アルケミアストーリー 〜シノとミカの錬金物語〜 作:うさトロ
「うへぇ……疲れた……」
「疲れたって……まだ歩き始めたばっかりでしょ?」
「むぅ……」
私たちは次の目的地、『不老不死の村』をめざして歩いていた。
「牛車……牛車は……?」
相棒であるシノはなんとしても楽がしたいと思ってるみたい。
チャームポイントのうさ耳がだらーんと垂れている。
「牛車は使えないよ!公国出る前にシノがお菓子とか買うからもうお金がないの!」
そう。私たちはあの事件の後、公国から出る前に再び市場に行って色んなものを買い揃えてた。
ご飯に使う食材、冒険に必要な道具。
必需品は最低限にまで削り、数少ないお金を少しでも置いておこうと思っていた矢先、
「ミカ……これ……!」
シノが目をキラキラさせて何かを私に見せてきた。
袋詰めにされたクッキーだ。
チョコチップクッキー、バタークッキー、紅茶クッキーなど、色んな種類のクッキーが袋の中にパンパンに入っていた。
「なにこれ……?ひょっとして買ったの……?」
「美味しそうだったから……つい……」
私は恐る恐る値段を聞いた。
「い、いくら……?」
「うっ……」
シノが目をそらす。
相当な値段だったんだろう。
うさ耳がプルプル震えている。
何か言えないことがある時の状態だ。
「せ……1000zell……」
「せ、1000!?」
あまりの高さに私は驚いてしまった。
「それってぼったくりとかじゃないの!?」
「で……でも……美味しいよ……?ほら……」
「いやそう言う問題じゃ……むぐぅ」
シノが半ば強引に私の口にクッキーを詰める。
確かに美味しい。美味しいけど……。
まぁ、シノ、嬉しそうだし……。
「もう……今回だけだよ……」
あっさりと許してしまった。
この子の嬉しそうな表情を前にして、怒るなんてできっこない。
そんなこんなあって、私たちは歩いて次の目的地まで歩いて向かう羽目になったのだ。
「うへぇ……」
とぼとぼ歩く私の相棒。
「早く来ないと置いてっちゃうよー!」
私はシノを置いてどんどん進む。
先に休憩地点まで行ってお昼ご飯の準備でもしようかな。
ん?ご飯……?そうか、
「シノー!ここまで来れたら昼ごはんにしようー!」
私はシノをご飯で釣ることにした。
すると案の定、
「ご飯……!」
やっぱり。
シノはもうご飯のことで頭がいっぱいになった。
うさ耳もぴょこぴょこ跳ねている。
トテトテと走ってこちらに向かってくるシノ。
可愛い。めちゃくちゃ可愛い。
「それじゃ、この辺でお昼ご飯の準備にしよっか、シノはレジャーシート引いてて、私は調理の準備する」
「わかった……!」
シノはご機嫌そうに鼻歌を歌いながらレジャーシートを引き、四隅に重りとして置く手頃な石を探しに行った。
「あんまり遠くに言っちゃダメだよー!」
私はシノに忠告した。
シノは向こうに走りながら親指を立てた。
『わかってる』のサインだ。
私も調理の準備に入る。
市場で買ってきた新鮮な材料をバッグから取り出す。
レタス、卵、ベーコン、ジャガイモ……、
ジャーマンポテトにでもしようかな。
早速調理に取り掛かろう。
ミカちゃん簡単クッキング!
まずは玉ねぎとベーコンを薄く、食べやすいサイズに切り、
手際よくジャガイモの皮を向いて、乱切りにします。
そのジャガイモに塩を振り、しばらく水につけとくの。
その間にフライパンの準備をするよ。
熱したフライパンにオリーブオイルと半分にカットしておいたニンニクを潰して炒めるの。
香りが出るまで炒めたらさっき切った材料を入れ、塩コショウとコンソメをくわえ、玉ねぎがしんなりするまで炒めます。
玉ねぎがしんなりするまで炒めたら完成だよ!
早速、出来たご飯を皿に移して、シノを呼ぶ。
「シノー!ご飯できたよー!」
「はっ……!ご飯……!」
シノは自慢のうさ耳をぴょこぴょこと跳ねさせながら、こちらへと向かってきた。
「「いただきます!」」
二人同時に一口目をパクリとたべる。
「ん……!美味しい……!」
「美味い!」
ホクホクといい歯ごたえのするジャガイモ、
シャキシャキしたきつね色の玉ねぎ、
それに塩コショウでピリッとアクセントがついていてとても美味しい。
我ながらいい出来だとおもう。
「「ごちそうさまでした!」」
お昼ご飯を終え、近くの川で洗い物を済ませ、携帯コンロや小型のフライパンなど、
道具の後片付けをした。
満腹感による心地よい眠気に悩まされながらも、私たちふたりは再び歩みを進めた。
「よし!行こっか!」