黄色い閃光inダンジョン   作:いちごぎゅーにゃー

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こっそりと。


再開

 

 

「ぼぉぼぉばべんばっべー?」

「(水中で聞こえる訳ないじゃない.....)」

 

口から大量の気泡を吐き出すティオナに、姉であるティオネは呆れた視線を送る。南海の海に負けないほど青く澄み渡っている湖の中は、地上には無い独特の静謐さを醸し出していた。彼女達の眼前を度々通り過ぎる美しい小魚、まばらな大きさの岩が密集した箇所には青や緑の海藻が穏やかに揺れている。

 

発展アビリティ『潜水』を会得している女戦士(アマゾネス)の姉妹は、彼女達の主神の命によって辺り一帯の水中を探索している最中であった。道中、怪魚系のモンスターを何匹か倒しつつ更に奥へと潜っていく。水着の形へと落とし込んだ『水精霊の護布(ウンディーネ・クロス)』の恩恵により、地上と何ら遜色ない動きを可能としているティオネ達は、いよいよ目的のものを発見した。

 

「(あれね.....)」

 

今現在潜水しているロログ湖の最深部付近。彼女達の視界に映り込んできたのは、半径10メートルは優に超える巨大な『蓋』であった。白に染まる大蓋の中には漆黒の巨骨が存在した。竜を連想させる鋭い頭蓋に長大な背骨など、ところどころ部位の欠損した骨が生前の持ち主の偉大さを物語っている。

 

海の覇王(リヴァイアサン)

 

かつて古代の時代より地上に進出した怪物の王。その一柱である彼の海竜は、『隻眼の竜』、『陸の王者(ベヒーモス)』と並ぶ『三大冒険者依頼(クエスト)』の対象の一つであった。15年前、当時世界最強であったゼウスとヘラ、両派閥の同盟連合によって討伐は成し遂げられている。死して尚、王者の波動を放ち続けるドロップアイテム(海王の骨)は、他のモンスターを寄せ付けないために利用されており、水中の平穏を保つための封印となっているのだ。

 

「(モンスターはこの蓋に近づけないんだし、他のところを調べた方が良くない?)」

「(嫌よ、こんなデカい湖を手当り次第調べるなんて.....)」

 

腕をブンブン振るティオナと、面倒くさそうな目を向けるティオネ。視線をぶつけて互いの意見を交わしつつ、手がかりを探るよう辺りをぐるっと見渡した、その時。

 

「(!!)」

 

ティオナの双眸が鋭く凄められる。彼女の視界の遥か奥、水中で長駆を揺らめかせる2つの極彩色が映りこんだ。

 

「(ティオネ!)」

「(食人花に間違いないわね!)」

 

モンスターが泳いでいる場所は水面から大して離れていない。2頭のすぐ頭上で進行している複数の漁船も視認できたため、ティオナとティオネは水を蹴りつけるようにモンスター達へ肉薄した。

 

『!?』

 

弾丸となって接近してくる少女達の存在に気づいた食人花は、閉じていた蕾を勢い良く開花させ、獰猛な牙を迫り来る女戦士(アマゾネス)へと向ける。

 

ぼんぼぉびびぶぼぉばべー(本当にいるとわねー)

 

殺到する鞭打を難なく避け、ティオナは装備した水中用の片手剣を閃かせた。

 

『!!』

「ッッ!!」

 

触手を解体され硬直する敵の懐へとすかさずティオネが潜り込み、同じく装備した水中剣を弱点である魔石へと叩き込む。

 

『ーーーーーアァッ!?』

 

核を破壊されたモンスターの一体が息絶えた。彼女達との戦力差に恐れをなしたか、残った食人花が脱兎の如く逃走を図る。やや甘くなった二激目の剣閃により深手は負ったものの、何とか生き延びたモンスターの逃げる水面の先には、新たな漁船が湖峡から入ってくるところであった。

 

「(やばいっ!?)」

 

新路上に現れた巨船に、負わされた傷の怒りをぶつけるかのごとく触手を射出する食人花。

 

 

 

 

 

 

 

「ロキ!」

「やれやれ.....」

 

誰よりも早く気づいた2人の声が重なる。陸上に残っていた【ロキ・ファミリア】の面々もその水上の異変を目撃した。

 

巨船には水面から伸びた黄緑色の職種が絡み付いている。ロキに救助の許可を求めるアイズに対し、ミナトは二つ名に違わぬ迅速な判断で、食人花に襲撃されているガレオン船へと疾走した。

 

「さっさと大人しくしてもらうよ、っと」

 

()()()()()()()()右の(てのひら)に『螺旋丸』を形成し、船に気を取られ、がら空きとなっている食人花の(魔石)に叩けつけようとした、その瞬間。

 

『オオオオオォォッッ!?』

 

ガレオン船から飛び出した一つの影が、金髪の青年とほぼ同じタイミングで食人花の頭を斬り飛ばした。

 

「!?」

『なっ!?』

 

咄嗟に斬撃の軌道から離脱したミナトを他所に、宙を舞い湖面にドボンッ、と大きな水飛沫を上げながら落下するモンスターの頭部。核を失ったことで、船体に絡みついていた触手は崩れるように離れ、食人花の長駆と一緒に水中へ沈んだ。その光景に思わずレフィーヤ達は固まってしまう。

 

「どゆことっ!?」

「ミナトじゃないの!?」

 

勢いよく水面から顔を出したアマゾネスの姉妹もまた、唖然としながら声を上げた。上級冒険者でも手こずるモンスターが瞬殺された事実に驚愕しつつ、ティオナ達は目の前に浮かぶ異邦のガレオン船を見上げる。

 

そこで、こつん、と。

 

モンスターを倒した主が、装備した曲刀(シミター)の剣身を鈍く光らせ、空中から付近の漁船に着地した。

 

「リャガル・ジータ....ヒュリテ」

 

オラリオで主に使われてるものとは違う言語に、真っ先にティオネが反応する。声の方角へと目を見開きながら振り返ると、船頭の部分に一人の女が立っていた。呆然とする漁師達の視線を一身に受ける露出の激しい衣装、瑞々しい褐色の肌。揺れる砂色の髪に加え、口元を隠している黒い布幕が彼女の異彩さを際立たせていた。

 

「バーチェ.....」

 

信じられないものを見たかのように、姉と同じく瞠目するティオナ。姉妹揃って唖然とする中、追い打ちをかけるように、船上から声が放たれた。

 

「随分と懐かしい顔がおる」

 

幼くもどこか熟達したその声音に、ティオナ達は今度こそ言葉を失った。ゆっくりと顔を上げ視線を巡らせれば、ガレオン船から見下ろしているのは数多の女戦士(アマゾネス)と、一柱の幼神だった。風に揺られる鮮血の赤髪に、自身の眷属と同じ褐色の肌。骨を繋ぎ合わせた悪趣味な首飾りと、同じく骨で形成された仮面。更に神の中でも一際小柄な背丈は、彼女の身につけている装飾品と相まって異質さを放っている。幼神の側には、先の女と同じ砂色の髪をなびかせる女戦士(アマゾネス)が立っていた。

 

ミナト達が見守る中、顔色を激変させたティオネが薄気味悪い笑みを浮かべる女神に向かって、彼女の名を呟いた。

 

「カーリー.....!」

 

程よく入港してきたガレオン船の甲板より、幼い女神を先頭にぞろぞろと降り立ってくるアマゾネス達。異邦の一団に多くの者が注目する中、ティオネは間を置かずに彼女達の元へと駆け寄った。

 

「カーリー!!」

 

右側にはティオナが並走しており、ただならぬ2人の雰囲気に当てられた野次馬達は割れるように道を譲った。水着から普段着へと着替え終えたアイズ達が到着する頃には、ティオネ達、正確にはティオネと異邦の女戦士(アマゾネス)達は今にも一戦始めるかのような剣呑さを発していた。

 

「何しにここ(メレン)へ来た!?」

「久しぶりだというのに、開口一番がそれか?」

 

やれやれと肩を竦めるカーリーに怒声を浴びせるティオネ。神らしく掴みどころがなく、飄々(ひょうひょう)とした様子のままカーリーは眷族であるアマゾネスの一人に、街の役人に入港の手続きをするよう指示を飛ばす。既に準備は整っていたようで、入港証をチラつかせている。

 

「観光って訳じゃないんでしょ.....!!」

「いやいや、あながち間違っとらんぞ」

 

口元を釣り上げるカーリーは、心底面白そうに目の前の少女を見つめている。仮面の奥から除く眼光に再度睨み返すティオネは、一切ろくな回答をよこさない女神に対し怪訝な表情を隠しきれていない。

 

「.....」

 

その一方で、ミナトは集団の中でもカーリーの両脇に控える2人の人物を注意深く観察していた。同じ砂色の髪と、似たような風貌から姉妹と思われしきアマゾネス。つい先程、食人花を瞬殺した彼女、バーチェと呼ばれていた方を見やる。

 

「(あの動きから推測するに、彼女はLv.6か.....)」

 

ダンジョンという絶好の経験値(エクセリア)稼ぎ場所があるオラリオの都市外において、Lv.6という高ステイタスはかなり珍しい。モンスターの性能が著しく低下する都市の外側では、Lv.2へ器を昇華させることすら難しい。にも関わらず、食人花のモンスターを一振りで屠った彼女(バーチェ)は異常だと言えた。隙のない佇まいや、()()()()()()()()()()()ミナトだからこそ感じ取れるバーチェの研ぎ澄まされた雰囲気が、確かに彼女を実力者であることを証明していた。

 

もう1人、カーリーの左側で腕を組みながら主神とティオネのやり取りを傍観しているアマゾネス。彼女もバーチェと同じか、それ以上の雰囲気を醸し出している。

 

「!」

 

自分を観察する視線に気づいたのか、砂色の女性はミナトの方へと顔を向け、僅かばかり微笑んだ。バーチェとは違い口元の動きがわかる分、彼女の浮かべる笑みの意味を理解してしまう。

 

すなわち。

 

「(俺は()()って訳か.....)」

 

良くも悪くも、己の(さが)に正直な女戦士(アマゾネス)らしい砂色の女性に、遠慮させて貰います、とミナトは苦笑で返した。流石に初対面の相手と拳を交える気にはならないし、そもそも戦闘自体好きな訳ではない。何より、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。何事にもオープン過ぎる彼女達の性分がどれ程厄介なものなのかは、嫌というくらい身に染みている。オラリオの中でも外でも、彼女達に迫られたらたまったものではない。

 

眼前では、何やらギャーギャーと爆発するロキと、彼女を軽く躱すカーリーの2人を両派閥の部下達が止めに入ってる。ミナト達と同じくロキもカーリーとは初対面らしく、挨拶がわりに皮肉をぶつけてやったら見事カウンターを喰らってしまったようだ。

 

「ほら、ロキ。人前で騒ぐのは止めなよ」

「でもなぁ、このチビジャリが舐めた口を利くんや.....っ!!」

「ふんっ。ちょっとコンプレックス(胸の小ささ)を指摘されて吠えるとは。器の程度が知れるわい」

「んだぁとゴラァァアアッ!?」

 

再び怒り爆発するロキに「面倒臭いから静かにしててよ!」「お、落ち着いてください!」と今度はアキやレフィーヤ達が止めにかかる。数人の眷属達によって抑え込まれながらも騒ぎ散らすロキを華麗に無視し、カーリーは金髪の青年の足元まで近づき、その顔を見上げた。

 

「こ、こんにちは?」

 

見上げるだけで何も言葉を発しない女神に、やや困惑した様子で口を開くミナト。このような幼い見た目でも神は神。それ相応の敬意を払う必要がある。少し詰まりながらも挨拶をしてくる青年に、彼の女神はニヤリ、と相貌を崩した。

 

「そう固くなるでない。(わらわ)とそなたは似たような立場であろう?」

「えっ.....と?」

 

カーリーの台詞に困惑をより深めるミナト。彼女の言っている意味が分からず、思いがけず間抜けな声を零してしまう。

 

「妾は『国』、そなたは『里』。これで十分か?」

「っ!?」

「ほう。()()()が言っていた通り、中々に頭が回るようじゃの」

 

カッカッカッ、と愉快そうに笑い声を上げる幼神に反して、彼女の神意を理解した青年の胸中は穏やかではなかった。いくらオラリオ外の土地を根城にしているかと言って、明らかに極東に縁の無い彼女達が知る由もない筈。カーリーの口振りからして誰かしら『木の葉』を知る者が、彼女の知己にいるのかもしれない。

 

「.....一体、どのような方からお聞きになったので?」

「実は、妾は何度か『木の葉』に行ったことがあってな。そこで蛞蝓(ナメクジ)娘と偶然出会ってのー。ヤツとは妙に馬が合っただけのことよ」

「!」

「随分と昔のことじゃが、初めて行ったのは()()の小僧がまだ現役だったころだった」

「まさか.....」

「あやつは確か『二代目』じゃったか?」

 

見ず知らずの女神の口から、ありえない名が飛び出した。『木の葉』、『千手』、『二代目』。これらの単語が指す人物は一人しかいない。

 

千手扉間。

 

かつて極東の戦国時代において。徹底的な容赦のなさ、超効率重視かつ合理的な魔法、何より、ミナトが得意とする『飛雷神』を人類で初めてその身に宿し、その名を極東中に轟かせた豪傑。『木ノ葉隠れの里』を治める立場、『火影』に二番目に就任した男でもあり、ミナトが産まれた頃には既に故人となっていたが、その伝説は今尚語り継がれている。()を養成する学所を考案したのも千手扉間であり、現在に至る『木の葉』の大元を作り上げたのは、他ならない彼である。

 

もう一つ、()()()()()()()()を指す単語が聞こえたが、敢えてここは無視する。触らぬ神ならぬ、蛞蝓に(たた)りなし、ということだ。

 

「まさか二代目様と交流があったとは.....」

「ま、たまたまじゃったがの〜」

「何今度はうちのかわいいミナトにちょっかい出してんねんっ!?」

 

三度激昴するロキを、三度スルーするカーリー。彼女は依然睨み付けてくるのを止めないティオネを再び見た。

 

「妾達はしばらくこの街(メレン)で過ごす。また会おうぞ」

「ふざけんなっ!」

「随分と嫌われたものじゃ。......そんなに妾達が憎いか?」

「二度と会いたくなかったわよ.....」

 

カーリーも含め、彼女の後ろ控えるアマゾネス達に向かって吐き捨てるように言う。

 

「妾は会いたくて仕方なかったぞ」

「どーだか.....」

 

ミナト達に背を向け、カーリーはアマゾネス達を引き連れて去っていく。立ち尽くすティオネを見て、レフィーヤが恐る恐るロキにティオネとティオナ、2人と先程の幼神との関係を尋ねるが、場所を移してから、と言う主神(ロキ)の神意に従うことになった。

 

「薄々気づいているとは思うけど、」

 

ややあって、宿に辿り着き、広間にティオネ達以外の団員を集めたロキは口を開き始める。

 

「カーリーのとこはティオネ達が所属しておった、ティオネ達の最初のファミリア(家族)や」

 

目を見張るアイズ達を他所に、ロキは【カーリー・ファミリア】について説明を始めた。

 

【カーリー・ファミリア】は『テルスキュラ』という国を拠点とし、そこに君臨する女神の派閥だ。オラリオから遥か遠く離れた東南に位置する島国で、男子禁制の土地でもある。男子達が『テルスキュラ』に足を踏み入れる時は、種の繁殖を求められる時か奴隷として扱われる時だけである。【カーリー・ファミリア】の最大の特徴は、()()()()()()()()()()()()()()()という点だろう。同じような戦闘力の2人を、一体一で戦わせる。勝者は新たな領域へと手を伸ばし、敗者は命を落とす。【ロキ・ファミリア】では絶対にありえない風習だが、この『儀式』によって【カーリー・ファミリア】は、都市外の【ファミリア】にも関わらず強力な戦力を保有している。

 

強き者こそが美しい。

 

彼の国において女に求められるのは容姿や性格などではなく、『強さ』のみ。

 

「っ.....!」

 

ロキから告げられた内容に、レフィーヤ達は衝撃を受けた。普段あれほど陽気にふるまっているティオナと、小人族(パルゥム)の少年に愛を示し続けているティオネに、そのような血生臭い過去があるとは思ってもみなかった。

 

「(知らなかった.....)」

 

ティオナ達と普段から行動を共にすることの多いアイズも、そのような話しは知らなかった。当時は今以上に強くなることにしか興味がなく、ティオナ達の入団など気に求めていたかった。彼女達と仲を深め始めるのは、話し下手なアイズに対して何度もめげずに話しかけに行くティオナと、剣以外にも意識を向けるように促したミナトの奮闘による影響であった。

 

「.....」

 

窓の外に意識を向ければ、ティオナとティオネが少し離れた場所で言葉を交わしている。

 

「何しに来たのよ、カーリー達.....」

 

宿の中に戻ろうと提案する妹を他所に、ティオネはバルコニーからメレンの街並みを見下ろす。

 

戦闘を好む【カーリー・ファミリア】が何の目的も無しに、テルスキュラから遠く離れたこの街にわさわざ来る筈がない。かつて自分達がさせられてきたこと(儀式)を考えれば当然の疑念だった。

 

「あたし達にもやることがあるんだし、今はカーリー達を意識する余裕なんてないよ」

「そうやって楽観的になってるから痛い目に会うのよ!!」

「別になってないし!ティオネ、言ってることおかしいよ!!」

「へらへらしてるあんたが気に食わないのよ!」

「意味わかんないよ!」

 

バルコニーで突如始まった激しい言い合いに、室内にいたレフィーヤ達もぎょっとした。仲裁に入ろうとする彼女達を待たず、ティオネは勢いよくティオナに背を向けてバルコニーを後にする。近くまで来ていたアイズ達の脇を通り、机に頬杖をつくロキと眉間に皺を寄せるリヴェリアから視線を向けられながら、広間の入口に近づく。

 

「.....どいて」

 

扉を開けた先には彼女を待ち構えるように、ミナトが腕を組みながら背を壁にもたれかけていた。別段道を塞いでる訳ではないが、何か言いたげそうな様子の青年に、苛立ちを見せるティオネ。

 

「まだ、」

「.....」

 

怒りではなく、何かに怯えるように拳を握りしめる少女に、金髪の青年は問いを投げかける。

 

「君はまだ、()()を背負っているんだね」

「........うるさい」

 

心の内を見透かした碧眼が、未だ迷えるティオネへと突き刺さる。何も言い返せず、目を合わせることすらできず、少女は俯いたまま廊下を通り過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティオナ.....」

 

喧嘩別れをしてしまった姉妹に、一瞬だけ迷ったアイズは、暗く黙り込むティオナに声をかけた。

 

「カーリー様のところにいたって、本当.....?」

「うん」

 

あっさりと答えるティオナ。他の団員ともども、金髪の少女は息を呑んでしまった。

 

「.....」

「ごめん。あたしだけが、あたし達のことを話していいか、わかんないや.....」

 

かける言葉を探しているアイズに、ティオナは視線を床へと落としてから、無数の星々が煌めく夜空を見上げ「でも」と続ける。

 

「ティオネには、もう1回カーリー達と会って欲しくなかったな」

 

どこか遠い眼差しで呟かれた言葉は、酷くその場に響き渡った。

 

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