アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜   作:うさトロ

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第14話「国境沿いにて」

目が覚めた。

 

 

 

パートナーはまだ隣で寝ている。

 

 

 

とても幸せそうな顔だ。

 

 

 

どんな夢を見ているのだろう。

 

 

 

その夢に私はいるだろうか。

 

 

 

もしいるならば、何をしているのだろう。

 

 

 

夢……ゆめ……ユメ……ユメ……

 

 

 

夢ってなんだろう。

 

 

 

私のしたいこと。

 

 

 

私のなりたかったもの。

 

 

 

今は現実にばかり目を向けなければ行けない。

 

 

 

いつしか夢なんてどこかへ置き去りにした。

 

 

 

この子さえいてくればそれでいい。

 

 

 

私はどうなっても構わない。

 

 

 

この子さえ笑って暮らせる世界になれば……

 

 

 

そうか。これが私の今の『夢』か。

 

 

 

いつか……きっと……叶えば……いい……な……

 

 

 

「はっ!」

「んん……おはよ……」

「えへへ……すっかり寝ちゃってたね……」

「うん……」

2人は国境を目指す途中の道で昼食のついでに休憩をとり、そこですやすやと眠ってしまっていたのだ。

「さ、片付けて次の街に行こっか!」

「うん……!」

「とりあえず次はアブル連邦かなぁ」

「レンポウって……どんなとこ……?」

「えーとね……」

アブル連邦は、噂によるとかなり大きな城塞都市だという。

立派かつ頑丈な城壁を張り巡らせ、門の外周には、敵が侵入できないように大きな大きな、1度落ちてしまうと二度と出られないほど、深く、底のみえない外濠(そとぼり)が存在する。

その城壁の中の街はとても栄えており、酒場、教会、市場もかなり発展しており、昼夜問わず人だかりでいっぱいである。

何よりも存在感のあるものが、その城壁都市の真ん中にそびえ立つ立派な城である。

「何がすごいのかはわかんないけど、とにかく大きいんだって!」

「えぇ……」

「と、とりあえずこの先の『国境沿い』を超えて、『広がる平野』の先にあるみたい。」

「またしばらくは歩くことになるかもね!」

「うへぇ……」

「牛車が使えたらいいんだけど……」

「使えないの……?」

「うーん、ダメみたい。」

「そっか……」

「まぁまぁ、そこまで距離は無さそうだし、ゆっくりでいいから、頑張ろ!」

「うん……」

「じゃ、行こっか!」

そう言うと2人は立ち上がり、広げていたレジャーシートを片付け、次なる目的地へと歩き始めた。

国境沿いのバリケード前まで来たところで、何かうめき声のようなものが聞こえてきた。

「うぅ……いたた……」

「シンシアちゃん!しっかりするですぅ!私を城下町まで連れて行ってくれないと困るですぅ!!」

「わ、分かってます……私だってこんな所で魔物にやられる訳には……っ……いたた……」

そこには2人の、ピンクのフリフリとした衣装を着た少女が何か深刻そうにしていた。

「ど、どうされたんですか……?大丈夫ですか……?」

ミカは困っている人は決して見捨てる様な真似はしなかった。

「あ!あなた!冒険者さんですねぇ!シンシアちゃん、お腹が痛いらしくて!助けて欲しいんですぅ!」

「すみません……月夜見草を合成して作れる『精旅丸』を持ってきてはくれませんか……ったた……」

「わ、分かりました……!精旅丸ですね!」

「私……取ってくる……」

そう言ってシノは駆け出した。

「あ、待って!私も行く!!」

「あ!待ってくださいですぅ!」

「精旅丸のレシピは……ご存知でしょうか……?」

「警備隊の訓練で習ったので熟知済みです!」

「あなた、警備隊の人間なんですぅ?」

「ええ、今は有給消化中ですけどね……」

「いたた……もしかして……、あなたがあの噂の……?」

「噂……?」

何か気になることをシンシアが言いかけたその時。

「はぁ……取ってきた……!はぁ……はぁ……」

「シノ!」

シノが猛スピードで荒い息を上げながら帰ってきた。

「これだけあれば十分だよ!あとはこれを……こうして……!」

シノから月夜見草を受け取ると、手際よく精旅丸を作り始めた。

「できたよ!はい!」

そしてそれをシンシアに渡す。ここまで10分もかかっていない。

シノの索敵能力、ミカの手際。2人のチームワークは完璧と言ってもいいほどだった。

「あ、お水もあるよ」

 

「本当にありがとうございます……!なんとお礼をすれば良いか……」

「2人ともありがとうございますぅ!シンシアちゃん、死んじゃうんじゃないかと思って心配してたんですよぉ」

「ミーナさん、そこまで深刻じゃないから安心してください……」

「とにかく!助かりましたですぅ!」

「よかった、とりあえず、私たちはこの先に用があるから、行くね!」

「あっ、待ってください、どうせなら私たちが勤める城まで来て貰えませんか?お礼ははずみますので……!」

「それ!いい考えですぅ!ぜひぜひ!来てもらないでしょうかぁ?」

「だって、シノ、どうする……?」

「美味しい料理……でるなら……」

「ありがとうございます!では行きましょう!」

こうして、シノとミカは公国の城へと向かうこととなった。

一体いつになったら国境を越えられるのだろうか。

 

続く。

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