アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜 作:うさトロ
旅に出ようとするシノとミカの2人は、冒険者になるための儀式を行うため教会へと向かっていた。
教会の前につき、二枚の大きな扉を押す。
『ギィィィ……』という軋んだ音を上げながら扉は開く。
「あの〜、すみませ〜ん……誰かいますか……」
「儀式……受けに来た……」
すると、
「おぉ、よくぞ参られました。」
初老の見た目に、口髭をたくわえた男が、女神の像の前に立っていた。恐らくここの神父だろう。
「すみません、冒険者になるための儀式を受けに来たのですが……」
「そうですかそうですか。分かりました。」
「では、こちらに。」
そう言って神父と思わしき男は2人を案内した。
「今から行う儀式は、あなた方の冒険の成功を祈り、神からの祝福を受け、加護を与えるものです。」
神父は説明口調で話し始める。
「あなた方はこれから不死身となりますが、これはあくまでも魔物や同じ冒険者からの攻撃を受けた場合のみとなり、病気を治したり、寿命を延ばしたり、といったものではありません。そこだけご了承ください。」
シノはこれに似た説明を聞いたことがあった。
そう。夢であったエディアールと同じような説明だったのだ。
(うっ……これ……聞いたことある……)
シノは同じ話をされているようで正直面倒に感じていた。
しかしミカは何も知らないので必死に神父の話に相槌を打ちながら聞いていた。
「では、以上で説明とさせていただきます。」
ようやく神父の話が終わった。長い長い神父の説明は、それこそ日が落ちるのではないか、とシノは大袈裟な心配をしていた。
「では、おふたり。祈ってください。」
そう言って神父は胸の前で手を組んだ。
それに続き、シノもミカも胸の前で手を組んだ。
「神よ、この世を創り、統べ、視る全能の神よ。かの生きる希望に満ち、だがしかし、か弱く浅はかな若き者たちに旅の加護を与えよ。」
「高くそびえ凍える山も、災厄を帯びた敵も畏れる必要のない、強き力をここへ!」
神父がそう言い終えたその瞬間、辺りは白く眩しい、それでいてどこか温かい光に包まれた。
「以上となります。あなた方に神の祝福を。」
「ふぅ……、結構長かったねぇ、ずっと立ちっぱなしで疲れちゃった。」
無事に儀式を終えた2人は教会をでて、近くのベンチに腰掛けていた。
「加護を受けた実感……あんまり……ない……」
「だよねぇ、別に今まで通りって感じ。」
「うん……」
「でもこの加護、街の中では効果はないんだっけ、」
「街の中は街の中で……別の加護を受けてるって……言ってた……」
「あぁ〜、そーゆーことかぁ……!」
「ちゃんと聞いてたの……?」
「えへへ……途中からちょっと眠くて……」
笑い事ではない。
「さてと、無事に加護を受けれたことだし、冒険の目的を決めないとね!」
「あら、あなた達もこれから冒険に出る人たち?」
旅路について話し合おうとした2人の元に、1人の少女が話しかけてきた。
「あ、あなたは……?」
「私はエナ!見ての通り、冒険者よ!」
エナと名乗る少女は、腰になにか剣のようなものでもしまえそうな、銃のホルスターのような物をさげていた。
「旅に出るならまずは国境を超えるための『通行証』が必要になるわ。」
「「通行証……?」」
2人してその単語に反応する。
「えぇ、この先のアブル連邦領に入るためにはそれが必要不可欠なの。それを持たず国境でとどまってる冒険者をみんな『国境どまり』って呼ぶわ。」
「どうやったら手に入るんですか…?」
「そうね、この公国をでて、近くの村に魔物が住み着いちゃってるらしいわ。」
「それを討伐すれば国から正式に通行証が貰えるらしいんだけど……」
「なら早速向かいましょう!」
「え、えぇ!?」
ミカの早すぎる決断にエナは困惑した。