勇者パーティから追放された武闘家の男、最強すぎる彼が追放された理由はふんどし一丁だから!?   作:平成忍者

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7話 開拓村の朝~俺の名は・・・

時刻は早朝、開拓村のはずれにある泉。

そんな人気のない場所へ青年が一人やってきた。

開拓村に住む男だ。

用心深く辺りを見渡していて、なにやら挙動がおかしい。

彼は近くの泉から水音が聞こえると、ごくりと生唾を飲み込む。

 

 

(あそこでマナさんが水浴びをしているんだ・・!)

 

 

彼がここに来た目的は覗きである。

黒髪巨乳美人であり、『災害』の二つ名を持つ少女があそこにいるのだ。

この時間帯に彼女が一人で水浴びをしているのを掴むのにかなり時間がかかった。

かなり危険な橋を渡ったが、ついにやり遂げたのだ。

 

 

正直に言うと、村にとって命の恩人である彼女の裸を覗くのに良心が痛む。

だがここで覗かなければ一生後悔するだろう。

やらずに後悔するならやって後悔した方がいいに決まっている!

男はそっと茂みをかき分け、泉を覗き見た。

 

 

その瞬間、彼は息をのんだ。

 

朝の日差しで照らされた見事な肉体美。

まるで天才芸術家が作った彫刻のようだ。

筋肉が割れて、スジがみえる程美しい

 

 

筋肉は分厚く、肩の僧帽筋が並ではない。

上腕二頭筋なぞ山脈のように隆起している。

大胸筋がすごく仕上がっていて、まるで大胸筋が生きて歩いていると思ってしまうほどの躍動感。

お尻なんてプリッとしていて、まさにグレートケツプリといった感じだ。

もう自分でも何を考えているのか分からない。

 

 

分かることはただ一つ。

ここに彼の求める女体はなく、むさい筋肉男しかいないということだけだ。

男が失望のあまりため息をつく。

その瞬間、筋肉男と目が合ってしまった。

 

 

「なんと貴様!!覗きか!」

 

 

泉から筋肉男が上がってくる。

もちろん全裸でだ。

股間のモノをブラブラさせながら風のように迫る巨漢の男に青年は恐怖した。

慌てて逃げ出そうとするが、あっさりと捕まってしまう。

 

 

「なんという男だ!いかに俺の肉体美が羨ましいからと・・!」

 

「ち、ちがうって!てっきりマナさんがいるのかと・・!」

 

 

 

慌てて弁明した男は思わず口が滑ってしまったようだ。

それを聞いた俺は顔色を変える。

 

 

「なんとハレンチな!?貴様それでも男か!!」

 

「ひいっ!?」

 

 

俺に胸倉をつかまれた男はその剣幕に怯えあがる。

マナにはザンという恋人がいる。

それをこの村人は知っているはず。

さすがにこの行為は許せぬ。

これは罰を与える必要がある。

俺はにやりと笑った。

 

 

「貴様、そんなにみたいのか?」

 

「え?ええ、そりゃあまあ・・。もしかして覗きを手伝ってくれるのかい?」

 

 

この期に及んでたわけたことを。

俺は残酷そうに口を歪める。

俺は村人を押し倒すと、この男の顔を太ももで挟んだ。

もちろん全裸でだ。

 

 

「そんなに見たいなら見せてやるわ!!俺のお稲荷さんを・・ゼロ距離でな!! この俺の肉体美で貴様の邪念を払ってくれる!」

 

「ひいっつ!?そ、そんな汚いモン近づけ・・!うっ・・うぎゃぁっつああぁっ!!!???」

 

 

村はずれにスケベ男の絶叫が響いた。

 

 

 

 

 

時刻は昼。

見回りを終えて村に戻ってきた俺たちは休息をとっていた。

ルクスはカタリナと花畑へピクニックに行き、ザンは村の子供たちに乞われて剣術を教えていた。

少し離れた場所ではマナが自作のガーゴイルをセットしている。

なんでも魔物が村に近づいた時に迎撃するように設定したらしい。

これで俺たちが村にいない時も安心というわけだ。

 

 

ちなみに俺は一人で鍛錬中で回りに村人はいない。

以前に比べればだいぶ村人が話しかけてくるようになったのだが、まだ壁を感じる気がする。

俺は自分の今の姿をチェックする。

 

 

上半身は袖なしの毛皮のジャケット、たぶんノースリーブとかいうやつだろうか?

布面積が異様に少なく、着ている意味をあまり感じない。

下半身は黒いベヒーモスのふんどし。

以上だ。

 

 

「おかしい所は特にないな・・」

 

 

俺は首をひねる。

ならば何故寄ってこないのだろうか。

そろそろ弟子の一人でも取ろうと思っていたのだが・・。

何か問題があるはずだ。

あるとすればやはりこの上着か?

なんとなく蛮族のようにも見える。

 

 

「そういえば以前倒した山賊の頭領もこんな上着だったな」

 

 

たしか奴の服装はノースリーブの毛皮のジャケットに皮の腰巻、頭には鬼熊の頭骨をかぶっていたはず。

ふんどしという大きな違いがなければ今の俺も山賊のような姿と言える。

もしや村人が恐れているのはそのせいか?

 

 

「む?つまり上着を脱いでふんどし一丁になればよいのでは・・」

 

 

俺がそう考えていると、背後から小さな気配を感じた。

振り返ると村に住む少年が一人で近づいてきた。

年のころは10~12才位だろうか

 

 

「おじさん。僕、あなたみたいに強くなりたいんです!僕を鍛えてくれませんか!」

 

「なんと・・」

 

 

予想外の言葉に俺は驚く。

弟子が欲しかった俺にとって、まさにグッドタイミングではないか。

それに嬉しいことを言ってくれる。

 

 

「ふむ、少年よ。つまり君は俺のように美しい筋肉を、そしてふんどしを求めるのだな?」

 

「え?え?筋肉?フンドシ・・?」

 

 

少年は首を傾げる。

もしや少年の言葉を聞き間違えたか?

まぁでも誤差というやつだろう。

気にする必要はないだろう。

 

 

「少年よ、俺の訓練はきついぞ?耐えられるかな」

 

「やります!」

 

 

少年の瞳はきれいでとても澄んでいる。

まるでダイヤのように無垢な輝きだ。

こういう目をしている者は皆、己の目的へとまっすぐに進んでいく。

彼は良い戦士になるだろう。 

 

 

「よし、俺がお前に筋肉の正しい鍛え方、戦いの心得を教えてやる!

まずはお前にプレゼントだ」

 

 

俺はそういうと近くに置いたリュックへと手を伸ばす。

きれい整頓されたふんどしは履く用、布教用、観賞に分けてある。

その中から布教用からシンプルなふんどしを選ぶ。

初心者には白がいいだろう。

俺は畳まれたふんどしを3枚だすと少年に手渡す。

 

 

「あの・・これは?」

 

 

おそらくふんどしを知らないのだろう。

少年はきょとんとした顔をしている。

これはつけ方も教える必要があるな。

 

 

少し不安そうな少年の肩を優しくつかみ、俺は最高のスマイルを浮かべる。

 

 

「これはとても体に良いものだ。いいか、俺がお前を一人前の武闘家にしてやる!

なにせ俺は勇者パーティ最強の武闘家、ハダマなんだからな!」

 

 

 

       ~fin~

 

 

 

 

 




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