【対魔忍RPG】稲毛屋のアイス その後   作:unko☆star

6 / 6
BATTLE.6

「――で、結局侵入者には逃げられちゃったのよ…。夜中に招集されたのにとんだ貧乏クジだったわ…」

 

 

 

数日後。

ふうま邸の客間で水城ゆきかぜ、ふうま小太郎の2人がちゃぶ台を囲んでいた。

 

 

 

「そりゃ災難だったな」

 

「なんかね、ボコられた2人の話だと、侵入者のうち1人はピンクの対魔スーツの女で、もう1人は全裸でスキンヘッドのムキムキマッチョマンだったんだって」

 

「なんじゃその変態コンビは………うん?」

 

「なに?」

 

「あ、いや、なんでもない…」

 

 

小太郎は動揺を隠すように、急いで茶碗の麦茶をあおった。

 

 

 

(ピンクの対魔スーツって…。アイツだよな、たぶん…。なにやってんだよ…)

 

(ま、アイツのことだから悪さしに来たわけじゃないだろうし…。今度、会った時にでもこっそり聞いてみるか…)

 

 

 

ゆきかぜがまだ怪訝そうな顔をしているのを見た小太郎は、とりあえず話題を変えることにした。

 

 

「しかし、クリアはどうしたんだ?最近元気ないと思ったら、急にライブラリーにサンドイッチ作りを教わりたい、だなんて…」

 

「なんかね、友達に作ってあげるんだって。私も詳しくは聞いてないんだけど」

 

「友達って言うと、お前らがいつも餌付けして遊んでる…」

 

「それしかないでしょ、たぶん。あの子、同じ年ごろの子たちとはほとんど遊ばないみたいだしね…」

 

「前から言おうと思ってたんだが、程々にしとけよ。警備のために放してる動物を飼いならしてるなんて、先生にばれたらえらいことになるぞ」

 

「へーきへーき。ふうまだって一度やってみればハマるわよ。この間なんかね――」

 

 

ゆきかぜが言いかけたとき、台所からお盆を持ったクリアとライブラリーが現れた。

 

 

「おまたせ」

 

「人に教えるというのは、なかなか楽しいものですな。つい、作りすぎてしまいました」

 

 

お盆の上には山盛りのサンドイッチが盛られている。

時間をかけただけあって、具の種類も豊富そうだ。

ゆきかぜはそのうち一つを手に取った。

 

 

「なんかこれ、パンが黒っぽく見えるんだけど…」

 

「胚芽パンです。お友達は格闘技をされていると伺いましたので、少しでも栄養価の高いものをと…」

 

「格闘技?」

 

 

小太郎が首をかしげる。

まるで相手が人間であるかのような言い方だ。

 

(まあ、野生動物は毎日がサバイバルだし、そう言えなくもないか…)

 

 

「あと、水を差すみたいで悪いんだけど…。これ、マヨネーズよね?動物にこういうのは良くないと思うんだけど」

 

「…動物じゃ、ないよ?」

 

「え?」

 

「ともだち、ガルシアって言うの。男の人」

 

 

 

小太郎とゆきかぜは顔を見合わせ――素早く後ろを向いて声をひそめた。

 

 

 

(おい、ゆきかぜ…)

 

(し、知らないわよ!全然そんな兆候なかったし!)

 

(まじかよ…クリアのやつ、いつの間に…)

 

「…食べないの?」

 

「あ!?いやいや、食べる。食べるよ。うん…」

 

「めしあがれ」

 

 

試食どころではないという2人の雰囲気に気づかないクリアは、屈託のない笑顔を浮かべてサンドイッチを差し出すのだった。

 

 

 

 

(ガルシア…。また、会えるよね?)

(約束、したもんね。わたし、待ってるから。ずっと…)

  

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

 

 

 

 

 

――とある施設。

ソファーとテーブルしかない殺風景な部屋で、コートの男がタブレットで何者かと通話していた。

 

「おめおめとG-28を取り逃がしておいて、よくぞ俺の前に顔を出せたものだな」

 

 

部屋に明かりは点いておらず、タブレットの光で照らされた範囲でしかその顔を見ることはできないが――男の目の下に、顔を横切るようにして一本の長い傷跡が走っているのが見える。

歳は少なくとも50歳以上といったところだろうか。

 

 

「ミスター、ご安心ください。今のところは全て想定の範囲内。むしろこうなったことで、より面白いものをお目にかけることができるようになりました」

 

タブレットの画面に映る男は軍服を身に着け、胸には勲章らしきものを光らせている。

軍人――それも、かなりの地位にいる人物のようだ。

 

 

「面白いもの、だと…?」

 

「はい。きっとミスターにお楽しみ頂けると自負しております。我が国の技術の粋を集めた最新鋭のAI兵器――その名も」

 

 

 

 

 

「――試作品(プロトタイプ)“トダー”です――」

 




クロスオーバー作品を書くのは初めてだったのですが、なかなか楽しかったです。

「龍継150話に繋がるようにラストシーンのガルシアは全裸にしないといけない…どう理由付けしようか…」
「稲毛屋のアイスの後日談にするけど折角だからライブラリーも出したい…五車の夏休みの要素も取り入れようか…」

等々、あれこれ考えるのが面白かったですね。おかげで何回も書き直すハメになりましたが…。


クリアはいろんな意味で強烈すぎるヒロインの多い対魔忍シリーズには珍しい、直球のいい子キャラなので、書いてて新鮮でした。
残念ながらゲームのほうではあまりメインで活躍することがありませんが…。
いつかパワーアップした彼女が自分を利用した“ヤツら”に強烈なお返しをするエピソードが見たいですね。




この後ガルシアが迎える結末についての話はするな、ワシは今滅茶苦茶機嫌が悪いんや。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。