蒼島鎮守府の日常   作:氷雨蒼空

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第二話 ワガママボディの使い道

鎮守府とは海の平和を守る海軍の拠点だ。

 

つまり、そこに務める俺達はヒーローであり艤装を装備して戦う艦娘はヒロインだ。

 

呼吸をするかのように俺には毒を暁には嘘を吐く照月。

 

ちんまい体でレンチを振り回し、鎮守府の設備をただの無機物に変えてチンチン連呼する暁。

 

家計を支えるためにドラム缶輸送任務をこなす死んだ目の薄幸少女浜風。

 

もう一度言おう。彼女達は艤装を装備して戦うヒロインだ。

 

なのにだ。今俺は物凄く頭が痛いなぁ、吐き気がするなぁ、おっぱい揉みたいなぁと思い始めている。

 

 

 

「私としては、まず盛大に砲撃を行って相手の足を止めるのが有効だと思います」

 

まず一人目の照月だが、うちには盛大に出きるほどの弾薬はない。却下の理由は他にもあるのだが、取り敢えず却下!

 

「却下」

 

「余ってるドラム缶を機雷に改造してばら蒔いて置くのも有効かと思う」

 

二人目の浜風は、ドラム缶のせいで苦労しているのかドラム缶のことを口にするだけなんか異様に憎悪を滲ませているが、正直ドラム缶が悪いのではなく九里坂提督が悪い。

 

「却下だ」

 

そして貴重なドラム缶輸送に使うドラム缶を消費したくないし、機雷なんて上等なものは、とっくにうちの鎮守府にはないのでこれまた却下。

 

 

「そして私がその間に船に乗り込んだら、レンチでチンチンすればいいのね!」

 

三人目の暁に至っては論外である。先の提案を却下した後だし、何よりチンチンされても困るのである。

 

「チンチン却下」

 

 

九里坂提督は全てに却下した俺に対して疲れたようにため息を漏らす。

 

「何が不満なんだ」

 

「おいふざけんなよ」

 

何が不満?

 

不満どころの騒ぎではない。

 

「この諸島周辺通航する船を手当たり次第襲撃することだよ!」

 

「「「「え!?」」」」

 

こいつら四人の驚きっぷりに俺の方が驚いてる。

 

何せ自分達が行おうとしていることに何の微塵も疑っていないからだ。

 

「周防海尉、通航する船を襲わないと言うなら何を襲えばいいんですか!」

 

そもそも襲うと言う発想から離れろ。お前一応帝国軍所属たからな。

 

「そうよ! 暁は一体何をチンチンすればいいのよ!」

 

このチンチン娘いつか卑猥な目に遭ってしまえ。

 

「私もうドラム缶から解放されないのね」

 

「なあ、もう部屋に帰ってビール呑みたい」

 

しくしくと涙を流す浜風と最早会議に飽きている九里坂提督。

 

 

こいつらああああああああああ・・・・・

 

「いいか。俺達に必要なのは資金と資材だ。真っ当な方法で稼ぐんだよ。じゃなきゃ浜風がけしからん体で稼がなきゃいけなくなるだろ」

 

「ちょっと待ってください。何で私なんですか? 海尉、それドラム缶輸送のことですよね?」

 

さて、無駄におっぱいがデカイ浜風が身売りしなくても済むように何かいい方法を考えなくちゃいけないなぁ。

 

工廠にある壊れた艤装を解体して鉄屑として売る方法もあるが、あれはあれで立派な資材だし、一応鎮守府の資産である。

 

「さて。真っ当な仕事についてだが、海軍サイトでは随時海域ごとのクエストを発注している。このクエストをこなそうと思う。じゃなきゃ浜風のおっぱいが大変なことになるか、お前らの下着が減ることになる。お前らもそれは嫌だろ?」

 

「ちょっと待ってください海尉。私のおっぱいが何で大変なことになるんですか?」

 

 

「浜風の胸はどうでもいいとして、下着がなくなるのは嫌ですね」

 

「照月、私の胸の心配してください。そして下着がなくなることもおかしいことだと気づいてください」

 

「そうよ! 暁の熊さんパンツがどうして無くなるのよ!」

 

「暁は心配するな。お前に需要があるとすれば、スク水着て写真とればいいだけだしな。お前のパンツは誰も欲しがらん」

 

「おい周防! もしかしてこの私にまで」

 

「いいかお前ら。本日はこのクエストをこなして貰う」

 

俺は九里坂提督のざれ言を無視してノートパソコンの画面を見せる。

 

ノートパソコンの画面には、海軍サイトのクエストのページが表示されている。

 

比較的難易度の低いものからハイレベルなものまであるのだが、流石の俺だっていきなり一攫千金を求めたりしない。

 

この海軍のクエストと言うのは、海軍の士気や錬度向上を狙ったシステムで、達成報酬がそのままボーナスとなる。

 

海賊や海の魔物に深海棲艦を討伐することで、治安も守られるので、一石二鳥とも言えるだろう。

 

「あ! 文房具の梱包作業なんてありますね」

「スクラップをチンチンする仕事もあるみたいよ!」

「長距離輸送・・・・・私ならできるかも」

「芋煮会のお知らせって私聞いてないんだけど!」

 

おっと、少し目を放せばこいつら主旨からどんどん遠ざかって行きやがる。

 

こいつらは一応、第│二○一《ニイマルイチ》駆逐隊という小隊に所属しているのだが、駆逐のくの字も関係ない仕事に食いついてやがる。

 

「ねえ、お前ら誇りとかないの?」

「貴方は誇りでご飯が食べられるのですか?」

「もう毎日ドラム缶輸送ばかりで嫌なんです」

「暁達はこのまんまじゃチンチンなっちゃうよ」

 

お前は壊れた電子レンジか。

 

「周防、少しは彼女達のことを考えてやれ」

 

お前が提督なんだからお前が考えろ。

 

「そんなものとかは日々の足しにすらなりゃしない。これを受注する」

 

俺が示したそれは、海に蔓延る魔物の討伐であった。

 

 

 

2

 

 

クラーケン。それはファンタジーな物語の中でも、実に有名な魔物で、海の王者クラスの巨大な化け物。

 

 

「いいいやあああああああああああ」

 

 

「浜風! 堪えろ! 堪えてくれ! そしてスカートは抑えるな!」

 

クラーケンはわさわさと無数の足を浜風に巻き付け、それはもうどエロいことに。

 

「こんな時に何を言っているんですか! 浜風堪えてください! 貴方が堪えてくれなければ私が危なくなる! 」

 

「こんな時に何を言っているんですか照月!」

 

浜風のわがままボディはクラーケンにはお好みのようで、確かに照月も自覚するに相応しいスタイル抜群の体をしている。

 

「おい周防! 私を守れ」

「その必要ないです」

 

こいつは薄っぺらい胸をしていて何を言っちゃってくれてんだ。

 

この中で一番危ないのは明らかに浜風と照月だ。

 

残りの二人は幼児体型とフラットボディ。そりゃあクラーケンにだって選ぶ権利くらいはあるさ。

 

てか人間の男にすら言い寄られない女が、クラーケンすら相手にされないとか最早女として、

 

「いだだだだだだだだだだだだだ」

「お前をクラーケンに餌にしてやる!」

「おいやめろ! お前それでも提督か!」

「提督は船の上では最高権力者だ! そしてああああああああ」

 

ギャーギャー騒ぐ九里坂提督を小うるさく感じたのか、クラーケンの足が九里坂提督を弾き飛ばして彼女は海に落ちる。

 

フラットへの扱いとは大抵こんなものである。

 

 

「ていとくううううううううう」

「諦めろ暁。九里坂提督はこれで二階級特進だ」

「勝手に殺すな! 今すぐ引き上げろ馬鹿者!」

 

「いいか暁。クラーケンが浜風のスカートと上着をめくるまでハウスだ。パンツまで脱がすかもしるないからチンチンは待ってろよ」

 

「わかったわ! 浜風のパンツが脱げたらチンチンすればいいのね!」

 

「海尉! 変なこと暁に吹き込んでないで今すぐ助けて! 暁もこんな時にチンチン言わないで!」

 

相変わらずこんな時でも要求が多い奴だ。心なしかいつもの死んだ目は妙に生気が戻ってるじゃないか。

 

羞恥心と言うのはこうも人に生きる力を与えるというなら、彼女の為にも俺のためにもこういうイベントは毎度起きて欲しいものである。

 

クラーケン相手に攻防を繰り広げて十数分。

 

艤装を持っているのは浜風と照月だけで、暁は自分の艤装を自分でチンチンしてしまったので持っていない。

 

自分で言っててなんなんだが、自分でチンチンっておかしすぎる。

 

攻撃方法は俺達が載ってきた小型艦のパイルバンカーと12.7インチ砲が3門。

 

しかし残念なことにこの主砲は長年整備されてなかったので、まともに撃てるのか怪しいものである。

浜風が拘束されている以上、火力と減って下手な攻撃すら出来ないのだが。

 

「海尉、パイルバンカーを撃ち込むので海尉は主砲で援護してください」

 

「いや、あれ暴発の危険性が」

「わかったわ照月! 私に任せて頂戴!」

 

俺が止める前に照月と暁がそれぞれ走り出す。

 

「ちょっと待てえええええええ」

 

「あれおかしいわね。手動スイッチ入れてるのにレバーが重いわ」

「もうその時点でアウトだろ! 無理矢理引けば駄目だ!」

 

しかし既に照月は固定されていたパイルバンカーを引っこ抜き、発射用カートリッジを装填し始めている。

 

てか重量が200キロ以上あるパイルバンカーを、軽々引っこ抜くとか並のフリートメイデンを優に越えている。

 

 

「もう! チンチンするしかないわね」

 

そう言って暁がレンチを取り出すと、フリートメイデンらしい馬鹿力で主砲をぶっ叩く。

 

次の瞬間には砲弾と共に爆風がまき起こって、俺と暁は盛大な吹き飛ばされる。

 

砲身はぶっ壊れたものの、奇跡的にもクラーケン目掛けて放たれた砲弾が、浜風を捉えていた足を吹き飛ばし、その頭へと撃ち込まれる。

 

くそ! もう少しでパンツが脱げそうだったのに!

 

「てやああああああああああ」

 

パイルバンカーを持った照月がクラーケンへと肉薄し、砲身がクラーケンの頭に近づけられた瞬間には盛大な発砲音と共にクラーケンの頭に杭がささった。

 

「まだまだあああああああああ」

 

薬莢が排出され二発目が装填されると、照月は先ほどめり込んだ砲弾に向けて杭を打った。

 

杭によって思い切り後押しされた砲弾は、見事にクラーケンの頭部深くにめり込んで、その息の根を止めるのだった。

 

 

これは歴史的快挙かもしれない。

 

通常クラーケンの討伐には、中隊規模で挑むらしいのだが、クラーケンが浜風に夢中になっていたことと、照月がその隙をついて、予想外にも馬鹿力を発揮してくれたことが奇跡に繋がった。

 

「えへん。誉めてくれてもいいのよ」

 

身体中煤だらけにした暁が、幼児体型の胸を張って得意気な顔をする。

 

バカ野郎。浜風のパンツが脱がされなかった時点で誉められたもんじゃない。

 

「ひぐ・・・・えぐ・・・・もうお嫁に行けないよぉ」

 

「よしよし。よく頑張りました浜風。今日は帰ったらイカ料理にしましょう」

 

それを作るのはお前じゃなく浜風だろうに。

 

「さて。無事にクラーケンを倒せたことだし帰るか」

 

 

「ねえ海尉。何か忘れてるような気がするんだけど」

「暁、お前は疲れてるんだよ」

 

 

「ふざけるな! さっさと引き上げないか!」

 

 

ち!

 

 

 

 

 

戻ってきてから帝国軍本部にクラーケン討伐の報告と共に、日報をパソコンで送った俺は、その日の内に振り込まれた褒賞金に目を見張る。

 

「危険手当てに使用した資材の経費も合わせて672万・・・・・・・しかも引き上げたクラーケンを市場に卸して100万近く! 凄いじゃないか!」

 

これなら鎮守府の再建も夢じゃない! 他の鎮守府に配属されている同期達からは「え? あの辺境地に?」「オワタな。一生底辺生活確定」とか散々馬鹿にされたものだが、ここから巻き返してやる。

 

 

俺はパソコンを持ってアパートの自室に戻ると、俺の部屋が失くなっていた。

 

「え?」

 

「大変です海尉! キッチンにゴキブリが出て」

 

大慌てで俺に報告する浜風。

 

「照月か! 照月がゴキブリごときに勢い余ってうっかり砲撃したんだろ!」

 

 

あの野郎! 今日と言う今日こそはどエロい目に遭わせてやる!

 

そう意気込んでアパートの二階に駆け上がると、暁の首根っこを掴む照月の姿が。

 

「あ! 海尉! ゴキブリが出たから私が部屋ごとチンチンしてあげたわ!」

 

 

「くぅおおおのおおおおおおおおチンチン娘がああああああああ!」

 

 

 

修理費用・・・・・約800万円。おおよそ30万近くの赤字となった。

 

 

鎮守府再建が遠い・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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