モブトラマンの怪獣墓場滞在記   作:クォーターシェル

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6話 怪しい隣異星人

その後、俺達はレッドキングと合流できた。その時メフィラスの様子が何やらおかしかった様だが、何かあったのだろうか?そして地球で生活していくに当たって当面の住居を探すことになったのだがなにせこの大人数である、中々良さそうな住居は見つからない。俺達が困っているとレッドキングが、

 

「じゃあさ、オレが今厄介になっている棟梁のおやじさんに頼んでみるか?」

 

と提案してきた。なんでもレッドキングが地球に残った際に野宿していたのを見かねて居候させてくれたらしい。それで今そのおやじさん関係の現場の仕事を手伝っているんだとか。取り敢えず他に当ても無いので俺達はそのおやじさんの家に行くことにした。

 

「ただいまー」

 

レッドキングが居候するアパートに着き、レッドキングが呼びかけるが、件の夫妻は出かけているのか反応が無い。それでレッドキングの部屋に上がる事にするがよく片付いている。なんかこの家、既視感があるような…。

そんな時、レッドキングが庭で犬を連れた人物を見つけた。

 

「おやじさーん!」

 

「おーレッド君帰ってきてたか。ん?ずいぶんにぎやかそうじゃないか」

 

あの初老の男性がレッドキングの言うおやじさんらしい。

 

「ああ!?あのひとは!」

 

メトロンが反応したけどどうしたんだろう? メトロンがおやじさんに駆け寄ると話し出した。話を聞くとどうやらかつてメトロンの基地を建てた時の棟梁がそのおやじさんだったらしい。世間は狭いと言おうか。なるほど先ほどの既視感も怪獣墓場のアパートで寝泊まりしていた身があのアパートのモデルとなった地球のこの家を錯覚したのだろう。

そんなこんなで俺達はこのアパートに格安で住まわせてもらうことになった。

 

「いやあ地球人って色んな人が居るって聞いたけど、ここの棟梁さんは随分心の広い人ですよね。いきなりこんな大勢で居候させてもらって」

 

「そうですね。アパートだとは言え9人も押しかけちゃったのに…それも私達が宇宙人と知っての事ですからね。まあ私やレッドさんは元々地球の出身なんですけど」

 

ツインテールが同意する。さて、部屋の割り振りとかはどうなるのだろうか?この間のネットカフェは緊急時だったからしょうがないとして、流石に女子と同じ部屋で寝るのは如何なものだろうか。ともすると自分の部屋は単独かそれとも棟梁さんの寝室辺りになるのか。そんなことを考えながら窓の方を見ると、メフィラスとテンペラーが外を見ていた。

 

「メフィラスさん、テンペラーさん何か見えるんですか?」

 

「見えるも何もお前も隣の家を見るだわよ」

 

「隣?」

 

自分も窓の外の隣家を見る。すると隣家の窓から1人の人物が椅子に座っているのが見えた。

 

「あの人がどうしたんです?」

 

「お前この邪気に気づかないのか?明らかにやばい雰囲気になってるだろ」

 

「そうですかね?ていうかあんまり覗くとプライバシーの侵害ってやつになるんじゃあ……!?」

 

その時、後ろを向いていた隣家の人物がこちらを向いた。大きな耳のようなものが付いた女性だった。その女性と目が合った時、身体がブルっと震えた。これは殺気か?あの女性は人間ではないのか?

 

「い、今のは…」

 

「やっと気づいたようだな鈍感。アイツ…まさかイカルス星人か?」

 

「そのようだわね」

 

イカルス星人。嘗てウルトラセブンが地球で戦った異星人の1体で、確かにあの耳はそれっぽいがあの姿は……

 

「まさか俺たち以外に怪獣墓場から来てる人が居るんですか!?」

 

「聞いたことがある…かつて怪獣墓場を抜け出した生徒が一人いると、学校側は事実を隠蔽してるけど、地球に行ったんじゃないかって噂されてただわよ」

 

「それがアイツか……」

 

「地球に残っていたのはレッドキングさんだけじゃなかった…」

 

明かされた新事実に驚いていると、レッドキングが庭で棟梁夫妻が飼っている犬「マリ」が空中で止まっているのを見つけ、レッドキングがその場に飛び出したらレッドキングの姿が消えてしまった。そのまま放っておく訳にも行かないので俺達は隣家に行ってみることにした。

 

「ここが玄関だわね」

 

表札には「伊刈」と書かれていた。…そのまますぎないか?

 

「おい、開くぞ」

 

「鍵掛かってないんですね」

 

「案外抜けてる奴なのかもな…」

 

「でも罠だという可能性も…」

 

「あっ!」

 

「うっこれは!」

 

後ろを振り返ると景色は一変していて、とても地球上の景色とは思えない場所に俺とメフィラスは居た。そして背後に気配を感じて振り返るとイカルスが居た。

 

「来たな。馬鹿な奴らだ」

 

「お前…地球で何をしている」

 

「私は、この四次元の世界から地球を侵略する。地球人はこの世界を攻撃することはおろか見ることすらできない」

 

メフィラスやテンペラーの様に侵略の意思があるのか…!

 

「侵略か…ならば、我々と同じ目的だな。仲間になれ」

 

メフィラスが勧誘する。見張らなければいけない対象が増えそうだ……

 

「ハッハッハッ!仲間だとそんなものはいらん。この地球は私1人のものだ!バカはうせろ!!」

 

「何だと!言わせておけば…!」

 

メフィラスが光線を発射する体勢に入るが何も起こらない。どうやらこの空間では俺達の行動は制限されているようだ。

 

「四次元の力を見せてやろう…」

 

イカルスの言葉と共に地球の都市の映像が出る。その中心に写っているのは確か東京タワーだったか、稲光が走ると東京タワーが破壊される。

 

「お前~~無意味な暴力はやめろよなーーっ」

 

自分の美学とは反するのかメフィラスが食って掛かった。

 

「はあ?何を言ってる、侵略とはこういうものだろ?」

 

「一方的な暴力は俺も嫌いです。故意の破壊行為、見逃す訳には行きません!」

 

自分も見習いとは言え、宇宙警備隊の末席に居る者である。イカルスのこれ以上の暴虐は見過ごすことはできない。

 

「ふん、正義を気取ってもこの空間に居る限りお前たちは…」

 

「コラ―!!」

 

その時レッドキングがこちらに走ってきた。彼女もこの空間に来ていたようだ。

 

「レッドキング!?」

 

「レッドキングさん!?」

 

「このヤロー、いい加減にしやがれ!」

 

レッドキングは辺りを見回す。

 

「何だここは!丸いものばっかりでぶん投げたくなるじゃねーか!」

 

そしてレッドキングは空間内に浮かぶ球体の一つを掴み、

 

「フッ無駄だ…ここではなにもふぶ!」

 

イカルスにぶつけた。

 

「な…なぜだ。この場所はあらゆる力学も無になる空間…なぜ物理攻撃が出来るのだ!」

 

イカルスは優位性を崩されたせいか動揺しているようだ。

 

「ほんとにどうやってレッドキングさんは?」

 

「そんな難しいことわかるかーーっ!」

 

「バカだ…バカには法則が通用しないっ」

 

レッドキングはイカルスに向かって次々と球体を投げつける。その内の一つがイカルスの傍にあった機械を破壊する。

 

「やっやめなイカ」

 

すると景色が普通の町に変わり、巨大化したイカルスが尻もちを付いていた。

 

「ちょ…何なんだわよ!?」

 

「メフィラスちゃん!レッドキングちゃん!」

 

「ロメオさん!」

 

テンペラーたちも合流していた。どうやらこの騒ぎを聞きつけていたようだ。

 

「くそ……っ長年に渡る計画を…許せん!!」

 

イカルスは相当に怒っているようで敵意を込めた目でこちらを見下ろしてくる。

 

「こうなったら、全員踏み潰してやる!」

 

「キャー!」

 

イカルスはこちらを踏み潰そうと足を向けるがそうはいかない。俺は全身に力を込めた。

 

「ロメオ変…身!!」

 

「!」

 

元のウルトラ族としての姿になった俺はイカルスの足を受け止めそのまま足を押し戻した。

そしてイカルスと対峙する。

 

「お前…ウルトラ族だったか!」

 

「そうです。ウルトラ族として貴女を止める!」

 

「ハッ、緑色のパチモノみたいな奴に私が止められるか!」

 

足元から声が聞こえる。

 

「ロメオー、奴のアロー光線に気をつけるだわよー当たると焦げ…」

 

「イカーッ」

 

イカルスがアロー光線を放つ。こんな時は…

 

「ウルトラバリアー!」

 

自分の前方に光の壁を張って光線を防いだ。だが、

 

(うっ、プラスマスパークの恩恵がない場所で技を使うと、こんなに消耗するのか…)

 

今現在俺の身体にはカラータイマーが取り付けられてはいないが、仮に付けていたら既に点滅してもおかしくない消耗をしていた。

宇宙警備隊隊員養成所でも教官たちは光線のむやみな使用は控え、近接戦闘で相手を弱らせてからと言っていた。何度も光線を使われるのはまずい。エネルギー消費の少ない肉弾戦に持ち込まなければ。

 

「ジャッ!」

 

イカルスの元に突っ込みチョップをお見舞いする。

 

「ハッ!」

 

イカルスも負けじとこちらの身体にパンチを打ち込む。

 

「ぐ…」

 

「む…」

 

お互いに距離を取る。

 

「お前…ウルトラ族なのに怪獣墓場の連中と行動を共にしていたようだが何が目的だ?」

 

「成り行きと、この世界でできた友人の為に来ただけです。貴女こそ、なぜ怪獣墓場を離れたんです?あそこは住みやすい場所だろうに」

 

「はっあんな牙を抜かれて飼い慣らされた連中ばかりの場所など!私はな、他の連中と違って侵略の意思と貴様らウルトラ族への恨みは忘れていない!」

 

そう言うとイカルスはこちらに突っ込んできた。

 

「どうしてもやるんですか!」

 

「黙れ!」

 

またも殴り合いになる。こちらも消耗している。だが、レッドキングの様なパワータイプと違ってイカルスの様な相手であれば!

 

「訓練生を、舐めるなあ!」

 

「チィ!」

 

放たれたイカルスの蹴りを片手で掴み、力任せに投げ飛ばす。

 

「グオッ!?」

 

そのままマウントポジションを取り、

 

「降伏してください!さもないと…」

 

「クッ……甘い!」

 

イカルスが叫ぶと同時に、アロー光線の発射体勢に入る。まずい、こうなったら…

 

「テレポーテーション!!」

 

俺は咄嗟にイカルスの直ぐ側から少し離れた地点に瞬間移動する。

 

「イカーッ!」

 

そしてアロー光線はイカルスの真上に放たれ、

 

「しまっ……」

 

そのまま発射をしたイカルス星人の元に降り注いだ。

 

「イカカカカ!?私自らのアロー光線でぇ!」

 

アロー光線で自滅したイカルスはそのまま縮んでいく。どうやら戦いに勝ったようだ。

俺もヒューマノイド態に戻る。というかもう地球上で巨大な身体を維持するのが限界だ。先輩方はいつもこんなに体力を消耗していたのか、それとも俺の鍛錬が足りないのか、なんにせよ前に変身した時の様に、いやそれ以上に俺の身体は疲労感に包まれていた。

 

「ロメオさーん」

 

ツインテールたちが駆け寄ってくる。他にも何か言ってるようだが聞き取れない。今は兎に角休みたい。

 

「すみません。皆さん後は頼みます……」

 

俺の意識は遠のいていった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

――SIDEメフィラス星人――

 

「おっと」

 

倒れ込もうとするロメオをレッドキングが受け止める。

 

「ロメオさん!?」

 

「あれ?ロメオ君寝ちゃったの?」

 

ツインテールとエレキングが真逆な反応を見せる。

 

「どうやら気絶したようだな」

 

「光線技こそ使ってないけどテレポーテーションしたのがかなり効いたようだわよ」

 

遠くでサイレンが鳴っている。先ほどの戦闘で大騒ぎになっているようだ。

 

「早いとこ撤収した方がいいんじゃない?ロメオ君も休ませないといけないみたいだしね」

 

メトロンが提案する。まあその方がいいだろうが、

 

「その前にやることがある」

 

私は巨大化すると、さっきイカルスが破壊した東京タワーに向かい、折れていたタワーを元の通りに直した。

 

「これで良し」

 

元のサイズに縮小して皆の元に戻ると、イカルスも来ていた。

 

「――フン、折れた東京タワーを直すとは手ぬるいな偽善もいいとこじゃなイカ。結局は侵略するんだろう?」

 

「黙れ、時代は変わったんだ現代には現代の侵略の仕方、怪獣の在り方がある。私は私のやり方で地球を奪う」

 

私はイカルスを睨みつける。

 

「……その目、お前は他の奴らと少し違うようだな。半溶解種……か」

 

……半溶解種?

イカルスはいきなり駆けだした。

 

「あっ」

 

「覚えてろよ!バーカバーカ!」

 

そしてその辺にあった自転車を奪って逃げていった。

 




ロメオの初陣でした。相手が擬人化していることもあり躊躇がきいてる感じです。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想・評価お待ちしております。
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