アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜   作:うさトロ

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第29話「潔白の証明、思わぬ絶望」

シノとミカのふたりは、公国でフランクにかけられた疑いを晴らすために、滅びの村に来ていた。

「もし本当に犯人がヤツなら、あそこの地下工場にいるよね……?」

ミカはルーチェから聞いた手がかりを元に、

犯人と思われる者が住んでいる場所を特定したのだ。

「うん……たぶん……そこにいる……」

ふたりは村の坂を上り、上の方にある地下工場へと繋がるトンネルの前に立った。

「い、いくよ……?」

「うん……」

ふたりは恐る恐るトンネルの中へと進んだ。

しばらく進むと大きな空洞に出た。

しかし、犯人と思わしき者はいなかった。

さらには生き物がいる気配すらしなかったのだ。

「いないね、違ったのかな……?」

「でも……あいつ以外……いるはずは……」

ふたりが諦めて帰ろうとしたその時だった。

「ん……?おい、誰だ貴様ら、何をしているのだ、我の住処で」

入口の方から声がした。

その声の主は青色やクリーム色の毛、ネズミのようなシルエット、二足歩行で歩いている。

「見つけた……」

「むしろ帰ってきてくれて好都合だよ……?ね?『魔王トッポ』さぁん……?」

そう。

ふたりが探していた犯人と思わしき者、それはトッポの事だったのだ。

そしてトッポは、我が子を抱えるように、大量の武器を腕いっぱいに抱いていた。

「トッポくぅん?その武器はどこから手に入れたのかなぁ……?」

予想が当たり、思ったより早くその犯人を懲らしめられると浮かれていたミカの口調が変なことになっている。

「き、貴様らもしや……!この間の……?」

トッポは以前、シノ、ミカ、エナの3人にボコされており、軽くトラウマを抱いていた。

「そんなこと……どうでもいい……質問を……質問で返すな……」

シノはトッポをキツく睨む。

「わわわ、わかっておるわ!この武器であろう?あそこの国の武器庫から取ってきたのだ!」

「……。って、しまった!?」

睨まれたトッポは思わず口を滑らせてしまった。

「その武器……返せ……」

「返してくれたらなんにもしないよ」

ふたりはトッポを脅迫するかのような勢いでジリジリと詰め寄る。

「ほ、本当だな、本当に逃がしてくれるんだな……!」

「取った武器全部返してくれたらね?」

ミカは悪い顔をしていた。

口角がぐーんと上がっている。

「なっ、この他の武器は公国の商人に売ってしまったわ!」

「ほう……?」

「なんだって……?」

トッポによる予想外の一言に、思わずふたりはきょとんとしてしまう。

しかしふたりは怯むことなく、トッポに問い詰める。

「誰に売ったの?その人の名前は?顔は?特徴は?どんな服を着てたの?ねぇ?」

「ミカ……落ち着いて……」

珍しく暴走するミカを抑えるシノ。

ミカの圧に押されてしまい、トッポは全てを暴露してしまった。

 

「ふむ……」

「商人の名は『マルク』、目付きが悪くて赤いバンダナをしてるのね」

ミカはトッポに情報をひとつ残らず吐かせた。

 

「まだ公国にいるかもしれんな」

トッポはすっかりやつれきっていた。

「有益な情報、ありがとうね!」

「でも……武器は返してもらう……」

 

トッポから情報と武器を手に入れ、ふたりは商人の元を訪れるために再び公国へと向かった。

 

公国の酒場の前を通っていると、例の小太りの兵士長こと、フランクの姿が見えた。

フランクもこちらに気づき、

「ん?お前たちか」

と嫌味気味に言った。

ミカは冷静に、

「武器、取り戻してきました」

と、武器を取り戻したこと、犯人はトッポという魔物であったこと、そしてそのトッポは他にも武器を商人に売ったということ、その商人の見た目など、全てをフランクに話した。

「そうかそうか、犯人はトッポという魔物だったか。」

フランクは納得したような素振りを見せた。

「して、その商人に売った武器はどこだ?これではないだろう?」

「えっ?」

ようやく身の潔白を晴らせたと思い、少しばかりホッとしていた所に、想像を絶する言葉がフランクの口から放たれ、ふたりは絶句してしまった。

「そ……そんなの……商人が持ってるに……」

もうミカも心が折れそうだった。

彼女の中でなにかがミシミシと音を立てているのが自分でもよく分かる。

「その武器を取り戻せなければお前たちをお尋ね者として扱うことにする。」

「は……?」

もうシノもミカも言葉が出ない。

ふたりはとことん絶望していた。

「はぁ、そうですか……そうですね……えぇ……は、はは……ははは……」

「ちょっと……ミカ……!」

心をズタズタにされたミカはあっさりその条件を受け入れてしまった。

もうミカ本人も何が何だかわかっていない。

 

死んだ魚のような目で、ピクリとも動こうとしないミカ。

まるで人形のようにガチリと固まってしまった。

こうなったミカはしばらくは元には戻らない。

シノはなんとかミカを引きずりつつ、とりあえずの避難と思って酒場へと入った。

 

そこでシノは思わぬ人物に会うことになるとは知らずに……。

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