アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜 作:うさトロ
「けんじゃいし……?ガチャ……?」
「そう!ガチャができるんだよ!」
魔物ちゃんの訳の分からない話を聞き困惑していたシノとミカの2人。
「んー、とりあえずは見てもらった方が早いかな! なんだっけ?『100文字の文章は読むのが辛い』!」
なんだそれは。
「『百聞は一見にしかず』じゃないかな……?」
すかさずミカが訂正を入れる。
「そうそう!それそれ!そうとも言うよね!」
魔物ちゃんはついに意味のわからない単語に加え、意味のわからないことわざまで繰り出してきた。
もう正直シノは話についていけてなかったのでとてつもなく暇そうにいじけていた。
朝ごはんがまだなので余計に拗ねていた。
「まぁまぁ!とりあえず見ててよ!」
魔物ちゃんが賢者石を空へ向かって捧げた。
と、その瞬間。賢者石が突如として光り始めたのだ。
その光景にシノもミカも目を奪われる。
光り出した賢者石はやがて11つの光へと別れ、拡散し、3人の周りを囲った。
「おぉ……!」
「すごい……綺麗……」
2人はあまりの美しさに言葉を失っていた。
「すごいのはここからなんだよー!」
と、魔物ちゃんの言葉に反応したかのように、まるで飼育員の合図に合わせて芸を披露するペンギンショーのペンギンのように、拡散した光は形を徐々に変えて行った。
「すごい……」
シノにはもはや語彙力なんて初めからなかったかのような反応をしていた。
ミカは徐々に変わりゆく光の形を察した。
「これはもしかして武器?」
「よくわかったね!そうだよ!」
「この賢者石は一定数集めるとこうやって武器や防具になってくれるんだ!運が良ければ強い装備が手に入るよ!」
「なるほど……」
2人はようやく賢者石やガチャの仕組みについて理解した。
「ところで、その賢者石ってどこで手に入るの?」
「さぁ?」
「こればっかりは私にもよく分からないんだ。とりあえずは人助けとか、なにか人のためになることをすればいいんじゃないかな?」
あまりにも曖昧な答えだった。
「そっかぁ、そんなものなのかぁ。」
ミカはどこか納得したような、でもガッカリしたような反応を示した。
その感情を察したのか、
「ごめんね……、私からはこれだけしか教えてあげられないや……」
と、魔物ちゃんもどこかガッカリしていた。
「いやいや!大丈夫だよ!」
とミカが魔物ちゃんをなだめる。
シノはポカーンと口を開けながらぼーっとしていた。あの光に魅力され、もはや朝ごはんの事などは頭にはなかった。
「シノ?シノ?おーい、シノさーん?」
「ん……はっ!」
「どうしたの?そんなにぼーっとして、」
「なっ……なんでもない……」
シノは雑念を払うかのように頭を左右に激しく振った。
「あーっ!!」
魔物ちゃんはなにかを思い出したかのように、
「とりあえず私は行かなきゃ!」
と2人を置いてどこかへ駆けて行った。
「最後まで慌ただしい子だったね……ね、シノ?」
ミカの問いに反応することなく、シノはまだあの光のことを気にしていた。
「おーい、おーい!シノー!!おーい!!」
何度もミカに呼ばれ、シノはようやくそれに気づく。
「はぅわっ!」
思わず変な声が出た。
「どうしたのさっきからぼーっとして、」
「さっきの光……綺麗だった……」
「確かに綺麗だったね!」
「あのさ……?」
「どうしたの?」
「この街の外にも……あんなに綺麗なものってあるのかな……」
「私もまだこの世界を全部見たわけじゃないからわかんないけど、きっとあるんじゃないかな!」
「私……みたい……」
「綺麗なもの……見に行きたい……!」