冴えない棋士は弟子を貰う様です   作:C.C.サバシア

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 三人はどういう集まりなんだっけ?
 という事であんだけ言及されまくりながらまだ登場自体は無かった親友二人が来ます
 
 各キャラ間の原作との関係性の相違点も今後あるのでお楽しみいただけたら幸いです


第四話『ヘボ指しと天才達』

 ヘボ指しの休日は暇である。

 勿論だが対局の無い日の日程にはまあまあの頻度で研究会が含まれているのだが、流石に体を休める時間も無いのでは気が滅入ってしまう。

 いくら精神的な面が強くないといけない棋士という職業の人間にも限界はあるし、無理をして対局に影響が出るなんて棋士失格、棋士たる者自分のケアは自分で出来ねばならない。

 

 ……大層な事は言ってるが俺は最初に言った通り雑魚である。

 

 

 それはさておき、研究会を入れてない休日となると自ずと将棋から離れていく。

 そうなると何が起こるか?

 

「何もする事ねえ」

 

 まあ、暇だ。

 休日だけあって指導のお仕事も休みだし、八一みたいに内弟子にしてるって事でも無いからほぼ何もやれる事が無い。

 

 

 

 

 

「そういう訳で集まってもらいました」

 

「良く日程合ったよな俺達……」

 

「ふっ、我々はソウルメイト……魂の契りを交わした仲。これもまた運命られし神々の悪戯よ……」

 

 そんな事もあって久々に幼馴染の親友達とゲーセンに来てます。

 将棋界じゃ有名な若手二人が親友だがまだまだ世間じゃ知名度は低い、今の俺達は完全に街の若者ABCだ。

 

 とは言っても歩夢は最近は将棋絡みのテレビ番組やバラエティ出演も出てきてレギュラー番組もあるらしいし対局以外のスケジュールも結構ある。

 八一? 奴は二人のロリっ子弟子にゾッコンだしそんな頻繁に対局、研究会以外のスケジュールは組んでない。

 それより弟子に構う方が大事だとか言っていた、恐ろしいくらいの正論である。

 ただ純粋な将棋解説の仕事はそこそこありニコ生やNHKだと人気棋士の一人だが。

 

「確かあいちゃんと天ちゃんは他のJS研の子達と遊びに行ってるんだよな」

 

「ああ。あい達にもリフレッシュは必要だからな。姉弟子も今日は対局日だし今日くらい俺が羽を伸ばしたところで誰も文句は無いだろ」

 

「八一はもっと十七歳らしくしても怒られないと思うの」

 

「まあ……そこは棋士の性みたいな」

 

 で、軽く流してはいたが今日JS研みんなで遊んでるのか。

 一応あの子も弟子だし昨日まで結構勉強に対局にやったからゆっくり出来る日があるなら嬉しい限り。

 

「棋士の性ねえ……歩夢は珍しく今日から三日くらいスケジュール空いたからこっち来たんだっけ?」

 

「今宵は冒険者の使命も対局も無いからな、明日みっちり我が妹に付き合うのを条件にゲートウエスト地方に馳せ参じたのだ」

 

「歩夢も歩夢で多忙だねえ……最近は人の事言えんが、身の丈に合ってるかはさておき」

 

 冒険者の使命……ってのは歩夢が最近持ち始めたレギュラー番組『将棋クエスト!』の事だろう。

 番組内の面子が冒険者さながらのファンタジーな格好で子役達に将棋の素晴らしさを説いたり将棋の基本を教えていく子ども向けバラエティらしい。

 実に歩夢らしい番組だ。

 

「ん? 我がソウルメイト駿も何か特別な仕事でも受けたのか?」

 

「あ、そういや歩夢は知らないんだったな……」

 

 ボソッと呟いた事が拾われてしまったがそれより歩夢お前知らなかったのか……八一からも連絡貰って無かったのね……

 

「いや、実は――」

 

 と、まあ流れを説明する。

 一部八一への文句も垂れ流しながらだが、それは自業自得だぞ八一くん。

 

「なるほど、駿も弟子を取ったか。面白いではないか」

 

「面白いかぁ? まあ面白いかつまらんかは良いとして師匠も八一も俺がヘボ指しなの知っててそういう事するからビビるんだよなあ」

 

「はは、そこは悪かったって。でも教え方が上手いのはみんなの共通認識なんだから自信持てって」

 

「んなアホな」

 

 悪かったと言いつつ恐ろしく面白そうな顔をしてて非常に……殴りたい、この笑顔。

 あと俺は教え方もそこまで上手くないから! 過大評価だから!

 

「馬鹿を言え、駿は知名度が伴っていないだけで子ども向け指導ならゲートウエストの中でも相当な腕だろう。そこのドラゲキン八一の弟子も非常に推していたぞ」

 

「どう考えても身内の友人だからって補正掛かってるよそれ……というか竹内美羽ちゃん、JS研にいたの知らなかったわ……」

 

「そこは仕方ないな、前JS研と駿が会ったのが二ヶ月前で、美羽ちゃんが入ってきたのがその直後なんだから」

 

「え、マジかそれ……マジかぁ……」

 

 という事は半年の内四ヶ月はあいちゃんと澪ちゃんメインの指導……いくら一人がプロって言っても四ヶ月緩い感じで教えてて残り二ヶ月であんだけ伸びたのかよ……規格外だろそれは。

 

 ちょっと原作からズレたなあって感じてた弟子取り前日の夜の俺よ聞いてますか、俺はどうやら原作にいなかった化け物を側に置いてしまったらしいわ。

 

 ゲーセンのベンチで虚空を見上げる。

 喧騒が遠く感じるくらいには虚無感を抱いてしまう。

 俺はもうダメかも知れない。

 

「おーい駿ー?」

 

「意識は夢の彼方か、どうやら強大な素質を持ちし戦士を弟子に取って脳内処理が出来ていない様だな。まあ致し方あるまい、あの娘は何れ女流プロにはなるだろうと推測していたからな」

 

「あの子の吸収力には驚かされるよ。まさかあんなに成長が早いとは思わなかった。俺じゃ人数がいるから見るのにも限界があるから、山刀伐八段が話を持ち掛けてきた時はこれしか無いって思ったくらいだ」

 

「はっ!? 俺は一体何を!?」

 

 何か歩夢と八一が話し込んでいたが意識がログアウトしかけてて何も聞こえなかった。

 

「目覚めの時かソウルメイト駿よ」

 

「ま、難しい事は考えずに飯行こうぜ」

 

 何だか二人が俺の弟子(仮)を絶賛していた気がするがそれも意識が空の彼方にあったからきっと気のせいだろう。

 意識が遠のいたのもきっと空腹だったから……うん、そうしようきっとそうだ。

 

「そ、そうだな~アハハァ~」

 

 取り敢えず何か食べて気を取り直そう……

 

 

 

 

 

 熱気の漂う雰囲気、少し狭い店内に昭和歌謡の響く古臭さのある店。

 やはり通い慣れたラーメン店程心落ち着く飲食店もそう無い。

 

「やっぱりラーメンはここに限りますわ」

 

「それは分かる」

 

「金色の麺と秘伝のスープの相性は(さなが)ら運命の出会い! そう、それはまるで俺と師匠の如く!」

 

 それはそうと相変わらず隣のテンションが凄い。

 いくら関東棋士でこっち来た時しか食べられないとはいえテンションが凄い。

 

「そういや駿、美羽ちゃん弟子取ってみてどう思った?」

 

「また唐突な……」

 

 歩夢のテンションに気を取られたか少し不意を突かれた。

 しかしそりゃ気になるよなあ、何せ半分弟子に近い様な子だった訳で。

 しかもあんだけ上達が早いんだもんな……数日見ただけだがもうアレだよ。

 

「新雁木囲い……知らなかったみたいだから教えたらこの数日でほぼあの子実戦レベルまでモノにしちゃったよ。ヤバいよ」

 

 ヤバい。

 

「そうか……確かに美羽ちゃんは攻撃的な将棋を指すから新雁木は武器の一つになりそうだな」

 

「とは言ってもまだ同レベル帯……俺が測って大体1級程度と見たんだが、そこで試せてないからほぼ、ではあるけど……」

 

「ククッ……何れは我が妹と合間見える事もあるかも知れんな。駿が正式な師として、な」

 

「馬莉愛ちゃんか。このまま順調に行けばもしかしたら公式戦の対局があるかもな。ただ俺が師匠ってのは……」

 

 何か話が大きくなってるしこの状況で出来れば引き取ってくれー、なんて言えねえよなあ……

 

 かくなる上は明日の研究会、一応友人関係までいってるはずの篠窪さんに直接言うまでないにせよ今後の話とか聞いてみるかなあ。

 

「美羽ちゃん、駿の事気に入ってたんだろ? だったら大丈夫だから自信持てって」

 

「俺は将棋以外時の流れに身を任せるのみ。駿の決断を見守っていこうじゃないか」

 

「わり、ありがとう」

 

 ウジウジしているとは自分自身思うさ。

 俺より強くても俺より年下の八一が正式な弟子を二人も取って、更に女流棋士にした。

 羨ましいと思ったし俺にもこんな弟子が……なんて思わなかった訳じゃない。

 そして別に師匠や八一の事、引いては竹内美羽ちゃんの事を無碍にしたい訳でもない。

 

 ――力さえあれば。

 

 

「ししょー?」

 

「あ、せんせー!!」

 

 

 そんなブツブツと考え事をしている中に甘ったるい天使の様なロリ声が聞こえてくる、何やら妙に最近に聞いた覚えがある声も聞こえた様な……って……!?

 

「あれ、あいに天に……JS研のみんな?」

 

「は? え? ……なるほど」

 

 どうやら緊急事態です。

 弟子と遭遇してしまった様です。

 

 オーマイガー……




何れ篠窪さんも出演させたい
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