アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜   作:うさトロ

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第13話「暖かな光に包まれて」

何とかアブル領へ渡るための通行証を受け取ることができた2人は、雪原と草原が目立つ広野を歩いていた。

 

トッポの件、エナとそれを追う少女の件。

まだお昼も回ってないのにドタバタしていた2人は正直もうクタクタだった。

フィールドを歩きまわり、戦闘もあり、2人は程よくお腹も空いてくる。

 

「そろそろご飯にしよっか!」

「ご飯……!」

ミカのその言葉を聞き、シノはうさ耳をぴょこんと跳ねさせた。

ミカはカバンからレジャーシートを取り出し、広野の一番広く、辺り一面が見渡せる景色のいいところに敷いた。

風で飛ばないようにしっかりと近くにあった大きめの石で重しをした。

「実はね……、家を出る前におにぎりを握っておいたんだ!」

「はっ……!おにぎり……!!」

ミカはカバンからバスケットを取り出した。

その中には白く、つやつやと輝く綺麗な白米がしっかりと握られ、どれも美しい三角形になっており、海苔も巻かれたおにぎりがあった。

「えーとね、これが塩、こっちが昆布、これはスティグマサーモンのフレーク!」

どれも美味しそうだった。

「じゃあ、」

2人は自分の顔の前で手を合わせ、

「「いただきます!!」」

「ちゃんと2人分あるからね!」

一粒一粒がまるで宝石のように輝く白米をしっかりと握られたおにぎりにかぶりついた。

「んん……!!」

あまりの美味しさにシノの自慢のうさ耳もぴょこぴょこと激しく跳ねている。

 

『新鮮なスティグマサーモンのフレーク』と言うとどこか矛盾しているような気がしなくもないが、とてもふかふかと柔らかく、それでいて程よい味の濃さに味付けされていた。

もうひとつのスティグマサーモンおにぎりは切り身がそのまま入っていた。

さっきのフレークとは違い、今度はふわふわとしたお米に包まれながらも、しっかりとした切り身の歯ごたえのある食感で、さらにおにぎりには巻かれた海苔がぱりぱりといい音を上げながら2人の口の中に運ばれていく。

「美味しい〜!うん!我ながらいい出来具合ですなっ!」

「はむはむ……んっ……うぐっ……!」

あまりの美味しさに急いで頬張るシノは喉を詰まらせてしまった。

「だ、大丈夫!?ほら、お水!」

「んっ……んっ……ぷはぁ……死ぬかと思った……」

「だから落ち着いて食べてねって言ったのに……!そんなに急いで食べなくてもおにぎりは逃げないよ?」

「わからない……魔物に……取られるかもしれない……!」

「大丈夫だって……もう……ふふふ……!」

必死になっておにぎりにかぶりつくシノを見て、ミカは思わず笑ってしまっていた。

 

「「ごちそうさまでした!」」

昼食のおにぎりを食べ終え、程よくお腹も膨れたところで、2人はレジャーシートの上で大の字になって寝転んだ。

「初めて冒険に出て、まだ1日も経ってないのに、もうクタクタだよ……」

「私も……つかれた……」

「冒険に出るとずっとこんな感じなのかなぁ……」

「しんどい……?」

不安そうにシノが見つめる。

その瞳は紅く、とても綺麗だった。

「そんなわけないじゃない!」

必死に否定する。

「楽しいよ!そりゃ今日、それもさっきみたいにドタバタして疲れることもあるかもしれないけど……、そんなことより楽しさの方が10倍、100倍、いや、もっと!もーっと!もっともっともーっと楽しいんだよ!」

子どものように無邪気で、オーバー気味に手足を動かしてジェスチャーをする。

「だからしんどくてもなんともないし、これからも一緒に冒険したいな。」

今度はミカがシノを見つめる。

その蒼く光る瞳にシノはついドキッとしてしまった。

「う……、うん……。」

「ほんと!やったぁ!」

「も、元はと言えば……私から……言い……出したし……」

「こちらこそ……っ……よろしく……っ!」

吐き捨てるように言い、シノはそっぽを向いてしまった。

シノは何故か胸がバクバクしていた。

 

やがて2人は優しく暖かい日差しに包まれながら、すやすやと眠ってしまった。

近くにあった木がまるで2人を日差しから守るように、そっと木陰で包んだ。

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