アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜 作:うさトロ
夜が明けた。シノは珍しく、早くに目が覚めた。
「あれは……夢だったのか……」
そこはいつも通りのベッドだった。
懐かしさを感じる土地も、気持ちが悪くなる歪みも、エディアールと呼ばれる老人も、リズウィットという剣もそこにはもう微塵も存在しない。
窓から見える外の景色はとても明るく、まるで包み込まれるように温かかった。
次にミカが目を覚ました。
「ん……っ……、」
ミカは起きると同時に背伸びをした。
「あれ?シノ?早いね、おはよう!」
「あ……、うん…、おはよ……」
そしてまたいつものように朝食を済ませ、旅に出るための準備の仕上げをした。
「よし!こんなもんでいいかな!」
区切りをつけるようにミカは言った。
「忘れ物、ないよね?」
「うん……、大丈夫だと思う……」
再度家の中を確認する。
「しばらくはここには帰って来れないんだよね……、ちょっと寂しいけど、大丈夫だよね、」
「うん……、きっと、大丈夫……!この家にも、お土産持って帰る……!」
「そうだね!」
「じゃあ……、」
「「行ってきます!」」
そう言って2人は家を後にした。
2人の旅がようやく始まる。
公国を出ようと、門の辺りまで歩く。
しかし。シノには1つだけ気がかりがあった。
昨日の夢のことである。
エディアールという老人に戦闘を申し込まれ、剣を交えたのは確かだった。
しかしあれは夢であったはずなのである。
なのにどうもあの感覚がはっきりとしていて、シノの手からはまだ剣を握った感覚がはっきりとあった。
(もういい、ワシの負けだ……)
その一言がシノの頭をよぎる。
エディアールはあの後、シノに負けを認めたのだった。
「よくぞワシに一撃を食らわせたな……褒めてやろう……」
「偉そうに……!」
「おぉ、落ち着け……!もう戦うつもりは無いわい」
「そのくらいならば、大事な大事な人も護れるだろう。それくらいお主は強い。」
「しかし、その強さの意味は履き違えてはならんぞ。あくまで、守る為の強さじゃ。」
「守る為の……強さ……」
「うむ。おっと、そろそろ時間じゃ。では、またいつかどこかで会おうぞ……」
エディアールがそういったところでシノは目を覚ましたのだった。
そして今に繋がる。
シノはどうしてもその事が気になった。
『守る為の強さ』とは何なのか。『大事な人』とは誰のことなのか。
シノにはまだ分かりそうもなかった。
「まずはどこを目指そっか?」
ミカがすかさず聞いてきた。
「ん……?あぁ………どこに行こう……」
「の前に、まずは教会だね。儀式を受けにいかなきゃ。」
「そういえば……!」
思い出したかのように2人はUターンし、教会へと向かった。