!」

「俺と同じLv.6になったんだ。不思議じゃないだろ?」

「うん、任せて.....!」

「ミナトさん、アイズさん」

 

声をかけられ2人が振り向くと、立っていたのは人形のように整った顔立ちの美しい少女だった。北西のメインストリートからやって来た彼女、アミッドは手にポーチを持ちながら頭を下げる。

 

「少しバタついていたのですが、何とか間に合いました。どうぞこれを」

「これは?」

「我々の高等精神力回復薬(ハイ・マジック・ポーション)です」

 

手渡されたのポーチに入っていたのは、透明な試験管の詰め合わせだった。アミッドが「『遠征』への餞別です」と口にすると、3人のやり取りに気づいたティオナがやって来た。

 

「アミッド、見送りに来てくれたんだ!でも、あたし達にはないのー?」

「勿論。用意してありますよ」

 

そう言って彼女はミナトのものより大きめなポーチを、ティオナに差し出す。受け取った彼女が中を見てみれば、高等回復薬(ハイ・ポーション)万能薬(エリクサー)が数本ずつ入っていた。

 

「ありがとう、アミッド!すっごい助かるよ!」

 

心優しい治療師(ヒーラー)は、ティオナ達を順に見つめ、

 

「どうか、お気を付けて」

 

とだけ告げ、ティオナ達に会釈をして彼女達から離れ始めた。アミッドに貰ったアイテムに視線を落とし、ティオナ達は一斉に感謝の意を伝えた。周囲でも【ロキ・ファミリア】の面々と交流がある冒険者達が声をかけているようだ。誰もが『未開拓領域』への進出を願っているのだろう。行き交う人がみな彼等を応援していた。

 

「総員、これより『遠征』を開始する!!」

 

間もなく、首領のフィンが良く響き渡る声音を出した。

 

「これから僕達はまだ見ぬ『未知』へと挑戦する!」

 

団長からの(げき)が、全ての団員達の耳を打つ。誰もが小人族(パルゥム)の少年に意識を向け、ダンジョンへの思いを馳せた。

 

「君達は誰もが勇敢な戦士であり、冒険者だ!!犠牲などいらない、必ず全員で生きて帰る!みなそれを心に強く刻み込んで欲しい!!」

 

団員達がぐっ、と拳を作る中、フィンは息を吸い込み、始まりの合図を告げた。

 

「遠征隊、出発だ!」

 

瞬間、団員達から雄叫びが上がった。澄み切ったオラリオの空に轟き渡る冒険者達の咆哮とともに、先行部隊がバベルの入口へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先行する第一部隊とは、言わば先鋒である。その先鋒部隊には主戦力を注ぎ込むことが多い。予測不可能なダンジョンにおいて、進路先で発生する異常事態(イレギュラー)に対応するためだ。物資を運ぶ後続部隊の安全を確保することが、第一部隊の役割であり。その中にはフィンを筆頭に、リヴェリア、アイズ、ベート、ミナト、ヒュリテ姉妹と、【ロキ・ファミリア】の誇る第1級冒険者が計7名という錚々(そうそう)たるメンバーが揃っていた。後続に【ヘファイスト・ファミリア】の鍛冶師(スミス)が同行していることに疑問を持ったティオナに、前回の『遠征』で芋虫にやられたでしょ、と呆れながらもティオネが補足した。途中、【ヘファイストス・ファミリア】の団員達に対するベートの、「間違っても足でまといにはならねぇな」という発言にティオナ達が反感を唱えることがあったが、順調に先行部隊は予定通りのルートを進んで行った。

 

「ねぇ、何か慌ててない?」

「ほっときなさい」

「どうしたのー!?」

「はぁ.....」

 

視界に取り乱した様子の冒険者を捉えたティオナが、姉の制止を聞かないで、事情を聞くために彼等の元へと駆け寄った。

 

「な、なんだよ、って.....ア、【大切断(アマゾン)】!?」

「ティオナ・ヒュリテだぁ!?」

「てか、【ロキ・ファミリア】!?え、遠征かっ!?」

 

フィン達の素性を察した冒険者たちは近付いてきたティオナに脅えた顔を浮かべた。「何であたしばっか .....」と名で恐怖されるティオナがぶつくさ呟く中、フィンが彼等に事情を尋ねた。

 

「さっきまでいつも通り探索してたらよ、『ミノタウロス』がこの上層にいやがったんだ!」

 

『中層』に出現するモンスターが、『上層』にいたと述べる男性冒険者。

 

「さっきも白髪のガキが襲われてたんだけどよ、俺達あの化け物にビビっちまって......」

 

瞬間、アイズが鬼気迫る表情で詰め寄った。

 

少年が、ベル・クラネルが襲われている。

 

「その冒険者がおそわれていたのは、何階層ですか?」

「9階層だ、移動してなければだがな.....」

 

それだけ聞き出すと、アイズは即座に駆け出す。

 

「アイズ!?」

「何やってんだお前!!」

 

彼女の遥か後方より響くティオナとベートの声を置き去りにし、尚も加速した。途中で少年(ベル)の仲間だと言う小人族(パルゥム)の少女に遭遇し、傷ついた彼女からベルの居場所を聞いたアイズは、少女を抱きかかえて走り出した。そして、目標地点直前の大広間に突入した、その次の瞬間。

 

「止まれ」

 

なんてことの無い一声が、アイズの足を無理やり止める。モンスターも他の冒険者もいない場所で、彼は圧倒的な存在感を放っていた。2メートルを超す巨躯からアイズを、錆色の瞳で真っ直ぐ見据えている。

 

「.....【猛者】」

「【剣姫】、手合わせ願おう」

「!?」

 

その一声に今度こそ驚愕をあらわにするアイズ。対してオッタルは地面に突き刺さっていた大剣を掴み、静かに持ち上げる。

 

「どうしてっ!?」

「敵を討つことに、時と場所は関係あるまい」

 

一切の揺らぎを見せないオッタル。そして、動揺する彼女に静かに告げる。

 

「娘を置け。巻き込みたくはないだろう」

 

死ぬぞ、と傷ついた少女を射抜く強者の瞳。それと同時に手に持った大剣を構え、臨戦態勢へと移行したオッタル。アイズの前に立ちはだかる『頂点』。フィン達すらも超える最強(Lv.7)が、絶対的な壁として彼女の行く手を阻む。

 

「来い」

「そこをどいて!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『技』が、『駆け引き』が、『魔法(エアリアル)』までもが。目の前の男には一切通用しない。多少の擦り傷程度は与えられているが、そのことごとくが単純な膂力によってねじ伏せられる。全力で攻め立てるアイズが劣勢なのは火を見るより明らかであった。今こうして戦っている内に少年(ベル)の身に何か怒るかもしれない。『ミノタウロス』と言う勝てる筈の無いモンスターに彼が殺されてしまうかもしれない。

 

「どいてっ!?」

「.....」

 

ベルの身を案じて焦るアイズと胸の奥底を覗かせないオッタルが激しい剣劇を繰り広げる中、不意に。

 

「オッタル」

「!」

 

 

2人の背後からかけられた声に、今まで感情を見せなかったオッタルが、僅かばかり目を見開く。大薙ぎでアイズを声主の方へと吹き飛ばし、錆色の瞳をそちらに向ける。やがて、2人の元へ声を飛ばした人物の名を、オッタルは静かに口にした。

 

「ミナト.....」

 

【猛者】の視線の先、三枚刀のクナイを右手に提げた【黄色い閃光】が、静謐さを纏い大広間へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 




アンケートのご協力ありがとうございました!

今後も今と同じくらいの分量でいこうと思います。度々増えるかもしれないけど、そこは許してくださいぃ
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