冥土   作:にに(ににんがし)

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魔女

私の名はパチュリー・ノーレッジ、吸血鬼のレミリア・スカーレットとは腐れ縁でこの紅魔館にある、大図書館で昼夜問わず本を読み、新しい魔法を創ることを生き甲斐としているしがない魔法使いだ。

私が何故こんなところにいるのかということを説明するとなると、1日では足りない程色々あったので、簡単に説明すると、魔女狩りに追われていた私をレミィが拾ってくれてすったもんだの末にこの図書館に住み着いて本の虫となっている。

まぁつまらない私のことは置いておいて、次はこの図書館のことを話そうと思う。

 

この図書館、名前は無いので私は勝手に大図書館と呼んでいるが、正にその名前に相応しい程の蔵書量を誇っていると思う。

高度なグリモワールをはじめ、小説や哲学書など様々なジャンルの本が所狭しと並んでいる。

実はこの図書館、本当はそこまで広く無かった、今でこそ全ての本が綺麗に本棚に収まっているが、昔は本の量はそのままで場所だけが今の大体二分の一程の大きさだったのでそこらじゅうに本が溢れていた。しかしある時、具体的に言うと、咲夜がここ紅魔館に来てからその問題は解決された。

 

咲夜はこの紅魔館が誇る至高のメイドである、人間なのだが、『時を操る能力』というとてつもなく強力な能力を持っていて全てのことを完璧にこなす正に瀟洒という言葉がぴったりなメイドなのである。

このことについては主のレミィをはじめ、館の全ての者が認めている事実である。おっと…話が逸れてしまった

 

話を戻そう。

咲夜はその自身が持つ時に関する能力を余すことなく使いこの図書館の空間を広げて見せた。

 

時を操るということは空間を操るということと同意義なので空間を操って広げたのだという。他にも彼女は時に関する事なら何でも出来ると言う。

例えば、時を加速させたり、逆に極端にゆっくりにしたり、時間を遡ってみたりとかなりやりたい放題である。だが咲夜はあまり過剰に能力を使おうとしない。

使ってもせいぜい時間停止と決まった範囲での時間の加速のみ。

その気になればレミィや私を殺すことさえ簡単に出来るはずなのだが彼女は頑なにそれをしようとしない。

以前それとなくそのことについて聞いてみたのだが、曰く疲れるから、だそうな。

これを聞いた時は結構びっくりしたものである。

 

ガラガラガタンドサッー

遠くからとても大きな倒壊音と可愛らしい悲鳴が聞こえた。

……どうやら私の可愛い小悪魔が本棚を倒してしまったらしい。

後でどうお仕置きしてくれようか…まぁそれは置いといて小悪魔1人に片付けを任せるととんでもない時間がかかってしまうので私は咲夜を呼ぶ事にした。

図書館の机に備え付けで置いてあるベルをチリンと短く1回鳴らす、すると音もなく咲夜がそこに立っていた。

相変わらずえげつない登場の仕方をしてくる。

「何か御用でしょうか?パチュリー様」

毅然とした顔で私にそう聞いてくる咲夜

「ええ小悪魔が本棚を倒してしまったみたいで、申し訳ないんだけど片付けを手伝ってあげてくれる?」

「かしこまりました」

 

私が用件を伝えると再びその場から消えてしまった。

とりあえず咲夜が来たのだからもう大丈夫だろう。私は小悪魔に対するお仕置きを考えながら閉じてしまっていたグリモワールを開いた。

 

 

 

 

私は今、図書館のベルがなった気がして時間を止めて図書館の方に来ている。

すると案の定、パチュリー様が呼び鈴を持って遠くで1人本棚の整理をしている小悪魔のことを見ていた。多分あれを手伝わせるために私の事を呼んだのだろう。

正直なところあれを手伝うのは面倒くさい。私だっていくら時が止められるとしても人間であることに変わりはない。それに他にやらなきゃいけないことが沢山あるのだ。

しかしここで断ってしまっては紅魔館のメイド長の名が廃ってしまうので面倒くさいということが顔に出ない様にして丁寧にパチュリー様に用件を聞いた。

 

「何か御用でしょうか?パチュリー様」

「ええ小悪魔が本棚を倒してしまったみたいで、申し訳ないんだけど片付けを手伝ってあげてくれる?」

…やはり片付けであったか…私は今にも崩れ落ちそうな膝を一生懸命に支え短くかしこまりましたと返事をして時を止めてさっさと現場に向かった。

 

現場について私が目の当たりにした光景は想像以上だった、まず本棚、ドミノ倒しの様に2、3個倒れている、次に本棚に入っていた本、こちらはかなりぐしゃぐしゃに散らかってはいるものの本自体はパチュリー様の保護魔法によって傷一つない状態で保たれていた。

そして最後に本棚の下などに積もってしまった埃。多分これが一番酷い、普段余り掃除できていないことに加えて本棚が倒れた時の衝撃で埃が舞い上がってしまっている。

普通に片付けていたらまず、間違いなく今日中に終わらない状態だった。そうー普通ーにやれば。

 

残念というべきかわからないが私十六夜咲夜に余り常識は通用しない。私はとりあえず本の山に埋まっている小悪魔を見つけて引っ張り出し、壁にもたれかけさせておいた。

そして次にポケットから懐中時計を取り出す、別段この懐中時計に特別な機能は備わっていないのだが戒めと雰囲気作りにために持っている。

そして小さく息を吸って「時間遡行」と呟いた。

するとみるみる本棚や本は元の位置に戻っていき、やがて普段通りの図書館に戻った。

ー時間遡行ー私の出来る事の一つである。

普段は疲れるからといって余り使わないが、別段疲れたりはしない。

唯、単純に人間として超えてはならない一線を守るために使わないのである。しかし、人目がつかないところでかつ小規模な範囲でのみ今回の様に使うこともあるが。

兎に角、一応パチュリー様の命令をこなしたので一度報告に行かなくては。

そう思って私は再び時を止めてパチュリー様の元へ向かうのであった。

 

 

 

 

パチュリーが本を読んでいると目の前に人の気配を感じた。

ふと視線を上げてみるとそこには先程本棚の整理を頼んだ咲夜がいた、それほどまでに本の内容に没頭してしまっていたのかと思うパチュリーだったがめくったページの数から考えてもまだ時間は余り経過していなかった。

どうやら咲夜はパチュリーが思っている以上に素早く仕事を済ましてしまったらしい。

「ご苦労様咲夜」

労いの言葉をかけるパチュリー、すると咲夜は微笑みながら軽く会釈をした。

少しの間流れる静寂、そして突然ああと言って何かを思い出した様子の咲夜、慌ててパチュリーに何かを伝えようとしていた。

 

「すみません、パチュリー様伝えなければならないことがあるのを忘れていました」

「伝えなきゃいけないこと?」

首を傾げながら聞いてくるパチュリー

「ええ、お嬢様が本日の夜、大広間に集まる様にとおっしゃっていました」

「レミィがそんなことを?何か伝えることなんてあったかしら?」

「私も詳しくは存じあげませんが大事な用件なので必ずくる様にとのことです」

必ずというところを少し強調していう咲夜、パチュリーは了解したのか、そうと短く返事をして目線を咲夜からグリモワールへと移した。

すると咲夜は失礼します一言呟いてから一瞬の内に消えた。

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