「前回は色々あって明日香さんと
『まだまだ修行が足りない証拠だ』
今学期初めての月一試験前日の夜、クロノス教諭は焦っていた。この前遊城十代を貶めるために仕掛けた手紙もあろうことか風龍翼に見られてしまい失敗してしまった。他にも貶めるための罠をいくつも仕掛けたが全て風龍翼のせいで失敗してしまう。今度行われる月一試験、本当なら遊城十代にオベリスクブルーの万丈目準を戦わせる予定だったのだが書類ミスで風流翼と万丈目準という組み合わせになってしまったのだ。無理矢理対戦相手を変えるという面倒くさい手もあったのだが今回の遊城十代の対戦相手が天上院明日香になったのが幸いして無駄な労力を使わずに済んだ。だが明らかにクロノス教諭が画策することは全て風龍翼によって滅茶苦茶になっていることは事実だ。
「どうすればいいノーネ…」
偶然では片づけられない現象にクロノス教諭は頭を抱えるしかなかった。風龍翼、成績もオシリスレッドにしておくにはもったないないくらい高い、この月一試験の成績が出るまでもなく直ぐラーイエローに昇格させてもいい程優秀だ。だが今のクロノス教諭にとっては完全に邪魔な存在だ。どうせなら遊城十代と共に
その風龍翼は今遊城十代に勉強を教えていた。
「…ここはこの公式を使ってね、こう解くんだよ」
「成程!翼の説明は分かりやすいぜ!」
なぜこうなっているのかと言うと、試験前日になり試験勉強も仕上げの域に達していた翼の部屋に十代がいきなり押しかけてきたのだ、この前の反省を全く生かさずノックなしで。翼が話を聞くと部屋で同居人の丸藤翔がカードに向かって変なお祈りをしていて気が散って勉強できないという話だった。それと分からない所が大量にあるというのもあって優秀な翼に教えてもらいたいとのことだった。翼は快くそれを承諾、そして今に至るというわけだ。
「しかし本当にありがとな翼!これで明日はバッチリだ!」
「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいな…」
十代の褒め言葉に翼は恥ずかしさで頬を赤く染めた。後ろでそれを見ていたミスティルはこう思った、これは片思いの少女と鈍感な少年が勉強しているツーショットにしか見えない、と。本当に翼が男だとますます思えなくなるミスティルだった。
そんなこんなで試験当日になった。筆記試験の時、試験開始時刻になっても十代はまだ教室に現れなかった。30分後になってようやく十代は現れた。翼は気になって筆記試験終了後十代になんで遅れてきたのか聞いてみた。
「十代君どうしたの?まさか寝坊して…」
「まぁそうなんだけど、道に外れたおばちゃんのトラックをおっばちゃんと一緒に押しているうちにあんな時間になっちゃってなハハハ…」
「十代君は優しいんだね。寝坊したのは自業自得だけどね」
「ハハハ、でもお前が教えてくれたおかげで時間がなくても結構解けたぜ!」
「本当、教えたところがいっぱい出てて僕もびっくりしたよ」
本当、ミスティルには仲睦まじい男女の会話風景にしか見えなかった。制服は男同士なのにどうしても翼の女っぽい顔は勿論声変わりなしの声の高さや会話の時のしぐさなど、本当に服装以外は女の子にしか見えなかった。ミスティルは自分が狂っているのかと思ったが周りの生徒を良く見ると男子生徒のほぼ全員は怨念に似た視線を十代に向けていた。
「オシリスレッドのくせにあんなカワイイ彼女と仲良くしているなんて…」
「絶対次の実技試験で当たったらボコボコにしてやる…」
「アニキだけずるいっす、何時の間に風龍さんと仲良くなったんスか…」
取り敢えず自分がデフォルトだと再確認できた。だがここまで他人に女の子と思われているのになぜ十代にだけは男の子だと思われているのも不思議だがそれよりもこちらの方が疑問に残った。
『…いくらこいつが
いくら考えても今のミスティルにその答えは出なかった。
そして実技試験、本来なら同じクラスの生徒と戦うのだが十代と翼だけは違った。
「僕が万丈目君と、十代君が明日香さんと
「仕方がないノーネ、君たち二人はワタクーシに勝っているノーネ。それなら同じオシリスレッドと闘っても勝負は見えているノーネ。よって君たちの相手はオベリスクブルーの二人がふさわしいノーネ」
確かにその通りだ。だが翼はこの前明日香に敗北している。翼には万丈目に勝てる自信がなかった。それに翼は万丈目の事を少し怖い人だと思っている。
「明日香さんとならよかったな…」
「こっちの台詞だ。俺もあのドロップボーイとの決着を付けたかったものを、どうしてお前のような奴と
ぐうの音も出ない、万丈目は見た感じかなりの実力者だし話に聞いただけでも自分なんか歯が立たないと翼は思っていた。
『貴様、少しは自信を持て。貴様はあの敗北から努力をしたではないか』
そう、翼は明日香との
「努力はしたよ、でも万丈目君は相当な実力者だって噂だし…」
『ふん、あれは小物だ。ただ、プライドしかない張子の虎のような奴だ。今のお前なら勝てる』
「そんなこと言われても…」
「何をブツクサ言っている、早く
「は、はい!すみません万丈目君!」
翼は慌てて
「ふん、あのドロップボーイとは違って礼儀正しいのは褒めてやる。だが貴様では俺のライフを1ポイントも削れない、無様に負けるがいい!」
自信満々の万丈目を見て翼は少しビビったがミスティルは小物の遠吠えという印象しか持てなかった。
『今回も指示、助言はしない。貴様の実力を見せてみろ!』
「うん、わかったよミスティル!」
「「
「僕のターンからです、ドロー!」
翼は手札を見て数ターンどう動けばいいか分析をした。それを見たミスティルはようやく初心者を卒業したなと感慨深くなった。
「僕は手札からフィールド魔法、《龍の渓谷》をします!そして《龍の渓谷》の効果で手札の《ドラグニティ-ブランディストック》を墓地に送り《ドラグニティ-アキュリス》を手札に加えます」
フィールド上が夕焼けの眩しい渓谷に変わった。万丈目は入学試験での
「サーチする効果もあったのか…だがそんなザコモンスターを手札に加えたところで何が出来る!」
その姿を見たミスティルはどうしてこんな男がデュエルアカデミアのエリートなのか理解に苦しんだ。
『やはり小物だな、ステータスだけがモンスターの価値を決めるものではない』
「僕は《ドラグニティ-アキュリス》を召喚、そして《ドラグニティ-アキュリス》の効果を発動します!」
召喚された赤と銀の龍は頭の体を頭にある刃を主体とした剣に変えた。
「何!?武器になっただと!?」
「僕は《ドラグニティ-アキュリス》を装備カードにして、《ドラグニティ-プリムス・ピルス》を攻撃表示で特殊召喚します!」
そして剣となった《ドラグニティ-アキュリス》を掴んだ《ドラグニティ-プリムス・ピルス》が渓谷の頂上から登場した。
『ふむ、今のこの手札ならこれがベストの動きだろう』
ミスティルもこの展開の仕方には最高の動きだと感心した。
「これでターンエンドです」
「1ターン目で攻撃力2200を出すとはな、だがそれでは俺には届かん!俺のターン、ドロー!」
万丈目は手札と今ドローしてきたカードを見て笑みを見せた。おそらく理想的な手札だったのだろう。
「永続魔法、《前線基地》を発動!」
《前線基地》
永続魔法
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に
手札からレベル4以下のユニオンモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
「《前線基地》の効果により俺は手札から《W-ウィング・カタパルト》を特殊召喚!そして《V-タイガー・ジェット》を召喚!」
一気に二体の渓谷に似合わない虎の顔をしたジェット機と翼の生えたジェット機が現れた。
《W-ウィング・カタパルト》
ユニオンモンスター
星4/光属性/機械族/攻1300/守1500
1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして
自分の「V-タイガー・ジェット」に装備、
または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている時のみ、
装備モンスターの攻撃力・守備力は400ポイントアップする。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、
代わりにこのカードを破壊する。)
《V-タイガー・ジェット》
通常モンスター
星4/光属性/機械族/攻1600/守1800
空中戦を得意とする、合体能力を持つモンスター。
合体と分離を駆使して立体的な攻撃を繰り出す。
「行くぞ、合体せよ《V-タイガー・ジェット》、《W-ウィング・カタパルト》!」
そして二体のロボットが合体して。
《VW-タイガー・カタパルト》
融合・効果モンスター
星6/光属性/機械族/攻2000/守2100
「V-タイガー・ジェット」+「W-ウィング・カタパルト」
自分フィールド上に存在する上記のカードをゲームから除外した場合のみ、
融合デッキから特殊召喚が可能(「融合」魔法カードを必要としない)。
手札を1枚捨てることで、相手フィールド上モンスター1体の表示形式を変更する。
(この時、リバース効果モンスターの効果は発動しない。)
「すごい…こんなモンスターがいるんだ…」
合体するモンスターを見て翼はただただ驚いた。
「ふん、これくらいで驚いては困る!《VW-タイガー・カタパルト》の効果発動!手札一枚をコストに《ドラグニティ-プリムス・ピルス》を守備表示にする!」
プリムス・ピルスは防御の体勢をとった。だがこれではタイガーカタパルトの餌食になってしまう。
「しまった!」
「行け、《VW-タイガー・カタパルト》!」
プリムス・ピルスは反撃することなくタイガーカタパルトの攻撃を受け破壊されてしまった。
「カードを一枚伏せてターンエンドだ」
「僕のターン、ドローします!」
翼とミスティルは手札を見てこの状況の悪さに眉を顰めた。
『ここは耐えるしかないか…』
「僕は手札から魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動します」
《ワン・フォー・ワン》
通常魔法
手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。
手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。
「手札を一枚捨てて、《ドラグニティ-トリブル》をデッキから特殊召喚します!そして《ドラグニティ-トリブル》の効果でデッキから《ドラグニティ-ジャベリン》を落とします。そして《ドラグニティ-ミリトゥム》を守備表示で召喚してターンエンドです」
魔法の効果により真っ白な四枚の翼をもつ鳥人が現れデッキから一枚のカードが墓地に送られ、そして女鳥人がフィールド上に現れ《ドラグニティ-トリブル》と共に防御態勢を取った。取り敢えずこれで次のターンは大丈夫だと翼は確信した。
「いくら壁モンスターを並べたところで俺のモンスターには敵わん!俺のターン、ドロー!」
万丈目はドローしたカードを見て口元が緩んだ。ここまで完璧なドローがあるのかと言いたそうな顔だった。
「ククク…これで俺の勝ちは決定的になった!」
『怯えるな、どんなに強力なカードがあっても
「うん、分かったよミスティル」
その言葉に翼はまた負けてしまうのかと怯えてしまいそうになった。だがミスティルの励ましによって何とか怯えずに済んだ。
「何をブツクサと言っている!俺は《前線基地》の効果で《Z-メタル・キャタピラー》を特殊召喚!次に《X-ヘッド・キャノン》を召喚!そして永続罠リビングデッドの呼び声発動!甦れ《Y-ドラゴン・ヘッド》!」
万丈目のフィールド上に青い体に砲台と腕を持つ機械と、黄色で一つ目のキャタピラ、そして赤い機械龍が現れた。
《Z-メタル・キャタピラー》
ユニオンモンスター
星4/光属性/機械族/攻1500/守1300
1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして
自分の「X-ヘッド・ キャノン」「Y-ドラゴン・ヘッド」に装備、
または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている時のみ、
装備モンスターの攻撃力・守備力は600ポイントアップする。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、
代わりにこのカードを破壊する。)
《X-ヘッド・キャノン》
通常モンスター
星4/光属性/機械族/攻1800/守1500
強力なキャノン砲を装備した、合体能力を持つモンスター。
合体と分離を駆使して様々な攻撃を繰り出す。
《Y-ドラゴン・ヘッド》
ユニオンモンスター
星4/光属性/機械族/攻1500/守1600
1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして
自分の「X-ヘッド・キャノン」に装備、または装備を解除して
表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている時のみ、
装備モンスターの攻撃力・守備力は400ポイントアップする。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、
代わりにこのカードを破壊する。)
《リビングデッドの呼び声》
永続罠
自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
「いつの間にモンスターを墓地に…」
『《VW-タイガー・カタパルト》の効果のコストの際に捨てていたようだな』
次々と万丈目のフィールド上にモンスターが展開していくのを翼はただ感心してみることしかできなかった。
「さあ、ここからが本番だ!まず《X-ヘッド・キャノン》、《Y-ドラゴン・ヘッド》、《Z-メタル・キャタピラー》、合体しろ!」
《X-ヘッド・キャノン》、《Y-ドラゴン・ヘッド》、《Z-メタル・キャタピラー》が合体し、大きな砲台となった。
《XYZ-ドラゴン・キャノン》
融合・効果モンスター
星8/光属性/機械族/攻2800/守2600
「X-ヘッド・キャノン」+「Y-ドラゴン・ヘッド」+「Z-メタル・キャタピラー」
自分フィールド上に存在する上記のカードを
ゲームから除外した場合のみ、エクストラデッキから
特殊召喚する事ができる(「融合」魔法カードは必要としない)。
このカードは墓地からの特殊召喚はできない。
自分のメインフェイズ時に手札を1枚捨てる事で、
相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。
「凄い…強力なモンスターが二体も…」
「甘いぞ!これから俺の切り札を見せてやる!《XYZ-ドラゴン・キャノン》、《VW-タイガー・カタパルト》よ、究極合体だ!」
驚く翼にさらに追い打ちをかけるように《XYZ-ドラゴン・キャノン》と《VW-タイガー・カタパルト》が合体し、日曜8時の戦隊もののクライマックスに出てくる合体巨大ロボのようになった。
「現れよ、《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》!」
《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》
融合・効果モンスター
星8/光属性/機械族/攻3000/守2800
「VW-タイガー・カタパルト」+「XYZ-ドラゴン・キャノン」
自分フィールド上に存在する上記のカードをゲームから除外した場合のみ、
融合デッキから特殊召喚が可能(「融合」魔法カードを必要としない)。
1ターンに1度、相手フィールド上のカード1枚をゲームから除外する。
このカードが攻撃する時、攻撃対象となるモンスターの表示形式を
変更する事ができる。(この時、リバース効果モンスターの効果は発動しない。)
「う…こんな巨大なモンスターが…」
《
「ならこいつの力をとくと味わうがいい!《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》の効果発動!まずはミリトゥムを除外する!」
「あっ、《ドラグニティ-ミリトゥム》が!」
「そして《ドラグニティ-トリブル》を攻撃表示に変更する!」
「そんな!?」
あっという間に守備表示だった《ドラグニティ-ミリトゥム》が消え、攻撃力のない《ドラグニティ-トリブル》が《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》を迎え撃とうと意気揚々になった。
「行けっ《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》!VWXYZ-アルティメット・デストラクション!!」
翼LP4000⇒1500
「う、うわあああああああっ!!」
「これで俺はターンエンドだ。ま、もう俺の勝ちは決まったようなものだがな!」
もう勝利が自分の手中にあると確信している万丈目だった。だが、翼はまだ諦めていなかった。
「…まだだよ」
「なに?」
「まだ僕のライフは0になってない!勝負はまだわからないよ!」
「無駄だ!《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》の攻撃力は3000!貴様の軟弱なモンスターでは太刀打ちできん!」
翼はそう叫んだが万丈目の言うとおりこのままでは勝ち目はゼロだ。全ては、このドローに掛かっている。
「そんなの、やってみなくちゃわからないよ!僕のターン、ドロー!」
翼がドローしたカードは勝利へのピースを集めるためのカードだった。
「僕は手札から魔法カード、《貪欲な壺》を発動します!」
翼のフィールドに紫色のいかにも成金で貪欲そうな顔をした壺が現れた。
《貪欲な壺》
通常魔法
自分の墓地のモンスター5体を選択して発動できる。
選択したモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。
その後、デッキからカードを2枚ドローする。
「僕は《ドラグニティ-アキュリス》、《ドラグニティ-プリムス・ピルス》、《ドラグニティ-トリブル》、《ドラグニティ-ミリトゥム》、《ドラグニティ-ジャベリン》をデッキに戻してデッキをシャッフル、そして二枚カードをドローします!」
そして墓地にあった五枚のカードを壺が食べた。発動したのは自分なのに流石にこれは気持ち悪いと思った翼であった。
「手札増強カードか!だが手札が増えたからと言って俺の《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》には敵わんぞ!」
「僕は…このデッキを信じる!ドロー!」
翼は必至の想いで、デッキの中にあるカードたちを信じてカードを二枚ドローした。そしてドローしたカードを見た翼は逆転への道が見えた。
『…!ここでこのカードを引くか!』
ミスティルもここで起死回生のドローを見せた翼の運に驚いた。
「僕は《ドラグニティ-ドゥクス》を召喚!」
翼のフィールドに
《ドラグニティ-ドゥクス》
効果モンスター
星4/風属性/鳥獣族/攻1500/守1000
このカードの攻撃力は、自分フィールド上の
「ドラグニティ」と名のついたカードの数×200ポイントアップする。
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル3以下の
「ドラグニティ」と名のついたドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。
「《ドラグニティ-ドゥクス》の効果発動!墓地の《ドラグニティ-ブランディストック》を装備します!そして《ドラグニティ-ドゥクス》の攻撃力はフィールド上のドラグニティと名の付くカードの数だけ200アップします!」
そして《ドラグニティ-ドゥクス》は《ドラグニティ-ブランディストック》が変身した白い短刀を装備した。
《ドラグニティ-ドゥクス》攻撃力1500⇒1900
「その程度の攻撃力ではVWXYZの足元にも及ばんぞ!」
「まだだよ、僕は《ドラグニティ-ドゥクス》を除外します!そして手札からこのカードを特殊召喚します!」
「何だと!」
「不屈の魂を持つ龍、今ここに現れよ!《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》!!」
《ドラグニティ-ドゥクス》が消え、渓谷から大剣を片手で軽々と持ち上げるオレンジ色の巨龍が大きく羽ばたいて翼のフィールドに降り立った。
《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》
効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2600/守1200
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたカードを装備したモンスター1体をゲームから除外し、
手札または墓地から特殊召喚する事ができる。
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の
自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、
装備カード扱いとしてこのカードに装備されたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
「何だこのモンスターは…だがまだ《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》の方が攻撃力は上だ!」
「それはどうですかね」
「なに!?」
「僕は《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》の効果を発動します!墓地の《ドラグニティ-ブランディストック》をこのカードに装備させます!そして永続魔法《竜操術》を発動!」
《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》は《ドラグニティ-ブランディストック》が変身した白い短刀を左手に掴み、そして翼は勝利への最後のピースを発動させた。
《竜操術》
永続魔法
「ドラグニティ」と名のついたモンスターを装備した、
自分フィールド上に存在するモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
また、1ターンに1度、手札から「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスター1体を装備カード扱いとして
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体に装備する事ができる。
「なんだと!?」
「このカードの効果によって《ドラグニティ-ブランディストック》を装備している《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》の攻撃力は500ポイントアップします!」
《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》攻撃力2600⇒3100
「《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》の攻撃力を…上回っただと?」
万丈目はありえないことが起きたと驚愕していた。まさか翼から攻撃力3000以上のモンスターが出るなんて思ってもいなかったからだ。
「行けっ《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》!『ブラスト・スラッシュ』!!」
《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》は《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》を右手に持つ大剣で一刀両断し、フィールド上は爆発で埋め尽くされた。
万丈目LP4000⇒3900
「くっ、《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》がこうも簡単に…」
爆風の中、《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》はその爆風をかいくぐり左手の短剣で万丈目に切りかかってきた。
「しまった、装備されたモンスターの効果か!ぐおおおおおおっ!」
万丈目LP3900⇒800
「僕はこれでターンエンドです」
翼はなんとか万丈目のライフポイントは大幅に削ることに成功したが決定的な一撃を与えられなかった。このままでは反撃されてしまうと思った。
「フフフ…この俺をここまで追い詰めるとはな」
万丈目はデッキに手を当てた。
「だがこの俺に反撃の機会を与えたのは失敗だったな!俺のターン、ドロー!!」
万丈目は自分を信じ、自分の勝利を信じてデッキトップのカードをドローした。
「なっ…」
万丈目が引いたカードは、逆転へのカードとは程遠いカードだった。ミスティルにはなぜここで万丈目が逆転へのカードをドロー出来なかったのか分かる。
万丈目は自分のデッキを、カードを信じておらず、自分だけを信じていたのだ。デッキを信じない者にデッキは、カードは答えてくれないのだ。
万丈目の使っているデッキは先程クロノス教諭が買い占めたカードパックに入っていたレアカードが大量に入っている。とても自分のデッキだと言えるデッキではなかった。ドローしたカードもその中の一枚だった。
「クソッ…なんでこんな時に!俺は魔法カード《ハンマーシュート》 を発動!」
仕方なく万丈目はドローしたカードを発動させた。逆転できるカードはないが強力なカードである事には変わりはないからだ。
《ハンマーシュート》
通常魔法
フィールド上に表側攻撃表示で存在する
攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊する。
頭上に現れた巨大な木のハンマーに《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》が押しつぶされてしまった。
「これでお前のフィールドはがら空き…」
しかしフィールドには破壊された《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》に装備されていたはずの《ドラグニティ-ブランディストック》がいたのだ。
「何だと!なぜお前のフィールドにモンスターが!?」
「あなたの発動したカードで破壊された《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》のもう一つの効果が発動したんです。《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》は効果で破壊されたとき装備していた仲間を場に残します!」
「そんな効果まであったのか…!」
手札は0、墓地で発動できるカードはない、フィールド場には効果を発揮できない《前線基地》と無意味に残っている《リビングデッドの呼び声》だけだった。
「これで俺はターンエンドだ…」
万丈目は勝利を諦めたかのようにターンエンドした。
「僕のターン、ドロー!」
翼は勝利を確信し、ウキウキしながらドローした。
「僕は《ドラグニティ-ブランディストック》を生贄に捧げ、《ドラグニティ-アングス》を召喚します!」
《ドラグニティ-アングス》
効果モンスター
星5/風属性/鳥獣族/攻2100/守1000
このカードが「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスターを装備している場合、
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
《ドラグニティ-ブランディストック》が消え青い翼の弓兵がフィールド場に現れた。
「《ドラグニティ-アングス》、万丈目君にダイレクトアタック!」
そして《ドラグニティ-アングス》は万丈目の胸辺りに矢を向けて放った。万丈目はなす術もなくその矢を受け、万丈目のライフポイントは0になった。
万丈目LP800⇒0
「勝った…やったー!!勝ったー!!」
『相手のドロー運に助けられたようなものだが…まぁ今は言わないでおこう』
「ウソだろ…俺がこんな奴に…」
万丈目のライフポイントが0となり、翼はピョンピョンと飛び跳ねて全身で喜びを表現し、ミスティルは冷静にこの
「おーい翼!明日香に勝ったぜ!」
すると十代が手を振りながらやってきた。
「十代君も勝ったんだ!おめでとう!」
「おう!翼も万丈目に勝ったみたいだな!」
翼と十代はお互いの勝利を褒め合った。
「素晴らしいです二人とも」
するとこのデュエルアカデミアの校長である鮫島校長が現れて二人に声をかけた。
「鮫島校長先生」
「二人ともオベリスクブルーに勝利し、さらに筆記試験も中々の成績を修めています」
「あれ、俺も?」
自分も点が良かったのか?と十代は頭をかしげた。周りにいた生徒達もなぜ遅刻してきた十代の成績が良いのか疑問に思った。
「そうです、空欄が多かったのが気になりますが書いてあった答えは殆ど合っていました」
つまり、翼に教えてもらったところはほぼ正解していたという事だ。
「おおっ!お前のおかげたぜ翼!」
「あ、ありがとう…」
翼は十代に手を握られ思いっきり上下に振って感謝された。
「よって遊城十代君をラーイエローに、風龍翼さんをオベリスクブルーに昇格させます」
「え…?今なんて?」
翼は耳を疑った。なんとラーイエローをすっ飛ばしてオベリスクブルーに昇格するみたいだ。
「風龍翼さんは筆記試験で学年1位、しかも全科目ほぼ満点というとても優秀な成績でした。それに加えて万丈目君に
その時の鮫島校長は何か隠している顔をしていた。恐らく昇格という形で何か理由があって男に返送している翼を女子寮へ移そうと目論んでいるのだろう。翼は本当に男なのに。
「うえっ!?お前そんなに優秀なのかよ!」
驚いた十代を余所に翼は昇格するべきかしないべきかを考えた。
「…」
しかしその答えは簡単に出てしまった。
「昇格は辞退します」
「なんですと!?」
「あ、俺も辞退します」
「ど、どうしてですか!?」
二人同時の昇格辞退に鮫島校長は戸惑った。
「俺はオシリスレッドを気に入っているから、かな」
「僕はまだまだ未熟です。だからまだオシリスレッドで自分を磨きたいと思います」
気楽な理由を言った十代とは違い、翼はそれなりに大勢が納得のできる理由を述べた。
『それに、もしオベリスクブルーになんてなったら女子寮に入れられかねんからな』
ミスティルがそう言うと翼が周りにバレない様にキッ、と睨んだ。
「わかりました、では昇格は保留とします」
鮫島校長は十代と翼の意見を尊重した。取り敢えずその場での翼と十代の昇格は見送られた。だが十代はともかく翼はこれから事があるごとに昇格を勧められていくことになる。
そして月末試験が終わり、翼とミスティルはオシリスレッド寮の自分の部屋に戻った。翼は疲れてベットにダイブした。
「ふぅ、強かったな万丈目君」
『初勝利、ひとまずは褒めてやろう』
「ありがとうミスティル」
翼はこの一ヶ月を振り返ってみた、色々とありえないことの連発だったがそれでも十代の精霊以外の精霊に会っていない。つまりまだ精霊関連の事件がないのだ。それなりに精霊の仕業と思える事件もあったが全て違った。
「…ミスティル、まだ手掛かりはつかめないの?」
するとミスティルは気難しい顔をした。
『ああ、全く持って手掛かりは見つからない』
ミスティルはこの一ヶ月、まず自分を持っている翼を狙ってくると考えていたのだがその気配は全くなかった。
「気長に行こうよ、まだこの島に来て一ヶ月だよ。ミスティル、明日からは僕を護らなくてもいいよ。ミスティル達精霊関連では安全だってことはこの一ヶ月で分かったし、それにこのまま僕について来ても何も変わらないよ」
『そうだな…』
ミスティルは翼の提案について少し考えた。確かに翼の言うとおりこれ以上翼に付いていても何も変わらないだろう。だがこれから二人別々に行動して襲われたらどうするという懸念が頭を過ぎる。しかし先程の翼が見せた
『…分かった。取り敢えず明日から怪しい所をしらみつぶしに探すか』
ミスティルは翼の提案に乗ることにした。
「そうだね、僕に出来ることがあったら言ってね。出来る範囲の事はしてあげるから」
翼も笑顔で協力の意思を見せた。だがこの時の二人は直ぐにその成果が出るとは思ってもいなかった。
『今回の最強カードは《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》だ。仲間の魂で墓地から何度でも甦る不屈の魂を持つモンスターだ。我が親友でもある』
「ドラグニティ最強のカードだよ!」