アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜 作:うさトロ
2人は連邦を出て、錬成施設前の酒場のような小屋へと足を運んでいた。
2人の後ろで何かを探すようにウロウロしている女性がいた。
緑を基調としたエプロンのような服をまとっていた。
「……?」
2人は特別気にしてはいなかった。
「あら!あなた達は!」
聞いたことのある声が飛んできた。
そこには見知った顔がいた。
エナだ。
「あ、エナさん!こんにちは!」
気さくな挨拶を交わし、エナを交えた3人で雑談が繰り広げられる。
「そういえば、あなたを探してる人が、いたんですけど……」
「ひょっとしてマナのこと?」
この間会ったエナのパートナーと思わしき人物は『マナ』という名だった。
「マナさんって言うんですね!会いに行かなくて大丈夫なんですか?」
「ふふふ……私と彼女は前々々世からの連環を貫き、地上に堕ちた2筋の流れ星。生き別れの魂友(ソウルメイト)……ふふふ……」
エナは意味のわからない言葉を連ねた。
シノもミカもはっきり言って彼女が何を言ってるのか分からなかった。
「なんつって!旅をしていればきっと会えるわよ!あの子なら大丈夫!」
まだ後ろでエプロン姿の女性はウロウロしていた。
「ところで、あなたたちは……」
「うーん、ないなぁ……」
エプロン姿の女性はつぶやいた。
3人の耳には入っていなかったが、ちょいちょい後ろをウロウロするので少し気になってきた。
エナが再び口を開く。
「ところで……あなたたちはどうして……」
「ここじゃないのかなぁ……」
エナの話を遮るように女性がつぶやいた。
女性には周りが見えていないようだった。
それほどまでに大事なものを探しているのだろうか。
「あぁ……すみません、私、集中してると周りが見えなくなっちゃう人で……すみません……」
女性はそういうと、またウロウロし始める。
さすがに気になるミカが女性に聞く。
「あの……あなたは……?」
「え?あぁ、どうも、私はリクルって言います」
リクルと名乗る女性は、どうやら錬成施設前の酒場で働いているようだった。
「錬成施設で働く皆さんのために美味しい料理を振る舞いたくて、材料の方を探していたんです。でも私、料理とかはあんまりしたことないんですよね……てへっ」
リクルには料理の経験はないという。
それにエナが反応する。
「ははーん、さてはアレね?」
「アレ?」
「熱き心の脈動が鳴響し……、天をも創造せし汝のユビが轟かんという事ね……ふふふ……」
エナはまたいまいち意味のわからないことを言い出した。
「つまりはアレよ、好きな人にでも振る舞いんでしょ、いいわ、私の家で良く作ってた自家製のチーズの作り方を教えてあげる。これ、レシピ」
そういうとエナは紙切れを全員に配った。
「あのチーズを作るには『シロクロカビ』が必要になるのよね、だいたい、木のそばに生える『ノンビリキノコ』と共存してて、その表面に生えてるの。」
エナは淡々と説明を続ける。
「私は国境方面を探してくるから、あなたたちは城塞都市周りの平野をお願い。」
「この先の広がる平野で探せばいいんですね」
「そう、この先を真っ直ぐ南に行ったとこ。5個くらいあると助かるわ」
「なら、私も手伝います!」
リクルはそう言った。が、しかし、
「私たちは冒険者。いつでも困ってる人間の味方なの。だからここは私たちに任せて、あなたはここで待ってて。」
エナはリクルの言葉を断り、ここで待機させた。
「じゃあ、早速二手に別れるわよ、後でここでまた落ち合いましょうか。」
「分かりました!」
「了……解……」
エナはそういうと国境の方面へ向かって行った。
それを見た後、シノとミカの2人も行動を起こした。