女だらけの世界に男一人だけ放り込まれるとかどうかしてるぜ 作:アインスト
早速ほんへ、どぞー。
あれからしばらく走ること数分。
そこそこ大所帯になったが移動はスムーズに進んだ。
気づけばそこにはもう出口が見えている。
「見えたぞ、あれが出口だ!」
「よっしゃあ、ウチが一番乗りぃ!」
「あれ‥‥‥ちょっと待ってください、誰かいますよ?」
「───あれは!」
あと一歩、というところで出口の前に先回りしたであろうショチョーが立ちふさがっていた。
俺たちを睨みつけるその目は、獲物を狩る者の目をしている。
「‥‥‥やはり来たか」
「ショチョー‥‥‥このルートを使うことを読んで先回りしていたとはな」
「やぁやぁ、相変わらず仕事熱心やねぇ。頑張るやないの、ショチョー」
「ふん、舐めた口を‥‥‥よく見れば珍しい組み合わせじゃないか。それに‥‥‥貴様も」
「覚えていてくれて光栄だ、ショチョーさんよ」
「まさか貴様もガンタイ共と行動していたとはな。貴様も、出るつもりか?」
「当然だ、一応無駄だと思うがアンタも来るか?」
「断る。ゆえに私は貴様らを止めなければならん」
フェイスカバーを開き、タバコを一本吸おうとした瞬間、咥えていたタバコがショチョーの放った一発の弾丸によって飛ばされる。
「‥‥‥ったく、ゆっくりタバコも吸えやしねぇ」
「あとで吸ったらええやんそんなの。しっかしこれでショチョーも見納めかぁ‥‥‥ちょっとだけ寂しい気もするなぁ」
そう言いながら抜刀するクイーン。
すでに臨戦態勢のようだ。
「それ、刀を抜きながら言うことじゃなくないか?」
「それ以前に突っ込むポイントがあるだろう!?いつもショチョーショチョーと連呼してぇ!!いい加減やめないかその呼び方ァ!」
「またまたぁ、照れてるんですかショチョーさん?」
「ショチョーはそつなく仕事こなしてるぇ?もっと自信持ちって」
「そういう訳ではない!ちゃんと話を聞け!自分にはれっきとした───」
「役職名以外に何か良い呼び名、あるか?」
‥‥‥なんだろうな。なんとなーく、盛大にすれ違ってる気がする。
そう考える俺をそっちのけで呼び名を考えていたガンタイたちが、ショチョーの秘密を露呈させてしまったのはご愛嬌。
ジャージ着てちゃ悪いかよ!と若干涙目だった。
「ま、冗談はその辺にしといてやな‥‥‥ショチョー、そこ通してくれへん?」
「ふん、そう言われてはいそうですか、とすんなり通す自分だと思うか?」
そう言ってショチョーはホルスターから一挺の武骨な自動拳銃を抜き、臨戦体勢へ。
相対するガンタイたちも交渉を諦め、各々の武器を取る。
俺もそのまま腕からBLADEトリガーを取り出し、瞬く間にアサルトライフルへと形を変える。
「どうやら、やはり敵対するしかないようだな‥‥‥」
「わかりきってたことやろ、ガンタイ。しかしこんな場面になっても仕事を全うするとは‥‥‥やっぱりショチョーはクソマジメやねぇ」
「ま、制圧あるのみですよ。ニョキニョキにしてやりましょう、お姉様!」
ニョキニョキ‥‥‥?そこはボコボコにしてやる、とかじゃないのか?
「ショチョー、貴女にあまり恨みはないが武器を構えた以上容赦はしない!」
「ウチもあんまないけど、覚悟しぃや!」
「あ、そういえば私もそんなにですね‥‥‥まぁいっか!」
「お前らなぁ‥‥‥まぁいい、悪いがここを通るためだ。行くぞ」
「いちいち緊張感を失わせる奴等だな‥‥‥気がそれる個々の印象を漏らすぐらいなら向かってくるな!このバカ共がぁぁ!!」
「行くぞ──押し通る!!」
戦いの火蓋が切って落とされる。
まず先制でクイーンが自前の刀で斬りかかるが、ショチョーは容易く鞭でいなす。
その隙を埋めるようにシンイリがグレネードを投げるが、これも撃ち落とされる。
「今のを反応するんですかっ!?」
「甘いぞ貴様らぁ!」
「アホぉ、避けれ!」
「アホって言わないでくださいよ!」
反撃と言わんばかりのバースト射撃を間一髪で避けるシンイリ。
避けた際の隙をカバーするべく、俺も前に出て応戦する。
「食らえッ──!!」
「っぐ、散弾か─!」
「まだあるぞ、持っていけ!」
「ちぃっ!」
ショットガンからアサルトライフルへと形を変え、素早く連射するがショチョーは軽い身のこなしで次々と避けていく。
やはり伊達に署長を名乗っていないだけある。
「いい加減に、しろっ!」
しびれを切らしたショチョーが自動拳銃のセレクターを変更し、単発弾をクイーンに直撃させる。
するとどういう事だ。クイーンの身体に電流が流れ、一時的に動きを止められてしまっていた。
「しびびびびびっ!?!?」
「クイーン!?」
「だっ、大丈夫や!ま、まだ痺れんねんけどこれ!?」
「まさか‥‥‥パラライズバレット!」
「ご名答っ!」
続けてシンイリへと撃ち込もうとするが、俺が前に出て庇う。
直撃した際、思いの外熱量が高く、一瞬でオーバーヒートしてしまった。
「さ、サムさん!なんか背中がぐるぐる回ってますけど大丈夫ですか!?」
「問題ねぇよ、ただのオーバーヒートだ!すぐ収まる!」
反撃にヘビーマシンガンの弾丸をばらまき、オーバーヒートから回復する時間を稼ぐ。
「ほう‥‥‥なかなかやる!」
「私を忘れてもらっては困るな!」
「─ッ!」
右方からガンタイがナイフを構えて距離を詰める。
これもギリギリで鞭を使いその一撃をいなす。
「これもか‥‥‥!」
「舐めてもらっちゃあ困るんでな!とっておきだ、貰っていけ!」
再度ショチョーが自動拳銃のセレクターを変更し、ガンタイにゼロ距離でバースト射撃を行う。
だが、その一撃一撃が先程と比べ物にならないほどの威力を吹き飛ばされ苦しむガンタイがそれを物語っている。
「ぐ、あ‥‥‥」
「どうした、ここから出るんじゃないのか!?貴様らの気概はその程度か!!」
「お姉様!今助けます!」
「カバーしてやる!行ってくれ!」
ダウンしたガンタイをシンイリが回復させている間、俺は遠距離から、クイーンは近距離からカバーする。
「あぁもうけったくそ悪いっ!ここまでクソマジメでなくてもええやん!」
「あいにく職業柄でな!」
「ぬがーっ!ムカつくでホンマにぃ!」
「下がってろクイーンッ!」
「おわっとぉ!?」
クイーンの背後につくようにブーストで高速移動し、その勢いを殺さずショチョーにドロップキックを浴びせる。
流石に予想外だったのか、まともにくらったようで若干ふらついているようだ。
「がっは‥‥‥貴様ァ‥‥‥!」
「ガンタイ!」
「──見えてるさ」
「──ッ!?」
俺の一声で後方から旧式拳銃で狙撃するべく構えているガンタイ。
まさかここまでしてやられるとは思っていなかっただろう。
ガンタイが発砲した瞬間、アクティブARモードを起動し、すんでのところで首を倒して放たれた弾丸を通してやる。
その弾丸はショチョーの自動拳銃を持つ右肩へと吸い込まれるように直撃し、痛みに自動拳銃を取りこぼすショチョー。
「ぐぅっ‥‥‥!」
「終わりだショチョー。貴女の負けだ」
「くっ‥‥‥調子に乗りおって‥‥‥!」
「まだ余力があるようだが本当にこれで終わりだ──さらけ出せ、その心‥‥‥失われし鎖の欠片を今、この眼に示せっ!!」
その直後ガンタイが己の右目を閉ざしていた眼帯を外すと、その内には金色に輝く眼が存在しており、力強く煌めいたかと思えば数秒‥‥‥いや、数十秒経ったであろうか。
突如ショチョーがビクビクと身体を痙攣させ、あっさりと膝をついてしまったのだった。
「ガンタイ‥‥‥お前今何を?」
「あぁ、サムには言ってなかったか。これは私の右目の力でな‥‥‥この眼でショチョーを"視て""辱しめ"、"屈服"させたんだ」
「‥‥‥何だって?」
「サムさんもくらってみたらどうです?」
「絶対にノーだ、お断り。俺みたいなのを辱しめて楽しいのかよ?」
「ふむ‥‥‥通常のカハヴとは違うサムを‥‥‥いいかもしれんな」
「バカ、やめときって」
「冗談だクイーン。仲間に使うほど落ちぶれてはいないさ」
「ならええんやけど‥‥‥ヘンタイやからなぁ‥‥‥」
「?自分はガンタイだが?」
「あぁもう‥‥‥」
ガンタイの間の抜けた返答に、一人頭を抱えるクイーン。
すると落ち着いたのかショチョーが吹き返し、ぎろりと睨み付ける。
「き、貴様ら‥‥‥」
これは、かなりマズイのでは?
続く
という訳でvsショチョー回でした。
次回、ようやくシャバへ。
では次回更新でお会いしましょう。
ではでは( ´-ω-)ノシ