アイドルマスターシャイニーカラーズ 短編集 作:むらくもさん
「夏葉(3歳)と太鼓の達人で遊ぶ」
夏葉が幼女になった。
なんの前触れもなく、昼休みに樹里と事務所に戻ってくると夏葉が幼女になっていたのだ。
「あ!ぷろでゅーさー!」
普段の夏葉からは想像できないような(まぁ普段の夏葉ではないのだが)舌っ足らずな声と無邪気な笑顔で駆け寄ってくる姿はこれ本当に夏葉?と思わなくもないが、やはりその姿を見ると夏葉なのだなと確信する。自分と夏葉の長い付き合いが、直感で彼女が夏葉だと告げている以上、それを疑う判断材料などなかったのだ……あ、一緒に戻って来た樹里が泡吹いて倒れた
「ぷろでゅーさー!みてみて!たいこ!たいこがあるの!いっしょにやろ!」
事務所の端に置いてあるのは太鼓の達人……それもかなり古い筐体だ。太古の達人ってか。てか何故?
疑問に思う間もなく、夏葉(幼)に手を引かれ、太鼓の達人をプレイすることになった
夏葉といえども今は幼女なので、当然選択する楽曲も童謡の難易度最低だ
「どんどんどーん!かっ♪かっ♪あははっぷろでゅーさー!たいこってすごいのね!」
幼女になっているので体格も普段のスタイルの良さなど何のその、果穂よりも幼い体つきではバチを振るのも中々大変そうだが、
それでも楽しそうに太鼓を叩く夏葉は、なんというか、年相応でありながらも「俺が知っている夏葉なんだな」と思わせる安心感があった
「うーん、わたしはのるま、たっせいできなかった……」
やがて曲が終わり、結果発表に移る。やはり簡単なものでも幼女化した夏葉にはなかなか難しかったようだ。ノルマを達成できず悔しそうにむくれている
だが、画面から流れてくるのは「もう一曲遊べるドン!」の声。当然だ。俺は大人なのだから、子供に合わせた難易度なんぞノルマ達成くらいは簡単にできる
「――!わぁ……!すごいっ!ぷろでゅーさーってやっぱりすごいのねっ!」
感激したように顔を輝かせて自分の腰めがけて突進してくる夏葉。感情が昂るのは子供のころからの癖だな?と思いつつ、ほら、まだ一曲あるよと促してあげるが、中々離れない。やがて夏葉は顔を上げ――
「……いつも、こうやってなつはのこと、ちゃんとみちびいてくれるぷろでゅーさーのこと、だーいすき!」
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「―――ロデューサーさま・・・・・・・」
……なにやら、声が聞こえる
「プロデューサーさま……そのようなところでお眠りになられては、風邪を引いてしまいます故……」
さらなる声と、肩をゆすられる感覚で目を覚まし、顔を上げる。横には凛世が居て、どうやら自分はデスクに突っ伏して寝てしまい、さらに言えばそんな自分を起こしたのが彼女だと分かった。時計を見れば業務時間はとっくに終わり、外は日が暮れかけていた
どうも定時まで仕事をこなした後、目の疲れに耐え兼ね目をつぶったところそのまま寝てしまったようだ……凛世に礼を言い、他の仕事にかまけてしまって付き添えなかったが放課後クライマックスガールズの今日の仕事はどうだったかを凛世に確認する
「問題はございませんでした……むしろ、予定よりもかなり早くお仕事が終わり……はづきさんにも許可を取り……空いた時間で……皆さまと昼食と、ちょっとした散策をしていたほどで……」
皆さまももう帰ってきていて、帰り支度が終わり次第帰宅する予定です、と続ける凛世の奥で、事務所の扉が開いた
「凛世、皆も準備できたわ。プロデューサー起こしたら帰り…ってあら、おはようプロデューサー。よく寝てたわね?」
入ってきたのはいつもの夏葉だった。夢で見た幼女とは違う、大人の健康的な色気と美しさ、それでいて少女っぽさを兼ね備えたいつもの夏葉だ
「プロデューサーったらすごかったのよ?それはもうぐっすり寝ちゃってて、しばらく突っついても全然起きないの!しょうがないから支度だけ済ませて、それまでに凛世が起こせなかったら樹里と私で無理やり起こすところだったんだから」
そこまで寝入っていたのか、と驚くとともに、夏葉にも申し訳なかったと伝えると、夏葉は呆れたように笑った
「いいのよ、貴方はいつも仕事をしっかりこなしてるし、自分の疲労も推して私達の為に頑張ってくれてるんだから。でも、自己管理は大人の義務よ?休める時はしっかり休んで、間違っても倒れたりなんてしないで頂戴?」
そう言われてしまってはぐうの音も出ない、同意の意を示して、ついでに今日は皆で自由時間に何をしたのか軽く聞いてみることにした……
「え?散策してた時?昼食をとってからちょっと……そうだわ、ゲームセンター行ったのよ。私ああいった所に行くのって正直初めてで――あ、そうそう」
「―――太鼓の達人って、すごいのよプロデューサー!!」