「前回はレイちゃんがアカデミアに来たよ!」
『直ぐに帰ることになったけどね』
現実は残酷である。人が思い描く理想や夢は殆ど叶わない。翼もその現実に打ちのめされてきた一人だ。性格はちょっと気弱な男の子なのに何時も女の子に間違えられてしまう。だがまだそれらは立ち直れるものであった。
「ううっ…」
しかしレイは違う。男装をして難関試験に合格して想い人に告白しに来たのにあっさり振られたのだ。心の傷は翼の想像を絶するものだろう。今もレイはベッドの上で枕を涙で濡らしながら塞ぎ込んでいる。
後に翼が明日香から聞いた話だとカイザーは、今は
「どうすれば元気になるんだろう…」
『やっぱ
翼がどうすればいいのか悩んでいるとヴェーラーが提案してきた。
「決闘?」
『うん、失恋なんて楽しい決闘をすれば直ぐに忘れるさ』
「そうかなぁ…」
どうにもそうとは思えない翼だった。だがそれ以上の案が思いつかなかったためそうすることにした。
「ねぇ…レイちゃん」
「…なんですか?」
翼の声に振り向いたレイの顔には涙痕が残っていて、目には涙が溜まっていた。とても
「あ、あのー…今から
それでも翼は勇気を出して言ってみた。
「…なんでですか?」
「う…いや、その…新しいカードをデッキに入れてみたから、人と
デリカシーがないお願いだと重々分かっている。しかしレイが元気になってくれるならと思う翼だった。
「…いいですよ」
するとレイは渋々了承してくれた。
「これで本当に大丈夫なの?」
『大丈夫、あとは失恋のことなんか忘れるくらいに真剣で楽しい
「うん…」
ヴェーラーは大丈夫だと言うが翼は不安だった。そして二人は部屋の外に出て、前に十代と翔が
『手加減しちゃダメだよ』
「分かってるって」
翼とレイが
「さあ、レイちゃんいくよ!」
「は、はい」
「「
「先行はレイちゃんからでいいよ」
「うん、ボクのターン、ドロー」
レイが自分を手札を見て口元が綻んだ。
「《恋する乙女》を召喚!」
召喚されたのは可愛らしい人形のように小さな少女だった。
《恋する乙女》
効果モンスター
星2/光属性/魔法使い族/攻400/守300
このカードはフィールド上に表側攻撃表示で存在する限り
戦闘によっては破壊されない。
このカードを攻撃したモンスターに乙女カウンターを1個乗せる。
「可愛いモンスターだね」
「ターン終了」
「僕のターン、ドロー!」
翼は可愛いと言ったものの《恋する乙女》に最大の警戒している。普通の
「僕は《ドラグニティ-ジャベリン》を召喚、ターンエンド」
だから翼は金色の小型龍を一体召喚しただけでターンを終了した。
《ドラグニティ-ジャベリン》
効果モンスター
星2/風属性/ドラゴン族/攻1200/守 800
このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、
墓地へ送らずに装備魔法カード扱いとして
自分フィールド上の「ドラグニティ」と名のついた鳥獣族モンスター1体に装備できる。
「ちょっと!どうして攻撃してこないの!?」
するとレイの方から突っかかってきた。
「だって攻撃力400のモンスターに伏せカードもなし、モンスターの効果も分からないのにそう簡単には攻撃しないよ」
「…ボクのターン、ドロー。カードを伏せてターンエンド」
明らかに不満そうな顔をしながら例はカードをドローし、カードを伏せただけでターンを終了した。翼は《恋する乙女》は攻撃されることにより効果を発揮するモンスターだと確信した。
『ちょっと、もっと攻めていきなよ』
翼がここからどうやって勝利していくか考えていたらヴェーラーが注意してきた。そう、この
「う…僕のターン、ドロー」
それに気づいた翼は改めて手札を見た。どうやればレイを元気にさせられる
「僕は《ドラグニティ-ミリトゥム》を召喚!」
今フィールド上に出したモンスターは《ドラグニティ-ミリトゥム》、このモンスターは装備されているドラグニティモンスターを特殊召喚する効果を持つ。そして《ドラグニティ-ジャベリン》は破壊されたとき場のドラグニティ鳥獣族モンスターに装備される効果を持つ。このままバトルに入り《ドラグニティ-ジャベリン》に攻撃させる。もし伏せカード、もしくは《恋する乙女》の効果が攻撃してきたモンスターを破壊する効果であれば場を整えられる、とレイが分析するかどうかはわからないが自分がそう考えているかのように見せておく。それに仮にも恋と名についているモンスターだ、破壊効果ではないということは分かっている。よって確実にこの戦法は裏をかかれる。そして《恋する乙女》の真価も発揮されることになるだろう。そうなればレイも少しずつ元気を取り戻し始めるだろう、と翼は手札を見て数秒で考えた。
「バトルだ!《ドラグニティ-ジャベリン》で攻撃!」
《ドラグニティ-ジャベリン》が《恋する乙女》に突っ込んでいった。伏せカードを発動する気配はない。となると攻撃に反応するカードではないかまだ発動の条件の整っていないカードなんだと翼は考えた。
「《恋する乙女》は攻撃表示の時戦闘では破壊されない!」
レイLP4000⇒3200
しかしレイのライフポイントは削られる。ただの破壊無効効果だけと思ったその時、翼の目にはあるビジョンが見えた。
「ん…?」
『きゃあ!』
『ギィ…』
『で、でももう大丈夫です』
『ギ…』
そのビジョンには攻撃したのを後悔する《ドラグニティ-ジャベリン》と心配をかけまいとする《恋する乙女》の姿が見えた。
「何あれ…」
『…恋する乙女って名前の意味が分かった気がする』
何かしらの効果があるとは考えていたがこんなビジョンまで見せるのかと呆気にとられてしまう翼とヴェーラーだった。ただこのビジョンは精霊の力を持つ者にしか見えないためレイは一体何に驚いているのか見当もついていない。
「そして《恋する乙女》に攻撃したモンスターには乙女カウンターは付く!」
《ドラグニティ-ジャベリン》乙女カウンター0⇒1
「何か嫌な予感がする…」
と言いながら狙い通りに事が進んだことに少し嬉しくなる翼だった。
『そう思って攻撃力の低い《ドラグニティ-ジャベリン》で攻撃したんじゃないの?』
ヴェーラーは翼の考えを察知していないようだ。それなら好都合、レイもそう思っているに違いないからだ。
「そうだね、僕はこれでターンエンド!」
「ボクのターン、ドロー!」
《恋する乙女》の効果を発動できたからなのかレイの声に元気が戻ってきた。
「《キューピッド・キス》を《恋する乙女》に装備!」
《キューピッド・キス》
装備魔法
乙女カウンターが乗っているモンスターを装備モンスターが攻撃し、
装備モンスターのコントローラーが戦闘ダメージを受けた場合、
ダメージステップ終了時に戦闘ダメージを与えたモンスターのコントロールを得る。
「《恋する乙女》で《ドラグニティ-ジャベリン》に攻撃、『一途な思い』!」
「えっ!?」
明らかに異常な行動に驚く、フリをする翼だった。装備カードがどんな効果かわからないが乙女カウンターが関係していることはわかる。
『この思い受け取って!』
今度は《恋する乙女》が《ドラグニティ-ジャベリン》に突っ込んでいった、乙女走りで。
レイLP3200⇒2400
するとまた先ほどと同じようなビジョンが見えた。
『ギィ!?』
『やっぱり私、あなたと一緒にいたい!例え敵同士でもあなたと共に居たい!』
『ギィ!』
《恋する乙女》が《ドラグニティ-ジャベリン》に思いを伝え、《ドラグニティ-ジャベリン》がその思いに答え《恋する乙女》に手を差し伸べた。
「《キューピッド・キス》の効果発動!乙女カウンターの乗ったモンスターのコントロールを奪う!」
「《ドラグニティ-ジャベリン》が!」
まさかコントロール奪取効果だったとは思わなかったが翼の狙い通り《恋する乙女》の真価を発揮させられた。レイが笑顔になっていくのが見えて安心した、もうこれなら本気を出してもいいだろうと思えるほどに。
『なるほどね…《ドラグニティ-ミリトゥム》で攻撃しなくてよかったね』
ヴェーラーが冷静に分析しているが明らかに翼と考えが噛み合っていない。
「これでターンエンド」
「僕のターン、ドロー!」
『このカード…』
翼が引いたカードはヴェーラーが渡したカードだった。それは下級ドラグニティの攻撃力不足を逆手に取ったカードだった。
「よし!」
『何か思いついたみたいだね』
翼はそのカードと手札のカードを見るとすぐに勝利の方程式が浮かんだ。
「僕は《ドラグニティ-コルセスカ》を召喚!」
《ドラグニティ-コルセスカ》
効果モンスター
星1/風属性/ドラゴン族/攻 800/守 700
このカードを装備カード扱いとして装備しているモンスターが
戦闘によって相手モンスターを破壊した場合に発動できる。
デッキから装備モンスターと同じ種族・属性の
レベル4以下のモンスター1体を手札に加える。
召喚されたのは鋭い刃のような角を持つ黒と紅色を持つ小型龍だった。このカードはもし伏せられているカードが翼の予想している効果であり、次のターンレイが自分の予想通りのカードを発動するのならばこのカードはレイの攻撃を防ぐモンスター、つまり壁役になり予想と違っていても別の役割ができるモンスターだ。
「バトル!《ドラグニティ-ミリトゥム》で《ドラグニティ-ジャベリン》に攻撃!」
また翼の目にビジョンが映った。《恋する乙女》がフィールド上にいるときのみ起きる現象なのかあの《恋する乙女》が精霊なのか分からないが単調なバトルしか見ていない翼にとっては少し新鮮な光景だった。
『この裏切り者、成敗してくれるわ!』
《ドラグニティ-ミリトゥム》は《ドラグニティ-ジャベリン》に持っている剣で切り付けようとした。
「そう来ると思ったよ。永続
レイが伏せカードを発動させると《恋する乙女》が《ドラグニティ-ジャベリン》を庇おうとした。
『だ、ダメー!!』
『なっ!?』
それに驚いた《ドラグニティ-ミリトゥム》は振り下ろそうとする剣の軌道の場所に《恋する乙女》が入ってしまったため剣を止めようとした。しかし攻撃の勢いは消せず剣は《恋する乙女》には当たらなかったものの身体同士がぶつかってしまった。
《ディフェンス・メイデン》
永続罠
自分フィールド上に「恋する乙女」が表側表示で存在する時、相手モンスター1体が自分フィールド上のモンスターに攻撃宣言をした場合、
その攻撃対象を自分フィールド上の「恋する乙女」1体に移し替える事ができる。
レイLP2400⇒1100
『なぜあんな奴をかばう!』
『うう…』
『ギィギィ!』
《ドラグニティ-ミリトゥム》は《恋する乙女》を責めたが《恋する乙女》が嘆く姿と《ドラグニティ-ジャベリン》が怒る姿を見て申し訳なさそうになった。
『わ、私は…その…すまない』
《ドラグニティ-ミリトゥム》は《恋する乙女》に謝り翼のフィールドへと戻っていった。
『本当、ご都合主義の少女マンガみたいだ』
その光景を見たヴェーラーが呆れていた。もし自分の効果が発動できたらと思わずにはいられない。ヴェーラーはこんなご都合主義よりもっとドロドロとした憎愛ものの方が好きなのだ。
「《恋する乙女》を攻撃した《ドラグニティ-ミリトゥム》に乙女カウンターが乗る!」
《ドラグニティ-ミリトゥム》乙女カウンター0⇒1
「やっぱりね」
本当に予想通りに事が進んで思わず声に出してしまう翼だった。
「え?」
『え?』
レイは翼の余裕綽々な表情に少し動揺してヴェーラーは
「僕はカードを一枚伏せてターンエンド」
「ボクのターン、ドロー!」
「《ハッピー・マリッジ》を《恋する乙女》に装備!このカードの効果で《恋する乙女》の攻撃力はコントロールを奪ったモンスターの攻撃力分アップする!」
《恋する乙女》に《ドラグニティ-ジャベリン》から出たオーラのようなものを受け取り攻撃力が上昇した。翼はこれも予想していた。なぜなら《恋する乙女》の効果を発揮するためには多大のライフポイントが必要だからだ。その理由は一つ《恋する乙女》の攻撃力が低いためだ。さらに相手が一気に攻撃力の高いモンスターを召喚すると手詰まりになりやすい。だから攻撃力を上げるカードを発動してくると読んでいた。
《恋する乙女》攻撃力400⇒1600
《ハッピー・マリッジ》
装備魔法
相手のモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する場合に発動する事ができる。
装備モンスターの攻撃力は、そのモンスターの攻撃力分アップする。
「《恋する乙女》で《ドラグニティ-ミリトゥム》に攻撃、『一途な思い』!」
『ミリトゥムさん、この思い受け取って!』
また《恋する乙女》が自分よりも攻撃力の高い《ドラグニティ-ミリトゥム》に攻撃してきた。このままではまたモンスターを奪われてしまう。しかし翼はすべてよよう通りに事が運んでいることに笑みを浮かべずにはいられなかった。
「かかったね、リバースカードオープン!《革命-トリック・バトル》!」
《革命-トリック・バトル》
永続罠
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスターと
相手フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスターが戦闘を行う場合、
攻撃力の低いモンスターは戦闘では破壊されず、
攻撃力の高いモンスターが戦闘によって破壊される。
レイLP1100⇒1000
翼が伏せカードを発動した瞬間《ドラグニティ-ミリトゥム》が切腹した。
『ふん!』
『え…』
『私はあなたを傷つけてしまった…、この詫びは死んで償おう…』
驚き呆然とする《恋する乙女》を余所に《ドラグニティ-ミリトゥム》はその場に倒れこみ破壊された。
「え!?なんで攻撃力が高い《ドラグニティ-ミリトゥム》が破壊されたの!?」
「それがこのカードの効果なんだ。このカードが存在する限り攻撃力の低い方が勝ち、攻撃力の高い方が負けるのさ!」
驚くレイに効果を説明する翼だった。
「そんなカードがあるなんて…カードを一枚伏せてターンエンド!」
レイの場にはまだ攻撃していない《ドラグニティ-ジャベリン》がいる、しかし《ドラグニティ-コルセスカ》を攻撃しても《革命-トリック・バトル》の効果のせいで破壊されてしまう。レイは《ドラグニティ-コルセスカ》を召喚した本当の意味を理解した。だから攻撃せずカードを伏せてターンを終了させた。
「僕のターン、ドロー!」
引いたカードもヴェーラーから渡されたカードだった。それは《ドラグニティ-アキュリス》の効果を活かすためのカードだった。
「来た!僕は速攻魔法《ダブル・サイクロン》を発動!僕の場にある《革命-トリック・バトル》とレイちゃんの場にある伏せカードを破壊する!」
《ダブル・サイクロン》
速攻魔法
自分フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚と、
相手フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して発動する。
選択したカードを破壊する。
「ああっ、《ドレインシールド》が!」
破壊されたのは攻撃無効とライフ回復効果のカードだった。
《ドレインシールド》
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
攻撃モンスター1体の攻撃を無効にし、
そのモンスターの攻撃力分だけ自分のライフを回復する。
『やっぱり《恋する乙女》の効果に合わせたライフ回復カードだった…って聞いてないね』
翼はヴェーラーの声が聞こえないくらい
「《ドラグニティ-コルセスカ》を墓地に送り、《ドラグニティアームズ-ミスティル》を特殊召喚!」
翼はまだ会えないミスティルを召喚して、何時になった会えるのかちょっとさびしくなる翼だった。
「《ドラグニティアームズ-ミスティル》の効果で《ドラグニティ-コルセスカ》を墓地から装備、そして手札から《ドラグニティの神槍》を装備!」
ミスティルは自身の効果で現れた黒く細い剣を左手に、金色の槍を右手に持った。
《ドラグニティの神槍》
装備魔法
「ドラグニティ」モンスターにのみ装備可能。
「ドラグニティの神槍」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):装備モンスターは、攻撃力が装備モンスターのレベル×100アップし、
罠カードの効果を受けない。
(2):自分メインフェイズにこの効果を発動できる。
デッキからドラゴン族の「ドラグニティ」チューナー1体を選び、
このカードの装備モンスターに装備カード扱いとして装備する。
「《ドラグニティの神槍》の効果で《ドラグニティアームズ-ミスティル》の攻撃力は600ポイントアップ!」
《ドラグニティアームズ-ミスティル》攻撃力2100⇒2700
「これじゃあもう…」
伏せカードもなし、墓地にも手札にも発動できるカードはない。レイはもう勝てないと覚悟を決めた。
「《ドラグニティアームズ-ミスティル》で《恋する乙女》に攻撃!『閃空槍』!」
『き、きゃああああああああああああああああ!』
ミスティルが《恋する乙女》に槍を突き刺そうとした。《恋する乙女》は身を丸めて目を瞑り恐怖で大声を上げた。するとミスティルは槍を《恋する乙女》に刺さる直前で止めた。
『ど、どうして…?』
『私に無抵抗な
ミスティルは踵を返して翼の方へ戻っていった。その姿を《恋する乙女》は目を輝かせて見ていた。
レイLP1000⇒0
結果的に翼は勝った。レイを元気にさせるという目的の
「あ、勝っちゃったけど…いいのかなこれで」
だが翼は勝ったことでレイがまた落ち込むのではないかと心配になった。
『大丈夫大丈夫。ほらレイの顔を見てごらん』
ヴェーラーの言う通り翼はレイの顔を見るとレイは清々しい笑顔で笑っていた。
「あーあ、負けちゃった。強いね翼」
「ふふっ、良かった」
元気に笑うレイを見て翼も笑みがこぼれた。
「どうしたの?」
「いや、レイちゃんが元気になってくれたからね。さっきからずっと塞ぎ込んでたから心配だったんだ」
「あ…すみません」
心配をかけてしまったと思いレイは翼に頭を下げた。
「謝ることないよ。僕の方こそ力になれなくてごめんね」
「ううん、そんなこと…」
「また何かあったら僕に相談してね。絶対に力になってあげるから」
「翼…」
ここに、新たな友情が誕生した。その微笑ましい光景を見ているものがいた。
「ハァハァ…一体これからどんな激しいプレイをするのか、想像しただけで萌え死にそうだ」
カイザーは物陰に隠れて涎と鼻血を垂れ流し、息を荒らげながら
『一体なんなんだこの男は…』
ヴェーラーはあからさまに嫌そうな顔をしてそのカイザーを軽蔑する目で見た。
そんなこともあってレイは失恋のショックから立ち直り残りのアカデミア生活を楽しんだ。なお、十代が男の友情を求めて翼とレイの部屋に入ろうとするところを大徳寺先生が捕まえられ長時間説教を食らっていたことを二人は知らないが。
そしてレイが本土へ帰る日となった。港には翼、十代、翔、隼人、明日香の五人が見送りに来ていた。カイザーは翼に過剰な反応を見せるためあらかじめ明日香が寝ているカイザーをベットに鉄のワイヤーで縛り付けているため絶対に来ない。
「みなさん、本当にお世話になりました」
レイはお世話になった五人に一礼した。
「なぁレイ、なんでもう帰っちまうんだ?」
「もういいと思うよ」
十代が素朴な質問をしてくるとレイは翼の方を見てもう隠さなくてもいいよねと目で訴えた。翼もそれを察して了承した。するとレイは被っていた帽子を脱ぎ、隠していた長い髪を目の前にいるみんなに見せた。
「げぇ!?レイって女の子だったのかよ!?」
「全然気づかなかったッス…」
「全くなんだな…」
レイの秘密を知らなかった十代は大きなリアクションで驚いた。翔と隼人も驚いてはいたが十代のようにオーバーなリアクションは取らなかった。
「翼、本当にありがとう!」
「元気でね、長期休暇になったらまた一緒に
二人は両手で握手をして再会を約束した。
「うん!」
そしてレイが船に乗ると直ぐに船が出港した。五人はその船に手を振り、レイもそれに答え手を振った。
「俺もレイと
「もう、アニキはいっつもそればっかり」
「ま、十代らしいんだな」
そしてレイの乗った船が見えなくなると十代が遠目になりながら後悔をし始めた。翔と隼人はそんな
「また、会えるといいなぁ」
翼が名残惜しそうにしているとヴェーラーが翼に聞こえないようにボソッと呟いた。
『また、があればの話だけどね』
「今日の最強カードは《革命-トリック・バトル》だよ!このカードがあると攻撃力が高い方が負け低い方が勝つようになるよ!」
『どちらかが守備表示だと効果は発揮しないしライフ計算はいつもと同じだから注意してね!』