アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜 作:うさトロ
連邦への入国許可を得て、また新たな領地へと足を踏み入れたシノとミカであった。
「すっごーい!広いね!建物も一個一個が大きいね!!」
「ほわぁ……!!」
2人は連邦の街の風景に感動していた。
一つ一つの建物がかなり大きく、どれも立派にそびえ立っていた。
「とりあえず、次のことを決めなきゃね、」
「次の目的地……決める……」
2人は酒場へと向かった。
そこは公国の酒場とは形はあまり変わらなかった。
「酒場の形って、どこも同じなのかなぁ」
しかし、酒場の店主とは別に、違う制服を着て礼儀正しくその場に立っている女性がいた。
「すみません……あなたは……?」
「あら、ここは初めてですか?」
女性はそういうと、淡々と語り始めた。
「はじめまして!あなたに素晴らしい未来を。いつでも転職相談に乗ります、『ハロージョブ』のカホと申します!以後お見知りおきを!」
この職を続けて長いのだろう。カホと名乗る女性はスラスラと自己紹介をしてみせた。
「転職相談?」
「はい!」
ミカは聞きなれない単語を聞き返す。
しかし、カホは嫌な顔ひとつせずミカの質問に対して答える。
「そもそも『職業』とは、己自身が得意とする武器やスキルをより活用し、それを糧に生活をしたり、より強く、その職でしか扱えないスキルを習得したりと、職を持つことでさらに新たな道が見えてくるのです!」
「ふむふむ」
カホはやはりスラスラと語ってみせた。
「あなた方が得意とする武器は?」
「わ、私は基本は杖でバフ魔法を……、単体行動の時は短剣をつかってます」
ミカの得意とするスタイルは主に直接攻撃をするよりも、味方や自分にバフ効果や回復効果をもたらすスタイルの方が得意だった。
しかし、バフ効果をかける味方が居ない単独行動をする時はいつも短剣を使っている。
「私は……弓か……片手剣……」
シノは基本的には弓を使って遠距離から攻撃をするのが得意だった。
命中力もその辺の名人が顔負けをするほどのスーパーエイムで、かつての狙撃の名手と呼ばれたロビンフッドが遠くの人間の頭に乗せたリンゴを撃ち抜くと言った伝説があるが、あれも華麗にやってのける程の才能があった。
しかしエディアールから受け取った片手剣、『リズウィット』を手にしてからは、自身の圧倒的な脚力を活かし、その速さは光の速さとも言えるほど素早く、切れ味の良い攻撃を繰り出すことができた。
「ふむふむ……それなら……」
カホはしばらく考え、
「それなら、やはり主に使う武器を主流とする職に就くことをおすすめします!あ、えっと……」
「私はミカ!」
「シノ……」
「ありがとうございます、ミカさんはまずは『修道士』の職に就くことをおすすめします」
「修道士?」
「修道士というのは教会が主な仕事です。住民の相談窓口となって、人々の悩みに乗り、母の心をもって働くのです!」
「ルーラさんの元へ行けば修道士の資格となる証を手に入れられるでしょう」
修道士は、主に味方に加護を授け、物理的な防御力や魔法攻撃からのダメージを軽減したり、全体に回復効果をもたらしたりと、全面的なサポートに長けた職業である。
「でも……」
しかし、ミカにはひとつ気がかりがあった。
「その修道士のスキル……ほぼ習得してます……」
ミカは警備隊の経験もあり、修道士のスキルをほとんど全て習得済みだった。
「なんと!そうでしたか、失礼しました、」
カホは一礼した。
「なら、修道士の上位互換となる『司祭』をおすすめします!」
司祭とは、修道士の上位職にあたる職で、修道士よりもより強化された回復効果、全面的な防御力の強化、さらに火、水、土、風の全ての属性の耐性の強化、持続回復まで味方に付けられる、サポート面では右に出る職はないほど強力な職である。
「ふむふむ……」
「公国の教会でお仕事をされているクリフさんの元へ行くと証を手に入れられるはずですよ!」
ミカはここまでの説明を必死に聞き、律儀にメモまでとっていた。
「やはりシノさんもある程度スキルは習得されているみたいですね、ならば『狩人』をおすすめします」
狩人は弓兵の上位職にあたる。
弓を扱い、的確に敵の弱点を射抜くだけでなく、狩った獲物の皮や毛を加工したり、その肉を食べることもある。
常に命に感謝をし、決して狩った獲物を粗末にすることはない、誇り高き職業でもある。
他にも罠を張り巡らせたり、目標のテリトリーに入り、何日間も行動を起こすまで待ったりと、スナイパーとしての職でもある。
「そういった点で、こちらからは連絡がなかなかつかない場合が多いんです。確か、大型農場にいるバインさんが過去に狩人の試験を受けたことがあると言っていたので、そちらを訪ねてみるのがいいと思います」
「ふむ……」
シノはしっかりと説明を記憶した。
ひとまず、2人は酒場を後にした。
次の目的は2人の職業に就くための証を手に入れることに決定した。
(証を手に入れたら、再び私の所へ来て、証を提示すればその職に就いたことになりますので!)
カホは酒場を出る前に2人にそう伝えていた。
「じゃあまずはシノの職からだね、大型農園はさっきの広がる平野から行けるみたいだし、こっちの方が近いからね」
「うへぇ……」
「すぐだから、そんな面倒そうな顔しません」
「はーい……」
そう言って、2人は連邦を出て、再び広がる平野へと足を運んだ。