あまり上手くない出来と思いますが自分の他の作品もあわせて感想評価などの応援お待ちしてます。
ここは怪獣達の魂が眠る怪獣墓場の一角。
ある建物の一室で寝かされていた1人の青年が目を覚ました。
「…………地球だと、こういう時、『知らない天井だ』って言うんだっけ…」
ベッドに横たわったままの青年は辺りに視線を動かしながらそう呟く。
「…どこだろ、此処。もしかして地球なのか?あの戦いはどうなったんだ?」
青年は自分が目覚める前の経緯を振り返る。
◇ ◇ ◇
俺の名はロメオ。M78星雲光の国・宇宙警備隊の訓練生だ。
一人前の宇宙警備隊隊員を目指し、日々養成所で勉強や訓練を行っていた矢先ある事件が起きた。
嘗て光の国を壊滅寸前に追いやったこともあるウルトラ族の数少ない大罪人である男、ベリアルが軍団を率い我が故郷と縁深き星「地球」へと大規模な侵攻を行ったのだ。
すぐさまに宇宙警備隊はこれを迎え撃つべく地球へ向かい、さらにウルトラ兄弟の一人、ウルトラセブンの息子であるゼロの率いるウルティメイトフォースゼロも参戦する大激戦が行われた。
しかし、力を蓄えたベリアルの勢力は強大で戦いは次第に劣勢となり、遂には宇宙警備隊は地球から一時撤退することとなってしまった。
更に勢いづいたベリアルは「超時空消滅爆弾」なる兵器を持ち出し地球が破壊されてしまった…と此処までは覚えているのだが、自分はなぜこんな場所で寝ていたのだろう?
あの時自分も後方支援を志願して地球の近くに居て恐らくは破壊の余波に巻き込まれたようなのだが。
自分は身体を起こす。その時あることに気づいた。
「あれ?俺の姿…地球人になってる?」
そう、自分の姿が地球人になっている。そもそも我々ウルトラ族の大昔の姿は地球人と大体同じだったそうで、その為元々そういう姿になる能力もあるのだが。
この部屋も破壊されてしまった地球の様式そっくりだしどういうことなのだろう。
そんなことを考えていると、
―気づいたようだねロメオ―
「!誰だ!?」
テレパシーのような声が聞こえたので振り向くと、そこには赤い球体が浮かんでいた。
この球は一体…いや、何処かで見たことがあるようなないような……?
「お前…いや、貴方は一体…」
―気になる事が幾つかあるようだが、順に説明しよう―
テレパシーはこの球が送ってきているらしい。自分も焦る気持ちを抑えながら話を聞くことにする。
「説明することとは…?」
―まず、この世界は君が居た宇宙ではないんだ―
「なんだって!?」
ゼロがこことは別の宇宙へ行ったことは聞いてるし、自分もそういった所へ迷い込んでしまったのか?
―君の居た宇宙である男が恐るべき兵器を使用した。それこそ星どころか宇宙全体を崩壊させるようなものをね―
―それで、その余波に巻き込まれて君は元居た宇宙から弾かれ、この世界に流れ着いたんだ―
「そうだ…それで俺は…!俺が元居た宇宙はどうなったんですか!?光の国や宇宙警備隊は!?」
―心配することにはなっていない。一言で言えば―
「一言で言えば…?」
―ウルトラマンキングがなんとかした―
「そ、そうですか……」
投げやりにも聞こえる答えだが、自分は納得してしまった。ウルトラマンキング。光の国に伝わる伝説の賢者の名前だ。恐らくこの球体が言うように本当に宇宙崩壊の危機を何とかしてしまったのだろう。
―次にこの世界のことだが―
「は、はい」
―ここは怪獣墓場学園。いわゆるウルトラマンと呼ばれる者達に負けた者達が送られてくる所だよ。ちなみに私はここの校長―
「が、学園?」
怪獣墓場というものは聞いたことがある。怪獣達の魂が流れ着くところだと。しかし其処に学園があるなんて聞いたことが無いぞ。
―だから本来此処にとって君のような存在は招かれざる客と言えるね―
「…」
その言葉に自分は黙ってしまう。確かに不可抗力とはいえ怪獣達の魂が眠る場所に土足で踏み入るような真似は確かに此処の者達にとって迷惑だろう。
「じゃ、じゃあ、俺が元の宇宙に帰る方法はないのですか?」
―そうだね、それはいずれわかる―
「えっいずれって…」
―すまないが少なくとも今すぐに君を元の宇宙に返すことはできないんだ―
「そうなんですか………」
―だから君にはしばらくここで男子学生として生活してもらう―
「えっ?」
な、なぜそうなるんだ?
―ここは学園だからね。君は留学生としてこの学園に来たことにしたから―
「そ、そんなこと急に言われても…」
―まあまあ、何かの勉強になるかもしれないよ?見習いウルトラマン君―
「そんな…それに俺をウルトラマンだなんて、まだ正規の隊員にすらなってないのに」
―それでは校長先生からは以上です―
「え、ちょっと待ってください!まだ聞きたいことが――」
球体は消えてしまった。いきなり留学生とか言われても…
なんか大変なことになってしまった。別の世界に来てしまった上に此処で学生をやっていかねばならないとは…
球体が消えてしばらくして俺はしょうがないのでその辺を見ていくことにした。
とりあえず俺が寝かされていたこの部屋の扉を開けると。
「ようこそロメオ君。私は君が来るのを待っていたのだ」
其処には特徴的な赤い帽子を被った少女がいた。
「き、君は…?」
「歓迎するぞ、何ならアンヌ隊員も呼んだらどうだい?」
「いや、なんの話ですか…?本当にあなた誰ですか?」
いきなりわけのわからない話を振られ少し混乱する。だけどこの子の衣装何処かで見たような。
「自己紹介がまだだったね。私はメトロン星人。かつて君の大先輩であるウルトラセブンに敗れた者さ」
メ、メトロン星人!?確かにこのコスチュームはっぽいけど…
「なんで、地球人のような姿になっているんです?」
「おや、校長から聞いていなかったのかな?この学園の生徒は皆地球の女子高生の格好をしているんだ」
な、なんだってーーーー!!
おそらく今日一番の衝撃である。
「ど、どうしてそんなことになっているんですか!?」
「さあ、どうしてだろうねえ。ところでロメオ君」
「は、はい?」
「君は茶は好きかい?」
「え、まあ前に地球産の茶を飲んだことがあって悪くありませんでしたけど」
「そうかそうか、それでは後で特製の茶をご馳走しよう。」
「は、はあ…」
「後それから、校長から君に学園や泊まる所をちょっと案内するよう言われたから」
「あっそうなんですか?」
「うん。だから私の後を付いてくるといい」
他にあてもないし素直に彼女について行こう。
◇ ◇ ◇
「ここが私の二番目に気に入ってる茶室だよー」
「すいません、これで茶室を紹介されるの三度目なんですけどどれだけ茶室あるんですかこの学校」
「じゃあ、今度は教室を紹介しようかな」
やっとか。他にもやけにもち米の多い給食室とかガッツ鳥なる変な生き物が飼育されてる小屋を紹介されたけどここ学校なんだし教室って普通始めの方で紹介されるものじゃないかな…
「あの、メトロンさん」
「うん?」
「ここの住人たちって皆『ウルトラマン』に敗れてここに来たんですよね?」
「うん。だいたいそうだよー」
「その、俺たちウルトラ族って恨まれてないんですか?まさか教室に入った途端袋叩きにあうとかないですよね…?」
「うふふ、まっさかー。そんなことにはならないよ」
「でも…」
「皆とってもいい子だよ。素直になれない子もいるけどね」
「そうなんですか?」
「そーそー。あっここが教室だよ」
そう言いながらメトロン星人は目の前の扉を開ける。そこは過去に資料でみた地球の学校の教室に似ていて、今は授業の時間ではないのか数人の少女が思い思いの時間に浸っているようだった。
その内の一人である三日月型の角が生えて尻尾の先端にプラグのついた少女がこちらに気づいたようで声をかけてきた。
「あれ?メトロンちゃんその人だあれ?新入りさんなの?」
「そうだよ。留学生のロメオ君だ。仲良くしてやってね」
「そうなんだー!私はエレキング。よろしくね!」
彼女は怪獣エレキングらしい。流石に衝撃にも慣れたので普通に挨拶を返す。
「エレキングさん、よろしくお願いします」
その時、
「仲良くだと?メトロン星人お前正気か?そいつはウルトラ族だぞ」
と教室の奥の方にいた黒い衣装の少女がこっちを睨みながら発言した。
「え~そうなの?メフィラスちゃん」
どうやら彼女はメフィラス星人のようだ。教室にいた他の少女も驚いている。
「ひええ~~~!!ウルトラ水流は!ウルトラ水流だけは!勘弁してぇええ!!」
「お、おい。落ち着けジャミラ!」
若干1名かなり取り乱している子もいる。
「メフィラスちゃん。彼は校長が正式に受け入れた留学生だよ?」
「だからどうした。私は怪獣同士仲良くするのはまあいいが、よりにもよってウルトラ族とは仲良くできん」
話が違う。やっぱりウルトラ族を恨んでる者がいるではないか。
「その、メフィラスさん。俺は別に貴女と敵対する気はないんですけど」
「メフィラスちゃん。私知ってる!そういうのってツンデレっていうんでしょ?」
「違うわ!」
「エレキングさんツンデレの意味間違えてると思います」
エレキングの間の抜けた発言で張りつめていた空気は一気にゆるくなった。
「と、とにかく私は付き合ってられないからな!」
「メフィラスちゃん待ってよ~。あっじゃあまた明日ね~」
メフィラス星人とエレキングは教室から出ていってしまった。
「行ってしまいましたね…」
「うーん。メフィラスちゃんはまだこの学園に来たばかりなんだ。あまり気にしないで」
「はあ…」
「そうだぜ。オレとかは気にしてないないしメフィラスみたいのが珍しいんだ」
と、教室にいた少女の一人が話しかけて来た。
「君は?」
「オレはレッドキング。ちなみ今隅っこで小さくなってるのはジャミラだ」
「水は…水はダメ…」
両方とも聞いたことのある怪獣だ。レッドキングは地球に何度も出現した怪獣でジャミラは元地球人で水に弱い怪獣だったか。
「本当に俺たちウルトラ族は恨まれてないんですか?その、ジャミラさん怯えてますし」
「あー、まあ程度の差はあるけど。そういうことを気にしてない奴が殆どだよ。ジャミラもトラウマにはなってるけどウルトラ族とか恨んでるわけじゃないし」
「そうなんですか…」
うーむ本当なのだろうか。なんか不安が大きい…
「そろそろいいかな?」
「あっメトロンさん」
「次はロメオ君が泊まるところに案内するからね」
「分かりました。じゃあレッドキング達。これからお世話になりますね」
「おう、よろしく」
「水…水…」
◇ ◇ ◇
メトロン星人に案内された場所は地球の木造アパートのような建物だった。
「ここが、君の泊まる所だよ。ちなみに近くには女子寮があるから」
「随分古風な様式の建物ですね」
「私の趣味だからね。部屋はどれも空いてるから自由に使っていいよ」
「分かりました」
「それじゃあ私はこれで。明日学園で会おう!」
とメトロン星人は何処かへ走っていった。
俺はとりあえずアパートの部屋の1つに入った。中は和室になっており、ちゃぶ台や布団が置かれていた。
なんか大変な1日だったな…別の世界に飛ばされたり、そこは怪獣が少女になってる場所だったり、険悪な雰囲気になったり怯えられたり。
校長を名乗る存在は勉強になるとも言っていたが、正直早く元の宇宙に戻って正式な隊員になるための訓練に戻りたいものだ。
ぐううと自分の腹の音が鳴った。地球人の身体になったことで何か食物が必要になったらしい。
俺はこのアパートに食糧はないか探すことにしたのだった。
閲覧ありがとうございました。
実はまだ原作読み途中の見切り発車なので続き書くとしたら全巻読み終えてからになると思います。
簡単設定
ロメオ
年齢は地球人でいうと高校生くらい
才能はそこそこでウルトラ族の基本的な能力は大体使える
しかし彼独自の技などは開発途中