かくして我々怪獣墓場学園一行は地球に到着した。着陸場所は日本の富士五湖の畔らしい。
ここが地球か…見せてもらおうかウルトラ兄弟を魅了した星というのを!
「ここ!!私が育った湖だよーっ!」
「マジか!?」
「そうなんですかエレキングさん?」
湖の方を見ていると同じく湖を見ていたエレキングが声をあげた。
確か地球で初めて出現したエレキングは吾妻湖という場所で育ったそうだがここがそうなのだろうか?
エレキングは嬉しそうに「わー!!!懐かしいよーっ」と湖に飛び込む。
「あ~!何やってんだ!!」
メフィラス星人が言うがここはエレキングにとって言わば故郷の様なもの、少しばかりはしゃいでも――
次の瞬間ザパッという音と共に、エレキングが数十メートルクラスに巨大化していた。
!?その姿のまま巨大化できるのかい!こんな所見つかったら大騒ぎになるぞっ。
「コラ~~~!!」
「何巨大化してるだわよ!」
「戻れ戻れーっ」
皆も流石にまずいと思っているのか大慌てだ。
その後直ぐにエレキングは縮小してくれたが、人気のない湖だったから良かったものの危うく通報される所だった。そんなことになったら遠足もおじゃんである。
さて、今回の遠足は基本的に人の目を避けている形とはいえ怪獣達の姿は目立つ。その対策として地球では制服を着ることになっているらしい。この制服、怪獣達の特徴をカモフラージュする効果があるようで、これである程度は地球に馴染めるようだ。因みに俺の分は用意が間に合わなかったらしく、普通の服で我慢してくれとのことだった。少し残念だ。
こうして、地球人の格好になった俺達は秋葉原へ向かった。
「着いただわよ!」
特に途中でトラブルもなく秋葉原に到着した。そしてメトロン星人の案内によって『アイドル』というものに会いに行く途中
「…その、なんか見られてますね」
「隠密できなかったねー」
多くの視線を感じる…というか普通に目立っている…おかしいな、カモフラージュはしている筈なんだけど。
メトロン星人によると俺たちはモテているらしい。更にエレキングによると地球人は可愛い子に弱いんだとか。つまり、単純に俺達の容姿が目を引くものだということか?
なんとか人々を撒いて俺達は地球のアイドルが見れる会場という所にやってきた。アイドルの名前は『ULTRA78』というらしい。既に辺りには行列ができており、かなりの人気があることが窺わせる。
「しかしどんなものなんでしょうねアイドルって」
「私も見るのは初めてだが、地球人の心を動かす力を持っているのだろうな」
「私は何回か見たことあるけど凄いものだよ。まあ百聞は一見に如かずだね」
メトロン星人の言う通りなのだろう。俺達は行列に沿って会場の奥へと進んで行った。
◇ ◇ ◇
会場に入ってしばらくすると、ステージに5人の少女たちが上がり、歌を歌い始めた。
観客もどんどん熱狂していく。なるほど、確かによく分からないが地球人の心を動かしているようだ。そのうち1曲目が歌い終わったらしく。辺りに鳴っていた音楽も止んだ。
すると、メフィラス星人たちがアイドルにステージの前に来るよう呼ばれたのだ。どうやら女性のファンと思われたらしい。
メフィラス星人は何処から来たのとか、もしかしてアイドルなのかとか聞かれた。メフィラス星人はどう答えるのかと思っていると、
「…我々は、とある学園から来た新星アイドル…名を……ダークネスブラック!!」
!?なにそれ、聞いてないんだけど!
「我々は地球人の心に挑戦する。そして勝つ!」
おお~っと会場がどよめきに包まれる。
「よし、今日のところはこれくらいでいいだろう」
「爪痕残しただわよ」
「まだ盛り上がってるねー」
「あの、メフィラスさん…流石にこれは目立ち過ぎでは?」
「私、もしかして凄い目立ってます?」
そんなこんなでライブ会場からでた自分たちは遠足の残り時間を気にしながらお土産を買うことになった。
そして土産を買うためによったある店で、
「わー、ここすごーい。フィギュアが沢山あるー」
ここは人形を売っている店らしく、なんとウルトラ兄弟達ウルトラ戦士のフィギュアや怪獣のフィギュアがあった。
おお、こんなものがあるのか。せっかくだしゾフィーからヒカリまでのウルトラ兄弟のフィギュアを買ってしまおう。
ちなみにエレキングは自分用にレッドキングのフィギュア、ジャミラへの土産に『ジャミラのみずあそび』なる玩具を買っていた。テンペラー星人にこれ渡すとアイツのメンタル崩壊するだわよと言われていたが同感である。
さて、遠足の残り時間も少なくなり、俺達は急いで湖畔に戻った。しかしそこで思わぬトラブルが発生した。乗船に手間取ったエレキングを庇ってレッドキングが地球に残ってしまったのだ。
「どうしよう…これは学園側に伝えて迎えに行かせたほうがいいんじゃ…」
「待て!そんなことをしたら学園側に今回秘密裏に秋葉原まで言ったことがバレるかもしれん!」
「でもレッドキングちゃん…心配だな。早く迎えに行ったほうがいいよ」
「はい、もしかしたら…の話ですが怪獣だとバレたら退治されてしまうかもしれません…」
レッドキング…地球に現れた怪獣はそのほとんどが退治されたらしく。彼女も例外ではない可能性が高い。怪獣とウルトラ戦士は敵対する仲ではあるが、怪獣墓場では彼女には良くしてもらったし、そんな後味の悪いことにはさせたくない。なんとかしてまた地球へ行かないと…
◇ ◇ ◇
怪獣墓場に戻ってきたが、既に地球に残った怪獣がいることは学園側に知られていたらしく、校長先生はかんかんに怒っていた。そして誰がいなくなったのか確認するために点呼を取った。このままではレッドキングの不在がバレる!そう思った時
『どうした、いないのかレッドキング』
「はい」
なんとエレキングがレッドキングのフィギュアを掲げて返事した。
いやいやいや流石にそれはダメだろ!これはまずい…!そう思ってたら
『随分縮んだようだが』
「宇宙船酔いです」
『……そうか…』
いけるんかい!それでいいのか怪獣墓場…
そのままつつがなく点呼は終了した。まさかあんな方法で躱せるとは思ってなかったが取り敢えずなんとかなった…
その後新にダークネスブラックのメンバーにアントラーを加えたのだが、
朝
「ふう…今日の朝の分はこれで終わりと、」
今日も今日とてトレーニングをしていたのだが、いきなり後ろから抱き着かれた。
「お・に・い・さ・ま」
「君はアントラー!?なぜ抱き着いてくるんですか!?」
このアントラーが懐いていたのは確かテンペラー星人の筈だったのだが…
「ん?ん~~え~~…あれ?忘れちゃった」
「ええ…」
どうやら頭の弱い子のようである。
「おにいさま~」
「その、女の子がこう異性にべたべたするのは良くないと思うんですが…」
こんな所を誰かに見られたら誤解されてしまう…
抱き着くアントラーを外しにかかるが予想以上に力が強く中々外せなかった。
「ロメオさん、いつもの差し入れ――」
「あっツインテールさん!」
「おにいさまっ」
ツインテールの持っていたスポーツドリンクのボトルが床に落ちる。
そしてツインテールは体育館のドアを閉めた。
「ああっ!ちょっ誤解です!誤解ですから!!」
その後、ツインテールの誤解を解くの滅茶苦茶苦労した。
ちなみにアントラーは、テンペラー星人を見つけるとそっちに抱き着きに行った。
駄文閲覧ありがとうございました。
ご感想・評価お待ちしております。