悪役令嬢に転生したので男装して執事になりました〜攻略対象が私の周りに集まるのは何故~ 作:れーと
……出来ているか?
考えた。
私は考えた。
どうしたらティアラちゃん×シリウス様の最推しカップリングを近くで見られるか…。
そう、その答えは一つ!!
「シリウス様付きの従者になればいいんじゃない!?」
シリウス様―。
成績優秀、文武両道、眉目秀麗、勇猛果敢、気宇壮大…そんなヴェルラキア王国の王太子殿下。
…と言っても、人は誰しも裏の顔があるわけで…。
ドS×腹黒×超万能×好青年…という矛盾してそうで両立出来てしまう性格の持ち主…それが私の最推し、シリウス様なのだ―ッ!
煌めく金髪に飲み込まれそうな赤い瞳の持ち主。星宝は〈ルビー〉。
(〈星宝〉というのは"星神精霊に愛された子"に宿る宝石のような瞳のこと。それを持っているのは"英雄"や"聖女"と言った人だけで、常人離れした力が手に入る。)
もうね、一目見ただけで堕ちましたよ!えぇ、私の好みドストライクでした!!実際プレーしても、時々見せる無邪気な笑顔とかが本当にカワカッコ良くて!更に好きになっちゃったし!しかも最後のプロポーズイベントなんてね……(閑話休題)
「…うーん…やるならメイド、だよねぇ…?でもメイドよりは執事の方が近くにいられるし……」
執事…執事……そう言えばゲーム内でもいたなぁ。常に側にいて"彼の右腕"って呼ばれている人。
確か…赤い髪にエメラルドの瞳…。そう!星宝〈エメラルド〉の隠れ攻略対象……エドワード、だっけ?
「………………………え?赤髪に緑眼のエドワード??」
「どうしたの。アリィ」
ギギギギギ…と壊れたブリキの玩具のように背後を振り返る。
そこに呆れたように立っているのは―赤髪に緑眼のエドワード。
「おっ……」
「お?」
「お前かぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
「はぁぁ?!?!」
***
少したって夕食後―。私は父上の書斎机を思い切り叩いていた。
「と!言うわけで!!私はシリウス王太子様専属執事になりたいんですけど、いいですか!!?」
「ちょっと落ち着こうか、アリィ。何が"と、言うわけで!"なのか全く分からない上、君は女の子じゃないか」
「いいえ、父上!メイドよりも執事の方が私の剣技も役に立ちますし、メイドなんて柄じゃありません」
びらびらレースのドレスに扇子をもってオホホ…とか絶対私に似合わないっ!
優雅にお茶?みんなで悪口大会?権力自慢?――――くそくらえっ!だよ!!
「……いや、それは全くその通りなんだけど………っていうか、女の子らしくないってわかっているなら、この一か月の奇行を止めようか」
父上のツッコミを総スルーして要件を叩きつける。
「それで、執事になる許可はいただけますか!?」
「いや、君は公爵令嬢だよ?従者なんて無理だと思うけど…」
あぁぁぁ…もうっ!ネチネチ煩いなぁ…っ!?
「従者も宰相も騎士団長も国王に従っている者に相違ありません!!」
「いや、まぁ…確かにその通り、か?」
「私が騎士団に入団するのと専属執事になるのの二択でお考え下さい!」
シリウス様の専属執事に慣れなかったら、セオ兄様やエディを抜いて私が騎士団総隊長を目指してやる!
「え!?騎士団に入団するのかい!?あそこはダメだ!男ばかりで可愛いアリィはひとたまりも…」
「それで、二択の答えは?」
"これ以上話すことはない!"とばかりに机越しの父上を睨みつける。
「……はぁ、誰に似たんだか。君は一度言い出したら本当に止まらないね……いいよ。"執事になる条件"を満たしたらシリウス様専属執事についての件を考えようじゃないか」
――っ!!
「よっしゃぁぁあああああああ!!!」
かくして、私は執事見習いになった。
エディやセオ兄さま、ティアラちゃんに色々と言われたけど”こんなに可愛い姉様がいるなら私なんて不要デショ?”と言って黙らせた。だってイベントスチルをVIP席で見たいじゃない!!
「ふっふっふ~!誰も私の邪魔はさせないんだから!」
不敵に笑う私は気づかなかった…ティアラちゃんがどんな瞳で私のことを見ていたのか…。