町暮らしのゾロアークとルカリオ   作:ムラムリ

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ゾロアークとルカリオの出会いの話。時系列としては一番最初。


フライドポテト

 気付けば、あのつまらない群れを出てから季節が二回も巡っていた。

 毎日毎日当番を欠かさずに居るかも分からない外敵に対して幻覚を見せ続けて平穏を保ってる、ひたすらにのどかな群れ。

 退屈さと外への興味を抑えきれずにひっそり外へと出ていった俺の事は、今になって思えば気付かれていたのだろうと思う。

 一定数俺のように外に出ていく奴も居る。それを、年長の奴らは知っていた。

 今となっては多少懐かしさも覚えるが、まだ戻る気にはならない。

 人間の言葉や習性だって覚えられたし、美味いお零れを貰える事だって増えて来た。

 けれど問題は、敵を騙す事に長けたゾロアークという種族は、人間から良い目で見られない事も多いという事だった。

 

 人間の言葉や習慣を覚えた街にはもう居られなくなってしまった。

 俺が可愛い姿に化けて色々お零れを貰っていた事が街中の人間にばれてしまって、そこに悪タイプを毛嫌いするような人間も混じっていたからさあ大変。

 俺自身そんな奴が変化した俺に良くするのを面白がっていたのもあって、そりゃあもう、激怒も激怒でとっちめようとするソイツを周りの人間が宥める始末で。

 これからもいつも通りには暮らせないな、と争って手に入れた寝床も放って出る事にした。

 学習した事は幾つか。

 人間の街には美味いお零れを貰って飢えているポケモンは少ないし、命の奪い合いまでは余り起きない。

 それに何より、苦手な虫が少ない。元々の群れでも狩りに出たりした時の一番の怪我や死ぬ原因は虫だったし。可愛い顔してえげつない攻撃をしてくるフェアリー系から鍛え上げた肉体一つでボコボコに出来る格闘系は結構居るけど、そいつらは基本弁えてるし。

 ただ……やっぱり騙し続けるのはあんまり良くない。お零れを貰う側でも手伝いをしたりモフモフさせたりだとか、そういう見返りは渡さなきゃいけないし、そういう信頼関係って言うモノはかなり重要だ。

 だから、次に住処とする街では出来るだけ化けたくはないな、と思った。とは言え、騙す事が生業みたいな俺がそんな事実現出来るとは正直余り思えなかったけど。

 

*****

 

 生まれついて備え付いた自分の目の能力は、余り好きじゃなかった。

 弱肉強食が蔓延る自然の中じゃ、断末魔を聞く事も少なくない。取り分け、俺の目はルカリオと言う種族の中でも感度が良いらしくて、遠くからでもその死に際の誰かが放つ絶望を強く身に受けてしまう事が多かった。

 いつになっても慣れないそれから耐えきれずに親元を飛び出したのは、自力で腹を満たせるようになってからすぐの事だった。

 そうして人里に混じって暮らすようになった訳だけれど。

 確かにここは、そんな断末魔を感情もろとも身に受けてしまう事はない場所だ。でも、食べていくには森の中で適当に生えてる木の実を食べたりだとか、そんな単純にはやっていけない場所でもあった。

 それに、俺を捕まえようとしてくる人間も多かったり、俺を騙して来ようとするような人間も多かったりして。

 苦しくないけれど、やりづらい場所だった。

 

 人間の言葉は複雑だ。「ワウ!」とか「グゥ!」とかしか言えない俺よりも数多の音を口から出して、それで一方的に喋ってくるもんだから、本当に分からん。

 そんな俺が人間からお零れを貰える方法なんてとても限られていて、空腹に耐えかねて酸っぱい臭いの残飯を漁った事もぼちぼち。酷い下痢になってからは流石に街から出て木の実を食べたり、したくない狩りをするようにしたけれど。

 けれど、それでもあんな小さなボールに入れられて人間と共に暮らす気にもなれなかったし、断末魔が否が応でも目に入ってくる森の中よりは、やっぱり街中の方が良い。

 でも、やっぱりやりづらい事には変わりなくて。波導で良い人か悪い人かの区別とかはついても、人の言葉も一向に覚えられず。

 俺の他に街で暮らしているポケモン達は、毛並みを良くしてひたすらあざとくしていたり、電気を盗んだり、水と光合成だけで基本は生きていたり、ゴミを嬉々として食べたりと、俺には出来る事でもなく。

 どこに行っても生きづらいなぁ、とぼんやりして過ごす日々が段々と増えていった。

 

*****

 

 その街に着いたのは夏の初めだった。

 中々に規模の大きい街で、野良として過ごしているポケモンも多い。多少ぶらつくだけでも過ごしやすそうな街だと思えた。

 ただ、それでも肩身の狭い思いをしているポケモンもぼちぼちと見かける。

 悪タイプのポケモンはやはり少ないし、見てもヤミカラスとかそんな、街に居ながらも人間と関わりを大して持たずに暮らせている奴が多い。

 ……やっぱり、俺みたいな種族も受け入れてくれるような街は早々無いのかもしれないなあ。

 三つ四つ巡ってみたが、どれも似たような感じだった。

 悪タイプで人間の街に馴染んでいるのは、殆どがボールに入る事を受け入れている奴ばっかりだ。ゴミ漁りをしていたヤミカラスが殺されているのも見た事あるし。いや、それはまあ、何度も派手に散らかしていたそいつ自身が悪いんだろうけど。

 まあ、それでも何日か滞在してみようと思ったその矢先、俺を奇妙な目で見てくる奴に気付いた。

 俺と若干姿形が似た、確かルカリオとか言う種族。毛並みがそんなに整ってないし、肉付きも痩せ型なところから、この街の野良だろう。

 大して詳しい事は知らないが、何か相手の感情を読み取るとか、そんな能力を持っているとか聞いたような。……もしかして、俺が化けている事を分かられている?

 ……そんな予想が立ってそくささと逃げたその時は、こいつと長い付き合いになるとは全く思っていなかった。

 

 余所者である俺が初日からお零れを貰う為に出来る事と言えば、やっぱり人間を騙す事しかなかったりする。

 もう少し細かく言えば、そこに元から住んでいる毛並みの良さそうな野良に化けて、お零れを先んじて貰ってしまうという。

 恨みを買う可能性は十分にあるが、別にそんな長居するつもりもなかったし、ばれたところで何にでも化けられる俺は逃げるのも容易い。

 ただ、あのルカリオの事が脳裏にチラついた。アイツが居る限り、俺の化ける能力は役に立たない。この街の野良達がどんなパワーバランスなのかも分からないし、ちょっと躊躇う。

 どうするべきかな……。腹も減って来たし、虫の多くなって来たこの季節に俺だけで野宿するのも嫌だ。

 残飯漁りなんて事もしたくねえし、泥棒はリスクがもっと高いし。

 ウンウン悩んでいても仕方ない。取り敢えずはもう少し街を巡ってみるとするか。

 そうして、ひょいひょいと家々のベランダやら排水管やらを伝って屋根にまで登るとそのルカリオが付いて来ている事に気付いた。

 俺が入った裏路地を覗き込んで、誰も居ない事にあれ? と首を傾げている。

 害意は無さそうだが、別に付き合う必要もない。そうして賑わいのある方へと向かった。

 

*****

 

 波導の表す形と実際の形が違う生き物なんて、初めて見た。

 じろじろと見られている事にそのフォッコが気付くと逃げてしまって、ちょっと気になって追ってみる事にした。

 そもそも、ここ辺りでフォッコなんて余り見かけた事なかったのもあった。

 けれど、路地裏に入ったところまで追いかけたら、唐突に姿を消していた。

 波導を感じてみたら……上? フォッコって、こんな壁とか伝って登れるポケモンだったっけ?

 やっぱり実際の形と波導の形はかなり違うし、アレ、メタモンみたいな別のポケモンだったりするのかな。

 好奇心がどんどん湧いてくる。が、気付けばひょいひょいとかなり速いスピードで賑わっている商店街の方へと向かっていた。

 誰であれ、食べ物が欲しい事には変わりないみたいだし、追ってみてみよう。見失っても、あんな特徴的な波導をしているならすぐにまた見つかるだろうし。

 

「あっ、お前! 今日こそ僕の手持ちになって、おい、逃げんなー!!」

 何言ってるかはそこまで分からないけれど、どうせ今日も無謀に俺を捕まえようとしてきているんだろう。

 今忙しいの。パス。

 けれど、そのフォッコは屋根伝いに走っているからか、すぐに見失ってしまった。

 屋根と屋根の幅が広いところもぼちぼちあるはずだろうに、やっぱりアレはフォッコじゃないと思う。

「まてー!! 勝負しろー!!」

 そもそも、まだ育ってないポッチャマとバチュルしか持ってないのに。街の外で同じようにけしかけたら、最悪死ぬと思うんだけどな。

 まあ、そういう人間の緩さを俺は気に入ってるんだけど。

 声も遠ざかっていって、商店街も近付いて来るに連れて段々と人も増えて来る。

 色んな服装をした人達。居過ぎるとその沢山の波導に酔ってくるけれど、不快な波導は殆ど感じないし、お零れを貰える機会も多い場所。

 ただ、それと同時に俺を捕まえようとしてくる人も中々に多くて、好き好んで近寄りたい場所でもなかったりする。

 さて……この近くにやって来ていると思うんだけれど。

 波導の目を集中させて、けれどやっぱり人が多い。いや、実際の姿と違う波導をしているポケモンを見つければ良いだけだ。

 電柱にしがみついてるデデンネ、屋根の上であざとい素振りをして露骨に肉をねだっているシシコ。ここらの野良のボスとも言って良いエーフィがそのシシコを咥えて引っ張っていった。相変わらず野良とは思えない毛艶だ。

 するりするりと人混みをかき分けていく。

「久しぶりだな、お前。また腹空かせてるのか?」

 そう言う、シシコにねだられていたでかい肉を串に刺して売っている露店の店主は俺に対しても陽気に話しかけてくるが、俺に一日中売り子をやらせた分にしては少な過ぎる肉しかくれなかったドケチである。

 しかし、ただ焼いただけではなく、色々に草やら粉やらを塗して香ばしく脂でテカテカになっているソレは口から自ずと涎を出させるには十分過ぎるもので、そういうところも分かっていてやっているとしか思えない。

 腹空かせててもアンタは大して物くれないじゃないか。

 空いてない訳じゃないけど首を振った。

 安っぽい、はたまた胡散臭いアクセサリー屋をガラス越しにキラキラした目で眺めているガバイド、それを引きずっていく女の人。ヤミカラスが果物屋に目線を定めている。それに対して飛んできたら撃ち落とそうと構えている果物屋のガントル。

 ヤミカラスに盗られなかったら褒美をあげると言われて見張り番をやった事はあるけれど、一匹でも漏らしたら一気に貰える量が落ちたし、一日中気を張っているのはそれ以上に疲れる。

 結局、俺が人間の下に居ないって事は、人間からの信頼を得辛いって事なんだよな。だから貰えるものも少ない。

 何もしてないのに気落ちしてきた。

 

*****

 

 中々に賑わいを見せるそこでは雑多な人に紛れて、盗みをしようとか、それともお零れを貰おうとか、そんな野良のポケモンもちらほらと見える。

 けれど、それに対して人間の方もしっかりと守りが固い。

 あざとく自分を見せようがそれに買った物やらを渡す人間も少なければ、電線の上で肉や果物を狙うヤミカラスやらも誰も盗りに行こうとしない。

 そんな中、シシコを咥えたエーフィが人混みをするりするりとすり抜けていくのが見えた。

 そして目の前から歩いて来ていた大きな荷物を抱えている家族の、肉串に齧り付きながら歩いている子供が唐突にこけた。

 最悪串刺しになろうとするその肉串と子供が、地面に落ちる前にエーフィの念力で止まった。目の前にやってきた肉串にシシコが齧り付く。

 ……あれ、エーフィがこけさせただろ。

 殺されかけて助けられたなんて事を全く知らずにその両親がエーフィに感謝する。

 やっぱり、エスパータイプって便利だよな。

 そんなのを眺めていたら、いきなりそのエーフィが俺の方を向いて来た。

 肉串をがじがじと貪るシシコを間に置いて、じっと見つめ合う。俺の正体にもばれているのか、それとも俺が化けているフォッコが単純にここらに居ないポケモンだからか、どっちだろう?

 まあ、ともかく、アイツがここらのボスのようだな。実力もありそうだし、相性が良いとは言え敵には回したくないな。

 先にエーフィが顔を前に戻して歩き去っていく。

 その後、ルカリオを呼ぶ声が聞こえた。

 

 あいつ、俺を追いかけて来たのか。

 きょろきょろとしながら多分俺を探しているであろうルカリオは、店の人から呼びかけられたりしている。何人もの人から店番やらを頼まれて、その度に断っている。

 その割にはアイツ痩せてるよな……。良いように使われて、見返りが良くないんだろう。

 それでも、人間にそんな風に多少は信頼されているように見えるのは少し羨ましい。多少知恵が働けば損もせずに済むだろうに。

 ……あいつと居れば、俺は人間から信用されるだろうか? 俺自身が悪タイプである事に一々煩わしさを感じずに、街の中でその旨味を味わいながら生きられるだろうか?

 いやいや、そんな短絡的に決めるべきじゃないだろう。でも、中々に魅力的だ。

 その為にはあいつをもっと知らなければいけないだろうが、あの様子を見る限り、基本真面目なんだろうとは思う。それも多少馬鹿を頭に付けても良いくらいには。

 そんなルカリオは、程なくして俺を見つけた。

 逃げない俺に対して、きょろきょろと辺りを見回してからぐっと膝を曲げると、屋根やらベランダを伝ってひょいひょいと俺の元まで登ってくる。

 そしてフォッコの姿をした俺の顔を触ろうとして、そこに実際の顔がない事に驚いた。

 俺達が生まれ持つ能力は、幻影を見せるだけだ。その実際の姿形になる訳じゃないし、その姿の能力を使える訳でもない。

 ……ここで、この街に残ってみるかどうか決めてみるか。

 取り敢えずな、取り敢えず。

 人の多いこの場所で、ゾロアークと呼ばれる本来の姿に戻って、どういう反応が来るか。

 俺は宙返りをして、幻影を解いた。

 ルカリオが驚き、そして俺の顔をぺたぺたと触ってきたり、臭いを嗅いだり。何というか……初見の奴にする事か? これ。

 いや、その感情を読み取る力とやらで、俺の事を安全だとでも思ってるのかもしれない。

 それから人間達の方がざわつき始める。とは言え、不穏な感じじゃない。そっちに顔を向けると、珍しいものが居ると写真を撮る人間やらが大半、それから早速捕まえようとして来る人間がちらほら。

「ゾ、ゾロアーク!? ボクのパーティにぴったりだ!」

 そんな子供の声も聞こえて来て、ルカリオが気怠い顔をして立ち上がる。

「ウゥ?」

 そして来ないか? というようにルカリオが俺の手を引っ張って来た。

 ま、これでいいか。

 俺も立ち上がった。

「あ、逃げるなー!! ひきょうものー!!」

 そんな半泣きになっていそうな声を無視して、俺とルカリオは走り出した。

 

*****

 

 お腹が減って仕方がない、って事を久しく感じていない。

 明日は実入りが良くなくても商店街で働こうとか、恥を忍んで誰も見ていない事を祈りながら残飯漁りをしたりだとか、断末魔を強烈に感じながら狩りをしたり、珍しくお腹が満たせても明日も腹一杯まで食べられたら良いなあ、ってそんな空想を思い描いたり。

 ご飯に悩む時間も、とても減った。

 何から何まで、ゾロアークと呼ばれる彼のおかげだった。

 俺より強くて、俺より賢いゾロアーク。商店街で働く時も、喋れないのに人間と交渉して分け前を増やしたり、困っている人を探し出してご飯を貰えたり。お金の使い方も知った。

 なんだか、ハッピーって言うのはこういう事を言うんだろうなあ、と思う。

 ゾロアークが来てからもうひと月は経つ、夏真っ盛りな今日は祭りの日。色々手伝ったりして、お金や美味しいものを貰って。

 今はゾロアークがお金を使ってまた美味しいものを買いに行っているのを、屋根の上で食べ物が入った袋と一緒に待っている。

 ばさばさっ。

 翼の音がした。ヤミカラスか。

 ばさばさっ、ばさばさっ。

「ガァー、グァー!」

 うわ、数多い。いや、ちょっと待って。まずいってこれ!

 袋を抱えてどうしようか、くそ、人混みまで行くか? うん、それが一番良い。

 けれど、飛び降りようとしたその時、瓦礫がふわふわと浮き始めたのが見えた。

 なんだ? と思った時にはその瓦礫が凄い勢いでヤミカラス達に飛んでいく。

「ギャアッ」

「ゲェッ!」

 堪らず逃げていったヤミカラスの後にやって来たのは、エーフィ。後ろからシシコもやって来た。

 助けてくれたの、かな。

 瓦礫も落としてそのままエーフィとシシコは俺の隣に座る。

 えっと、えーっと……。これは、ご飯せびられているよなあ。助けてもらったけど、うん……。

 ゾロアークも両手に食べ物と飲み物を抱えてやって来た。

 

*****

 

 居心地の良さを肌で感じられる日々。幻影を使わない日々。力を抜いてゆったりと過ごせる日々。人を惑わすという俺を誰も訝しげな目で見て来ない日々。

 ここまでの日常がやって来るとは想像していなかった。

 どれもこれも、ルカリオが居なかったら、ルカリオと出会っていなかったら訪れていない。馬鹿正直で、だからこそ人から警戒される事のなかったルカリオ。そのせいで人から良いように使われて腹を空かせていたルカリオ。

 俺がそれに付いて行けば、俺もそんな悪い目で見られないし、騙される事もなくなった。

 ハッピーって言うのはこんな日常の事を言うんだろうなあ、と思いながら歩いていると、ルカリオが待っている方からヤミカラスの鳴き声がした。

 お、まずいな。

 食べ物を抱えながら屋根にまで駆け上がると、袋を抱えたルカリオと、その隣に座るエーフィとシシコ。

 そして散乱した瓦礫と、ヤミカラスの羽。

 ……ヤミカラス、お前が仕掛けたんじゃないか?

 そんな風にジト目でエーフィを見てみれば、エーフィが立ち上がって二又に分かれた尻尾の先を俺の方に出して来た。

 紙……? うわ、これ一番高額な札じゃねえか。

 逆に使い辛いんだよそんなモン。野良の俺達が持ってちゃ盗ったと勘違いされるに決まってるし、そこまで分かっててお前、これ渡してるだろ。

 でも、まあ。使い道が無い訳でもない。

 俺はそれを渋々受け取って、そして座った。

 ルカリオも座って、そして袋の中から色々と出し始める。

 肉串が出て来るとすぐさまシシコが飛びつき、エーフィは念力で焼きリンゴを口元まで運んでいく。

 さっさと取っていきやがったそいつらに唖然とするルカリオに、俺は持って来た冷たいジュースを頬に当てた。

「キャンッ!」

 可愛らしい鳴き声だこと。

 今度は俺がジト目で見られながら、ルカリオはそのジュースを受け取った。

 まあ許してやろうじゃないか。俺達は今、それらより美味いものを持ってるんだぜ?

 ひゅるるるる……。

 お、花火か。

 ドーーーーンッッ!! パラパラパラ……。

 特大な花火が夜空に浮かび上がる。

 取り敢えず、乾杯と行こう。

 ぺんっ、と紙コップ同士をやる気の無い音で打ち合わせ、そして買って来たフライドポテトを口に運ぶ。

 多少冷めてしまったであろう肉串や焼きリンゴとは違い、塩気が程よく効いた、まだ熱々なフライドポテト。

 花火を眺めながら、冷たいジュースを飲みながら食うそれは、今まで食って来た何よりも格別だった。




チキン・デビル後に誰が生きているか死んでいるかは決めてないけど、
肉を売ってたケチな店主は確実に死んでる。

エーフィ:
結構意地悪い事して飯食ってる野良。
実力は高め。

ネクスト

  • フライドポテト
  • カレー
  • クリームシチュー
  • ポフレ
  • SUSHI
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