アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜 作:うさトロ
「相変わらず……でっかい門……」
ふたりはミーナに呼ばれて城に向かっていた。
城の前に佇む大きな城門の前にふたりはポツンと立っていた。
「は、はいろっか……」
ふたりは恐る恐る門を開ける。
大きな城門をくぐり、城の中へと姿を消す。
入るとまず一番に応接間のような空間に出た。
その奥にはこれまた大きな椅子がある。
そこにはこのシュリンガー公国のトップ、
ドレイク大公陛下が座っている。
そのまわりには五人のメイドがいた。
ミーナやシンシアの姿も確認出来る。
ミーナはこちらに気づくと、こちらに目配せとウインクをした。
ふたりは圧倒的な気迫に怯みながらも大公陛下の前に直った。
周りをよく見渡すとフランクの姿もあった。
ニヤニヤしている顔がふたりにとってとても不愉快だった。
重々しい空気の中、ドレイクが口を開く。
「武器庫の武器が何者かによって盗まれておる。それを盗んだのは主らだと、フランクから聞いておるが……間違いないか?」
「そ、それは……!」
いきなり本題である武器の話を振られ、ミカは返答に困ってしまう。
「待ってくだせぇ」
すると後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
赤いバンダナ、悪い目付き。
マルクだ。
マルクは大量の武器を抱えて王宮に入ってきた。
「主は……出入りの商人……名は確か、マルクと言ったな。」
「その通りで」
マルクがドヤ顔で目線をこちらに向けて来る。
「こっち見んな……」
シノがボソリと呟く。
目線の向けすぎで大公陛下に怪しまれたら最悪だ。
「この人らは犯人ではありやせん、このとおり、武器も全部取り戻してきやした」
マルクはそういうと抱えていた武器を全て床に置いた。
「そもそも武器を盗んでいたのはトッポという魔物、そいつを退治して武器を取り戻してきたのがこのふたりなんでさぁ!」
「私は、その荷物運びを頼まれたんでさぁ」
言葉巧みに話を続けるマルク。
「うむ……」
「マルクよ、そこに直れ、しばしこの話に付き合ってもらう。」
「は、はぁ……」
ドレイクの予想外の一言に少しばかり困惑するマルク。
しかし大公陛下の命令とあらば背くことは出来ない。
マルクは片膝をつき、その場に伏せた。
「どういうことだフランク。報告とは話が違うではないか」
ドレイクの矛先はフランクへと向かう。
これに対しフランクは特に不味いといった顔はせず、まだまだ余裕の表情を浮かべていた。
「とんでもございません、あいつらは商人に武器を売ろうとしていて、それを私めが発見し、阻止させたのでございます。」
よくもまぁあることないことベラベラと話せるな、とシノもミカもイライラしていた。
「あ、あの、よろしいでしょうか……」
そこに割って入る、高めの透き通るような声。
「ご無沙汰してます、シンシアです。その節は大変お世話になりました」
シンシアだ。
「フランク兵士長、この方々はそんなことなさいません。私を無償で助けてくれた、素晴らしいふたりです」
国境沿いで腹痛を起こしたシンシアを助けた件のことだろう。
「ふむ、うちのメイドがそういうのであれば、主らが正しいのだろう」
ドレイクの返答は即答だった。
メイドに対する信用はとても厚いのだろう。
「まずは、褒美をとらそう。」
「あ、ありがとうございます……?」
ミカは少しだけ困惑しつつ礼を言う。
「冒険者よ、無実が証明できて良かったな、では下がれ!」
話の流れをバッサリと断ち切ろうとするフランク。
「フランク、待て。」
しかしドレイクに止められてしまった。
「ど、どうなさいましたか」
ドレイクの一言にしかめっ面で返事をするフランク。
そんな彼の表情や態度を気にせず、ドレイクは淡々と話を続ける。
「我は以前も同じような話をした記憶がある。」
どうやら今回が初めてではないらしく、以前から同じような悪事を働いていたようだ。
ドレイクはそっとシノとミカの方を向き、
「冒険者よ。何か話すことがあるのではないか。我に真実を聞かせよ。」
「え、えっと……」
ミカは全てを話した。
フランクが魔物に武器を盗ませていたこと、
そしてそれをマルクが安く買い取り、
国に高く売っていたこと。
それを酒場で話していたこと。
ふたりがフランクに言われたこと、
全てをひとつ残らず話した。
ミカによってフランクの企みが明らかになる。
その時フランクの顔が徐々に青ざめていく姿を見て、シノは内心ニヤニヤしていた。
「自業自得……ざまぁみろ……」
と小声で呟く。
ミカが一通り話し終えた後、ドレイクはフランクに確認をする。
「フランク。それは真実か?」
「いいい、いえ、滅相もございません……」
オドオドと話し始めるフランク。
こうなればこっちのもんだ。
とミカが次第に自分に自信を取り戻すのがシノにも伝わってきた。
今度はこっちの番だ。
やられた分だけ返してやる!
ふたりの逆転劇がいま始まろうとしていた。