冴えない棋士は弟子を貰う様です   作:C.C.サバシア

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りゅうおうのおしごと!二次創作もっとハーメルンに増えねえかなあ…将棋描写無くても良いから書いてくんねえかなあ… 

※なお、研修会の棋力は日本将棋連盟の研修会Fクラス入会推奨棋力、奨励会6級の推定アマチュア段位を参考にしています


第八話『JS研は天国だがロリコンではない』

『では次のコーナー! 歩夢先生のワンポイント講座です!』

 

『今宵は基本の動きや楽しみが分かった諸君に簡単な戦術を伝授しよう! サンプル棋譜は先日行われた竜王戦第六局、我が永遠のライバルドラゲキン八一対――』

 

「やっぱり歩夢は面白いなあ」

 

 朝っぱらから『将棋クエスト!』を見ているが相変わらず歩夢のトークは盛り上がる。

 将棋とか余り知らないガキんちょの子役にも良い感じに刺さっているのが分かる。

 

 因みに今宵とか言ってるがさっき言った通り朝番組である。

 

 そして司会は鹿路庭珠代女流二段、最近画が映えるからと何かと歩夢と組む事が多く、歩夢も本気でアプローチを仕掛けている相手だ。

 何でも将棋と向き合っている時の闘志ある姿に惚れ込んだとか……

 

 まあボーッとテレビを見ている訳だがただ暇という訳でも無い。

 この番組が終わって少しした頃に美羽が家に来る、そしてそのまま八一宅へ向かう。

 

 昨日判明した『相乗効果』の開花を試す為に丁度いい相手がJS研にいるのを思い出した俺は解散した後早速八一と相談し次の日すぐ空いてると言われたので美羽にもLINEを飛ばし合意、鉄は熱いうちに打ての言葉に従い今に至る。

 

 実はLINEはあの衝撃の初日にこっそり交換していたのだが、まあ気にする事ではないだろう。

 

「せんせー! おまたせー!」

 

 と、チャイムが鳴ったと同時に元気な聞き慣れた声。

 弟子がご到着なさった様だ、さあて行きますか。

 

「わりぃな、昨日の今日で」

 

「だいじょーぶよ! それより早く指したくてうずうずしてるわ!」

 

「お、そりゃ期待しちゃうな~」

 

「まかせといて!」

 

 昨日かなり特訓し、しかも慣れない場所だったともあり疲労が無いか若干心配だったが小学生のタフさを嘗めていた様だ。

 もしかしたら俺の方が疲れてるまである可能性すらある、恐るべし小学生……

 

 

「ふんふふーん」

 

 補足しておくが俺の借り家と八一宅との距離は徒歩十分だ、めちゃくちゃ近い。

 お互い師匠の元で内弟子をしていた頃から住む場所の検討は付けておこうという事になり、俺は一人立ちの意味を込め、山刀伐師匠のいた関東ではなくここ地元大阪に帰ってくる予定をしていたがまさかこんなに近くなるとは思わず、近所でばったり出くわしてお互いビビったのは思い出深い。

 

「そういや美羽はJS研だから八一の家は通い慣れてるんだっけ?」

 

「そうよ。JS研のほんきょちはくずりゅーせんせーのいえだもの!」

 

 あ、この反応ちょっと妬けるわ。

 あんだけ小学生に囲まれながら俺の弟子を家に入れてたってそりゃあどれだけ理不尽でもちょっと妬けちゃうのは理解いただけてほしい。

 

 あと因みに俺が弟子を取ったのは近所には知れ渡っているらしく女性陣からはあまり良い目では見られていない。

 男性陣は将棋や将棋界を好む人がいるのか、そういう説明がなされたと近所の爺さんがエールを送ってくれた。

 悲しいなあ。

 

「俺と八一どっちが好き?」

 

「せんせー!」

 

 でも妬いた気持ちも悲しい気持ちもこの一言で吹っ飛ぶけど。

 

 現金? 言っとけ。

 

 

 

 

 

「よう八一」

 

「来たか、まあ上がれよ」

 

 八一宅……まあマンションだが既に全員来てるのか中からはワイワイと声が聞こえる。

 

「こんにちは、おじゃまします、くずりゅーせんせー」

 

「うんこんにちは、みんなもういるから上がって準備したら指してて良いぞ」

 

「はーい!」

 

 中を見ると……まあ予想通りの面々という名のロリ絵図。

 これで一番下が1級だというのだから納得の八一の弟子達である……澪ちゃん、綾乃ちゃん、シャルちゃんの中でシャルちゃん以外は既に違うプロの門下生だが。

 

 しかしシャルちゃんはまだ七歳だよな……それで1級、少し本での勉強を覗いて見ているが非常に頭のキレが良い事が伝わってくる。

 いつも舌っ足らずな口調で喋ってるとはとても思えないな……

 

「おー? ちゅんちゅん、しゃうとやう?」

 

「んー、そうだな……後で絶対やってあげるからちょーっと待ってな~」

 

「ん! しゃうまちゅ」

 

「よーしよし良い子だな~」

 

「せ、せんせーがてごめにされてる……」

 

「はっ!? あの、いや違うんだ美羽!」

 

「……じー」

 

 くっ、油断してるとシャルちゃんの可愛さについ構ってしまう……しかもちゅんちゅんですって……名前覚えててくれたんだ……ってこれじゃあ美羽が言う様に手篭めにされてる気が……

 

「と、とにかく気を取り直して俺はちょっと離れて美羽の対局観察してるから、な? 頑張れよ!」

 

「もー……勝ったらなでてよね!」

 

「おう!」

 

 という事で、改めて今日の本題に付いてだが昨日で初段相手に勝つまでに成長したなら次は二段辺りが良いんだが、同年代相手に成果を見たい気もした俺はパッとJS研が浮かんだ。

 同年代と指すであろう研修会試験の実戦経験にもなるし仲も良いとなれば願ってもない大チャンス、F1クラスの綾乃ちゃん、E1クラスの澪ちゃんなら大体二段~二段強辺りだろうし最高の相乗効果が期待出来そうだ。

 

「じゃあよろしくね綾乃ちゃん!」

 

「うん! よろしくおねがいします」

 

「よろしくおねがいします!」

 

 

 

 

 

「……どう見る、八一」

 

「綾乃、澪と合わせて四局指して美羽ちゃんの全敗……端的に見ればそうとしか言えないが……駿、お前の見解間違っちゃいなさそうだ」

 

「自分の目を疑ってる訳じゃあないが、FとEクラスとはいえ研修会生相手取って相当自分の将棋が指せてきてる様に見えるのは凄い進歩だと俺も思う」

 

「局を重ねる毎に確実に適応していっている……これなら」

 

「ああ。正直まだまだ先の話とばかり考えてたが……」

 

 流石に友人相手に四連敗は効いたのか今はぐでっているがまだまだやる気のありそうな美羽を見、語らう。

 昨日同様の適応力が見えたのは開花してから初見の八一も同じらしく、明らかに指す毎に強くなっているのには驚きを隠せない様に見える。

 

 そして最後の話……これは研修会試験の話になる。

 研修会はF2~Aクラスまであり大体下限が二段、Aクラス平均が五段となっている。

 だから綾乃ちゃん、澪ちゃんの棋力が二段~強辺りだと推測していたという事だ。

 

 流石に今すぐには無理だが、明らかな上位相手に善戦する美羽を見て八一も試験はそう遠くないと暗に語った。

 俺はもう少し先になると思っていたのだが、想定を遥かに超えてきたのは嬉しい誤算だ。

 

「と、まだ動かんだろうしちょいと美羽と話してくるわ」

 

「了解、ちゃんと褒めてやれよ」

 

「あたぼーよ」

 

 さてさて、話はそこそこにしてそこでダウンしてる弟子を労いに行かないとな。 

 

「ぐでってんなあ」

 

「うー、勝てない……」

 

「まあ格上だから仕方ない。でもそういう相手にもしっかり自分が貫けて指せてるのは上達の証だ。俺が撫でてしんぜよう~うりうり~」

 

「きゃ~せんせーになでられちゃった~」

 

「美羽が努力してるからご褒美だぞ~」

 

「ありがとせんせ~ふにゃ~」

 

 

「……ラブラブの兄妹かよアイツら」

 

「ししょーししょー、私たちも後でやりましょう!」

 

「あ、あい?」

 

 俺達が弟子と師匠のスキンシップしてるだけなのに冷やかすからだぞ八一、少し悔い改めて。

 あいちゃんの場合冷やかさなくても言ってただろうし何なら俺達がやってなくても言ってただろうけど。

 

「俺には師匠と弟子の接し方とか良く分かんないの! だからその代わりに思った事は言うし甘やかし過ぎはしないが可愛いと思ったらいつでも甘やかす準備はしてるぞ! 何せ美羽は良い子だからな!!」

 

「も、もう! せんせーったら!」

 

「俺は駿みたいな事はしてな……いや結構してたな……特に竜王戦第四局の前日とかな……」

 

「だろ? このくらいの子って今の俺達からしたら年の離れた妹みたいですっげえ可愛いだろ?」

 

「分かる」

 

「だからあいちゃんにもやってやりなよ」

 

「……たまには世間体無視してもいっか」

 

 もう何か本題から一気に脱線したけど休憩中だしちょっとくらい羽目外したって良いよな、良いんだよ。

 

 はぁ~ロリコンじゃないけど美羽といると幸せを感じられる様になってきたな……いざ弟子として見る覚悟が出来るだけでこんなに変わるなんて思いもしなかったが、俺に妹がいたらきっと同じ様にスキンシップ取ってたんだろうか。

 

 ……やべえ、思えば前世含めてもまともな家族って言えるのすら山刀伐師匠しかいねえ事忘れてたわ。

 

 

 

 

 

 結局本日の成果は美羽の能力に関しての竜王八一のお墨付きと帰り際に見た八一あいちゃんコンビのイチャコラだった。

 

 ふっ……俺は満足だぜ八一……

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