遊戯王の世界に転生したがろくな事が起きない   作:アオっぽい

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今回はオリキャラと原作キャラの恋愛要素(?)があります。


第二十六話 嫌な予感がするときはろくな事がおきない

 その日、結は用事があるから先に帰るといって急いで教室から出て行ってしまい、私は璃緒ちゃん、凌牙と一緒に昇降口まで歩いていた。

 雲雀は委員長としての仕事があるから残るといっていたので私達3人だけだ。

話をしながら昇降口にたどり着き、下駄箱から靴を取り出したときだった。

 

「良かれと思って、僕とお付き合いしてください!!」

 

 良かれと思って。

 その言葉にある人物が浮かび上がり、勢い良く声がした方向に目を向けると丁度入り口のまん前で結に向かって真月君が90度体を曲げた状態でいた。

 現在、昇降口は下校する生徒が大勢おり突然の告白現場を目撃し、ほとんどの人が足を止めている。

 結はというとやはり公衆の面前で告白をされたわけでいろんな意味で顔を真っ赤にしていた。

 

「あいつ、行動力があるって聞いたが普通こんなところで告白するか?」

 

「凌牙! 無粋なことを言っては駄目よ。おそらく真月君はいても立ってもいられなかったんだわ」

 

 凌牙は迷惑そうに言ったのに対し、璃緒ちゃんはそれを嗜めて興奮気味に拳を握り締めていた。

 

「ねぇ、そう思いますわよね? 刹! ……刹?」

 

 返事をしない私を不思議に思ったのか璃緒ちゃんは首をかしげて私の顔を覗き込んでいたが私はただ、2人を見つめていた。

 真月君の告白の言葉を聞いた瞬間から、嫌な予感がした。何故か胸がざわついていた。

 そして結は――。

 

 

 

 家に帰ってきた私はリビングにたどり着くとカバンを放り出して勢い良くソファに座った。

 両手で顔を覆い、肘を太ももに乗せている。

 

「どうしよう……」

 

 真月君がバリアンで敵である可能性を黙っていたのは失敗だったのかもしれない……。

 そうすればもう少し変わっていたのかも。

 肝心の真月君の告白に対しての結の返事は保留ということになった。

 まだお互いのことを良くわかっていないからとそう結は恥ずかしそうに言っていた。

 あそこで頷かなかっただけ、まだ安心できる……。

 でも遊馬君たちの真月君の評価は問題ごととか良く起こすが、仲間思いの良いやつだと言われた。

 本当にそうなら私はこんなに悩んだりしない。

 カード達が私に触れようとした真月君を拒絶しているのだ。

 なんかどちらを信じて良いのか、分からなくなってきた。

 

「おい、あまり抱え込むんじゃねぇよ」

 

 頭上から声が聞こえて、私は顔を上げる。

 しかめっ面で腕を組んでいるブラック・ミストが私を見下ろしていた。

 

「……ごめん、ブラック・ミスト。なんか告白現場を生で見て、その相手が結と真月君だったからだいぶ混乱していたみたい」

 

 深く息を吐いて体を起こし、ソファの背に体を預けた。

 するとブラック・ミストはふんと鼻で笑ったあと真剣な顔つきに変わる。

 

「真月のやつは気をつけたほうが良いぜ。あいつ、心の闇が読み取れねぇからな」

 

「それって、どういうこと?」

 

 読み取れないということは真月君に心の闇が存在しないというのではなく、隠しているということ……?

 

「人は誰しも心に闇を抱えてる。闇が存在しねぇ人間なんて心が死んでんのと一緒だ。なのにアイツは読めない。力を使って意図的に心を隠している可能性があるんだよ」

 

 普通なら心の闇を隠す必要はないはず。

 それなのに真月君は読み取れないように隠した。

 そこから導き出される答えは心の闇を見られては困るから?

 

「あー……どうしよう」

 

 なんか真月君の危険度が増してしまったような気がする。

 これを皆に話す?

 信じては……くれると思う。でも、遊馬君はどちらにせよ真月君を信用したいというだろう。

 それにつられて1年組は、真月君は仲間だと言うと思う。

 凌牙は微妙なところ、でも遊馬君に言われたらそっちに傾きそう。

 璃緒ちゃんは分からないな……。

 雲雀は信じて警戒してくれると思う。

 結は信じてはくれると思う。でも、遊馬君と一緒に真月君を信じたいというだろう。

 

「俺たちが真月を警戒するしかねぇな。下手に手を出すと何言われるか分かったもんじゃねぇし」

 

「そう、だね……」

 

 思わず深いため息が口から漏れ出す。

 どっちにしろ今のタイミングで話すのは得策じゃない。下手したらまた何か勘違いされそうだし。

 最悪の場合は仲間割れだ。

 ブラック・ミストの言うとおり、私たちが見張ってるしかないか……。

 

「じゃあ、ご飯の用意してくる。なにがいい?」

 

「ハンバーグ」

 

 まずは制服から着替えてこようとした時、カバンに入っているDゲイザーに電話がかかってきた。

 画面を見てみるとかけてきたのは結だった。

 

「はい、もしもし」

 

「あ、ごめんね……刹。こんな時間に」

 

 画面に映し出された結は申し訳なさそうにそう告げたので私は首を振る。

 

「気にしないで。それで、どうしたの?」

 

「あ、あのね!」

 

 顔を真っ赤にさせて私に話してきたことを簡単に説明すると真月君からデートのお誘いがあってどうすれば良いのかとそういう相談だった。

 

「えーと……私が言えることは嫌なら嫌、良いなら良いってはっきり言ったほうが良いと思うよ。それがお互いのためになるんじゃないかなー……」

 

 あー、なんかすごく複雑な心境。

 結は私のアドバイスのようなものを聞いてわ、分かったと拳を握っていた。

 

「じゃあ、真月君とで、デートする!」

 

 あー、やっぱりそうなるかーと思っていたらブラック・ミストが触手を伸ばして結から見えない位置から私の肩を突っついてきた。

 視線だけそちらに向けるとブラック・ミストは紙を持っており、そこにはデートの場所と時間を聞けと書かれている。

 衝撃に思わず固まってしまった。

 そしてなぜかブラック・ミストは楽しげに目を輝かせている。

 

「刹?」

 

「あ、ごめん。ブラック・ミストがちょっとね……」

 

 言葉を濁しながらそういうと結は笑みをこぼしていた。

 

「もうご飯の時間だもんね。それでかな?」

 

 そんなことを話しつつ、ブラック・ミストに言われたとおり結からそれとなく真月君とのデートする場所や時間を聞き出して、また明日といってから通話をきった。

 

「……それで、何考えてるの?」

 

 嫌な予感を胸に抱きながら聞くとブラック・ミストは楽しげに口元を吊り上げた。

 

「尾行だ!!」

 

「は?」

 

 

 

 水曜日、学校は祝日で休みとなっているこの日の9時30分に駅前広場で待ち合わせをするらしい。

 私はというと、ブラック・ミストのすさまじい説得の仕方に折れて駅前広場が見える喫茶店でお茶を飲んでいた。

 結と真月君のデートを尾行し何も起きないか観察するために。

 ブラック・ミストは何故こんなことをするのか聞いてみたところ、建前は真月君が結と2人っきりになったとき何もしないか監視する。

 本音はこの前見たテレビで恋人が他の女とデートしているところを尾行している場面があり、それを自分もしてみたいというものだった。

 ブラック・ミスト、これ以上テレビで変な知識を覚えてないだろうな……。

 

『真月のやつは来てるが、結はまだみてぇだな』

 

「(まだ15分前だし……あと5分ぐらいで結はくると思うよ)」

 

 ちなみに私達は9時ごろにここにたどりつき、真月くんは9時10分ごろに待ち合わせ場所に立っていた。

 見ている限りだと真月君の行動はあちこち見たり動いたりしていて落ち着かない様子だった。

 そして5分後には結も待ち合わせ場所にたどり着いて、暫く話をした後歩いていってしまった。

 

『よし、追いかけようぜ!』

 

「(はいはい……)」

 

 私は会計を済ませてから喫茶店から出て、結たちの後を追いかけた。

 どうか誰にもばれませんように……。

 まず結たちはショッピングモールに向かい、その中にある映画館で映画を見るようだ。

 さすがに人がいるところでは何もしないだろうと私は外で待とうとしたが、ブラック・ミストに言われてチケットを購入して監視することとなった。

 内容はエスパー・ロビンが異世界から現われた侵略者と戦うといったような感じだった。

 あれ? これってブラック・ミストがただ見たかっただけじゃない?

 その後、結たちは雑貨店などに立ち寄って何かを買ったりしている。

 なんか、普通のデートだ……うん。

 雑貨店や色々な店を見た後はショッピングモールの近くにある公園に移動していた。

 あそこは噴水があって広いしたまにクレープを売っている屋台とかもあるのでのんびり出来る場所だろう。

 ゆっくりと結たちの後姿を眺めながら歩いていると1人の男性の腕が私の肩に当たってしまった。

 

「あ、すみません」

 

 反射的に謝ると相手はスキンヘッドで強面の男性だった。

 男は私を睨みつける。

 

「てめぇ、どこ見て歩いてんだ? ああ?」

 

 あー、やばい……変なのに絡まれちゃったな。

 ちらりと結たちのほうを見ると丁度公園に入っていくのが見える。

 私がいる場所からだいぶ距離が離れているので此処ですこし騒いでも様子を見に来たりしないだろう。

 

「無視するとは良い度胸じゃねぇか!」

 

 余所見をしていたせいで反応できず、男は私の胸倉を掴んで凄んだあと乱暴に話した。

 

「生意気なガキはお灸を添えなくちゃいけねぇな! お仕置きの時間だぜ、デュエルだ!!」

 

 そういって男はデュエルディスクを構えてDゲイザーをつけていた。

 ……うん、普通なんだよね。

暴 力を振るわれると思っていたんだけど、なんだろう。この脱力感は……。

 

「(ブラック・ミスト、尾行は中止)」

 

『しょうがねぇな』

 

 私と男はすこし移動してからARビジョンをリンクさせる。

 私たちがいる場所はショッピングモールにある広場で、滅多なことがない限り結はこちらに戻ってくることはないと思うから存分にやれる。

 

「「デュエル!」」

 

「俺から行くぜ、ドロー! 紅炎の騎士を召喚!」

 

 男が召喚したモンスターは銀色の鎧に赤いマントを羽織った男で炎を纏ったサーベルを持っている。

 

レベル4 紅炎の騎士 攻撃力:1400

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

「私のターン、ドロー。モンスターをセット、カードを1伏せてターンエンド」

 

「おっと、待ちな! エンドフェイズ時、サイクロンを発動する!今伏せたカードを破壊だ」

 

 破壊されたのは終焉の炎。

 破壊されては困るようなカードではなかったけど、私の場には伏せられている魔法、罠は1枚もない状況だ。

 

「さぁて俺のターン、ドロー! 炎王獣バロンを召喚!」

 

 赤い肌に長いひげは三つ網に編んでいる上半身裸の獣人が現われ、その手には2本の剣を持っていた。

 

「紅炎の騎士で伏せモンスターを攻撃!」

 

 紅炎の騎士は走り出して炎を纏った剣を振りかざす、伏せられていたカードはひっくり返って目と口があるトマト、キラー・トマトが現われた。

 キラー・トマトはスライスにされて破壊される。

 

「キラー・トマトの効果を発動。このカードが戦闘で破壊され墓地に送られたとき、デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚できる。キラー・トマトを特殊召喚」

 

レベル4 キラー・トマト 攻撃力:1400

 

「ふん! ならバロンでキラー・トマトに攻撃!」

 

 今度はバロンの持っている2本の剣でスライスに斬られて爆発が起こって破壊された。

 

刹LP:4000→3600

 

「効果を発動しデッキから終末の騎士を特殊召喚。効果は使用しない」

 

レベル4 終末の騎士 攻撃力:1400

 

「バトルは終了だ。それじゃあ、いくぜぇ!」

 

 男がそういうと手の甲に82という数値が浮かび上がる。

 

「あれは……」

 

 No.に操られた人に浮かび上がるものだ。

 今から召喚しようとしているのはNo.ということになる。

 私が驚いている間にも男は2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築してエクシーズ召喚を行っていた。

 

「エクシーズ召喚! No.82ハートランドラコ!!」

 

 現われたドラゴンはピンク色の体に背中からは羽が生えており、すこし大きめのおなかは白く、その腹の中心にはハートの形をした模様がありそこに水色で82と描かれている。

 顔の左眼の回りも白色のハート型の模様があり、全体を見るとかわいらしいモンスターである。

 正直すごく、似合わないです……。

 

ランク4 No.82ハートランドラコ 攻撃力:2000

 

『あいつからNo.の気配はなかったはずだが……』

 

 ブラック・ミストが首をかしげていると男はエンド宣言をする。

 今は考えてもしょうがない……このままデュエルを続けよう。

 

「私のターン、ドロー。手札から闇の誘惑を発動。デッキからカードを2枚ドローし、手札の闇属性モンスター1体をゲームから除外する。終末の騎士を守備表示に変更。カードを1枚セット、ターンエンド」

 

 いまはあのNo.をどうにかできないし、ガードを固めるぐらいしかないか

 

「これからどんどんいくぜぇ! 俺のターン、ドロー! 火舞太刀を召喚!」

 

 地面から炎が噴出すとそこから尻尾に刃がいくつもついた炎を纏っているイタチが現われる。

 

レベル4 火舞太刀 攻撃力:1700

 

「バトル! 火舞太刀で終末の騎士を攻撃!」

 

 火舞太刀はジャンプをして空中に躍り出ると縦に回転をしてその勢いのまま尻尾を終末の騎士に叩きつける。

 

「さらにハートランドラコでダイレクトアタック!」

 

 口を開くとそこから小さな火の玉が集まり、ハートランドラコはその火の玉を放つ。

 勢い良く放たれたのか、火の玉は猛スピードでこちらにやってくる。

 

「リバースカード、オープン。ガード・ブロックを発動。戦闘ダメージを0にしてデッキからカードを1枚ドローする」

 

 私の目の前に薄いバリアが張られるが、火の玉が当たると同時に粉々になりそのときに起こった爆発に体がふらつく。

 

「ちっ。俺はこれでターンエンドだ!」

 

「私のターン、ドロー。墓地に闇属性モンスターが3体のみの場合、ダーク・アームド・ドラゴンを特殊召喚できる」

 

レベル7 ダーク・アームド・ドラゴン 攻撃力:2800

 

「ダーク・アームド・ドラゴンの効果を発動。墓地の闇属性モンスター1体を除外してフィールド上のカードを1枚破壊する。ハートランドラコを破壊」

 

 ダーク・アームド・ドラゴンから放たれる黒い刃がハートランドラコを破壊すると男は悔しげに顔をゆがめている。

 

「私はモンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

『おい、効果はおろかなんで攻撃しねぇ』

 

「(……火舞太刀は破壊されて墓地に送られたとき、相手フィールド上のモンスターを破壊し、相手に500ポイントのダメージを与える効果があるから)」

 

 おそらく火舞太刀を破壊したらダーク・アームド・ドラゴンを破壊してくるだろう。

 そうすると壁モンスターは今伏せたジャイアントウィルスのみとなる。

 さすがに炎王に対してジャイアントウィルスだけでは心もとない。

 

「攻撃はしてこねぇのか。俺のターン、ドロー! 手札から補給部隊を発動! さらにサンダー・クラッシュを発動!自分フィールド上のモンスターをすべて破壊し、破壊したモンスターの数×300ポイントのダメージを与えるぜ!」

 

 自分から破壊してきたか……。

 相手フィールド上に雷が落ちると火舞太刀は破壊され、その余波がこちらを襲う。

 

「くっ」

 

刹LP:3600→3300

 

「補給部隊の効果を発動! 自分フィールド上のモンスターが破壊され時、デッキからカードを1枚ドローするぜ。そして火舞太刀の効果を発動! このカードが破壊されて墓地に送られたとき、相手フィールド上にいるモンスター1体を選択し、そのモンスターを破壊して500ポイントのダメージを与える!ダーク・アームド・ドラゴンを破壊だ!!」

 

 相手のフィールドに墓地へと繋がる穴が開かれてそこから先ほどは解された火舞太刀が顔を出し、ジャンプすると尻尾を振るう。

 尻尾に纏っていた刃がダーク・アームド・ドラゴンへと放たれてなす術もなく破壊された。

 

「さらに500のダメージを食らいやがれ!」

 

刹LP:3300→2800

 

「手札から炎王の急襲を発動! 相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、デッキから炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターを1体特殊召喚する! さぁ現われろ、炎王神獣ガルドニクス!!」

 

 地面から炎が噴出す。

 火舞太刀のときとは違ってもっと大きく綺麗な赤と黄色の火が柱のようになっていた。

 その中から炎を纏った鳥が現われ、大きく羽ばたくとその炎がかき消される。

 頭や体に金色の装飾を着け、赤い体毛に翼のほうにはさまざまな色の模様があり、尾は青色の綺麗な鳥だった。

 

「炎王の急襲で特殊召喚されたモンスターは効果が無効化され、エンドフェイス時には破壊される。よかったなぁ?」

 

 男は嫌な笑みを浮かべてそういってきた。

 まったく良くないんだけど……。

 

「いくぜぇ、ガルドニクスで伏せモンスターを攻撃!」

 

 ガルドニクスの口から炎が放たれると、伏せられていたカードがひっくり返りジャイアントウィルスが現われるがすぐに破壊する。

 

「ジャイアントウィルスの効果で500のダメージを相手に与え、さらにデッキからジャイアントウィルスを任意の数だけ特殊召喚する。私は1体のジャイアントウィルスを特殊召喚」

 

レベル2 ジャイアントウィルス 攻撃力:1000

 

 

「500ぐれぇ安いもんだぜ」

 

男LP:4000→3500

 

「俺はターンエンド。そしてエンドフェイズ時に炎王の急襲の効果でガルドニクスは破壊される」

 

「私のターン、ドロー」

 

「スタンバイフェイズ時、墓地にいるガルドニクスの効果を発動! このカードはカードの効果で破壊されたとき次のスタンバイフェイズ時に墓地から復活するぜ! さらにガルドニクスはこの方法で特殊召喚されたとき、フィールドにいるモンスターを破壊する!」

 

 地面から現われる黒い穴から再び炎を纏ったガルドニクスがフィールドに舞い降りる。

 そして炎がフィールドを覆い、ジャイアントウィルスは破壊された。

 

「……モンスターをセット、ターンエンド」

 

 やばいな、ちょっと押されてる。

 自分の手札を見てすこし眉間に皺を寄せる。

 次のターンであのモンスターを何とかしないと……。

 

「このターンで終わらせてやる。覚悟しろよ、ガキ! 俺のターン、ドロー! トレード・インを発動! 手札のネフティスの鳳凰神を墓地に送り、デッキから2枚ドローする!炎王の炎環を発動! 自分フィールド上の炎属性モンスター1体を破壊し墓地にいる炎属性モンスターを特殊召喚する! ガルドニクスを破壊し、ネフティスの鳳凰神を特殊召喚!さらに補給部隊の効果で1ドロー!」

 

 相手フィールドにいるガルドニクスが破壊されると代わりに炎の中から金色の鳥が現われる。

 

レベル8 ネフティスの鳳凰神 攻撃力:2400

 

 ガルドニクスの次はネフティスか……。

 炎王に相性良いんだよね、ただ自分が張った永続魔法とかも破壊されることになるけど。

 

「暗炎星-ユウシを召喚!」

 

レベル4 暗炎星-ユウシ 攻撃力:1600

 

 赤と黒の鎧を身にまとい、背後には熊の形をした炎がちらついている男性型モンスターが現れる。

 

「ネフティスで伏せモンスターを攻撃する!」

 

 ネフティスは炎を纏って伏せモンスターへと突っ込んでいき、その鋭い鉤爪で伏せられていたモンスターを破壊した。

 

「キラー・トマトの効果を発動。デッキから終末の騎士を特殊召喚し効果を発動デッキから闇属性モンスター1体を墓地に送る」

 

レベル4 終末の騎士 攻撃力:1400

 

「チッ……ユウシで終末の騎士に攻撃!」

 

 男の指示に従いユウシは背後にいる炎の熊を操って終末の騎士を攻撃する。

 

「っ……」

 

刹LP:2800→2600

 

「ユウシの効果を発動! 相手ライフに戦闘ダメージを与えたとき、デッキから炎舞と名のついた魔法カードを手札に加える!俺は炎舞-「天キ」を加え、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「私のターン、ドロー」

 

「スタンバイフェイズ時、ガルドニクスは効果を発動しチェーンで永続罠キックファイアを発動! このカードは炎属性モンスターがカードの効果で破壊されるたびに、その破壊されたモンスターの数だけこのカードにカウンターを置くぜ。そしてスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地に送りこのカードに載っているカウンターの数×1000ポイントのダメージを相手に与える!」

 

 そのカードがあったからユウシを召喚したのか……。

 手札を見てこの状況をどうするかと考えている間にガルドニクスは相手の場に現われる。

 

「ガルドニクスがこの効果で特殊召喚に成功した時、このカード以外のモンスターをすべて破壊する!」

 

 全身に炎を纏ったガルドニクスが大きく羽ばたくと炎がフィールド全体に降り注ぎ、相手フィールドにいるネフティスとユウシは破壊される。

 

「炎属性モンスターを破壊したことによりカウンターが2つ乗るぜ。補給部隊の効果にチェーンでキックファイアの効果を使ってお前に2000のダメージだ! そして補給部隊の効果で1ドローする!」

 

 永続罠から炎が飛び出してくると私の足元に当たりそこから爆発が起こった。

 

「ぐっ、うああぁ!」

 

『刹!』

 

刹LP:2600→600

 

 衝撃に吹き飛ばされて背中から地面へと叩きつけられる。

 痛みに顔をゆがめながらも立ち上がってカードを手に取った。

 

「手札から手札抹殺を発動。手札をすべて捨て、その捨てた枚数分だけデッキからドローする。墓地へ捨てた暗黒界の刺客カーキの効果を発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられたときフィールド上のモンスターを1体破壊する。ガルドニクスを破壊」

 

 カーキはいつもの通り墓地に繋がる穴から出てきて短刀をガルドニクス突き刺して破壊する。

 

「ハッ! わざわざ破壊してくれたのか? ああ?」

 

 男はにやついているが、自分のフィールドに1体もモンスターがなく伏せカードもない。

 やるなら今しかない。

 

「闇属性モンスターが5体以上存在し自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、ダーク・クリエイターを特殊召喚できる。そして効果を発動。墓地の闇属性モンスター1体を除外し墓地にいるダーク・ネフティスを特殊召喚」

 

レベル8 ダーク・クリエイター 攻撃力:2300

レベル8 ダーク・ネフティス 攻撃力:2400

 

 私のフィールドに黒い機械仕掛けのような体に背中にはリングのようなものに翼が生え、創造神(ザ・クリエイター)が闇に落ちた姿を現わしているモンスターと先ほど男の場にいたネフティスの鳳凰神とまったく形が似ているが、その姿はダーク・クリエイターと同じく闇へと染まっているモンスターが現われる。

 

「一気にレベル8のモンスターが2体だと!?」

 

「私はレベル8のダーク・クリエイターとダーク・ネフティスをオーバーレイ」

 

 2体のモンスターは紫色の球体となって空中へと舞い上がった後、地面に現われた渦に入っていく。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚。現われろ、No.22不乱健」

 

ランク8 No.22不乱健 攻撃力:4500

 

「攻撃力4500……」

 

 男は不乱健を見て絶望の表情を浮かべている。

 恐らく攻撃を防ぐ手立てがないのだろう。

 

「不乱健でダイレクトアタック」

 

 鍛え抜かれたその大きな腕を振りかぶり不乱健は走り出すとそのまま腕を男に向かって振り下ろした。

 

男LP:3500→0

 

「ぐわあああぁ!!」

 

 男が吹き飛ばされて地面に落ちると同時にデュエルが終了する合図が鳴り響く。

 フィールドにいたモンスターは消え、周りの景色は元に戻る。

 Dゲイザーを外して一息入れ、公園の方向に視線を向けた。

 だいぶデュエルに時間がかかったけど、結は大丈夫かな……。

 気になるけどこれ以上の尾行はさすがになー。

 うーんと悩んでいると持っているDゲイザーから電話がかかってきて相手の名前を見ないで出てしまった。

 画面に映ったのはどこか焦った様子のカイトだった。

 

「カイト? どうしたの?」

 

 驚きながらも首をかしげるとカイトは何かを操作する仕草を見せる。

 

「手短に話す。山のほうで高エネルギー反応があった。恐らくバリアンが何かをしているのだろう」

 

 バリアンが? しかも山のほうって……一体何をしているんだろうか。

 

「詳細な場所は画像データを送っておく。これを頼りにそこへ向かえ。俺も今すぐ向かう予定だ」

 

「わかった、ありがとう。じゃあ、後でね」

 

 Dゲイザーの通信を切って送られてきた地図を見てから腰につけているポーチの中に入れておく。

 

「(ブラック・ミスト、山のほうに向かうよ)」

 

『了解。No.は回収しといたぜ。真月のほうはまた今度だな』

 

 正直、もう尾行はしたくないです……。

 内心ため息を吐きながらも私は一度結たちの様子を見に行く。

 物陰に隠れて歩いていると結と真月君はベンチに座って休んでいた。

 真月君は固まった状態で座っており、結は真月君の肩に寄りかかって眠っていた。

 ……なんで結は寝てるんだろうか?

 普通に考えれば昨日から楽しみで眠れなかったといった所だけど……。

 一応周りを見てみるが遊んでいる子供やデートしているカップルなど人が大勢いる。

 こんなところで何かするっていうのも考えづらいし、考えすぎかな。

 悩んでいたがこれ以上ここにいるわけにもいかず、私は近くでタクシーを拾って山のほうに向かった。

 




さて、この小説にも恋愛要素が追加されたよ!やったね、刹ちゃん!
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