ルメトモ ヲ ンエウユシ テニ スタート   作:凧の糸

7 / 8
作ろうと言っても本人は適正がからきしなので作れない模様。



後、今更投稿ですが楽しんでいただけたら幸いです。
それではどうぞ


デュエルディスクを作ろうinトータス

 

 

 

 拝啓、地球のお父様、お母様。

 

「勇者、黒田深を反逆罪等合計十三の罪で死刑とする!!」

 

 私ハ今、自業自得で死にそウデす。

 

 宣告をしテいるイシュタルの周りから聞くに耐えナイ罵声が聞こえルが、言っていられルのも今だけだ。

 

 

 

 相棒がよウやく片言から脱したのも、今、死刑宣告を受けテいルのも、全テは13日前のアレが原因であル。

 

 

____________________________________________

 

 

二週間前……

 

 

 朝、目覚めると、相棒がピラミッドになっていた。

 

 混乱して、何を言っているのか自分でもわからないが、目の前には掌より大きい真っ黒な喋るピラミッドが居た。

 

「おっ、相棒。お前の成長で、俺はようやく片言から抜け出せたぞ」

 

「そ、そうか、よかった?」

 相棒はどうやら固体になってかなりのご満悦らしい。こちらに"嬉しい"という感情が送られてくる。

 

 

 

 朝食の時も、訓練の時も、夕食の時もウキウキとし続けていて『こいつ、本当に相棒なのか?』と思うくらいには不気味だった。

 

 

 

そして夜ーー

 

 

 

「あ、思い出した。カード作るのは良いんだが、あれ、名前が出てこん……あー、あれだ。デュエルディスクがないわ。」

 

「そのデュエルディスクって……何だ?」

 

「少し待て……身体の形を変える」

さらっと不定形を公言したが、深はそんな事に気づかずに変身を見守っている。

 

 

グニャグニャ……

 

 

「おお! カッコいいな!」

 腕に装着できる、羽の付いた装飾品。見る者が見れば一つの芸術のようであると評価しそうな一品だ。

 

 

「俺が元々居た場所ではな、このディアディアンクでディアハって言う俺たちでやる儀式があってな」

 

「? デュエルディスクじゃ無いのか?」

 

「……まあ、面倒な説明がいるからそこは置いといて、その何千年か後に出たデュエルディスクっていう機械もあってな。それがカード使うのに一番適しているんだな、これが」

 

「……いいや。要するに、そのデュエルディスクを作らないと話が始まらないんだろ?」

 

「その通りだ。生命力を測る装置も付いてるから、俺たち(インヴェルズ)の能力を使う際のライフ計算も楽だし、そいつらの召喚もディスクがある程度代用してくれる」

 

「じゃあ、明日にでもマックスさんのところ行くか」

 

「そうしてくれ、つか、そうしろ」

 

「はいはい、それじゃあ、おやすみ」

 

「おやすみ」

 

「え?お前眠れるのか?」

 相棒は基本的に眠らない筈……なのだが。

 

「エネルギー消費が激しくなってな。眠るというより一時的な休眠が近い」

 

「へぇ〜そうなんだ、じゃ、おやすみ」

 

「おやすみ」

 

 

 

 

死刑宣告まで後、10日……

 

「こんにちは! マックスさん居ますか?」

 ペンダントを作る時にお世話になったマクシミリアンさんことマックスさん。本人は本名で呼ばれるのがあまり好きでは無いらしい。

 

「おお、小僧。またか?」

 

「今度は、設計図も描いたんで」

 

「じゃあ、はよ見せんか」

 朝に設計図が無いことを思い出し、貰った羊皮紙に急いで描いた設計図。相棒が代わりに描いたのでかなり精密に出来ている。

 

「……お前、今度は何の目的で作るんだ?」

 

「召喚のサポートですかね?一応召喚もどきができるんで」

 

「……これなら直ぐに出来る。金はたっぷり貰うからな」

 

「国の金庫からね」

 

「ようやく分かったか」

 

「あんだけ馬鹿にされたらね」

 腕が良いので、きちんと約束は守るだろう。たぶん。俺たちはその場を後にして訓練に向かった。

 

 

 

 

 剣の上達を確かめる為にトーナメント形式で刃引きした剣を用いた実践訓練が行われ、コーちゃんと戦ったが、めちゃくちゃ強かった。

 

 

「手加減無しでいかせてもらうぞ」

 

「ああ、こっちこそ」

 

「では、開始っ!」

 合図と共に切り込んで来た。

 

 

「うおっ!!」

 思わず負けそうになり、声が出てしまうが、かろうじて回避した。

 

 

「ほら、まだまだ加速するぞ?」

 嘘だろと思うくらいに剣戟は加速し、俺はボコボコになった。結構痛い。最後の一発で俺はマンガみたいにぶっ飛んで空の樽にぶつかった。

 

「え…… 」

 一瞬呆然として

「っ!! 大丈夫か!!」

 ばらばらと崩れる樽に近寄るみんな。

 

 

「情けないな……」

 打ち所が悪く、気絶した相棒(シン)にするりと入り込む。

 

 

「あ"、ああ。大丈夫、ちょっと離れて休んでおくよ」

 身体を無理やり動かして、遠くまで運ぶのだった。

 

 

 

 

 

死刑宣告まで後、7日

 

 

『おい、起きろ。シン、起きるんだ』

 

「ん……いてて、どこだ?」

 ベッドで眠っている身体をよろりと起こす。

 

「お前が気絶するからここまで動かした。にしても運がないな3日も寝込むなんて」

 

「3日も……あはは……ごめん」

 

「いいさ、それより早く顔見せないとな。心配してたぜ?」

 俺たちはみんなのところへ向かった。

 

 

 かなり心配されたが、元気そうな姿を見せると安心していた。

 

 

 

 俺たちはマックスさんの所へ向かった。

 

「小僧、お前頭打って死にかけたんだって?」

 

「まあ、元気ですよ。何とか」

 

「俺にとってはどうでもいい。少し待ってろ」

 バッサリと切られた後、奥に引っ込んでいった。

 

 

 

「おら、これ」

 投げて渡したのは、相棒が脳内にイメージとして送ってくれたデュエルディスクと瓜二つ……とは言えなくてもそこそこ似ていた。

 

「流石に設計通りのデザインにはならなかったが、指示通りのモノは付けておいた。じゃあ早く帰った帰った」

 忙しいらしく、工房にすぐさまこもってしまった。

 

 

 

 

 

 

「ヴェルズ・ライノスを召喚してみろ。勿論広いところでな」

 

「おう、分かった」

 人目の少ない広場に行き、デュエルディスクを装着して、カードを手に持つ。

 

「ヴェルズ・ライノスを召喚!!」

 魔力を吸い取り、目の前には大きな獣が召喚される。

 

 

ガラガラガラ……

 召喚の余波で周りの建物をも破壊してしまう。

 

 

 

「おい! 何があった!!」

 騎士だ。

 

 

「なあ……マズくないか?」

 

「早くカードを取れ。逃げるぞ」

 デュエルディスクからカードを取ると、あの大きな姿は消えた。俺はこっそり、こっそりと逃げた。

 

 

 後ろで見られている事にさえ、気づかずに……

 

 

 

 あれからはほぼ何も起こらないし、起こしてもいない。実戦も交えながら皆が成長している。

 

 だが、あの日だ。

 

 

「ちょっと、来てくれない?」

 黒いローブの知らない人物が話しかけてきた。

 

「ええ……いいですが」

 相棒がちょうど休眠していたのが、運の尽きだった。

 

「グえッッ、!」

 力が……抜け……

 

 

 

「気絶したか、ゴミ虫が……」

 豹変する目の前の人物。慣れた手つきで袋を出すとあっという間に俺を入れて、背負ったままどこかへ行ってしまった。

 

 

 

 

_____________________________________________

 

 

 

 

 

 

 俺は王家と教会のために裏仕事をしている。誘拐、脅迫、拷問、なんでもござれ。

 

 今日も薄暗い地下に一人が運び込まれた。

 

 

 

「あれ、そいつ……」

 前にチラッと見た事がある。まさか、勇者の一人が運び込まれたのか?

 

「そうだ。教会、ひいては人間族への重大な裏切りを働いているらしい。いつもの、頼んだ」

 あいつが上で、俺は下で。いつもの働くパターン。勿論、そこに変化なんてこれっぽっちも何もない。

 

 

 仕事道具を手にして、居眠りしている相手に挨拶代わりの注射を指してやる。

 

 

「ん? 入らんな……」

 注射針の侵入を許さず、皮膚の表面は指で弾くとコンコンと人肌でない音がする。

 

 

「こりゃあ、人間じゃないな。魔人族だろうな……」

 薬剤ではなく、痛みによって起こしてやろうと器具に手を取ると、ちょうど目覚めたらしいが、変なことを口にしている。

 

 

「おい、そこのお前。こっちを向け」

 はいはい、仕事ですから嫌でも向きますよ。と言おうとした。

 

「ガッ!」

 な、何だ?口に……はいってくる……やめろ、俺に……、止めろやメロ、おれ、オレ、……おレってだれ?

 

 

 

 

 

 

 倒れた男の意識はもう、闇から出てくる事は無かった。

 

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

「ようやく堕ちたか、久々だから意識も消してしまったな……」

 

「よし、ちょうどいい。身体もいただこうか?」

 勇者から黒いもやが現れて、ぬるりと入り込んだ後、目覚めた。

 

 

「うん、なかなか。人間の割には頑丈だな」

 ぺたぺたと顔や腕、足を触っている。

 

「おい、起きろ、シン!」

 

 

「う、ううん、あ、相棒……か?」

 

「身体をもらった。この男の記憶を読み取ったが、しばらくは人が来ない。脱走と今後の計画立てるぞ」

 

「え、うん」

 一体、何が起きているかを理解できていない。

 

 俺は、コーラがなんとなく飲みたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 時々、上に相棒が行ったり来たりして、分かったのは明日、俺が罪人として神前に出されて、おそらく死刑が下されるという事だった。

 

 

「狙うのは、連行されてる時に布を被せるんだが、そこで自立式ダミーとすり替わる。そこからバレないように逃げて、空中から脱出する。ちょうど"サンダーバード"がそこらの死体や、俺が持ってきた鳥で出来ただろう?」

 余す事なく使われたそれらは、一枚のカードの中に綺麗に、一匹の黒い鳥として収まっていた。

 

「まさか、出来るとは思って無かったよ」

 

「驚くのも無理はない。割と強引に造ったからな」

 

「へー。それは置いといて、クラスメイトはどうなってんの?」

 

「特に変わらないな。訳あって遠くに行っているとしか聞かされてないらしい」

 

「ま、そんなに関わりは無いし」

 

「……ドライだな。天乃河はどうなんだ?」

 

「大丈夫でしょ、一人居なくなったってどうって事ないさ。現に南雲はいないし」

 

「それもそうだな」

 俺たちは明日をひたすら待った。

 

 

 

 

 

 

死刑執行まで、後0日……

 

 

「じゃ、予定通りに」

 

「頼むぜ?相棒」

 厳重な手錠をかけ、布を被り、ダミーと共に階段を登っていく。

 

 

 

 

「罪人を連行してきました」

 

「ご苦労、ご苦労。あれ?そいつは?」

 これも想定通り。相棒は役者顔負けの演技を見せる。

 

「見習いですよ。体験させてやらないとね?」

 

「あ、ああ。そうか……」

 引き渡して、何食わぬ顔で横を素早く通り抜け、走る。

 

 

 

 

「よし、行くぞ」

デュエルディスクを遠くで取り出し、「ヴェルズ・サンダーバードを召喚!!」

 黒い雷と共に現れる怪鳥。自慢気に現れ、鳴きたいだろうが、状況が状況なので、黙ってもらっている。

「この身体にも世話になったな」

 相棒は限界が来ていた肉体を捨てて、元の黒いもやに戻った。

 

「じゃ、行きますか!!」

羽ばたきで強烈な風が生まれて空に浮いていく。

 

 

「何だあれは!」

 バレてしまったが、もう遅い。魔法や貧相な飛び道具は届かず、俺たちは明日へ飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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