アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜 作:うさトロ
(あなた……名前は……?)
(あなたはシノ!『ソメイヨシノ』のシノね!)
「んん……むにゃむにゃ……」
今朝は朝日が眩しく、とてもポカポカした陽気に包まれてうさ耳をぴょこぴょこさせながらシノはとても気持ちよさそうに寝ていた。
彼女の名は『シノ』。
彼女についてはまだ『うさ耳のついた白い長髪の女の子』とかしかわからない。
「シノ!起きて!シーノー!!」
すやすやと気持ち良さそうに眠るシノを起こそうと叫ぶ少女。
彼女はミカ。『公国警備隊の天才』と周りから慕われている。
とある出来事からシノを保護。親のいない彼女からすればシノはもう家族同然だった。
ミカは長い金髪を二つくくりにし、朝食の準備を終え、まだ眠っているシノを起こそうと、必死に叫ぶ。
「シーノー!!早く起きないと朝ごはん冷めちゃうよー!」
「ご飯……!」
まるでとあるキーワードに反応して行動を起こすAIアプリのように『ご飯』という言葉に反応し、布団を蹴り飛ばしベッドから跳ね起きた。
「もう……この布団誰が直すと思ってんだか……」
散らかった布団を見て呆れる。
「ご飯……!ご飯……!」
もう彼女の頭の中は朝ごはんのことしかない。
「わかったわかった、朝ご飯にしよっか。」
そんなシノを見てると呆れなどどうでも良くなってくる。
今日も平和である。
のどかな日々の裏ではよからぬ企みを考える輩がいるとは知らずに。
世の中には知らないことが多い方が幸せなのかもしれない。
そう思ったのもつかの間。
「きゃー!」
「魔物だ!魔物が街へ!!」
魔物がこの公国に侵入してきたという住民たちの声が聞こえる。
「え!?なに!?」
「魔物……街に来たって……ご飯食べたいのに……許さない……!」
「ちょっとシノは落ち着いて!?とりあえず街の現状を確認しなきゃ……!」
ミカは慣れた手つきで住民を避難させる。
「シノ!魔物の相手はお願い!私はみんなを避難させるから!」
「わかった……!」
街に入ってきた魔物はゲルミが三体。
シノの相手ではない。
と思っていたが……。
「誰か助けて!誰か!!」
猫耳の少女がゲルミ達に襲われそうになっていたのだ。
「はっ……!」
シノは素早く愛用の弓を取り出し、目標に向けて照準を合わせる。
「この距離なら……っ!」
そう言い放った刹那、シノが放った矢はゲルミの身体を一瞬にして貫いた。
「うぅ……。助かったぁ……。」
猫耳の少女は気が抜けたようにその場にへたりこんだ。
「大丈夫……?怪我は……?」
シノが手を差し伸べる。
「えへへ……大丈夫だよ!」
「そう……良かった……」
「あれれ〜?なんか冷たくない?」
「そんなこと……無い……」
住民の避難を終えたミカが2人の元へ向かってきた。
「シノ!あれ?その子は?」
「さっきのゲルミにやられそうになってたのを助けたの……」
そういうと猫耳の少女は元気そうに立ち上がり、
「まだ名乗ってなかったね!」
「私はみんなから『魔物ちゃん』って呼ばれてる美少女だよ!」
と言い放った。
「げ、元気だね……!」
「美少女って自分で言った…」
2人は困惑しつつも、ひとまずは少女が無事で良かったと胸を下ろした。
「助けてくれてありがとね!お礼と言ってはなんだけど……。ちょっと『いいモノ』をあげるよ!」
「いいもの?」
少し興味ありげにミカが食いつく。
「うん!ちょっと待ってね……?」
少女は何かをゴソゴソと探し出した。
そうして虹色に輝く石を取り出して、
「はいこれ!」
その石をシノ達にみせた。
「これは?」
「これは『賢者石』って言ってね!一定数の賢者石を集めると『ガチャ』ができるの!」
「けんじゃいし……?がちゃ……?」
訳の分からない専門用語のような物が飛びだし、シノもミカもしばらく困惑していた。