「まずいわね…」
私…佐々木椿はそう呟いた。私の体は満身創痍と言えるだろう。左手はギリギリ繋がっている程度、右腕は肘から下がない。…千切れた部分は持ち帰っているから再生は可能だが。その他にも数多くの切り口がある。
「椿さん。もう少しだけ堪えてくださいよ…!」
彼は、自作のフィンファンネルとインコム、GNファングとGNソードビットでモンスターを蹴散らしながら一層、また一層と上っていっている。
「着いた…。」
「ありがとう、下ろして大丈夫よ。」
私はそう言うが彼は首を振る。どうやら黄昏の館まで運んでくれるようだ。自身の回りに纏わせていたGNシールドビットを担架のようにし、彼自身も全力で走り出した。
△△△△
ダンジョン脱出から10分程経ち、ようやく移動が完了した。
「椿、大丈夫か!?」
「椿!」
私を出迎えたのはロキとフィンだった。しかし、笑いを浮かべている訳ではなく、必死の表情だった。それもそうだ。ダンジョンに行ったっきり、15時間以上戻らなかったのだから。
「なにが、起こったんや!?花音はどうなった!?」
「それについては、僕が話します。」
彼こと実験ニキ──紅 輝夜が代わりにロキの前に出た。
「ん?お前は…ヘファイストスの子か。何があったんや!?」
「ご報告します。椿さんを含めた我々は、1人の冒険者相手に全滅。花音は…ダンジョンの下層に奴を引き付けたきり連絡がありません。」
「なっ!?」
その反応も当然と言えるだろう。たった一人の冒険者相手にレベル5を含めた3人、しかも一人は一級冒険者を軽々と倒すレベル1というパーティで挑んだのだ。これで負ける方が可笑しいと言えるだろう。
「じゃあ椿、君達は誰にやられたんだ?フレイヤファミリアか?それともイヴィルスの残党か?それとも…ロキファミリアやヘファイストスファミリアかい?」
フィンは、言外にロキファミリアに裏切り者が居るのではないか、内通者が居るのではないかと聞いてきているが、その可能性は限りなく低い。何故なら──。
「まて、フィン。内に内通者がいる可能性はゼロや。神の目は欺けん。欺けるはずがないんや。」
ロキの言うとおり、神の目を欺くことは不可能だ。
「ならば、何故その冒険者は、冒険者同士の殺し合いという禁忌を犯せたんだ?神の目は欺けない、ガネーシャファミリアが見逃すとは思えない。」
フィンも、私や輝夜と同じ疑問を持っているらしい。神の目の仕組みは単純。心の中すら見透すから。なぜなら住んでいる領域が違うから、次元が違うからだ。ならば、
「
「まさか…!?」
「
それが、私と輝夜の出した結論だ。邪神を殺し、その血を啜り神と対等な地位に立った者の神殺しの伝説。その中でしか存在しなかった模擬神。ベル・クラネルの英雄願望ならなし得るかも知れないという結論に至ったのだ。
「神ロキは、知っていたのですか?」
「概要はな。だけど、ほんまに存在するとは知らんかったわ。」
私自身信じることが出来ていない。何故なら神がダンジョンに潜ること事態が禁忌。さらに冒険者同士の殺し合いまで行うなど非常識の次元ではない。
「少し、話がずれたかな。取り敢えず、ありったけのエリクサーとディアンケヒトファミリアへの連絡をラウルにさせておく。さて、輝夜、と言ったかな。少し付き合って貰うよ。」
「解っています。僕はその為に来ているので。」
そこで緊張の糸が切れたのか、私は眠りに落ちてしまった。
眠ってしまった椿さんをレフィーヤさんに預けた後、僕はロキファミリアの緊急会議に参加することになった。
「これより、緊急会議を開始する。参加者は『勇者』こと僕──フィン・ディムナ、『剣姫』ことアイズ、『九魔姫』ことリヴェリア、『重傑』ことガルム、『怒蛇』ことティオネ、『大切断』ことティオナ、『凶狼』ことベート、ロキ。そして…」
全員の目が僕に向く。関心、興味など様々な視線の中に、憤怒など、決して好感的ではない視線も混じっている。
だから何だというんだ。
僕の名前は紅 輝夜、天才科学者だ。この程度の視線は何度でも浴びてきた。こんなところで怖じ気づいていたら、花音を助けに行くことなど不可能だ。そうだろ。
「佐々木 椿さん、そして如月 花音さんに同行していた紅 輝夜と申します。レベルは1、冒険者歴は2週間程度。所属はヘファイストスファミリアです。」
少し早口に説明をし、フィンさんに目で合図をした。フィンさんは小さく頷くと早速前以て僕が話していた情報を言って貰う。
「さて、自己紹介も終わったところで説明に移ろう。今回の議題は、如月 花音の救出。なぜその様な状況に陥ったかも説明する。紅さん、頼みます。」
ティオネさん、ティオナさん、何よりベートさんが動揺しているのが良く解る。ティオネさん、ティオナさんは、花音のエスクードの硬さを知っているし、ベートさんに至っては完封された相手だ。そう簡単に負けるはずが無いとでも思っていたのだろう。
「はい、僕達は───」
「ベルきゅん追跡隊結成!」
「おー!」
「おー…」
「輝夜!ノリ低いよー!」
僕は、今日の早朝に花音に呼び出されました。彼女曰く、何やら、魔力量が異常なレベル1を発見したそうです。不審に思って追跡してみるも、気づかれ、いつも巻かれていたそうです。
「という訳で、3人いれば何とかなるでしょう!」
「私だって、暇じゃないんだよ?」
椿さんも同じように、半ば無理矢理っぽく連れて行かれたようです。しかし、花音の勘はかなり当たるので、仕方なく着いていくと、明らかに異常なレベルの魔力を発する白髪赤目の少年がいました。
「異常、かい?」
「ええ。彼の魔力はそこに居る九魔姫と同等かそれ以上の物を感じました。恐らく、椿さんもそう言うでしょう。」
ここの会議に参加している全員…いや、神ロキとフィンさんを除いた人達に動揺が走った。九魔姫ことリヴェリアさんはこのオラリオでトップと言っても過言ではない魔法使いだ。その彼女を越えるなど有り得ない。しかもレベル1でなど本当に嘘を言っているようにしか聞こえない。
「…フィン、この子は嘘はついてないで。」
神ロキがフォローを入れてくれた。神だから嘘を言っているかどうかは解る…はず。僕らもイレギュラーだから何か違和感を感じることはあるかもしれないが。
「…続けます。」
動揺が収まった時、僕はもう一度話し始めた。
「っ!避けて!」
椿さんの警告を聞き、僕達はすぐに横に跳びました。何事かと横を見ると地面が縦に抉られていました。その少年が剣を振り下ろしている事を考えると、少年が割ったのだと考えられます。
「…一体、何が目的なんですか?」
「君から、異常なレベルの魔力量が検出されている。少し気になったから話をしてみたい。」
僕はありのまま伝えました。放っておいて大丈夫な類のものでは無かったからです。その直後でした。
「…なるほど、ありがとう。じゃあ、行かせて貰います!」
少年は誰かと会話するような素振りを見せてから、こちらに突貫してきました。直ぐ様椿さんがレイピアで受け止めましたが、衝撃波がとてつもなく大きく、ダンジョンのあちこちにヒビが入るなど、レベル1で有り得ない力を出していました。
「また戦闘開始かよ!」
「輝夜は下がって!こいつの相手は
「僕だってカバー位はできる!」
しかし、その後は一方的でした。相手の剣により椿さんは深刻なダメージを負い、花音も防戦一方になってしまいました。
「輝夜、椿さんを連れて逃げろ!僕が下層まで抑え込む!」
「僕は、彼女の必死な声を聞き、椿さんを連れて撤退しました。その後は解りませんが、恐らくは今も抑え込んでいるかもしくは…」
僕は最悪の可能性も示唆しながら話を終えた。
「…1つ、聞きてぇ事がある。」
すると突然、ベートさんが質問してきた。
「はい、なんでしょうか?」
「花音は、どんな
「花音は…笑って、いませんでしたね」
「あいつは、簡単に生を諦めるやつじゃねぇよ。あいつに殺され掛けた今なら解るかも知れねぇ。」
そうだ。彼女は、
馬鹿正直で
負けず嫌いで
誰よりも諦めが悪かった。
僕が、それを一番解っているはずだ。
「まぁ、花音の救出を念頭に置きつつ、そろそろ遠征も考えなくてはならないからな。その時に回収で良いだろう。」
リヴェリアさんの意見により、一度会議は終了。遠征前に再会議と言うことに落ち着いた。
僕が──彼女を助けるんだ。それが、彼女の弟との約束だ。
ベル・クラネル
Lv1
ステータス
???
アビリティ
???
特性
模擬神
己のクラスを神と同列まで引き上げる
次回のリアル安価
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武器
-
スキル
-
転生キャラ