アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜   作:うさトロ

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第15話「メイドさんにん」

シンシアとミーナを助けた2人は、彼女らの誘いで公国の城へと向かっていた。

向かいたい方向とは真反対となってしまったが、時間はあるので向かうことにした。

 

「着きました!ここですぅ!」

公国の城はとても大きく、立派な城門から漂う威圧感はいつ来ても緊張感を覚えさせられる。

「どうぞ。」

シンシアに言われ、シノとミカは城の中へと入っていった。

 

「おかえりなさい、シンシア、ミーナ、おや?後ろのおふたりは?」

シンシアやミーナと同じ服を着た、かなり威厳のあるような女性は穏やかに2人を迎え、シノとミカに目をやった。

「この方たちは……あ、えと……お名前……まだでしたね……」

「私はミカ。こっちのうさ耳っ子はシノ。」

シノは軽く礼をした。

「ナギさん!この人たちは私たちの危機を救ってくれた、恩人ですぅ!」

ミーナが補足説明をしてくれた。

「あら、それは……。このふたりがお世話になりました。大変感謝します。」

「私はナギ。ここのお城のメイド長を勤めさせております。」

ナギと呼ばれる女性は、シノとミカを危険人物ではないと判断し、静かに自己紹介をした。

「メイド……?」

「そうですよぉ?」

ミーナとシンシアもメイドだという。

メイド長であるナギと同じ格好をしているので当然だ。

「この度は本当にお世話になりました。このご恩は必ずお返しします。」

「いえいえ!私たちは、そんな大したことはしてないですので……!」

「あまり謙遜なさらずに、そうだ、お茶をいれます。良ければ、お話を聞かせて貰いたいのですが。」

そう言うと、他のメイドにお茶の用意をさせた。

 

「ふむ……そうですか……そんなことが……」

ミカやシンシア、ミーナはさっきの状況を漏れなく説明した。

(このお菓子……美味しい……)

その間、シノは用意されたお菓子を次々と口にしていた。

「もう!そんなに食べたら晩御飯食べれなくなっちゃうよ!」

「ぐっ……」

ミカに指摘され、シノの手が止まる。

「もし、お気に召されたのなら、まだまだたくさん余ってますので、よろしければお持ち帰りください。」

「いいんですか?」

「あなた方は彼女らの危機を救ってくれた恩人ですので。いくらでもご用意させていただきますよ。」

とんでもない待遇を受ける。人助けの恩がここまで帰ってくるとは、シノもミカも完全に思ってはいなかった。

「い、いいんですか……?ここまでしてもらって……?」

ミカがそう問うと、

「助けてもらったお礼するのは人として当たり前でしょう?」

ナギは『なにかおかしいのですか?』と言わんばかりの表現をしながら首を傾げていた。

心の底からいい人間なのだろう。

「でもナギさん、怒ったら怖いですよぉ」

「この前も、私がお菓子ばっかりたべてたらぁ、『食べ過ぎです。』ってお菓子没収したんですよぉ」

「はっ……!!」

シノはその言葉に反応し、お菓子を食べる手を再び止めてしまった。

「それはミーナさんが悪いと思うんですけど……」

すかさずシンシアがツッコミを入れる。

「むぅ……」

ミーナはどこか罰が悪そうだった。

「ひとまず、お話を聞かせていただきありがとうございました。今後はこんなことがないように、こちら側でも対策をしておきます。」

ナギがソファから立ち上がり、深い礼をする。

「いえいえ!こちらこそここまでしてもらっちゃって……」

ミカも急いで立ち上がり深く礼を返した。

「すみません本当に……お世話になりました……」

「シンシアちゃんを助けていただいてありがとうですぅ!」

「当たり前のことをした……それだけ……」

とは言いつつも、シノもしっかりと礼を返していた。

「よろしければ、連邦付近までの牛車を出しますが……」

「いいんですか?」

「えぇ、こちら側としては全然支障はありませんので、」

「なら……お言葉……あまえる……」

「分かりました。すぐに手配致します。」

「もう日が落ちつつあります。こちらに泊まっていってください。」

「何から何までお世話になりっぱなしで……本当にありがとうございます……!」

「ミーナ、シンシア、おふたりの部屋の支度を。」

「分かりました。すぐに取り掛かります。」

「了解ですぅ!」

 

シノとミカはナギたちメイドに用意してもらった部屋に行き、今日一日の疲れを取ろうとしていた。

なんと部屋にはシャワールームまであり、まるで高級ホテルのような整った設備だった。

2人はシャワーを浴び、用意されたパジャマに着替え、ベッドにはいった。

「本当に今日はつかれたねぇ、色んな人に会って、色んなことが起こって……」

「楽しかった……!」

「これからはしばらくはずっとこんな感じになるんだよ!楽しみだね……って、あれ?」

淡々と話すミカの話を聞かず、シノはもう眠りについてしまっていた。その寝顔はとても幸せそうだった。

「ふふ……今日はお疲れ様。おやすみなさい……!」

寝ているシノの寝顔を見つめ、頬をつんつんとつっつきながら、ミカは返事の返ってこない『おやすみなさい』の挨拶を交わした。

 

この日の月はとても綺麗な満月だった。

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